SHARE 照内創+SO&CO.による、東京・葛飾区の住宅「金町の増築」。既存建物の輪郭を手がかりに外壁等を残しつつ増築、新設部に外的な性質を持たせ“内外の存在と物質としての新旧が混ざり合う建築”を目指し、増築を契機に検査済証も取得
照内創+SO&CO.が設計した、東京・葛飾区の住宅「金町の増築 / Residential extension in Kanamachi」です。既存建物の輪郭を手がかりに外壁等を残しつつ増築、新設部に外的な性質を持たせ“内外の存在と物質としての新旧が混ざり合う建築”を目指し、増築を契機に検査済証も取得しました。
施主は2010年頃に既存建物を購入、木造2階建て延床面積61.27㎡の小さな住宅は、子供の成長とともに家族4人では手狭になっていた。長男の中学校入学にあわせ、長男へ自分の部屋を用意してあげたいというのが、増築を考えるきっかけであったようだ。
既存建物は2000年に発行された建築確認済証は存在したが、完了検査を受けておらず、完了検査済証がない状況であった。申請図からの大きな違いは建物位置が西側ではなく東側に寄って配置されていたこと、それ以外は筋交い位置や柱の位置の違いが複数あった。耐震診断→検査済証のない建築物に係る建築基準法適合状況調査→増築の確認申請を行い、完了検査済証を取得した。
本物件は都内有数の水元公園近く、駅から少し離れたロードサイドに駐車場が並ぶ低層住宅地にある。
施主は2010年頃に既存建物を購入、木造2階建て延床面積61.27㎡の小さな住宅は、子供の成長とともに家族4人では手狭になっていた。長男の中学校入学にあわせ、長男へ自分の部屋を用意してあげたいというのが、増築を考えるきっかけであったようだ。
既存建物は施主の代々引き継いだ建物でもなく、施主本人が建てた建物でもない。とはいえ、10年近く住み続けた記憶がある。
竣工してからの20年間存在した建物のアウトラインを一つの手がかりとして、増築することで内部化された旧外壁部やバルコニーの手すり壁、戸袋も必要最低限のみ解体し、それ以外はそのまま残置した。その上部にトップライトを設けることで、今まで屋外であった空間に増築されたことがほのかに感じられる、外のような中、中のような外、内外の存在と物質としての新旧も混ざり合う建築を目指した。
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以下、建築家によるテキストです。
金町の増築
検査済証のない住宅の増築
本物件は都内有数の水元公園近く、駅から少し離れたロードサイドに駐車場が並ぶ低層住宅地にある。
施主は2010年頃に既存建物を購入、木造2階建て延床面積61.27㎡の小さな住宅は、子供の成長とともに家族4人では手狭になっていた。長男の中学校入学にあわせ、長男へ自分の部屋を用意してあげたいというのが、増築を考えるきっかけであったようだ。
既存建物は2000年に発行された建築確認済証は存在したが、完了検査を受けておらず、完了検査済証がない状況であった。申請図からの大きな違いは建物位置が西側ではなく東側に寄って配置されていたこと、それ以外は筋交い位置や柱の位置の違いが複数あった。耐震診断→検査済証のない建築物に係る建築基準法適合状況調査→増築の確認申請を行い、完了検査済証を取得した。
既存の輪郭を残した混ざり合う増築改修
既存建物は施主の代々引き継いだ建物でもなく、施主本人が建てた建物でもない。とはいえ、10年近く住み続けた記憶がある。
竣工してからの20年間存在した建物のアウトラインを一つの手がかりとして、増築することで内部化された旧外壁部やバルコニーの手すり壁、戸袋も必要最低限のみ解体し、それ以外はそのまま残置した。
その上部にトップライトを設けることで、今まで屋外であった空間に増築されたことがほのかに感じられる、外のような中、中のような外、内外の存在と物質としての新旧も混ざり合う建築を目指した。
L型増築とL型トップライト
既存建物は常時照明を用い、採光が不足している状況であった。そのため、既存バルコニー部と増築階段部にL型のトップライトを設け、増築でのデメリットとなりがちな既存部への採光を確保している。
立体的ワンルームリビング
1階の中心には家族全員があつまる第1のリビング、広い階段の踊り場は子どもたちの第2のリビング、2階には第3のリビングとなるルーバーリビングを設けている。どこにいても互いの気配を感じ、季節や時間帯、滞在者によって利用が変化する、流動的な立体的ワンルームリビングを既存部と増築部をまたぐように配置した。
複数のアクセスと分散化する拠点
道路側に大きな2つの両開き扉と西側に勝手口を設け、1階リビングに沿って、既存柱を活かしたエントランスと勝手口を繋ぐL型の通り土間のような空間は、水回りなどへのアクセスを複数発生させた。子どもたちは階段踊り場をソファーも利用しながらショートカットルートとして活用している。
道路側に面した2階の2つの寝室は、物干し縁側やウォークインクローゼットを経由しての出入りが可能なため、物干し縁側に面した将来設置予定のバルコニー利用時も、他人のバルコニーへの経路を確保することが出来る。
また、オリジナルの洋服製作をするクラフトスペースとワークスペースを1階と2階に分散配置している。ルーバーリビングも含めた許容力のある拠点を住宅内部に複数配置し、多数の経路を用意することで、はじめて様々な人やモノ、コトを許容することの出来る、開かれた住宅になるのではないかと考えている。
(照内創+SO&CO.)
