SHARE 佐野文彦 / Fumihiko Sano Studioによる、東京・港区の飲食店「日本料理ときわ」
佐野文彦 / Fumihiko Sano Studioが設計した、東京・港区の飲食店「日本料理ときわ」です。店舗の公式サイトはこちら。
銀座で約20年、銀座啐啄という日本料理店をやってきた料理人が再度手掛ける新店舗。
普段から茶の湯を嗜む料理人が、数寄屋の設えの店を作りたいというご相談だった。全体をエントランス、個室、カウンター、テーブルとエリアを分け、茶の湯の真行草のように空間の性質に差を付けたデザインや材料選びを心掛けた。ファサードのドアは樹齢350年を超える霧島杉の一枚板に真鍮の枠を合わせて扉とし、店の顔となる意匠を作った。
個室は間接照明を廻した網代天井に金泥の地模様と若松を捺した襖、赤松の床柱に栂檜の地板のを合わせた床を据え、欅の無垢一枚板のテーブルを設えている。カウンター席は幅650mmの無垢吉野檜を使い角の立った清潔なディテールを作り、付け台を廻した。調理台や背面の什器も吉野檜。天井は吉野杉、葉重竿縁天井。テーブル席は北山小丸太と女竹にへぎ板の欠き込み天井、ニッチの椿丸太でアクセントをつけ、吉野檜のテーブルを合わせている。
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以下、建築家によるテキストです。
銀座で約20年、銀座啐啄という日本料理店をやってきた料理人が再度手掛ける新店舗。
普段から茶の湯を嗜む料理人が、数寄屋の設えの店を作りたいというご相談だった。
全体をエントランス、個室、カウンター、テーブルとエリアを分け、茶の湯の真行草のように空間の性質に差を付けたデザインや材料選びを心掛けた。ファサードのドアは樹齢350年を超える霧島杉の一枚板に真鍮の枠を合わせて扉とし、店の顔となる意匠を作った。
ドアを開けると見えるエントランスの空間は光が絞られ、焼杉と黒染めした手漉き和紙、黒皮鉄板と違うテクスチャーの黒い素材を合せた空間とし、入り口から客室までのアプローチとしている。暗い廊下を抜けると栗の太い名栗柱が立ち、正面に個室がある。
個室は間接照明を廻した網代天井に金泥の地模様と若松を捺した襖、赤松の床柱に栂檜の地板のを合わせた床を据え、欅の無垢一枚板のテーブルを設えている。カウンター席は幅650mmの無垢吉野檜を使い角の立った清潔なディテールを作り、付け台を廻した。調理台や背面の什器も吉野檜。天井は吉野杉、葉重竿縁天井。テーブル席は北山小丸太と女竹にへぎ板の欠き込み天井、ニッチの椿丸太でアクセントをつけ、吉野檜のテーブルを合わせている。
外庭は苔に紅葉と椿を設え、雪見窓から見える地面に紅葉した落ち葉や椿の花が見えるよう高さを合わせ作られている。茶の湯から派生した数寄屋の技術や表現手法を取り入れ、食材と同じように本物を選び、時間が経つほどに馴染んで育っていく上品な空間にまとめることで、茶人である料理人の料理が引き立つ空間が出来上がった。
■建築概要
プロジェクト名: 日本料理ときわ
住所:東京都港区西麻布 1-9-7 シュウエツレジデンスⅡ 1 階
用途:飲食店
設計:Fumihiko Sano Studio
施工:株式会社 渋谷
床面積:58.27㎡
竣工:2020 年 6月
撮影:志摩大輔
種別 | 使用箇所 | 商品名(メーカー名) |
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内装・床 | エントランス・客席・個室・パントリー・トイレ | |
内装・床 | 厨房・カウンター | |
内装・壁 | エントランス | |
内装・壁 | エントランス・客席・個室・ カウンター・トイレ | 左官:ユ-トップ京壁NO11京錆(富士川建材工業株式会社) |
内装・壁 | パントリー | |
内装・天井 | エントランス | 和紙 |
内装・天井 | 客席 | 杉板 |
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