SHARE 鈴木亜生 / ARAY Architectureによる鹿児島の住宅「SHIRASU」
photo©DAICI ANO
鈴木亜生 / ARAY Architectureが設計した鹿児島の住宅「SHIRASU」です。
以下、建築家によるテキストです。
SHIRASU
住人(夫婦2人・子供4人)は、エネルギーに頼らず、自然や気候風土に開かれたエコロジーな暮らしを望んでいた。敷地は鹿児島市中心市街地から程近いシラス台地上に広がる住宅地。そこで、この台地を形成する地質、シラスを再利用して地域の気候風土に根差した家を計画した。
シラスは断熱性・調湿性・蓄熱性など他の地質にはない特性をもっている。街で普及し始めていた舗装用シラスブロックの加圧成型技術を生かし、建築の組積材として初めての使用を試みた。外壁ブロックは、材料強度を確保するためシラスの配合を変え、内壁ブロックには吸放湿性を高めるためシラス原石を象嵌した。このシラスの性質は、同時にブロックに積層した記憶の表情として表れている。こうして外周全体を内外中空層二重壁に積み上げた家は、シラスの洞窟のような台地に包まれた空間となった。内部は、夏はひんやりと涼しく、冬は暖かく年間を通して安定した温熱環境となる。
台地に蓄積された地質やその地形は、この土地の自然や気候風土をつくりだす要因となっている。自ら空調設備の設置を拒んだ住人は、ブロック壁全体に内外環境のコントロールを任せ、その身近な自然との生活を拠り処としている。これから台地とのつながりを一層一層積み重ねていって欲しい。
■建築概要
住 所:鹿児島県鹿児島市西伊敷
設計監理:鈴木亜生/ARAY Architecture
構造設計:tmsd萬田隆構造設計事務所
施 工:株式会社アルカンシェル
ブロック:株式会社ストーンワークス
構造規模:鉄骨造 地上2階
敷地面積:228.9㎡
建築面積:88.0㎡
延床面積:143.9㎡
設計期間:2011.08-2012.08
工事期間:2012.09-2013.07
■主要仕上げ
屋上緑化:シート防水+シラス緑化基盤敷
外壁:シラスブロック+撥水剤
内壁:シラスブロック (シラス原石象嵌)
内部床:杉フローリング+浸透性自然オイル仕上