SHARE 松島潤平 / 松島潤平建築設計事務所による「育良保育園 仕上表模型」
松島潤平 / 松島潤平建築設計事務所による「育良保育園 仕上表模型」です。
AGC studio1階エントランス ギャラリーで行われている展覧会「新しい建築の楽しさ2014」に出品されている作品です。会期は2015年2月21日(土)まで。2015年2月19日(木)には、松島潤平・三浦慎・菅原大輔による講演も行われます。(※詳細は最下部に掲載。)
『新しい建築の楽しさ2014』展に出展している『育良保育園』の模型。的なもの。
「仕上表模型」と称して、すべて実際の建物に使用した素材のサンプル材でできている。各素材の厚みや割付はサンプル材の規格に合わせているため、1/50というスケールが無効化され、実物大の何某かへと変質している。模型は本来、実物の建物と異なるスケールにするうえで、素材をディフォルマライズすることにより“リアル(現実)”よりも“リアリティ(本物感=本物の虚構)”を追及するものである。一方この模型は、ナマな素材を直截的に用いることで、ある種の“リアリティ”をかなぐり捨てて、“リアル”の方を追及している。なぜこんなことをしたんだろう。
※以下の写真はクリックで拡大します
以下、建築家によるテキストです。
育良保育園 仕上表模型
『新しい建築の楽しさ2014』展に出展している『育良保育園』の模型。的なもの。
「仕上表模型」と称して、すべて実際の建物に使用した素材のサンプル材でできている。各素材の厚みや割付はサンプル材の規格に合わせているため、1/50というスケールが無効化され、実物大の何某かへと変質している。
模型は本来、実物の建物と異なるスケールにするうえで、素材をディフォルマライズすることにより“リアル(現実)”よりも“リアリティ(本物感=本物の虚構)”を追及するものである。一方この模型は、ナマな素材を直截的に用いることで、ある種の“リアリティ”をかなぐり捨てて、“リアル”の方を追及している。なぜこんなことをしたんだろう。
通常の役割関係で言えば、建物はリアルを担い、模型はリアリティを担うものだろう。しかし『育良保育園』では、まず建物がリアリティを担っている。模型が、そのリアルからずれたリアリティによって思いも寄らない新たな発見的思考を引き出してくれるように、無垢材からフェイク材まで素材の定義が混濁したテクスチャ環境のなかで、物の記号性に優劣を持たない子どもたちが、現実とフィクションをフラットに吸収し、新たな世界を展開していくことを願って作られた空間である。
建物がリアリティを担っているならば、その模型にはリアルを担わせてあげよう。物の持つリアルと、情報の持つリアリティを同時に担うのが「建築」なのだとしたら、「建物」と「模型」の役割関係が逆転していてもいいじゃないか。リアルにおいては“ニセモノ”と蔑まれがちなフェイクの化粧木目シートも、仕上表模型という位相においては“ホンモノの素材”へと裏返る。 “ホンモノ / ニセモノ”の断罪なんてものはその程度、枠組の設定でいくらでも転倒する虚しい差別だ。
■「新しい建築の楽しさ2014」展
開催期間:
前期 2014年11月6日(木)~12月26日(金)
後期 2015年1月6日(火)~2月21日(土)
開催場所:
東京都中央区京橋2-5-18 京橋創生館
AGC studio1階エントランス ギャラリー
第56回 AGC studio デザインフォーラム(2015/2/19)
AGC studio Exhibition No.12「新しい建築の楽しさ2014」展連動企画
「居場所をつくる」
日時:2015年2月19日(木) 18:30~20:00(18:00~受付)
開催場所:AGC studio 2階会議室
講演者:
松島潤平氏(松島潤平建築設計事務所)
三浦慎氏(三浦慎建築設計室)
菅原大輔氏(SUGAWARADAISUKE)
モデレーター:
中﨑隆司氏(建築ジャーナリスト、生活環境プロデューサー)
定員:70名(事前申込制)
参加費:無料
申込方法:登録フォーム
https://www.agcstudio.jp/reservation_event/index.php