SHARE 山路哲生建築設計事務所による、東京都港区南青山のcommune246内の屋台「Schmatz food stand at commune 246」
all photos©石田篤
山路哲生建築設計事務所が設計した、東京都港区南青山のcommune246内の屋台「Schmatz food stand at commune 246」です。
敷地のcommune246は表参道の交差点からすぐに位置し、近くにはプラダ、ディオール、ヴィトンといったハイブランドが立ち並ぶ日本最大のファッションエリアの中心地である。そんな地価日本最高級の南青山という場所にして、不動産開発から忘れられたようなぽっかりとした遊休地を利用した計画であり、新しい形の市場として賑わいをみせている。
法的にはスチールフレームのシャーシとナンバープレートをもつ車両であり、トレーラーのように引っ張れば公道も走行可能な8.75㎡の最小限店舗となっている。
構造としては接合部をグルードインロッドと呼ばれる接着工法によって木造ラーメンとすることでブレースを無くし、風通しのよい骨組みをつくった。また壁面の扉に跳ね上げ式のヒンジを用いることで全面を開口とし、360°開放することを可能とした。
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以下、建築家によるテキストです。
Schmatz food stand at commune 246
敷地:
敷地のcommune246は表参道の交差点からすぐに位置し、近くにはプラダ、ディオール、ヴィトンといったハイブランドが立ち並ぶ日本最大のファッションエリアの中心地である。そんな地価日本最高級の南青山という場所にして、不動産開発から忘れられたようなぽっかりとした遊休地を利用した計画であり、新しい形の市場として賑わいをみせている。
総合企画は黒崎輝男率いる流石創造集団によるもので、クリアランスによるディベロッパー的大規模開発ではない、次世代の開発手法を提言している。学校があり、シェアオフィスがあり、市場がある、期間限定のゲリラ型都市コミュニティだ。
そこに新規参入したのがSchmatz。赤坂に店舗をもつドイツビールとソーセージを中心としたドイツ料理屋のフードスタンドとして、今回新しく設計を依頼された。
南ドイツの牧歌的な山小屋をコンセプトとしながら、エリア内に点在する既存の各フードスタンドからの視線を阻害しない透明性の高い屋台を計画した。
デザイン説明:
法的にはスチールフレームのシャーシとナンバープレートをもつ車両であり、トレーラーのように引っ張れば公道も走行可能な8.75㎡の最小限店舗となっている。
構造としては接合部をグルードインロッドと呼ばれる接着工法によって木造ラーメンとすることでブレースを無くし、風通しのよい骨組みをつくった。また壁面の扉に跳ね上げ式のヒンジを用いることで全面を開口とし、360°開放することを可能とした。跳ね上げた扉は蔀戸のように固定され、夏の暑さや雨を遮るとともに、ビアカウンターのオーニングとして、居心地の良い軒下空間を生み出している。また、ビールサーバーから連続する黄金色のステンレスパイプが、室内に巡らされており、サーバーとしての役割を果たすと共にドイツビールの店Schmatzのシンボルとして、その存在感を示している。
単純な直方体のスギ板を張った不透明な四角いボリュームが営業時間になるとパタリパタリと扉を開けて背中の向こう側まで明け透けに内部を晒し始める。開放性が高まりそのハコとしての存在が消えれば消えるほど、周囲には人の群がり生まれ、賑わいが増していく。扉の開け閉めによってその表情や透明性は自由に構成され、それに応じて人々の距離感がゆらゆらと変化していく。そんな「状況」を設計したいと考えた。
■建築概要
「Schmatz food stand at commune 246」
所在地:東京都港区南青山3-13 commune246 内
構造:木造
延床面積:8.75m2
竣工:2015年11月
設計監理:山路哲生建築設計事務所 担当 山路哲生、大部杏奈
構造設計:ハシゴタカ建築設計事務所 担当 髙見澤孝志
施工:株式会社ダブルボックス
企画・プロデュース:流石創造集団株式会社
委託運営:メディアサーフコミュニケーションズ株式会社
撮影:石田篤
協力:ハイサーブウエノ(厨房機器)