SHARE 石川素樹建築設計事務所による、秋田・横手市の住宅「赤坂の家」
石川素樹建築設計事務所が設計した、秋田・横手市の住宅「赤坂の家」です。
東西に長い敷地の赤坂の家は、西側道路の先には田園風景が広がるものの敷地からの見え方は周辺建物もかかり、南北と東側は隣家が近く3方囲まれていて東西で敷地の高低差もある状況にあった。
そうした敷地状況から、高低差をかわしつつ空と日照を求めて南側隣家間の切れ目となる位置まで大きくセットバックし、東側には自家用畑、低い西側には駐車スペースと一時的な雪溜まりにもなる庭という配置にしている。
配置計画から得られる日照や、敷地形状、街並みとのボリューム、施工性、予算から、北側に雪を集め南側に大きな開口を設けたシンプルな片流れ屋根を架けた平屋とした。
屋根から北側に落ちる雪は井戸水を利用し融雪し、その井戸水融雪を西側の一部まで伸ばし雪溜まりや雪かき量も軽減させている。南側は積雪軽減に加え、外部としての活用と隣家との緩衝帯となるよう軒を深くしている。
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以下、建築家によるテキストです。
敷地がある秋田県の横手盆地は、冬が長く夏が短い有数の豪雪地帯である。盆地がゆえに夏は高温多湿、冬は低温多雪で、年間を通して曇天率が高い。最大で2mに及ぶ積雪や日照が課題であり、朝日が丘の家・十文字町の家・赤坂の家はそれぞれ異なるアプローチで解決を求めた連作となっている。
東西に長い敷地の赤坂の家は、西側道路の先には田園風景が広がるものの敷地からの見え方は周辺建物もかかり、南北と東側は隣家が近く3方囲まれていて東西で敷地の高低差もある状況にあった。
そうした敷地状況から、高低差をかわしつつ空と日照を求めて南側隣家間の切れ目となる位置まで大きくセットバックし、東側には自家用畑、低い西側には駐車スペースと一時的な雪溜まりにもなる庭という配置にしている。
配置計画から得られる日照や、敷地形状、街並みとのボリューム、施工性、予算から、北側に雪を集め南側に大きな開口を設けたシンプルな片流れ屋根を架けた平屋とした。
屋根から北側に落ちる雪は井戸水を利用し融雪し、その井戸水融雪を西側の一部まで伸ばし雪溜まりや雪かき量も軽減させている。南側は積雪軽減に加え、外部としての活用と隣家との緩衝帯となるよう軒を深くしている。
地域の曇天率と積雪で開口部が塞がれたとしても日照を確保するため、天井まで開口部を設け、ロールスクリーンで季節やその場所を使うシーンによって光量を調節、上下とも開閉できるようにすることで一年を通しての通気や夏場の暖気排出を考慮した。
南側全面開口に面した、玄関や家族が集う場所、まだ小さい子供達と一緒に寝る寝室はそれぞれ室として分けながらも外部デッキでは繋がり、内外ともに気積の大きな開放感のある陽だまりとなっている。
高さを絞り、南側からの光がグラデーションしながら落ち着く光へと変わる北側に水廻りを配置し、シンプルな平屋の矩形の中で気積と光によって空間が変化しながら連続する関係性を導くことで、時間と空間と生活リズムが流れるように繋がることを目指した。
環境などの諸条件から連作を通して生み出された共通項は、地域の固有性に対する解であると同時に、それら諸条件の枠組みを超えたいつでもどこでもそこ在るべき建築を示すことに繋がると考えている。
■建築概要
設計:石川素樹建築設計事務所 石川素樹
構造:mono 森永信行
家具:RILNO 田中智也
主要用途:専用住宅
所在地:秋田県横手市
構造・構法:木造
規模:地上1階
竣工:2020年3月
敷地面積:457.66㎡
建築面積:137.59㎡
延床面積:114.82㎡
写真:ARCHI HATCH
種別 | 使用箇所 | 商品名(メーカー名) |
---|---|---|
内装・床 | 床 | ウォールナットフローリング t=15(東京工営) |
内装・壁 | 壁一部 | ラワン合板 t=5.5mm(高英) |
内装・キッチン | キッチン | 製作(田中工藝) |
内装・水廻り | 洗面台 | 製作(田中工藝) |
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