SHARE フォルム・木村浩一建築研究所による「静謐な家」
photo©kei Nakajima
フォルム・木村浩一建築研究所が設計した「静謐な家」です。
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photo©Takumi Ota
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以下、architecturephoto.netによるこの作品についてのテキストです。
木村浩一が設計した「静謐な家」を初めて見たとき、ヴォリュームを構成することによって完成した極めてオーソドックスな建築であると思えた。しかし、その材料の使い方や、プロポーションの操作などを丁寧に見ていくと、徐々に木村のこの建築に対する独特な思考が明らかになっていった。
例えば、この住宅のコアとなっているリビング空間を見てみよう。天井の高いコンクリート打ち放しの空間に、白く塗装された垂壁、テレビを掛けるために作られた白い壁、ソファー上部にのみに作られた、光を遮るためのスラブ、そして、そこに開けられたロンシャンの教会を想起させるヴォイド、、、様々な要素が空間に付加されている。
それは、要素を減らすことによって、空間の精度を高めていくという現代建築において使われる事の多い方法論とは異なる。木村の建築では、要素を減らすことによって成立するデザインが追求されるのではなく、要素を足して行きながらも、それらが雑然とするのではなく、調和するようなデザインが追求されているのである。
空間に特異性をもたらしている様々な要素は、その意匠が目を引くだけでなく、そこにいる人が豊かな生活を過ごすという目的も十分に叶えている。ヴォイドのあるスラブは、ハイサイドライトからの光を遮り、空間に親密さをもたらす機能を果たしているし、その白い壁は、光を全体に行きわたらせる効果も持っている。木村の建築における、視覚的に特異性のある意匠は、人がその中で暮らすという視点においても、なくてはならない存在なのである。
建築の歴史を想起させる様々な手法や要素が建物内に用いられながらも、それらが空間の為だけに奉仕されるのではなく、住む人の生活を豊かにする為にも機能する。それが、木村建築の特筆すべき特徴だと思う。
( architecturephoto.net 後藤連平 )