SHARE 井上亮+吉村明 / Inoue Yoshimura studio Inc.による、神奈川・横浜市の「ななめの線の住宅」
井上亮+吉村明 / Inoue Yoshimura studio Inc.が設計した、神奈川・横浜市の「ななめの線の住宅」です。
敷地に対角線を引く。
寝室、LDK、水回り、収納と必要な諸機能はあったものの、各部屋の大きさをパズルのように当てはめていくような計画ではなく、敷地いっぱいに設定した建物平面を、対角線で分割し床をズラすということで住宅を作った。
通常であれば、四角い部屋を並べて、各機能を配置し、結び付けていくような構成となるが、この場合、ざっくりと1F,2Fとそれぞれ2分された4つの鋭角な三角形をした平面形状ができ、そこに、水回りと収納・寝室、収納・エントランス、ダイニングキッチン、リビング、と配置していった。各フロアは必要諸機能に応じて作った形状ではないし、鋭角もあれば鈍角もあり、床をずらしたこともあって、天井の高さは1.2m~3.4mまでの様々なものとなっている。
一方で、必要以上に天井の高い玄関ホールや収納空間、寝台列車のような寝室、洞窟の奥のような水回り、こもった感じのリビング、天井の高いダイニング、山の上から見下ろすようなロフト等、一見機能には無関係のようだが、ある種の心地よい、機能と空間のズレが生まれ、変に丁寧にデザインされ、用意された空間よりも清々しいような、心地よさがあるとも感じた。
以下の写真はクリックで拡大します
以下、建築家によるテキストです。
横浜にある、都心に近い住宅地の夫婦2人と子供2人のための住宅。
高台にある比較的小さな旗竿状の敷地で、奥の東側の眺望が開けていて、明るい。この東側以外は、隣地に囲まれていたため、この東側の眺望を生かすことと、床座の生活スタイルが多く籠った場所が好きという施主に合わせた空間、また、みたことのないような住宅に住んでみたいという施主の要望もあり、様々な案を検討していった。
敷地に対角線を引く。
寝室、LDK、水回り、収納と必要な諸機能はあったものの、各部屋の大きさをパズルのように当てはめていくような計画ではなく、敷地いっぱいに設定した建物平面を、対角線で分割し床をズラすということで住宅を作った。
通常であれば、四角い部屋を並べて、各機能を配置し、結び付けていくような構成となるが、この場合、ざっくりと1F,2Fとそれぞれ2分された4つの鋭角な三角形をした平面形状ができ、そこに、水回りと収納・寝室、収納・エントランス、ダイニングキッチン、リビング、と配置していった。各フロアは必要諸機能に応じて作った形状ではないし、鋭角もあれば鈍角もあり、床をずらしたこともあって、天井の高さは1.2m~3.4mまでの様々なものとなっている。
一方で、必要以上に天井の高い玄関ホールや収納空間、寝台列車のような寝室、洞窟の奥のような水回り、こもった感じのリビング、天井の高いダイニング、山の上から見下ろすようなロフト等、一見機能には無関係のようだが、ある種の心地よい、機能と空間のズレが生まれ、変に丁寧にデザインされ、用意された空間よりも清々しいような、心地よさがあるとも感じた。
北側斜線や敷地形状や目の前の景色、様々な要因から引かれた斜めの線が重なる空間は、四角い部屋の連続とは異なり、少し歩くと空間が大きく広がったり閉じたり、振り向くと全く予想していない空間だったりと、私たちが慣れている水平直角な空間とは異なる体感がある。
それは公園や森や山などの地形のような空間にも似て、居心地の良い場所を探したくなるような空間でもあった。完成後、間もなく建物内を歩いたときは、違和感のあった空間が、1時間もしないうちに逆に心地よい体感へと変わっていったときにそう感じた。
■建築概要
所在地:神奈川県横浜市
規模:木造2F 約110㎡
主用途:住宅
竣工:2019年8月
構造:川田知典構造設計
施工:株式会社坂牧工務店
写真:渡邊聖爾(わたなべせいじ)