SHARE 山村健+ナタリア サンツ・ラヴィーニャ / YSLA Architectsによる、東京・新宿区の集合住宅「Light House」。ホテルとしての建設中にコロナ禍の影響で居住施設へ変更された建築で、計画当初の非日常的な空間構成を逆手にとり、ポストコロナ時代に期待される新たな日常的空間の創出を目指す
山村健+ナタリア サンツ・ラヴィーニャ / YSLA Architectsが設計した、東京・新宿区の集合住宅「Light House」です。ホテルとしての建設中にコロナ禍の影響で居住施設へ変更された建築で、計画当初の非日常的な空間構成を逆手にとり、ポストコロナ時代に期待される新たな日常的空間の創出が目指されました。
Light Houseは、東京都新宿区に建つレジデンスである(将来的に再度ホテルになることも視野に入れている)。当初はホテルとして計画されたが、新型コロナウィルスの影響により、工事途中に居住施設へと変更された稀なプロジェクトである。結果として、ホテルとしての非日常的な空間構成を逆手にとり、コロナ禍に求められる新たな日常的空間が創出されたデザインとなっている。
本建築は早稲田通りに面して建っている。浮遊したタイルファサードが内部と外部、パブリックとプライベートを緩やかにつなぐ役割を果たしている。交差点に向かって大きく穿たれた開口は、都市から戻る旅行者や居住者を迎え入れる。
地上階は本来ホテルのレセプション空間であったが、居住者のための空間としてコーワキングスペースへと転換した。コロナ禍において求められる在宅ワークに対応した空間としている。
正方形平面の中心に土間的な場所を設け、その周りにはさまざまなアクティビティが生まれるプラットフォームを用意した。その区切りには、ブラインドやカーテンを用いることで、閉じていても他所の気配を感じることができる緩やかな仕切りとした。さらに、各フロアには日照時間の異なるバルコニーを2つ設けた。朝や夕方では眺める景色を変えることで異なるバルコニーを自由に選択し、半屋外を楽しむ方法が非日常的で楽しくなるようにした。
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建築に合わせてデザインされた家具「MiwaChair(美波チェア)」
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以下、建築家によるテキストです。
Light Houseは、東京都新宿区に建つレジデンスである(将来的に再度ホテルになることも視野に入れている)。当初はホテルとして計画されたが、新型コロナウィルスの影響により、工事途中に居住施設へと変更された稀なプロジェクトである。結果として、ホテルとしての非日常的な空間構成を逆手にとり、コロナ禍に求められる新たな日常的空間が創出されたデザインとなっている。
本建築は早稲田通りに面して建っている。浮遊したタイルファサードが内部と外部、パブリックとプライベートを緩やかにつなぐ役割を果たしている。交差点に向かって大きく穿たれた開口は、都市から戻る旅行者や居住者を迎え入れる。
地上階は本来ホテルのレセプション空間であったが、居住者のための空間としてコーワキングスペースへと転換した。コロナ禍において求められる在宅ワークに対応した空間としている。
6~8人の核家族が来日した場合、ビジネスホテルだと2、3室の予約が必要となる。せっかく大家族で訪日したのに夜を共に過ごすことが難しく、隣室に音が伝わるのを気にせず屋内で楽しい時間を過ごすことすらままならない。そこで、本計画では各階はワンフロア・ワンルームの客室として計画することで、各階を1つの家族専用の空間となるように設計した。
正方形平面の中心に土間的な場所を設け、その周りにはさまざまなアクティビティが生まれるプラットフォームを用意した。その区切りには、ブラインドやカーテンを用いることで、閉じていても他所の気配を感じることができる緩やかな仕切りとした。さらに、各フロアには日照時間の異なるバルコニーを2つ設けた。朝や夕方では眺める景色を変えることで異なるバルコニーを自由に選択し、半屋外を楽しむ方法が非日常的で楽しくなるようにした。
これらの一連の設計が、コロナの影響を受けて居住空間となったとき、土間は家族の中心のリビングとして機能しはじめた。緩やかな間仕切りは、プライバシーを確保するスクリーンとなった。バルコニーは、普通のマンションでは洗濯物が干される場となってしまい、半屋外空間を楽しむことが難しい。しかし、2つあることで一方はそのような生活のためのバルコニーとしても、他方は仕事や憩いの空間として使うことが可能である。通常よりも広い本計画のバルコニーは、ポストコロナ時代に期待される半屋外空間の快適性に応えるものである。
本計画では、家具もデザインしている。MiwaChair(美波チェア)は、建築のファサードと同じようにR曲線で開かれた形態が特徴である。組み合わせ次第でさまざまな用途へと可変する。積層させたり、連結させたり、反転させることでテーブル、ベンチ、花瓶などになったりする。これによって、家具から建築、都市へと一体的にデザインされたホテル・レジデンスとすることができたと考えている。
■建築概要
所在地:東京都新宿区
用途:ホテル・ホステル・共同住宅・集合住宅
クライアント:林義一
設計:YSLA architects / Natalia Sanz+Takeshi Yamamura
担当:飯田嵩洋、マルク・モリージャス・ミロ、アルベルト・ブランウェル、山村健、ナタリア・サンツ・ラヴィーニャ
構造設計:yAt構造設計事務所
カーテン:オンデルデリンデ
ブラインド:Persiana Barcelona
施工:Fujiken
撮影:小野寺宗貴
工事種別:新築
構造:RC造
規模:地上9階
敷地面積:108.00m²
建築面積:70.00m²
延床面積:554.00m²
設計期間:2018年10月~2019年3月
施工期間:2019年7月~2020年7月
竣工:2020年7月
種別 | 使用箇所 | 商品名(メーカー名) |
---|---|---|
外装・壁 | 外壁 | |
外装・建具 | 開口部 | |
内装・床 | 基準階床 | フローリング:ナラ・ユニタイプ UVクリア塗装(東京工営) |
内装・壁 | 1Fカウンター | |
内装・建具 | 特注造作家具 | ヒノキルーバー(滝澤木工所) |
内装・建具 | ドレープカーテン | 布:D7558(Suminoe) |
内装・建具 | レースカーテン | 布:FA229ONL(フジエテキスタイル) |
内装・建具 | 木製ブラインド | 特注ブラインド:Syrach green(Persiana Barcelona) |
