SHARE 今津康夫 / ninkipen!による、大阪・八尾市の「突板のギャラリー」
今津康夫 / ninkipen!が設計した、大阪・八尾市の「突板のギャラリー」です。クライアントである安多化粧合板の公式サイトはこちら。
大阪府八尾市に位置する突板製造会社のギャラリーである。
日本中、世界中の山々から集められたこだわりの突板を、様々な建築家・デザイナーに供給し続ける工場には日々多くの人が見学に訪れており、彼らにじっくりとそれらをみてもらう機能が求められた。
まず初めに既存倉庫との間に中庭を設け、それを挟むように既存倉庫に合わせた屋根を持つギャラリー棟を北側に置き、敷地全体に新旧が一体となるランドスケープを生み出した。ギャラリー北側にはハイサイドライトを設け柔らかな光を取り込み、中庭のある南側は深い軒下空間として直射日光を遮ると同時に、中庭に強く意識が向かう矢印の役割を担う。
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以下、建築家によるテキストです。
大阪府八尾市に位置する突板製造会社のギャラリーである。
日本中、世界中の山々から集められたこだわりの突板を、様々な建築家・デザイナーに供給し続ける工場には日々多くの人が見学に訪れており、彼らにじっくりとそれらをみてもらう機能が求められた。
まず初めに既存倉庫との間に中庭を設け、それを挟むように既存倉庫に合わせた屋根を持つギャラリー棟を北側に置き、敷地全体に新旧が一体となるランドスケープを生み出した。ギャラリー北側にはハイサイドライトを設け柔らかな光を取り込み、中庭のある南側は深い軒下空間として直射日光を遮ると同時に、中庭に強く意識が向かう矢印の役割を担う。
次に、奥行5mの内部空間に奥行1.5mと4mの軒を廻して帽子のように取り囲み、4mの軒下はそのまま東側の道路と線状に並べて、その先に臨む生駒山地まで意識を繋げた。
軒高さは下を通るフォークリフトの軌跡、軒の出は突板の長さを手掛かりとしている。
全体の架構は市場に流通する小径材を用い、それぞれの部材が共鳴しながら成り立っている。片流れ屋根の登梁は軒の中央まで伸び、内外部の斜材と編むようにトラスを描きながら屋根全体を支え、内外部に現れるスチールロッドは「対」となって耐力壁として作用する。
内部には展示される突板とのコントラストを考慮して突板を使用しなかったが、外壁の左官材には破棄される様々な樹種の突板の端材をスサとして練り込み、このギャラリーでしか実現できないテクスチャとマテリアルを目指した。
この場所を訪れる人々の体験が、唯一無二の「突板の風景」としていつまでも心に残り続けることができれば素晴らしい。
■建築概要
Project name:突板のギャラリー
Architect:今津康夫 Yasuo Imazu / ninkipen!
General Constructor:中野工務店
Structural Engineer:片岡慎策 Shinsaku Kataoka / 片岡構造
Lighting Designer:NEW LIGHT POTTERY
Garden:GREEN SPACE CO.,LTD.
Use:Gallery
Location:Yao Osaka Japan
Completion:October 2019
Total floor area:225.37m2
Photographer:河田弘樹 Hiroki Kawata