VUILDによる、富山・南砺市の「まれびとの家」のメイキング動画です。この建築の建設までのプロセスはこちらのページにまとまっています。
高度経済成長期以降、職を求めて人々は都心に向かい、都市の一極集中化が進行しました。その代償として、地方の過疎化・高齢化が進み、いわゆる、限界集落化と呼ばれる社会問題が生じています。
そこで、各地域はこの「都市と地方の圧倒的非対称性」に抗おうと、移住者の獲得に力を入れています。インターネットさえあればどこでも働ける時代なので、地域おこし協力隊などの仕組みを通じて、今では地域に参画する若者たちが増えつつあります。
ですが、都市で生まれ育った私にとって、移住・定住には心理的にハードルが高く、同様の感覚を持たれている方が大多数なのではないでしょうか。
そこで、「観光以上移住未満」の家の在り方を提案することで、都市から地方への人口流動を促進したいと考えています。
今、木材が産地から消費者の手に届くまで、加工業者、商社、施工業者など、多くの中間業者を介しています。そのため、輸送距離が長く、大きな環境負荷や時間、コストがかかってしまいます。
また、多くの木材は、規格に沿って販売されているため、丁寧に太く育てた良質材が細切れにされてしまったり、はたまたバイオマスに直行し燃料になるなど、木の良し悪しに関係のないものとして活用されています。
このように、今の林業の産業体系では、地域の生産者の努力が報われず、利益が残りにくい構造となっているのです。
そこで私たちは、デジタル時代における新しい木の流通・生産システムの構築と、それによって生まれる建築自体がどうあるべきなのかを問い直す必要があると考えています。
私たちVUILD株式会社は、ShopBot(ショップボット)という木材などをコンピュータ上の設計データの通りに削りだせる機材を導入しています。
このような技術を駆使することで、大工道具やコンピューターが人間の手の延長線上に存在するように、人間の能力を拡張し、専門性が高くなくても「ものづくり」に取り組めるようになり、「だれもが大工や建築家になれる世界への回路をひらく」ことが可能になります。