SHARE 桐圭佑 / KIRI ARCHITECTSによる、京都・南区の印刷工房「POD Print Factory」
桐圭佑 / KIRI ARCHITECTSが設計した、京都・南区の印刷工房「POD Print Factory」です。桐は、藤本壮介建築設計事務所出身の建築家です。
京都市南区に建つ4階建ての印刷工房。最大幅3.2mのインクジェット出力ができる大型プロッターを始め、さまざまなメディアサイズの出力/加工に対応できる、ものづくりの現場である。
周辺には、大小様々な町工場が建ち並び、その間には戸建ての住宅や大きな畑、ビニールハウス、小屋といった生活スケールも同時に混在していた。そこで、 雑多な周辺環境に対応しながら、小さな壁状のヴォリュームを幾重にも積み上げることで、たくさんのものに囲まれながらも明るく開放的な製作環境を構想した。
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以下、建築家によるテキストです。
京都市南区に建つ4階建ての印刷工房。最大幅3.2mのインクジェット出力ができる大型プロッターを始め、さまざまなメディアサイズの出力/加工に対応できる、ものづくりの現場である。
周辺には、大小様々な町工場が建ち並び、その間には戸建ての住宅や大きな畑、ビニールハウス、小屋といった生活スケールも同時に混在していた。そこで、 雑多な周辺環境に対応しながら、小さな壁状のヴォリュームを幾重にも積み上げることで、たくさんのものに囲まれながらも明るく開放的な製作環境を構想した。
それぞれの小さな壁状のヴォリュームは、ロール紙や印刷資材の収納であったり、工場の目玉である3.2m幅の大判プリントを実物大で展示する壁であったり、ベンチの背もたれやトップライトになっている。また、 収納部=壁面、採光部=ガラス面という明確なガイドが敷かれることで、資材を積み上げて採光を塞いでしまわないよう誘導した。
敷地内には大きなケヤキの木が立っており、大らかな樹形を保てるように、ケヤキの木に近い北側だけをセットバックさせていき、段々状のテラス空間を設けた。斜めに振られたセットバックは敷地の前面で交わる5叉路にも呼応しており、複数の方向に対して正面性を持つように、あるいは明確な正面性を持たないようなヴォリュームとした。
壁の重なりによって居場所がうまれ、たくさんの物に囲まれる。奥には敷地内のケヤキの木、街路に並ぶイチョウ並木の緑が感じられ、その隙間からすっと光が差し込む、心地よい工房を目指した。
■建築概要
竣工:2018年8月
延床面積:605.3㎡
所在地:京都府京都市南区
建築主:株式会社ゴードー
設計:KIRI ARCHITECTS
共同設計:株式会社アグラ設計
施工:株式会社長村組
撮影:阿野太一