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2025.11.25Tue
2025.11.24Mon
小林敬政による、大阪市の「K邸」。施主家族が40年以上暮らした住まいの建替。既存を建物を超えた“記憶の器”と捉え、刷新ではなく“継承”する設計を志向。旧家屋の間取りを参照して“再構築”した平面構成で“空間体験”を通して記憶を喚起する
photo©多田ユウコ写真事務所

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TE-DOK小林敬政木村工務店建材(外装・壁)建材(外装・屋根)建材(外装・建具)建材(外装・照明)建材(内装・床)建材(内装・壁)建材(内装・天井)建材(内装・建具)建材(内装・照明)建材(内装・その他)建材(内装・水廻り)住宅図面あり大阪多田ユウコ
小林敬政による、大阪市の「K邸」。施主家族が40年以上暮らした住まいの建替。既存を建物を超えた“記憶の器”と捉え、刷新ではなく“継承”する設計を志向。旧家屋の間取りを参照して“再構築”した平面構成で“空間体験”を通して記憶を喚起する外観、南側の道路より見る。 photo©多田ユウコ写真事務所
小林敬政による、大阪市の「K邸」。施主家族が40年以上暮らした住まいの建替。既存を建物を超えた“記憶の器”と捉え、刷新ではなく“継承”する設計を志向。旧家屋の間取りを参照して“再構築”した平面構成で“空間体験”を通して記憶を喚起する2階、階段側からリビングを見る。 photo©多田ユウコ写真事務所
小林敬政による、大阪市の「K邸」。施主家族が40年以上暮らした住まいの建替。既存を建物を超えた“記憶の器”と捉え、刷新ではなく“継承”する設計を志向。旧家屋の間取りを参照して“再構築”した平面構成で“空間体験”を通して記憶を喚起する2階、キッチンからダイニングを見る。 photo©多田ユウコ写真事務所

小林敬政が設計した、大阪市の「K邸」です。
施主家族が40年以上暮らした住まいの建替です。建築家は、既存を建物を超えた“記憶の器”と捉え、刷新ではなく“継承”する設計を志向しました。そして、旧家屋の間取りを参照して“再構築”した平面構成で“空間体験”を通して記憶を喚起します。

当初は愛着のある住まいに住み続けるべく耐震改修を検討したが、耐震診断の結果躯体の老朽化が著しいことが判明し建替えることとなった。施主は計画地に隣接する金属研磨工場を長年営んでいる。家の想い出を語る施主の表情を見て、毎日この家をながめながら仕事を行う施主にとって、この家は住まい以上の大切な記憶の器なのだと感じた。

そこで40年以上の記憶が蓄積されたこの住宅を全く新しいものにするのではなく、建物の立姿や内部の空間体験といった諸要素を受け継ぎながら、耐震性能や快適性に優れたこれからも住み続けて行ける、住まいという記憶の器の再構築を目指した。

建築家によるテキストより

住まいの記憶は階段の上り下りや部屋と部屋の行き来などの空間体験を通して身体的に想起される。
そこで既存家屋の平面計画を参照し、それらを中間階に設けたリビングを中心に再構築することで、新しい家での空間体験を通じて長年身体に蓄積された記憶が思い起こされるよう計画した。

建築家によるテキストより

かつての住宅の立姿は家族にとって帰宅時にホッとできる大切なあたりまえの風景であった。
そこでその立姿を継承すべく、施主要望である駐車スペースを計画地内で確保すること、地震による浸水対策としての床上げの2点をヒントに、駐車スペースの天井高さを絞りスキップフロア形式とすることで建物高さを既存家屋と同程度に抑えた。また屋根形状も既存と同じ平入とすることで、住み手だけでなく周辺住民からも見慣れた立姿を継承した。