構造計画
本計画は既存部[耐震診断/改修]と増築部[新築]に2種からなり、お互いは構造的に分離独立しており、常時及び地震時において構造部が干渉しないように計画されている。
既存部においては既存申請図面を参照し、耐震診断/改修の構造計画を行った上で、一部解体時に既存図面との相違を確認しながら改修プランに沿って適宜耐力壁の配置、既存柱梁の補強を行った。
増築部は既存建屋に沿ったL字形状となっており、不整形な形状をとりつつも、既存建屋及びファサード面に対して解放性をもった構造が必要とされた。そのため張間方向の耐力壁要素は視線が通り抜けやすい鉄筋ブレースを採用し、特に構造耐力上も重要となる1階ファサード部に関しては扁平柱+鉄筋ブレース2丁使いとし、柱脚柱頭金物においても既製品ではなく製作金物を採用した。
平面上不整形な突出部となる階段室においては、なるべく少ない耐力壁配置とし、階段横の本棚板を構造上も利用しながら平面剛性を高め、建物全体で地震力に抵抗するバランスとなるよう配慮した。
また増築部階段においては、本棚に溶け込ましつつ棚板も構造耐力に寄与するよう計画した。既存部と離隔を保ちつつ、踊り場に支柱を設けない片持ちの構成は、離しつつ遮らず、内外と新旧が混ざりあう事を殊に感じられる場所となるよう意識した。
(EQSD)
■建築概要
作品タイトル:金町の増築 / Residential extension in Kanamachi
設計:照内創+SO&CO.
住所:東京都葛飾区
所在地:東京都葛飾区
主要用途:住宅
家族構成:夫婦+子供2人
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敷地条件
地域地区:第一種中高層住居専用地域 準防火地域
道路幅員:南11.00m
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構造・構法
主体構造・構法:木造
基礎:べた基礎
───
規模
階数:地上2階
軒高:6,000mm
最高高さ:7,265mm
敷地面積:132.26㎡
建築面積:
既存 37.27㎡ 増築後 69.23㎡
(建蔽率52.35% 許容60%)
延床面積:
既存 61.29㎡ 増築後 118.22㎡
(容積率89.39% 許容200%)
既存 1階 36.44㎡ 2階 24.85㎡ 増築後 1階 57.66㎡ 2階 60.56㎡
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工程
設計期間:2018年8月〜2019年9月
工事期間:2019年10月〜2020年3月
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建築写真:若林勇人
種別 | 使用箇所 | 商品名(メーカー名) |
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外装・壁 | 外壁 | モルタルの上撥水剤塗布 |
内装・床 | 土間ギャラリー、スタディークラフトスペース、キッチン床 | フレキシブルボードの上ウレタンクリア塗装 |
内装・床 | リビング、主寝室、子供部屋、書斎、物干し縁側床 | ラーチ合板の上OSCL塗装 |
内装・壁 | 内装壁 | PB12.5の上ウレタン塗装 |
内装・天井 | 内装天井 | PB9.5の上ウレタン塗装 |
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