SHARE 髙橋昌之 / 髙橋昌之建築設計事務所による、東京・品川区の「大崎の店舗 兼 作業場」
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髙橋昌之 / 髙橋昌之建築設計事務所が設計した、東京・品川区の「大崎の店舗 兼 作業場」です。
東京都品川区の山手通り沿いにある店舗兼作業場である。非常に予算が限られた中で店舗・作業場として、かつ広告宣伝と営業の要素も兼ね備えた場が設計条件であった。作業場としての最も必要な要素は「机(作業台)」であるため、机がこの店舗のすべての要素を解決してくれるような設計を試みた。
敷地の最寄り駅から道を歩いていて、目につくのはやはり鮮やかな看板・ロゴなどである。いろいろな店が色や文字・ロゴを使ってその存在をアピールしている。しかしながら、建築や内装に過剰なまでに添えられたサイン計画が本当に必要なものかは疑問である。特に今回の店舗は路面店であるため、街に対するアプローチも上階のサイン計画に頼ったものとは異なるべきであると考えた。
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以下、建築家によるテキストです。
東京都品川区の山手通り沿いにある店舗兼作業場である。非常に予算が限られた中で店舗・作業場として、かつ広告宣伝と営業の要素も兼ね備えた場が設計条件であった。作業場としての最も必要な要素は「机(作業台)」であるため、机がこの店舗のすべての要素を解決してくれるような設計を試みた。
敷地の最寄り駅から道を歩いていて、目につくのはやはり鮮やかな看板・ロゴなどである。いろいろな店が色や文字・ロゴを使ってその存在をアピールしている。しかしながら、建築や内装に過剰なまでに添えられたサイン計画が本当に必要なものかは疑問である。特に今回の店舗は路面店であるため、街に対するアプローチも上階のサイン計画に頼ったものとは異なるべきであると考えた。よって、今回は中央に5100mmの長いテーブル(可動式)を配置し、店舗の外までせり出させた。店内いっぱいのテーブルを中央に置くことで、店舗内の動線をショップゾーンと作業ゾーンに2分化できる。そして5100mmの手前側と奥側とで、同じテーブルでありながら別の用途(例えば、手前を打合せゾーンで奥を作業ゾーン)というように寸法だけで別の機能を混在可能にしている。
また、ファサードの開口も限界までの高さ・幅を使えるようにした。これは業務製品の搬出入の機能を持たせるためであるが、通常とは異質な、街にひらかれたスケールのテーブルと開口を用いることで、お店の前で行き交う人々を受け入れつつ、通過する人々に効果的にアピール(営業活動)が行えるようにするためでもある。
内装設計では既存の建築空間内で行為が留まってしまう事が多いが、内部環境から都市環境へとアプローチすることで、既存建築と周辺環境のあり方を変化させられればと考えている。
その店舗がそこにある事で街のながれが少し変わるような、そんな店舗が増えていく事が、街の豊かさをつくっていく要素となってほしい。
■建築概要
物件名称:大崎の店舗 兼 作業場
主要用途:店舗 兼 作業場
所在地:東京都品川区北品川
延床面積:18.70m2
設計:髙橋昌之/髙橋昌之建築設計事務所
施工:稲垣 亨/稲垣泰ゴロー
竣工年:2017年4月
写真:白井洋平