建築家によるテキストより

以下の写真はクリックで拡大します

小林敬政による、大阪市の「K邸」。施主家族が40年以上暮らした住まいの建替。既存を建物を超えた“記憶の器”と捉え、刷新ではなく“継承”する設計を志向。旧家屋の間取りを参照して“再構築”した平面構成で“空間体験”を通して記憶を喚起する外観、南側の道路より見る。 photo©多田ユウコ写真事務所
小林敬政による、大阪市の「K邸」。施主家族が40年以上暮らした住まいの建替。既存を建物を超えた“記憶の器”と捉え、刷新ではなく“継承”する設計を志向。旧家屋の間取りを参照して“再構築”した平面構成で“空間体験”を通して記憶を喚起する外観、南側の道路より見る。 photo©多田ユウコ写真事務所
小林敬政による、大阪市の「K邸」。施主家族が40年以上暮らした住まいの建替。既存を建物を超えた“記憶の器”と捉え、刷新ではなく“継承”する設計を志向。旧家屋の間取りを参照して“再構築”した平面構成で“空間体験”を通して記憶を喚起する外観、南側の道路より見る。 photo©多田ユウコ写真事務所
小林敬政による、大阪市の「K邸」。施主家族が40年以上暮らした住まいの建替。既存を建物を超えた“記憶の器”と捉え、刷新ではなく“継承”する設計を志向。旧家屋の間取りを参照して“再構築”した平面構成で“空間体験”を通して記憶を喚起する外観、南側の道路よりポーチを見る。 photo©多田ユウコ写真事務所
小林敬政による、大阪市の「K邸」。施主家族が40年以上暮らした住まいの建替。既存を建物を超えた“記憶の器”と捉え、刷新ではなく“継承”する設計を志向。旧家屋の間取りを参照して“再構築”した平面構成で“空間体験”を通して記憶を喚起するポーチと玄関ドア photo©多田ユウコ写真事務所
小林敬政による、大阪市の「K邸」。施主家族が40年以上暮らした住まいの建替。既存を建物を超えた“記憶の器”と捉え、刷新ではなく“継承”する設計を志向。旧家屋の間取りを参照して“再構築”した平面構成で“空間体験”を通して記憶を喚起する1階、玄関からホールを見る。 photo©多田ユウコ写真事務所
小林敬政による、大阪市の「K邸」。施主家族が40年以上暮らした住まいの建替。既存を建物を超えた“記憶の器”と捉え、刷新ではなく“継承”する設計を志向。旧家屋の間取りを参照して“再構築”した平面構成で“空間体験”を通して記憶を喚起する1階、ホールから玄関を見る。 photo©多田ユウコ写真事務所
小林敬政による、大阪市の「K邸」。施主家族が40年以上暮らした住まいの建替。既存を建物を超えた“記憶の器”と捉え、刷新ではなく“継承”する設計を志向。旧家屋の間取りを参照して“再構築”した平面構成で“空間体験”を通して記憶を喚起する1階から2階への階段 photo©多田ユウコ写真事務所
小林敬政による、大阪市の「K邸」。施主家族が40年以上暮らした住まいの建替。既存を建物を超えた“記憶の器”と捉え、刷新ではなく“継承”する設計を志向。旧家屋の間取りを参照して“再構築”した平面構成で“空間体験”を通して記憶を喚起する2階、階段側からリビングを見る。 photo©多田ユウコ写真事務所
小林敬政による、大阪市の「K邸」。施主家族が40年以上暮らした住まいの建替。既存を建物を超えた“記憶の器”と捉え、刷新ではなく“継承”する設計を志向。旧家屋の間取りを参照して“再構築”した平面構成で“空間体験”を通して記憶を喚起する2階、リビングからダイニングにつながる階段を見る。 photo©多田ユウコ写真事務所
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小林敬政による、大阪市の「K邸」。施主家族が40年以上暮らした住まいの建替。既存を建物を超えた“記憶の器”と捉え、刷新ではなく“継承”する設計を志向。旧家屋の間取りを参照して“再構築”した平面構成で“空間体験”を通して記憶を喚起する2階、左奥:リビング、右:ダイニング、右奥:インナーバルコニー photo©多田ユウコ写真事務所
