SHARE 大堀伸・麻生征太郎 / ジェネラルデザインによる、沖縄の「ギノザリゾート 美らの教会」
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大堀伸・麻生征太郎 / ジェネラルデザインによる、沖縄の「ギノザリゾート 美らの教会」です。
沖縄県本島中部、太平洋側に位置する宜野座村。その海岸線沿いに建つウェディング施設である。
挙式が行われるチャペル棟、披露宴が開かれるバンケット棟、ビーチパーティーができる東屋、それらをつなぐ広い庭園からなる。
本島東側は、西側ほど大きな開発がされておらず、そのなかでも宜野座村は手付かずの自然が残り、日々の人々の生活が感じられる穏やかな場所である。敷地内外に残る原生林、敷地と切れ目なく繋がっている砂浜、荒々しい岩場、そして美しい海が印象的だ。
敷地内には、ゲストの動線をなぞるかたちで、前面道路から見える東側にバンケット棟が、東西に長い敷地の奧、小高い場所にチャペル棟、チャペル棟から高低差10mほどある階段を下り、砂浜に出たところに東屋が配置されている。それらの建物の間には、敷地に残る原生林を丁寧に読み取りながら新たな植栽が施され、ゲストは施設内を移動する中でそのような緑豊かな美しい自然を体験する。
※以下の写真はクリックで拡大します
以下はバンケット棟です。
以下、建築家によるテキストです。
沖縄県本島中部、太平洋側に位置する宜野座村。その海岸線沿いに建つウェディング施設である。
挙式が行われるチャペル棟、披露宴が開かれるバンケット棟、ビーチパーティーができる東屋、それらをつなぐ広い庭園からなる。
本島東側は、西側ほど大きな開発がされておらず、そのなかでも宜野座村は手付かずの自然が残り、日々の人々の生活が感じられる穏やかな場所である。敷地内外に残る原生林、敷地と切れ目なく繋がっている砂浜、荒々しい岩場、そして美しい海が印象的だ。
敷地内には、ゲストの動線をなぞるかたちで、前面道路から見える東側にバンケット棟が、東西に長い敷地の奧、小高い場所にチャペル棟、チャペル棟から高低差10mほどある階段を下り、砂浜に出たところに東屋が配置されている。それらの建物の間には、敷地に残る原生林を丁寧に読み取りながら新たな植栽が施され、ゲストは施設内を移動する中でそのような緑豊かな美しい自然を体験する。
施設のエントランスを抜け、樹木に囲われた緩やかに蛇行する園路の先にバンケット棟がある。
高さ4mある4連木製両開きの玄関扉を開くと、視線はエントランスホールから、砂浜、海、水平線まで抜ける。敷地の高低差を利用した一室空間のエントランスホールは、入り口側と海側で床高さ1500mmの差があり、それらを緩勾配の階段がつないでいる。エントランスホールと3つあるバンケットは天井高さが約4?5mあり、海側を、床から天井まで、壁から壁まで目一杯を開口部とすることで、海への眺望を可能な限り確保している。
2階にある新郎新婦の支度部屋となるブライズルームは「離れ」のような独立性の高い場所とし、各室とも専有の庭を介してアクセスする。
敷地の最も奥、最も高い場所にチャペル棟がある。
現場打設のRCのフレームとガラスで構成されるチャペルは、海や空や周辺の木々をとりこみながら、トップライト内部側にランダムな乳白ガラスを取り付けることで、天候・時間の変化に呼応して移り変わる様々な光が落ちる、非日常的な空間となっている。
この施設では、レセプションからバンケットに行くにも、ブライズルームに行くにも、チャペルに行くにも、常にゲストは外部を介することになる。気持ちの良い風や美しい自然を感じる一方で、夏の暑さや雨天時などに多くのマイナス面、不自由さもはらんでいる。しかし、ここで式をあげるゲストにとってはそれらも含めて、人生の重要なセレモニーとして豊かな体験となるのではないか。ウェディングの記号が満載の装飾的な場ではなく、ここでしか体験できない結婚式を挙げることができる場所を考えた。そこでの建築は、シンプルな幾何形態で構成された白い塊とし、それらは色濃い自然とコントラストをなす。環境を取り込み、ランドスケープと一体的な空間をつくりながらも、陸と海の間に屹立するオブジェのような存在が、ここでの体験とともにゲストの記憶に長く残るだろう。
■建築概要
設計:大堀伸・麻生征太郎 / ジェネラルデザイン
施工:浅沼組
所在地:沖縄県国頭郡宜野座村
敷地面積:6674.06㎡
建築面積:1131.72㎡
延床面積:1308.79㎡
構造規模:鉄筋コンクリート造地上1階(チャペル棟)
鉄筋コンクリート造地上2階(バンケット棟)
竣工:2016年12月