能作文徳と常山未央による、TOTOギャラリー・間での建築展「都市菌(としきのこ)― 複数種の網目としての建築」の会場写真です。
現代都市と生態系を主題に“批評的な建築実践”を行う建築家の展覧会です。建築家は、建築を“複数種の網目”として捉え、野生や伝統知を用いた“菌”の様な弱い力での再組織化を志向しています。そして、図面や模型を通して試行錯誤の共有を試みることも意図されました。会期は2024年1月18日~3月24日。展覧会の公式サイトはこちら。
TOTOギャラリー・間では、「能作文徳+常山未央展:都市菌(としきのこ)― 複数種の網目としての建築」を開催します。
能作、常山両氏は、建築設計や論考執筆に加え、国内外の大学を拠点に、建築と都市と生態系の関係性リサーチを続けてきました。自宅兼事務所の「西大井のあな」では、鉄骨造の中古住宅に光と熱が循環する孔を開け、コンクリートで覆われた外構を自分達の手ではつり、土中改善を行うなど、エコロジカルな視点で改修しています。そこは他で得た学びを実験し、次のプロジェクトへと展開させる実践の場となっています。彼らが「URBAN WILD ECOLOGY」と呼ぶ、こうした都市の中に野生を取り戻す取り組みに加え、近年では石場建てや木組などの伝統知、藁や土壁といった土に還る素材を積極的に設計に取り入れています。
彼らは都市を、「人間の手が入った多様な生物が暮らす居住域」だと言います。課題を抱える現代の都市の一部を分解し、その養分を吸収し、菌(きのこ)のように成長する。そんな腐敗と再生の網目の結節点として建築を捉え、野生や伝統知を手に、網目に切り込みを入れつなぎ直すことにより、複数種のネットワークを構築しようとしています。
本展は、「西大井のあな」のさらなる改修案や、最新作「秋谷の木組(秋谷スマートハウス E棟)」をはじめとするプロジェクトの断面図や模型などを通じて、網目をつなぎ直すために誰もが真似できる小さな試行錯誤を共有する試みです。その先に、人新世と呼ばれる時代における建築の可能性やビジョンを感じ取っていただければ幸いです。
導入と展覧会のステートメント
以下の写真はクリックで拡大します
ギャラリー1での展示の様子
以下の写真はクリックで拡大します
中庭での展示の様子
以下の写真はクリックで拡大します
ギャラリー2での展示の様子
以下の写真はクリックで拡大します
能作文徳と常山未央
能作文徳と常山未央によるコンセプト「都市菌(としきのこ)― 複数種の網目としての建築」
都市は朽ち始めている
生活はインフラとサービスに依存し、自分の力で修復できない
地表は建物とアスファルトに覆われ、呼吸ができない
乾いた土では食べ物は育たず、水は浄化されない
毎日大量のゴミが捨てられる
建物やインフラを新品に保つ力は衰えている
それでも、賞味期限切れの都市の生命活動は続いていく
いま私たちは野生を取り戻さなくてはいけない
土を嗅ぎ
雨を聴き
風を読み
陽を感じ
心地よい居場所をつくれるように
伝統を知り
技術を学び
小さな負荷でここに暮らせるように
私たちは、建築を大きな網目の中で捉えている
建物は、資源から廃棄までの一時的な結節点だ
都市ではゴミも材料になる
アスファルトを剥がせば、土壌が小さな生産地と分解地になる
太陽熱を使えば、調理が台所から飛び出す
建物を持ち上げれば、そこが生き物の棲家となる
そうやって身の回りの資源、太陽、土、ゴミと生活が絡み合い
複数種の居住域が築かれる
菌(きのこ)が腐敗と再生産の網目に生きるように
■展覧会概要
展覧会名(日):能作文徳+常山未央展:都市菌(としきのこ)― 複数種の網目としての建築
展覧会名(英):Fuminori Nousaku+Mio Tsuneyama: URBAN FUNGUS―Architecture is a Complex Mesh
会期:2024年1月18日(木)~3月24日(日)
開館時間:11:00~18:00
休館日:月曜・祝日、ただし、2月11日(日・祝)は開館
※TOTOギャラリー・間ウェブサイトにて最新情報をご確認ください
入場料:無料
会場:TOTOギャラリー・間(東京都港区南青山1-24-3 TOTO乃木坂ビル3F)東京メトロ千代田線乃木坂駅3番出口徒歩1分
TEL:03-3402-1010
主催:TOTOギャラリー・間
企画:TOTOギャラリー・間運営委員会(特別顧問=安藤忠雄、委員=貝島桃代/平田晃久/セン・クアン/田根剛)