小林敬政による、大阪市の「K邸」。施主家族が40年以上暮らした住まいの建替。既存を建物を超えた“記憶の器”と捉え、刷新ではなく“継承”する設計を志向。旧家屋の間取りを参照して“再構築”した平面構成で“空間体験”を通して記憶を喚起する2階、ダイニングからリビング側を見る。 photo©多田ユウコ写真事務所
小林敬政による、大阪市の「K邸」。施主家族が40年以上暮らした住まいの建替。既存を建物を超えた“記憶の器”と捉え、刷新ではなく“継承”する設計を志向。旧家屋の間取りを参照して“再構築”した平面構成で“空間体験”を通して記憶を喚起する2階、ダイニングから開口部越しにインナーバルコニーを見る。 photo©多田ユウコ写真事務所
小林敬政による、大阪市の「K邸」。施主家族が40年以上暮らした住まいの建替。既存を建物を超えた“記憶の器”と捉え、刷新ではなく“継承”する設計を志向。旧家屋の間取りを参照して“再構築”した平面構成で“空間体験”を通して記憶を喚起する2階、インナーバルコニー photo©多田ユウコ写真事務所
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小林敬政による、大阪市の「K邸」。施主家族が40年以上暮らした住まいの建替。既存を建物を超えた“記憶の器”と捉え、刷新ではなく“継承”する設計を志向。旧家屋の間取りを参照して“再構築”した平面構成で“空間体験”を通して記憶を喚起する2階、ダイニングからキッチンを見る。 photo©多田ユウコ写真事務所
小林敬政による、大阪市の「K邸」。施主家族が40年以上暮らした住まいの建替。既存を建物を超えた“記憶の器”と捉え、刷新ではなく“継承”する設計を志向。旧家屋の間取りを参照して“再構築”した平面構成で“空間体験”を通して記憶を喚起する2階、キッチンからダイニングを見る。 photo©多田ユウコ写真事務所
小林敬政による、大阪市の「K邸」。施主家族が40年以上暮らした住まいの建替。既存を建物を超えた“記憶の器”と捉え、刷新ではなく“継承”する設計を志向。旧家屋の間取りを参照して“再構築”した平面構成で“空間体験”を通して記憶を喚起する2階、寝室 photo©多田ユウコ写真事務所
小林敬政による、大阪市の「K邸」。施主家族が40年以上暮らした住まいの建替。既存を建物を超えた“記憶の器”と捉え、刷新ではなく“継承”する設計を志向。旧家屋の間取りを参照して“再構築”した平面構成で“空間体験”を通して記憶を喚起する1階、主寝室 photo©多田ユウコ写真事務所
小林敬政による、大阪市の「K邸」。施主家族が40年以上暮らした住まいの建替。既存を建物を超えた“記憶の器”と捉え、刷新ではなく“継承”する設計を志向。旧家屋の間取りを参照して“再構築”した平面構成で“空間体験”を通して記憶を喚起する1階、客間 photo©多田ユウコ写真事務所
小林敬政による、大阪市の「K邸」。施主家族が40年以上暮らした住まいの建替。既存を建物を超えた“記憶の器”と捉え、刷新ではなく“継承”する設計を志向。旧家屋の間取りを参照して“再構築”した平面構成で“空間体験”を通して記憶を喚起する2階、リビングから階段越しにダイニングを見る。夕景 photo©多田ユウコ写真事務所
小林敬政による、大阪市の「K邸」。施主家族が40年以上暮らした住まいの建替。既存を建物を超えた“記憶の器”と捉え、刷新ではなく“継承”する設計を志向。旧家屋の間取りを参照して“再構築”した平面構成で“空間体験”を通して記憶を喚起する外観、南側の道路より見る。夕景 photo©多田ユウコ写真事務所
