SHARE 大松俊紀アトリエによる、椅子「After Dark」。菊川工業と作るアルミ製の椅子で、半円座面に浮遊感を与える為に最大限の薄さを目指し4mm厚を実現、特異な形状は不安感と安心感が入り混じった複雑な心境をもたらす
大松俊紀アトリエが設計した、椅子「After Dark」です。菊川工業と作るアルミ製の椅子で、半円座面に浮遊感を与える為に最大限の薄さを目指し4mm厚を実現、特異な形状は不安感と安心感が入り混じった複雑な心境をもたらします。アーキテクチャーフォトでは、菊川工業との第一作「Shades of Michelangelo」、第二作「Shades of Brunelleschi」、第三作「Shades of “X”」も特集記事として紹介しています。
また、「After Dark」を含むアルミニウムの椅子シリーズとその他の椅子の計7作品などを公開する展覧会の情報も本記事の末尾に記載しています。
半円の内側に座ると何故か不安な気持ちになる。
普段あまり座ることのない半円という形状が人を不安にさせるのであろうか?
また一方で、座面を半円にすることで座面と肘掛けが一体化するので、包まれている安心感が不安を緩和する。この椅子に座ると、そういった不安と安心が混ざった複雑な心境になる。
まるで暗闇にそっと一人で佇むための椅子のようである。
半円の座面が出来るだけ浮いている感じを出すために、板厚を極力薄くしたいと思った。
使用しているアルミ板の厚みは、半円形の座面が4mm厚、側板が6mm厚、座面下の直行する2部材は10mm厚である。当初、側板の板厚は4mmであったが、4mm厚と10mm厚の部材を溶接すると、側板に歪みが生じてしまうことが分かった。2枚の側板とそれらを繋ぐ部材を溶接なしで留める方法を検討した結果、側板の厚みを2mmだけ厚い6mm厚とし、10mm厚の部材に特殊なスプリングピンを内蔵させることで、溶接なしで留められるようになった。
以下の写真はクリックで拡大します
以下、建築家によるテキストです。
半円の内側に座ると何故か不安な気持ちになる。
普段あまり座ることのない半円という形状が人を不安にさせるのであろうか?
また一方で、座面を半円にすることで座面と肘掛けが一体化するので、包まれている安心感が不安を緩和する。この椅子に座ると、そういった不安と安心が混ざった複雑な心境になる。
まるで暗闇にそっと一人で佇むための椅子のようである。
半円の座面が出来るだけ浮いている感じを出すために、板厚を極力薄くしたいと思った。
使用しているアルミ板の厚みは、半円形の座面が4mm厚、側板が6mm厚、座面下の直行する2部材は10mm厚である。当初、側板の板厚は4mmであったが、4mm厚と10mm厚の部材を溶接すると、側板に歪みが生じてしまうことが分かった。2枚の側板とそれらを繋ぐ部材を溶接なしで留める方法を検討した結果、側板の厚みを2mmだけ厚い6mm厚とし、10mm厚の部材に特殊なスプリングピンを内蔵させることで、溶接なしで留められるようになった。
今回のデザインは、2作目「Shades of Brunelleschi」の延長線上にあるが、2作目よりもっと簡素で、スツールに近い椅子である。
■作品概要
製作:菊川工業株式会社
製作期間:2021年4月〜2022年1月
写真撮影:大松俊紀
種別 | 使用箇所 | 商品名(メーカー名) |
---|---|---|
内装・造作家具 | 椅子 | 主材及び仕上げ材:アルミニウム |
※企業様による建材情報についてのご意見や「PR」のご相談はこちらから
※この情報は弊サイトや設計者が建材の性能等を保証するものではありません
大松俊紀アトリエによる椅子「After Dark」を含む、アルミニウムの椅子シリーズとその他の椅子の計7作品などを展示する展覧会が開催されます。
■展覧会概要
大松俊紀の椅子展/Chair designs by Toshiki Omatsu
会期:2022年3月24日(木)~27日(日)
開場時間:11:00-20:00
会場:BOOTLEG GALLERY162-0802 東京都新宿区改代町40(Google Map)
入場料:無料
You would be in an unsettled mood when you sit inside the semicircle, which you rarely sit on. On the other hand, by making the seat surface a semicircle, the armrests are integrated into it, and it defuses one’s tension as if being wrapped. Sitting in this chair gives you such a complex feeling of tension and defused tension.
It may resemble a chair for sitting alone in the dark.
We wanted to make the plate thickness as thin as possible in order to give the feeling that the seating surface of the semicircle is floating in the air.
The thickness of the aluminum plate used is 4 mm thick for the seat surface, 6 mm thick for the side plate, and 10 mm thick for the two members that cross each other while supporting the seat. Initially, the thickness of the side plate was 4 mm, but it was found that welding of 4 mm and 10 mm thick members causes distortion of the side plate. As a result of investigating a method of fastening the two side plates and the member connecting them without welding, the thickness of the side plates was made 6 mm thick, and by incorporating a special spring pin in the 10 mm thick member, we succeeded in fastening them without welding.
This design is an extension of the second aluminum chair design “Shades of Brunelleschi”, but it is a chair that is simpler than the second one and is closer to a stool.
After Dark
material: aluminum
manufacture: Kikukawa Kogyo Co., Ltd.
design year: 2021.04-2022.01
photo: TOSHIKI OMATSU