渡辺裕貴+鹿内健 / Sデザインファームが設計した、東京・大田区の住宅「村越邸」です。
人通りがあり浸水予測される五角形角地に計画されました。建築家は、状況への対応と生活の豊かさを求めて、“開かれた車庫”の上に吹抜から採光する“閉ざされた居間”が重なる構成を考案しました。また、これからの都市型住宅の在り方も追求しました。
計画敷地は3方向道路に囲まれた角地かつ5角形の変形敷地で、近くに流れる小川や敷地に対して真直ぐ伸びた道路から風が吹き抜けると同時に、人や車の行き交いも多く、周囲からの視線や騒音への対策が必要でした。また洪水ハザードマップに該当した浸水する恐れがある地域でもあり、水害対策も兼ねた計画が求められました。
そこで敷地を取り巻く「光・風・人・車・水」の要素に対して、平面的・断面的な「抜け」をつくり、光や風を内部に届け、人や車の利便性に配慮しながら、水を受け流す構成を考えました。
また建蔽率を最大限活用する為に敷地形状に合わせた5角形の平面構成、高さ制限や防火規定、構造計画に考慮して、2階+ロフトの断面構成を選択。水害時に建物への影響を最小限に抑える為、1階部分は高基礎を用いた計画としました。
お施主様より窓が少ない外観が好みという事もあり、外壁側は極力窓を絞り、1階の坪庭に繋がる外部吹抜に大きな開口部を設けて、プライバシーに配慮しながら、採光・通風を確保しました。台形のリビングダイニングは視覚効果で実面積よりも広く感じる空間となり、また回遊性のある間取りと外部吹抜の上部へと視線が抜ける事で、奥行きを感じる設計としています。
以下の写真はクリックで拡大します
以下、建築家によるテキストです。
「抜け」がつくる豊かさと安全性
計画敷地は3方向道路に囲まれた角地かつ5角形の変形敷地で、近くに流れる小川や敷地に対して真直ぐ伸びた道路から風が吹き抜けると同時に、人や車の行き交いも多く、周囲からの視線や騒音への対策が必要でした。また洪水ハザードマップに該当した浸水する恐れがある地域でもあり、水害対策も兼ねた計画が求められました。
そこで敷地を取り巻く「光・風・人・車・水」の要素に対して、平面的・断面的な「抜け」をつくり、光や風を内部に届け、人や車の利便性に配慮しながら、水を受け流す構成を考えました。
また建蔽率を最大限活用する為に敷地形状に合わせた5角形の平面構成、高さ制限や防火規定、構造計画に考慮して、2階+ロフトの断面構成を選択。水害時に建物への影響を最小限に抑える為、1階部分は高基礎を用いた計画としました。
お施主様より窓が少ない外観が好みという事もあり、外壁側は極力窓を絞り、1階の坪庭に繋がる外部吹抜に大きな開口部を設けて、プライバシーに配慮しながら、採光・通風を確保しました。台形のリビングダイニングは視覚効果で実面積よりも広く感じる空間となり、また回遊性のある間取りと外部吹抜の上部へと視線が抜ける事で、奥行きを感じる設計としています。
また昨今のランニングコスト高騰や地球環境への負荷にも配慮して、住宅の断熱性能にもこだわり、Ua値 0.37、熱交換型のダクトレス換気の利用、気密対策も徹底しC値を小さくする事で、冬場でも殆ど暖房を使わないレベルを実現しました。
近年増加傾向のある天災への備えを建築に与える事で、コロナ渦以降でも気軽に集えて用途が見込める「開かれた車庫 / public」とお施主様が集めた素敵なインテリアに囲まれた余暇を楽しむ「閉ざされた居間 / private」の2面性を併せ持ち、住まいの豊かさと安心安全を両立した、これからの都市型住宅のあり方を追求しました。
■建築概要
題名:村越邸
計画地:東京都大田区
主要用途:一戸建ての住宅
工事種別:新築工事
構造・規模:木造地上2階+ロフト
設計:Sデザインファーム株式会社 渡辺裕貴+鹿内健
構造設計:田中哲也建築構造計画 田中哲也
施工:江中建設 池田栄一(現場監督)、伊東健太郎(積算担当)
大工:武井孝天、白井大地
電気設備:山崎産業 大野功佳、居家野電工 居家野智
水道設備:日化設備工業 高本裕己、英設備 中田秀樹
ガス設備:カンドー 竹田晃三
空調ガス設備:株式会社キャプティ 久保賢太
板金:ベストワーク 水島勝
左官・タイル:森田工業 森田猛男
木製建具:株式会社永井建装 永井幸治
金属建具:株式会社城南ケンソー 羽鳥康幸
キッチン:Kitchenhouse 和田嘉明
家具製作:ガンマー株式会社 澤崎太一
家具協力:Cassina ixc. 木下滉、arflex 丹羽啓介
植栽協力:SOLSO HOME 西澤灯
敷地面積:73.92㎡
建築面積:51.08㎡
延床面積:122.36㎡
竣工年月日:2021年12月
設計:2020年11月~2021年4月
工事:2021年5月~2021年12月
写真家:鳥村鋼一写真事務所 鳥村鋼一