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小林敬政による、大阪市の「K邸」。施主家族が40年以上暮らした住まいの建替。既存を建物を超えた“記憶の器”と捉え、刷新ではなく“継承”する設計を志向。旧家屋の間取りを参照して“再構築”した平面構成で“空間体験”を通して記憶を喚起する外観、南側の道路より見る。夕景 photo©多田ユウコ写真事務所
小林敬政による、大阪市の「K邸」。施主家族が40年以上暮らした住まいの建替。既存を建物を超えた“記憶の器”と捉え、刷新ではなく“継承”する設計を志向。旧家屋の間取りを参照して“再構築”した平面構成で“空間体験”を通して記憶を喚起する外観、南側奥の道路より見る。夕景 photo©多田ユウコ写真事務所
小林敬政による、大阪市の「K邸」。施主家族が40年以上暮らした住まいの建替。既存を建物を超えた“記憶の器”と捉え、刷新ではなく“継承”する設計を志向。旧家屋の間取りを参照して“再構築”した平面構成で“空間体験”を通して記憶を喚起する1階平面図 image©小林敬政
小林敬政による、大阪市の「K邸」。施主家族が40年以上暮らした住まいの建替。既存を建物を超えた“記憶の器”と捉え、刷新ではなく“継承”する設計を志向。旧家屋の間取りを参照して“再構築”した平面構成で“空間体験”を通して記憶を喚起する2階平面図 image©小林敬政
小林敬政による、大阪市の「K邸」。施主家族が40年以上暮らした住まいの建替。既存を建物を超えた“記憶の器”と捉え、刷新ではなく“継承”する設計を志向。旧家屋の間取りを参照して“再構築”した平面構成で“空間体験”を通して記憶を喚起する平面図 image©小林敬政
小林敬政による、大阪市の「K邸」。施主家族が40年以上暮らした住まいの建替。既存を建物を超えた“記憶の器”と捉え、刷新ではなく“継承”する設計を志向。旧家屋の間取りを参照して“再構築”した平面構成で“空間体験”を通して記憶を喚起する断面図 image©小林敬政
小林敬政による、大阪市の「K邸」。施主家族が40年以上暮らした住まいの建替。既存を建物を超えた“記憶の器”と捉え、刷新ではなく“継承”する設計を志向。旧家屋の間取りを参照して“再構築”した平面構成で“空間体験”を通して記憶を喚起する建物ボリュームの検討 image©小林敬政
小林敬政による、大阪市の「K邸」。施主家族が40年以上暮らした住まいの建替。既存を建物を超えた“記憶の器”と捉え、刷新ではなく“継承”する設計を志向。旧家屋の間取りを参照して“再構築”した平面構成で“空間体験”を通して記憶を喚起する既存の外観、南側より見る。 photo©小林敬政
小林敬政による、大阪市の「K邸」。施主家族が40年以上暮らした住まいの建替。既存を建物を超えた“記憶の器”と捉え、刷新ではなく“継承”する設計を志向。旧家屋の間取りを参照して“再構築”した平面構成で“空間体験”を通して記憶を喚起する既存の外観、南東側より見る。 photo©小林敬政
小林敬政による、大阪市の「K邸」。施主家族が40年以上暮らした住まいの建替。既存を建物を超えた“記憶の器”と捉え、刷新ではなく“継承”する設計を志向。旧家屋の間取りを参照して“再構築”した平面構成で“空間体験”を通して記憶を喚起する既存の外観、南側より見る。 photo©小林敬政
小林敬政による、大阪市の「K邸」。施主家族が40年以上暮らした住まいの建替。既存を建物を超えた“記憶の器”と捉え、刷新ではなく“継承”する設計を志向。旧家屋の間取りを参照して“再構築”した平面構成で“空間体験”を通して記憶を喚起する既存の1階、ホールから玄関を見る。 photo©小林敬政
小林敬政による、大阪市の「K邸」。施主家族が40年以上暮らした住まいの建替。既存を建物を超えた“記憶の器”と捉え、刷新ではなく“継承”する設計を志向。旧家屋の間取りを参照して“再構築”した平面構成で“空間体験”を通して記憶を喚起する既存の1階から2階への階段 photo©小林敬政

