山本嘉寛建築設計事務所が設計した、大阪・堺市の「四つ角の家」です。
大阪府堺市。ニュータウン開発に取り残されたなだらかな丘の中腹に計画した住宅。8.1m角の正方形平面をもつ1つの大きな家型をつくり、その中に各頂点から派生した4つの小さな家をつくると、小さな家と家のあいだに十字型の隙間が生まれます。各々の小さな家は機能上の要求から全て異なる気積となるため、隙間は交差点ではなく路地裏の四つ角のような曖昧な歪みを伴った空間となります。小さな家と四つ角は穿った開口によりつながり、裏返され、時には開き時には閉じながら住み手の生活が育まれます。外部は焼杉のテクスチャを纏いながら家型のアイコンに還元し、内部は複雑な空間を構成しながらホワイトキューブに還元する。相反する諸条件がバランスを保ちながら共存できる建築は、ニュータウンと旧村落がせめぎ合いながら互いに歳を重ね、ある種の平衡状態に近づきつつあるこの敷地にあるべき住宅の姿でした。
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■建築概要
意匠設計:山本嘉寛【山本嘉寛建築設計事務所】
構造設計:安江一平【ワークショップ】
施工者:【マサキ工務店】
建築面積:65.61㎡
法定延床:1F 65.61㎡ 2F 44.6㎡ 合計110.21㎡
竣工:2018/5/15
写真撮影:笹倉洋平【笹の倉舎】