内装・家具 | 特注造作家具 | ナラ突板+ウレタンクリア塗装(滝澤木工所) |
内装・照明 | 1F・基準階 | ペンダントライト:UNDER THE BELL PENDANT LAMP(inter office) |
内装・照明 | 基準階 |
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Lighthouse Tokyo is a nine stories building who was designed as a hotel in the neighborhood of Shinjuku, Tokyo, and has been delivered as a residence building due to the impact of the COVID-19 in the Tokyo tourism business.
The building is in a crossing along Waseda street. The facade was conceived as concrete levitating sheet, who erase the boundaries between interior and exterior, public and private and opens to the street intersection trough two round cuts inviting people from every direction. The building was thought as a lighthouse for the travelers.
The ground floor, reconverted into a co-working space for the residents is the expression of the new normality.
The building was planned as a series of open floors with a plan developed around the doma space. The doma is in traditional Japanese buildings an area associated with the daily use and the entrance points, and it was the center of the socialization. In this space the guests are allowed to enter with shoes and is the place to gather. The doma is surrounded by a raised floor area that becomes a flexible platform for quiet activities and night use. In this shoeless space the futons are placed at night depending on the number of guests. The boundary between the doma and the raised floor can be close using light partitions, wooden blinds, or curtains.
The flexibility of the space together with a plan which enhances the Covid-19 guideliness for ventilation, made possible a successful transformation into apartments. Although the building was plan as a hotel we envisioned the importance of the interior exterior spaces and we design the plan with two balconies per floor/room. In the new apartment layout one balcony is used for leisure and the other for BOH purposes. These spaces become even more valuable in the middle of the Covid pandemia.
YSLA designed Miwa as a modular and flexible furniture that can be assembled and use in different ways and remembers the spirit of the lighthouse in its shape.
Light House
Location: Takadanobaba, Shinjuku-ku, Tokyo, Japan
Principal use: Hotel, Hostel, Housing complex
Client: Yoshikazu Hayashi
Architect: YSLA architects / Natalia Sanz + Takeshi Yamamura
Design team: Takahiro Iida, Marc Morillas Miro, Albert Brumwell Valsells, Takeshi Yamamura, Natalia Sanz Laviña
Structure engineer: yAt Structural Design Office
Curtain: Studio Onder de Linde
Blind: Persiana Barcelona
Contractor: Fujiken
Photographs: Munetaka Onodera
Construction type: New building
Main structure: Reinforced Concrete construction
Building scale: 9 stories
Site area: 108.00m²
Building area: 70.00m²
Total floor area: 554.00m²
Design term: 2018.10-2019.03
Completion: 2020