以下、建築家によるテキストです。


計画の背景 ―記憶を継承する住まい―

40年以上家族が住み慣れた小さな住宅の建て替え計画である。
計画地には施主夫婦が40年以上前に購入し、2人の娘とともに長年住み続けてきた住宅が建っていた。大切に住み続けてきたが、老朽化に伴い将来の地震や津波への懸念が強くなってきており、娘がひとり結婚し家を出るタイミングで3人の住まいとして改築することとなった。

当初は愛着のある住まいに住み続けるべく耐震改修を検討したが、耐震診断の結果躯体の老朽化が著しいことが判明し建替えることとなった。施主は計画地に隣接する金属研磨工場を長年営んでいる。家の想い出を語る施主の表情を見て、毎日この家をながめながら仕事を行う施主にとって、この家は住まい以上の大切な記憶の器なのだと感じた。

そこで40年以上の記憶が蓄積されたこの住宅を全く新しいものにするのではなく、建物の立姿や内部の空間体験といった諸要素を受け継ぎながら、耐震性能や快適性に優れたこれからも住み続けて行ける、住まいという記憶の器の再構築を目指した。

 
継承の手法 ―空間体験と立姿の継承-

空間体験による記憶の継承―既存の間取りを参照した平面計画―

住まいの記憶は階段の上り下りや部屋と部屋の行き来などの空間体験を通して身体的に想起される。
そこで既存家屋の平面計画を参照し、それらを中間階に設けたリビングを中心に再構築することで、新しい家での空間体験を通じて長年身体に蓄積された記憶が思い起こされるよう計画した。

立姿の継承によりあたりまえの風景を守る―既存の建物ボリュームと形状の継承―

かつての住宅の立姿は家族にとって帰宅時にホッとできる大切なあたりまえの風景であった。
そこでその立姿を継承すべく、施主要望である駐車スペースを計画地内で確保すること、地震による浸水対策としての床上げの2点をヒントに、駐車スペースの天井高さを絞りスキップフロア形式とすることで建物高さを既存家屋と同程度に抑えた。また屋根形状も既存と同じ平入とすることで、住み手だけでなく周辺住民からも見慣れた立姿を継承した。

過去と未来がつながるこの住まいで、これからの日々の営みが新たな記憶となって積み重なっていくことを願っている。

■建築概要

名称:K邸
所在地:大阪府大阪市
設計監理:小林敬政
施工:株式会社木村工務店 担当/山元智浩
構造設計:TE-DOK一級建築士事務所 担当/河本和義
構造規模:木造地上2階
敷地面積:81.45㎡
建築面積:46.38㎡
延べ面積:86.13㎡
設計期間:2022年8月~2024年7月
工事期間:2024年7月~2025年1月
写真:多田ユウコ写真事務所 多田ユウコ

建材情報
種別使用箇所商品名(メーカー名)
外装・壁外壁

SOLIDO typeM_LAP 鉄黒(ケイミュー)

外装・屋根屋根

ガルバリウム鋼板タテハゼ葺き

外装・建具建具

アルミサッシ(LIXIL)

外装・照明各部照明

(コイズミ照明)

内装・床リビング、ダイニング、ホール 床

ミャンマーチークABフローリング

内装・床各寝室、WC、脱衣室 床

マーモリウム(Forbo、田島ルーフィング)

内装・壁各寝室、リビング、ダイニング 壁

シナ合板クリア塗装

内装・壁リビング、玄関 壁

EP塗装

内装・天井各寝室、リビング、ダイニング 天井

シナ合板クリア塗装

内装・建具各寝室、WC

レバーハンドル:LH1-262(シブタニ)
玄関引手:C226-346-800(施主にて研磨の上クリア塗装、シブタニ)

内装・建具通用口

レバーハンドル:UL1058-001(ユニオン)

内装・その他ホール、WC 手摺

ホール手摺:G1277-15-265(ユニオン)
WC手摺:OAS-HB-201(ユニオン)

内装・水廻りトイレ、ユニットバス、洗面台

(TOTO)

内装・照明各部照明

(コイズミ照明)

※企業様による建材情報についてのご意見や「PR」のご相談はこちらから
※この情報は弊サイトや設計者が建材の性能等を保証するものではありません


Concept — A Home That Inherits Memories

This project involves rebuilding a small house where a family had lived for over 40 years. The site was originally purchased by the couple more than four decades ago, and they lived there with their two daughters. Although the house was cherished and well-maintained, concerns about earthquakes and tsunamis grew as it aged. When one daughter got married and moved out, the family decided to renovate the home for the remaining three members.
Initially, they considered seismic retrofitting to preserve the beloved house, but a structural diagnosis revealed significant deterioration, leading to the decision to rebuild. The owner has long operated a metal polishing workshop adjacent to the site. Seeing his expression as he spoke about the house made it clear that this home was more than just a place to live—it was a vessel of precious memories.
Rather than creating something entirely new, the design aims to reconstruct the home as a vessel of memory, preserving elements such as its form and spatial experience, while enhancing seismic safety and comfort for continued living.

