SHARE 隈研吾の基本設計、竹中工務店・東急設計コンサルタントJVの実施設計による、東京・代官山の新商業施設。中庭を中心に、店舗・コワーキングオフィス・集合住宅が積層するプログラム
隈研吾建築都市設計事務所の基本設計、竹中工務店・東急設計コンサルタント共同企業体の実施設計による、東京・代官山の新商業施設「(仮称)代官山町プロジェクト」。中庭を中心に、店舗・コワーキングオフィス・集合住宅が積層するプログラムとなっています。
コロナは建築と都市の歴史にとって大きな転換、折り返しポイントになるであろう。
コロナ以前の建築のテーマは「集中」であった。都心部に集中させることが効率的であり、幸福であると考えられていた。コロナのあと、われわれは都市の様々な活動を分散、多様な存在へと作り変えていかなければならない。
『代官山町プロジェクト』はそのような新しい試みの一つのモデルとなるであろう。そこで、われわれは集中の時代の単調な箱にかわる、新しい自由でやわらかな建築を提案しようと考えた。代官山は様々な意味でそのような自由な建築をつくるために最適な場所である。まず、多様な地形を持ち、丘があり、川があり、それによって風の流れ、光の射し方も複雑で豊かである。
この地は利便でありながら「集中の時代」の退屈な都市とは異なる豊かな自然がそこかしこに生きているのである。そのうえ、新しい自由な街を追求する、様々な試みがつくられてきた「街の実験場」であり「集合住宅の聖地」でもある。
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こちらは、建築家によるテキストです。
コロナは建築と都市の歴史にとって大きな転換、折り返しポイントになるであろう。
コロナ以前の建築のテーマは「集中」であった。都心部に集中させることが効率的であり、幸福であると考えられていた。コロナのあと、われわれは都市の様々な活動を分散、多様な存在へと作り変えていかなければならない。
『代官山町プロジェクト』はそのような新しい試みの一つのモデルとなるであろう。そこで、われわれは集中の時代の単調な箱にかわる、新しい自由でやわらかな建築を提案しようと考えた。
代官山は様々な意味でそのような自由な建築をつくるために最適な場所である。まず、多様な地形を持ち、丘があり、川があり、それによって風の流れ、光の射し方も複雑で豊かである。
この地は利便でありながら「集中の時代」の退屈な都市とは異なる豊かな自然がそこかしこに生きているのである。そのうえ、新しい自由な街を追求する、様々な試みがつくられてきた「街の実験場」であり「集合住宅の聖地」でもある。
戦前の実験的集合住宅の傑作、同潤会代官山のヒューマンなコミュニティに魅せられて僕は学生時代からその食堂や共同浴場を愛用していた。ストリート型集合住宅の原型を作ったといわれる槇文彦先生のヒルサイドテラスも僕の大事なデートコースであった。
そんな代官山の自然と伝統に助けられ、教えられてわれわれは新しいチャレンジをこの地に刻みたいと考えている。『代官山町プロジェクト』は「集中の時代」の大きくて閉じた箱に換わり、様々なプロポーションの小さな木箱を積み上げようと考えた。
木箱の多様性は街の自由とサステナビリティを象徴する。木箱と木箱の間には緑が植えられ、木箱のやさしいテクスチャーと緑が響きあって、街の緑につながっていく。その真ん中に空とつながるアトリウムを設けた。
そのアトリウムから駅へとつながる路地がのび、木箱は空とつながるだけではなく、街とも結ばれ、木箱の生活は代官山の街の活動の一部となるであろう。われわれのデザインと街のシンボルが響きあって新しい時代の新しい生活が始まるだろう。
(隈研吾)
こちらは、プレスリリースのプロジェクト概要テキストです。
東急不動産株式会社(本社:東京都渋谷区、代表取締役社長:岡田 正志)は、渋谷区代官山町にて推進している新たな複合施設「(仮称)代官山町プロジェクト」の新築工事に着工したことを、お知らせいたします。
計画地は、代官山駅至近であり八幡通り・代官山通りに面すフラッグシップ性のある立地に位置しています。代官山は、発展を続ける渋谷をはじめ恵比寿・中目黒へも徒歩圏内でありながら、賑わいと落ち着きがバランスよく共存する街です。また、当社が開発の重点拠点とする広域渋谷圏内の魅力ある街の中でも、時代に合わせた変化も柔軟に受け入れてきた、独特の存在感と個性を放つ街です。
当社はこの場所に、賃貸住宅、オフィス、商業施設で構成する複合施設を建築し、「暮らす」「働く」「遊ぶ」の異なるシーンがシームレスに融合する『新しいライフスタイル』をご提案します。
本計画は、世界的に有名な建築家・隈研吾氏がデザイン設計を手掛け、緑あふれる様々な形状の小さな木箱を積み上げたデザインにより、「街の緑につながり、木々が織りなす木漏れ日からひとりひとりの暮らしが垣間見える、木々の成長と共に変わりゆく時代に寄り添う新しい拠点の姿」を描きます。
コロナ禍を受けて、新しい生活様式が広がり、人々の価値観やライフスタイルも変容しつつあります。また、以前に増して暮らしがシームレスになり、働き方・働く場所の多様化に加え、消費活動にも変化がみられています。こうした背景から、これからの時代に求められる複合施設は「異なる用途が存在する」ことだけでなく、「各用途が融合し、施設全体で拡張した暮らしの選択肢を提供する」ことが必要だと考えました。本計画では、賃貸住宅に加えオフィス・商業施設を計画していますが、個々の用途にこだわらず施設全体が生活の場となるような、「暮らす」「働く」「遊ぶ」がシームレスに融合する、これまでにない新しいライフスタイルの提案をしてまいります。加えて、代官山駅至近という利便性の高い立地にありながらも、緑豊かな街並みに合わせ、屋内にも屋外にも豊かな緑を取り入れて彩を加えることで、心地よい生活シーンを提供します。今後も、代官山の地と共に変わりゆく時代に寄り添いながら、「やわらかな時の過ごし方」を育んでいきます。
■建築概要
事業名称:(仮称)代官山町プロジェクト
住所:東京都渋谷区代官山町119番他
敷地面積:約4,084㎡
延床面積:約21,875㎡
構造規模:鉄筋コンクリート造 地上10階、地下2階
用途:賃貸住宅、店舗、事務所、駐車場
基本設計:隈研吾建築都市設計事務所
実施設計:株式会社竹中工務店・株式会社東急設計コンサルタント 共同企業体
施工者:株式会社竹中工務店
竣工:2023年秋(予定)