SHARE 渡辺隆建築設計事務所による、静岡県菊川市の、茶畑が広がる丘の上にたつ住宅「オカノウエノナヤ」
all photos©長谷川健太
渡辺隆建築設計事務所が設計した、静岡県菊川市の、茶畑が広がる丘の上にたつ住宅「オカノウエノナヤ」です。
この住宅は、代々続く茶農家の若いご主人と、その家族のための家です。
計画地は、共に農業を営む両親・祖父母の家とその納屋の隣で、茶畑が広がる丘の上にあります。この住宅の基本的な構成は、それら既存建物と茶畑との間に、水回り、収納、耐力壁としても機能するコアを4つ離して配置し、それらの間を高さ2200mmの引き違い窓で囲われたオープンスペースとしています。
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以下、建築家によるテキストです。
オカノウエノナヤ
この住宅は、代々続く茶農家の若いご主人と、その家族のための家です。
計画地は、共に農業を営む両親・祖父母の家とその納屋の隣で、茶畑が広がる丘の上にあります。この住宅の基本的な構成は、それら既存建物と茶畑との間に、水回り、収納、耐力壁としても機能するコアを4つ離して配置し、それらの間を高さ2200mmの引き違い窓で囲われたオープンスペースとしています。
1階のオープンスペースの大部分を占めるのは、モルタル仕上げの土間です。キッチンやダイニングスペースも備えられ、昔ながらの農家住宅のように、外から土の付いた下足のまま気軽に入ることができます。農作業の手を止めてのお昼休み、大家族ならではの往来、近隣の人たちが集まる寄り合い・・・自然のありがたみ、地域、家族とのつながりを体験的に感じることのできる場所です。
2階のオープンスペースは、リビングや寝室などプライベートな空間です。どの部屋からも、遠くに連なる山並みや、点在する集落、間に広がる農地、最も低い所を流れていく川、眼下まで連なる茶畑、隣接する納屋の折板屋根などを見渡すことができます。この住宅に関係する伝統的なつながりや、いま現在の成り立ちを実感することのできる場所です。
この住宅の主な外装仕上げは、屋根材:ガルバリウム鋼板の折板、壁材:フレキシブルボード、開口部:アルミサッシとしています。伝統的な農家住宅の形式を再解釈しながら、計画地に隣接する納屋のような現代的な即物性を引き受け、地域と風景に馴染んだ、新しい農家のあり方を示す住宅を目指しました。
■建築概要
用途:専用住宅
敷地:静岡県菊川市下内田地内
敷地面積:376.53㎡
建築面積: 79.39㎡
延床面積:139.12㎡
階数:地上2階
構造:木造
竣工:2014年12月
意匠:渡辺隆・金原大祐/渡辺隆建築設計事務所
構造:川口達次/有限会社イーエス工房
施工:荒木秀隆/美和建設株式会社