SHARE 藤原・室 建築設計事務所による、奈良市の住宅「学園前の家」
藤原・室 建築設計事務所が設計した、奈良市の住宅「学園前の家」です。
前面道路との段差の解消、および駐車スペースの確保が大きな課題でした。当初は前面道路に接する部分のみ駐車スペースとして広げて、敷地との段差部分はコンクリート擁壁を設ける案もありました。しかし、擁壁設置のコストを考えた結果、前面道路から緩やかな勾配のスロープを敷地奥まで引き入れ、スロープ脇は緩勾配の法面とすることで擁壁を設置しない案となりました。これにより敷地に大きく緩やかな斜面が現れ、この斜面の地勢を継ぐ形で大きな屋根をかけた住まいのイメージが生まれました。敷地北側の擁壁と大屋根に囲われた三角錐状の空間が住まいの空間となります。
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以下、建築家によるテキストです。
敷地は奈良県学園前の住宅街の一角にありました。ちょうど山裾にあたるその敷地は、斜面を棚田状に整地した一角で、敷地の南北を擁壁に挟まれ西側の道路とは急な斜面を介して接続するという難しい条件の場所でした。長年売れ残っていたその土地に家を建てられないか?そんなご相談から計画が始まりました。
料理好きの奥様が一日中キッチンにいることが多く、キッチンを中心とした住まいを希望されました。また、アウトドア感のある雰囲気も好きとのことでした。また、自動車を1台置けるスペースを確保することもご要望の1つでした。
前面道路との段差の解消、および駐車スペースの確保が大きな課題でした。当初は前面道路に接する部分のみ駐車スペースとして広げて、敷地との段差部分はコンクリート擁壁を設ける案もありました。しかし、擁壁設置のコストを考えた結果、前面道路から緩やかな勾配のスロープを敷地奥まで引き入れ、スロープ脇は緩勾配の法面とすることで擁壁を設置しない案となりました。これにより敷地に大きく緩やかな斜面が現れ、この斜面の地勢を継ぐ形で大きな屋根をかけた住まいのイメージが生まれました。敷地北側の擁壁と大屋根に囲われた三角錐状の空間が住まいの空間となります。
大屋根の裾部分にあたる屋根の低いエリアには、土間玄関と土間リビングを配置しています。建物中央は高めの傾斜天井となっており、中央にキッチン、両サイドにリビングとダイニングがあります。大屋根の水上側にあたる北側には、1Fに寝室、洗面室、浴室を、2Fに子供室を配置しています。さらに建物と擁壁の間にはデッキスペースを用意し、プライベートな庭や趣味のDIYの作業スペースも用意しました。
LDKは大屋根と寝室、洗面、浴室、子供室のブロック、およびWCのブロックで囲われ、プライバシーを確保しながらも、四方から様々な光が入り外部空間との関係を柔らかく感じられる空間となっています。大屋根の裾から飛び出した木フレームは道路側からの目隠しにもなっています。建物南西の一段下がった静かな土間リビング、外部デッキとつながる風通しのいいダイニングスペース、南側からの光がしっかり入るリビングスペースなどLDKには様々な空間を散りばめました。そんな中で、季節や時間の移ろいに合わせて、その時々で心地よいスペースを探し出し、思い思いに過ごせる空間になるよう考えています。
■建築概要
建築名:学園前の家
設計事務所:藤原・室 建築設計事務所
主幹設計士:藤原慎太郎・室喜夫
場所:奈良県奈良市
竣工年:2019
用途(家族構成):専用住宅(夫婦+子供2人)
敷地面積:346.44㎡(104.80坪)
建築面積:87.68㎡(26.52坪)
延床面積:85.48㎡(25.86坪)
階数:2
構造:木造
写真クレジット:平桂弥(studioREM)