Methods of Inheritance — Spatial Experience and Architectural Form

1. Inheriting Memory Through Spatial Experience
The memory of a home is often recalled through physical experiences—walking up stairs, moving between rooms. By referencing the original floor plan and reconstructing it around a centrally located living room on a split level, the new design allows these long-held bodily memories to naturally resurface in daily life.
2. Preserving the Familiar Landscape Through Architectural Form
The former house’s appearance was a comforting part of everyday life. To preserve this familiar landscape, the design incorporates two key elements requested by the client: securing on-site parking and raising the floor level to mitigate flood risks. By lowering the ceiling height of the parking space and adopting a skip-floor configuration, the overall building height was kept close to that of the original house. The roof was also designed with the same gable orientation, maintaining a familiar silhouette for both the residents and the surrounding community.

This home quietly inherits the memories of the past while supporting the life to come. It is a place where everyday moments will continue to accumulate as new memories—connecting time, space, and the family’s ongoing story.

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    2026年1月18日(日)
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    ハンス・ウェグナーの展覧会が渋谷ヒカリエで開催。入場チケットをプレゼント。多くの名作椅子を手掛けたデザイナーの、国内最大規模となる大回顧展。会場構成は田根剛が手掛ける展覧会ポスター image courtesy of Bunkamura
    「織田コレクション ハンス・ウェグナー展 至高のクラフツマンシップ」の入場チケットの抽選への応募はこちらから
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    「織田コレクション ハンス・ウェグナー展 至高のクラフツマンシップ」が渋谷ヒカリエで開催されます。
    入場チケットを抽選でプレゼントいたします。多くの名作椅子を手掛けたデザイナーの、国内最大規模となる大回顧展。会場構成は田根剛が手掛けます。
    展示会期は、2025年12月2日から2026年1月18日まで。展覧会の公式ページはこちら。入場チケットプレゼント企画の応募締切は、2025年12月12日(金)13時まで(お申込みにはGoogleアカウントが必要になります)。こちらのフォームからご応募ください。厳正な抽選を行い当選された方にはメールにてご連絡いたします(メール送付を当選発表にかえさせていただきます)。

    ハンス・ウェグナー(1914-2007)は、ミッドセンチュリー期のデンマークデザインの範疇にとどまらず20世紀の家具デザイン史における代表的な存在として語られています。代表作である《ザ・チェア》(1949)や《Yチェア》(1950)は高い人気を誇り、多くの人が目にしたことがあるでしょう。家具職人として類まれなる才能と素材に対する深い洞察を併せ持つウェグナーは、生涯で実に500脚以上の椅子を世に送り出しました。本展は、世界的な椅子研究家であり北欧を中心とした近代家具のコレクターでもある織田憲嗣氏のコレクションを有する北海道東川町の協力を得て、椅子約160点、その他家具などを一堂に集めた、国内でかつてない規模のウェグナー大回顧展となります。デザイン界の巨匠と目され、今日まで愛され続けるウェグナーの魅力とは何か。世界で活躍する建築家・田根剛氏(ATTA)による会場構成のもと、豊富な作品群と関連資料を通してその功績とデザイン哲学を振り返ります。

    リリーステキストより

    以下に、詳細な情報を掲載します。

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    2025.11.25 Tue 07:06
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    2025.11.23Sun
    • MVRDVによる、台湾の集合住宅「ザ・アイランド」。密集した商業地域での計画。“都市の中への緑のオアシスの創出”を目指し、ファサードに多数の植栽スペース付きのバルコニーなどを備えた建築を考案。緑と統合する有機的形態はガウディの建築からも着想を得る
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