SHARE 村田純 / JAMによる、大阪の、既存建物のリノベーション「Diamant / Glass Art Gallery & Residence」
all photos©Jun Murata
村田純 / JAMが設計した、大阪の、既存建物のリノベーション「Diamant / Glass Art Gallery & Residence」です。
大阪市内の一画、大和川流域に程近い場所である。既存建物は連棟民家が立ち並ぶ住宅地の角地に位置する。1FがRC造、2・3Fが木造の建物のリノベーションである。ギャラリーオーナーである外国人のクライアントからは、以前よりも広い収蔵面積を持つ倉庫と小さなプライベート展示、そして来日時の宿泊・事務エリアが求められた。
Grasshopperによるアルゴリズミック・デザイン
ファサードのランダム・パターンは、ガラスブロックの透過率や規格、材料や施工にかかるコストなどの細かな条件をプログラミングし、アルゴリズミックな生成モデルによるスタディを重ねた上で決定されている。微妙な差異を持った幾つものイメージを提示し、クライアントにもデザイン選考の一端を担ってもらっている。最終的には、既存建物とサイディング模様の大きさに調和し、コストパフォーマンスに最も優れた案が採用されている。
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以下、建築家によるテキストです。
Diamant / Glass Art Gallery & Residence
2015, Osaka / 大阪
大阪市内の一画、大和川流域に程近い場所である。既存建物は連棟民家が立ち並ぶ住宅地の角地に位置する。1FがRC造、2・3Fが木造の建物のリノベーションである。ギャラリーオーナーである外国人のクライアントからは、以前よりも広い収蔵面積を持つ倉庫と小さなプライベート展示、そして来日時の宿泊・事務エリアが求められた。
前面の高架道路には大阪港へ向かう大型トレーラーなどが頻繁に行き交っている。昼間は絶え間ない振動と激しい騒音による煩わしさがそこにはあった。南・西面は隣家と接していたため窓はなく、午前中の光が東からだけしか取り入れることができなかったため、有効な採光・照明計画が求められた。シルバーのグリッド模様を持つ上階の既存サイディングの外壁との調和も視野に入れる必要があった。
1Fファサードには耐震・遮音及び採光性に加え、優れた防塵性と容易なメンテナンス性も考慮に入れた上で、ガラスブロックを採用している。異なる透明度やパターンを違えながら、多様な表情を生み出している。屈折・透過した不規則な自然光が、質朴な内部空間に彩りを持った変化をもたらしている。
1階内部にはギャラリー・倉庫・水回りが機能的に配置される。倉庫コアには、ガラス細工や骨董・工芸品などのコレクションをディスプレイするためのショーケースのためのスリットが穿たれる。
スリット正面奥の鏡面が光を増幅させ、薄暗い内部を柔らかな光で演出する。2・3Fにはいくつかの倉庫と滞在と休息のための機能が配されている。
夜には、スリットとコア上部の間接光が内部を照らし出し、煌びやかな表情が薄暮の中に浮かび上がり、煌くガラスの結晶のような情景を醸し出す。再生された角地の空間は、寂寥漂う闇に射す一条の光となることを期待する。
Grasshopperによるアルゴリズミック・デザイン
ファサードのランダム・パターンは、ガラスブロックの透過率や規格、材料や施工にかかるコストなどの細かな条件をプログラミングし、アルゴリズミックな生成モデルによるスタディを重ねた上で決定されている。微妙な差異を持った幾つものイメージを提示し、クライアントにもデザイン選考の一端を担ってもらっている。最終的には、既存建物とサイディング模様の大きさに調和し、コストパフォーマンスに最も優れた案が採用されている。
■建築概要
architect : 村田 純 / JAM
website : JAM. / www.junmurata.com
Title : Diamant
Location : Osaka, Japan
Year ; 2015
Photographer : Jun Murata
location : 大阪
function : gallery, office, storage, residence
completion : nov. 2015
Structure : 鉄筋コンクリート、木造
site area : 39.19 sqm
total floor area : 99.30 sqm
model : Nini, Weiwei
facebook : jun.murata.9
Graphic | Program (Grasshopper 制作協力) : 卢喆 ( 大阪産業大学 工学研究科 大学院生 )