SHARE y+M design office・成安造形大学YOHAKUプロジェクトチーム・澤村による、滋賀・大津市の「成安造形大学アパートメント YOHAKU」
y+M design office(基本デザイン・基本設計・実施設計)、成安造形大学YOHAKUプロジェクトチーム(基本デザイン)、澤村(実施設計)が設計した、滋賀・大津市の学生専用集合住宅「成安造形大学アパートメント YOHAKU」です。
滋賀県大津市にある成安造形大学に近接した同大学の学生専用アパートメントである。
冬期は比良山系の山々から琵琶湖に吹き下す冷たい風がふき、降雪もある厳しい気候である。
住棟が平行配置になることで中庭が均質となることを避けるため、3棟の建物はN字型配置とし、そのことによって生まれたパースペクティブな2つの中庭はイベントスペースや駐輪場・駐車場となり、各住戸に季節によって様々な自然光や風を取り入れる装置となる。また各棟に距離を持たせることで住戸の防火戸がほぼ不要となっている。
ファサードは構造用合板型枠を使用し、開口部の配置に角度を持たせることで施工中であるかのような雰囲気を残し、バファーゾーンを含め空間に余白を残し、学生たちの生活やアート作品などによってその余白を埋めてもらいたいという思いがある。
各住戸のプランニングは成安造形大学の学生を中心に行っている。
まず全学生を対象としたアンケートを実施した。
アンケート内容はキッチンの大きさやコンロの口数、浴槽の必要性や保有自転車の割合など多岐にわたり、その結果をもとに学生による15種類の設計案の模型展示を行い、投票形式のアンケートを実施した。さらにその結果からブラッシュアップした10案についてスケールアップした模型展示を行い、投票形式のアンケートを実施した。その上で各案の中から得票数、見積もり、施工性などから採用案を決定し、それらの案をもとに設計を進めた。
大学での制作などで遅くなった帰路に、友人の部屋で制作風景をのぞいたり、ライバルの部屋に明かりが灯っていることで、自分ももっと頑張ろうという気持ちになるという話も耳にしている。
初めて親元を離れて一人暮らしをする学生にとって、アートやデザインを勉強する仲間がすぐそばにいることは、非常に心強く学生生活の励みになるだろう。
あえて造られた余白に様々な思いが埋められることで、4年間という短い学生生活を刺激ある有意義なものにするための場になることを願っている。
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以下、建築家によるテキストです。
滋賀県大津市にある成安造形大学に近接した同大学の学生専用アパートメントである。
冬期は比良山系の山々から琵琶湖に吹き下す冷たい風がふき、降雪もある厳しい気候である。
住棟が平行配置になることで中庭が均質となることを避けるため、3棟の建物はN字型配置とし、そのことによって生まれたパースペクティブな2つの中庭はイベントスペースや駐輪場・駐車場となり、各住戸に季節によって様々な自然光や風を取り入れる装置となる。
また各棟に距離を持たせることで住戸の防火戸がほぼ不要となっている。
ファサードは構造用合板型枠を使用し、開口部の配置に角度を持たせることで施工中であるかのような雰囲気を残し、バファーゾーンを含め空間に余白を残し、学生たちの生活やアート作品などによってその余白を埋めてもらいたいという思いがある。
住棟の設計
住棟は入れ子の構成とし、コモンテラスとプライベートテラス、そして各階への直階段が設けられたバッファーゾーンを有し、スカスカに孔の開けられた外皮によってコモンテラスと中庭、プライベートテラスが緩やかに連続する。
バッファーゾーンは内側の耐震壁からスラブを持ち出し、外皮のRC壁はそのスラブから吊り下げられることで耐震要素から解放され、壁厚100mmのRC壁は意識の上で透明度が上がり、屋内外の境界を曖昧にするだけでなく、夏期の強い日差しを遮り、RC造の外壁への蓄熱を抑え、冬期の比良山系の山々から琵琶湖に向かって吹き下す強い風を和らげて室内へと運ぶ。
また地区条例による外壁後退のため限られた住棟の長さの中、効率よく各部屋を配置するために、折り返し階段に比べて半分の幅でおさまる直階段を両サイドに配置している。
各部屋から大学への動線を意識しつつ、同じ大学に通う学生同士のコミュニティー形成のため、各棟や中庭を通り抜けるように空中を階段通路が貫通する。さらに敷地や建物全体に学生や教職員によるアート作品が点在することで、学生たちの日々の暮らしに刺激を与えている。
住戸の設計
各住戸のプランニングは成安造形大学の学生を中心に行っている。
まず全学生を対象としたアンケートを実施した。
アンケート内容はキッチンの大きさやコンロの口数、浴槽の必要性や保有自転車の割合など多岐にわたり、その結果をもとに学生による15種類の設計案の模型展示を行い、投票形式のアンケートを実施した。さらにその結果からブラッシュアップした10案についてスケールアップした模型展示を行い、投票形式のアンケートを実施した。
その上で各案の中から得票数、見積もり、施工性などから採用案を決定し、それらの案をもとに設計を進めた。基本方針として、プライベートテラス側にはベッドルームなどプライバシー性の高い部屋が配置され、コモンテラス側にはアトリエなど公共性の高いスペースを配置し、学生同士のコミュニティー形成を狙っている。
ランドスケープ
東側の山林に連続するように雑木林の中を散策するようなランドスケープを目指した。
道路沿いにはフェンスや塀は設けず、基礎工事で発生した残土を丘のように盛りながら、敷地内に視線が届きにくいようにしている。アプローチの石造り階段は地元の石積み集団である穴太衆の指導のもと、学生たちによるワークショップで施工している。
大学での制作などで遅くなった帰路に、友人の部屋で制作風景をのぞいたり、ライバルの部屋に明かりが灯っていることで、自分ももっと頑張ろうという気持ちになるという話も耳にしている。
初めて親元を離れて一人暮らしをする学生にとって、アートやデザインを勉強する仲間がすぐそばにいることは、非常に心強く学生生活の励みになるだろう。
あえて造られた余白に様々な思いが埋められることで、4年間という短い学生生活を刺激ある有意義なものにするための場になることを願っている。
■建築概要
所在地:滋賀県大津市
主要用途:共同住宅(学生専用アパート)
構造:鉄筋コンクリート造
階数:地上3階
敷地面積:4035.43m2
建築面積:1183.04m2
延床面積:3632.50m2
1階:A棟408.74m2/B棟450.00m2/C棟368.88m2 /駐輪場81.64m2
2階:A棟382.68m2/B棟430.83m2/C棟340.55m2
3階:A棟394.38m2/B棟433.65m2/C棟431.15m2
竣工年月:2018.3
写真撮影者:笹の倉舎/笹倉洋平
種別 | 使用箇所 | 商品名(メーカー名) |
---|---|---|
外装・屋根 | 屋根 | コンクリート打放し、ガーデックス防水 |
外装・壁 | 外壁 | コンクリート打放し(構造用合板型枠)、ピアレックス |
外装・その他 | 3階テラス・廊下天井 | ガルバリウム鋼板大波 |
内装・壁 | 壁 | クロス貼り:QM−9408(リリカラ) |
内装・床 | 床1 | フローリング |
内装・床 | 床2 | |
内装・床 | 床3 | モルタル金こて押さえ+ワックス |
内装・天井 | 天井 | クロス貼り:QM−9408(リリカラ) |
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