SHARE 濱田慎太建築事務所による、山口の「デジタリハリウッド スタジオ山口」
濱田慎太建築事務所が設計した、山口の「デジタリハリウッド スタジオ山口」です。
山口県山口市の中心市街地に、IT・デザイン系の人材育成スクールをつくるプロジェクトです。緑豊かな公園に隣接し、三方向がガラス張りで天井も高く、非常に開放的なテナントビルの一階部分に、カリキュラムやイベント等に対応した様々な形の学習空間を計画しました。クリエイティブな人材育成の為に求められたのは、従来の黒板に向かい一方向に机が並ぶ学習空間ではなく、無限の可能性を秘めた受講生の創造性を育みつつ、技術の進歩に伴う多様な学習形態の変化にも容易に対応できる柔軟な学習空間でした。
以下の写真はクリックで拡大します
以下、建築家によるテキストです。
「場の集積としての創造的空間」
山口県山口市の中心市街地に、IT・デザイン系の人材育成スクールをつくるプロジェクトです。緑豊かな公園に隣接し、三方向がガラス張りで天井も高く、非常に開放的なテナントビルの一階部分に、カリキュラムやイベント等に対応した様々な形の学習空間を計画しました。クリエイティブな人材育成の為に求められたのは、従来の黒板に向かい一方向に机が並ぶ学習空間ではなく、無限の可能性を秘めた受講生の創造性を育みつつ、技術の進歩に伴う多様な学習形態の変化にも容易に対応できる柔軟な学習空間でした。
そこで私たちは、様々な学習形態が混在するこのスクールに完結した「室(ルーム)」を敢えて設けませんでした。代わりに高さや形状、素材の異なる壁、家具、フレームなど、「室」を構成する部分的な要素のみを設け、それらの立体的な重なりや配置、機能的な連携によって生まれる利用形態の異なる様々な「場(スペース)」を検討し、大きなワンルーム空間の中に集積していきました。
まず床の仕上げの違いと高低差によって空間を大きく4つの「場」に分割し、同時に天井の高低差と素材の違いによっても2つの「場」に分割しました。そしてこれらの境界に沿って、もしくは境界に跨るように配置した家具や壁、フレームによって「場」はさらに細かく分割され、その開放度や相互の機能的連携等により、最終的に8つの性格の異なる学習の「場」をつくりだしました。
音や視線、個人作業やグループ作業、PCの有無、外部に向けて開くか閉じるか等、受講生は目的に合わせて自由に「場」を選択でき、利用形態に合わせてフレームや家具をアレンジすることでその「場」をカスタマイズすることもできます。
このような「場」の集積による新しい学習空間の形が、様々な専門技術を学び創造性を育む受講生の多様な利用形態と重なり、これまでにない新たな作品や技術を生み出すことを期待しています。
■建築概要
設計・監理:株式会社 濱田慎太建築事務所
施工(建築):株式会社 山口ボードセンター
(サイン):株式会社 コア
施主:デジタルハリウッドスタジオ山口
敷地:山口県山口市
用途地域:商業地域
構造:鉄骨造2階建ての1階部分
延床面積:186.68㎡(56.5坪)
竣工:2018年5月
写真:鈴木研一