SHARE 大西亮+越膳博明+大本健太 / 乃村工藝社による、東京・品川区の、地域コミュニティー促進の機能を持つマンションギャラリー「Brillia品川南大井コミュニケーションサロンoooi」
大西亮+越膳博明+大本健太 / 乃村工藝社が設計した、東京・品川区の、地域コミュニティー促進の機能を持つマンションギャラリー「Brillia品川南大井コミュニケーションサロンoooi」です。
施設は2019年12月で解体されています。
東京・品川のマンション「Brillia品川南大井」を建設するに当たり、コミュニケーションサロンとモデルルームを併設したマンションギャラリーのプロジェクト。
1階にコミュニケーションサロン、2階にモデルルームを計画した。
従来のマンションギャラリーは、購入者が目的を持って訪れる場所となっているが、購入者以外がその場所に訪れる事はさほどないかと思われる。また販売開始と合わせて突然と現れ、販売終了とともに撤去されるのが常であり、そういった建築としての在り方から活用方法を再定義したのがプロジェクトの特徴である。
マンション販売のためのゲストサロン(マンションギャラリー)とは異なり、社会における課題解決を策定し、その解決の糸口をひも解くための施設活用を目的としている。同施設が社会課題として掲げたのは、「地域コミュニティーの希薄化」。
「住まう場所の選択」は、新しい街に「移り住む」という大きな希望と不安を抱きながら行うものである。そこで、その不安を、施設利用とデザイン体験を通すことでひも解こうと考えた。マンション販売のみを目的とする場所ではなく、地域のつながりを意識し、地域住民に広く開かれた空間を提供することが重要だと捉えたためだ。
以下の写真はクリックで拡大します
以下、建築家によるテキストです。
東京・品川のマンション「Brillia品川南大井」を建設するにあたり、コミュニケーションサロンとモデルルームを併設したマンションギャラリーのプロジェクト。
1階にコミュニケーションサロン、2階にモデルルームを計画した。
従来のマンションギャラリーは、購入者が目的を持って訪れる場所となっているが、購入者以外がその場所に訪れる事はさほどないかと思われる。また販売開始と合わせて突然と現れ、販売終了とともに撤去されるのが常であり、そういった建築としての在り方から活用方法を再定義したのがプロジェクトの特徴である。
マンション販売のためのゲストサロン(マンションギャラリー)とは異なり、社会における課題解決を策定し、その解決の糸口をひも解くための施設活用を目的としている。同施設が社会課題として掲げたのは、「地域コミュニティーの希薄化」。
「住まう場所の選択」は、新しい街に「移り住む」という大きな希望と不安を抱きながら行うものである。そこで、その不安を、施設利用とデザイン体験を通すことでひも解こうと考えた。マンション販売のみを目的とする場所ではなく、地域のつながりを意識し、地域住民に広く開かれた空間を提供することが重要だと捉えたためだ。
空間コンセプトは、コミュニティーが生まれる昔ながらの家屋から着想し、懐かしさやコミュニティー形成の記憶である「土間・居間・縁側」としている。
ファサードは、外壁面と合わせたサッシや軒が設けられ、入口を入るとお客様を迎えるレセプションカウンターで迎えるのが通常である。今回の計画では、地域における設置階の役割として通りから緩やかに繋がるここならではの「土間」を想定し、外壁面から奥まらせた空間を地域住民が雨宿りの場として使ってもらう事もあれば、自転車を止めて井戸端会議を行ってもらえるよう地域に空間提供を想定した。
そういった利用シーンがファサードの一部となり、購入検討者がこの場所に訪れた際に街の人々の雰囲気を感じてもらえるよう計画しているのが特徴のひとつであり、緩やかに続く設置階の役割と利用者目線での境界線を盛り込んでいる。
緩やかに続く土間は、室内空間にも繋がり、カウンターではドネーションして頂く事で飲めるコーヒーマシンが設置されており、誰もが自由にコーヒーを楽しむ事が出来る。
ファサードから点在された家具が「居間」まで繋がり、利用者が自由に組み替えを行いながら利用できる場所とした。いつも同じ人、いつも同じではない空間づくりと印象を利用者自身が自然と組み換え、作り上げていくことでその行為が訪れるたびに変容することを可視化した。
居間と土間の段差が自然と座れるスペースを作り、延長線上に外部に面した「縁側」を配置したゾーニングである。暖かな縁側のスペースが建築自体の緊張感をやわらげ、地域との繋がりをもたらしていると考えている。
モデルルームは2階に備えており、マンション検討者が2階へ誘因される。帰りは1階中央のらせん階段から降りてくることが出来、これから住むであろうマンション内の雰囲気と地域の雰囲気が同時に印象付けられることが1階と2階の繋がりで目的を果たす役割を果たしている。
緩やかな境界線と提供される開かれた空間が街への貢献と違和感のない顔作りを生み、「これまで住んでいた人」や「これから住むであろう人」が本施設のワークショップなどを通してつながり続けることで、「地域コミュニティーの希薄化」という課題解決の糸口になっていくのではないかと考えている。
またこのプロジェクトが前年度2019年のグッドデザイン賞を受賞。グッドデザイン・ベスト100に選出されており、今後のマンションギャラリーの1つの好事例として参考になればと考えている。
■建築概要
クライアント:東京建物株式会社
件名:Brillia品川南大井コミュニケーションサロンoooi
所在地:東京都品川区南大井5丁目12-2
主な施設用途:
販売センター 地域コミュニティー施設 (1階)
ゲストサロンモデルルーム (2階)
工事種別:一戸建て 新築
設計者名:大西亮+越膳博明+大本健太 / 株式会社乃村工藝社
運営(1階):非営利型株式会社Polaris 市川望美 野村香奈
建築設計施工:ディシディア・ワイム株式会社(旧 株式会社ディシディア) 新井公孝
内装施工:乃村工藝社 若杉宗司
特注家具:ブルークインス 松浦裕三 ワイスワイス 池田多一
植栽:parkERs(パークコーポレーション) 井上真紀子 田村未和 村田風花 藤巻誉
敷地面積:332.28㎡
建築面積:218.71㎡
床面積:411.07㎡ / 218.71㎡(1階) 192.36㎡ (2階)
規模:地上2階
構造:S造
施工期間:2018年7月~9月
竣工:2018年10月 (2018年10月~2019年12月末まで)
写真家:河野政人 / ナカサ&パートナーズ
種別 | 使用箇所 | 商品名(メーカー名) |
---|---|---|
内装・床 | 床 | モルタル金ゴテ仕上げ |
内装・壁 | 壁 | リサイクル内装ボード貼り:SOLID type F coffee(ケイミュー) |
内装・天井 | 天井 | |
内装・家具 | カウンター | 天板:t12ラーチ合板UCマット仕上げ |
内装・家具 | 特注テーブル・イス | ラーチ合板クリア塗装(オスモクリア/オスモ&エーデル)(ブルークインス) |
内装・家具 | 特注壁面ボックス | 杉無垢材、赤太、白太混合 UC仕上げ(ワイスワイス) |
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