SHARE 桐圭佑 / KIRI ARCHITECTSによる、東京・杉並区の既存住宅の改修「西永福の家」
桐圭佑 / KIRI ARCHITECTSによる、東京・杉並区の既存住宅の改修「西永福の家」です。
都内の住宅地にある戸建て住宅の改修プロジェクト。2階建ての2世帯住宅の1階にはクライアントの祖母が住んでおり、現状のまま引き続き暮らしていくため、今回は2階部分のみを改修した。
このプロジェクトは、既存の建物に対して穿つというシンプルな設計行為の繰り返しによってつくられている 。もともとは3LDKに細かく分割されていた既存の間取りに対して、 プロポーションの違ういくつもの開口を設計していくことで、全体がワンルームのようにゆるやかに繋がれていく。一番遠い家の反対側まで一気に視線が抜けたり、壁の断片が重なり合ってなんとなく守られた場所ができたりと、動くたびに刻々と変化する複雑な奥行きがつくり出されるのである。
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以下、建築家によるテキストです。
都内の住宅地にある戸建て住宅の改修プロジェクト。2階建ての2世帯住宅の1階にはクライアントの祖母が住んでおり、現状のまま引き続き暮らしていくため、今回は2階部分のみを改修した。
このプロジェクトは、既存の建物に対して穿つというシンプルな設計行為の繰り返しによってつくられている 。もともとは3LDKに細かく分割されていた既存の間取りに対して、 プロポーションの違ういくつもの開口を設計していくことで、全体がワンルームのようにゆるやかに繋がれていく。一番遠い家の反対側まで一気に視線が抜けたり、壁の断片が重なり合ってなんとなく守られた場所ができたりと、動くたびに刻々と変化する複雑な奥行きがつくり出されるのである。
既存の天井は撤去され、屋根形状に沿った新たな天井面に設けられたトップライトからは自然光が差し込み、壁を照らす。 また、 南側の外壁は全面取り払われ、軒先までオフセットした位置に新たな木枠のガラス面を設けることで、窓際では外部に近いくらい陽当たりの良い縁側のようなスペースが生まれる。このように天井や外壁に対しても同様に 、穿つ設計行為を積み重ねていくことで、内部空間にさまざまな種類の明るさを引き込むことを意図した。
大らかなひとつの空間に共存しているけれど、互いに無関係であっても良いような、壁と開口の重なりによって生み出される多様な奥行きの中に、新しい暮らしの風景を想像した。
■建築概要
竣工:2017年9月
延床面積:対象延床77.8㎡(2階建ての2階部分のみ)
所在地:東京都杉並区
設計: KIRI ARCHITECTS
施工:株式会社ビーンズ
撮影:永井杏奈