SHARE 山田紗子建築設計事務所による、京橋のAGCスタジオでの建築模型の展覧会「新しい建築の楽しさ」の会場構成
photo©Takumi Ota
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山田紗子建築設計事務所による、京橋のAGCスタジオでの建築模型の展覧会「新しい建築の楽しさ」の会場構成です。展覧会の会期は2016年2月27日まで。
毎年東京・京橋のAGCスタジオで行われている建築模型の展覧会「新しい建築の楽しさ」の会場構成である。この展覧会は2期に分かれ、1期に6組の建築事務所の作品を展示するもので、それぞれ全く異なる背景、コンセプト、スケールを持つ6つの建築模型が並ぶ。来場者は新しい模型が目に入るとその都度その模型の世界に自らの縮尺を合わせなくてはいけない。そこで今回は展示台の高さを1300mmと通常よりも思い切って高く設定し、それぞれの模型のアイレベルの高さを来場者の目線の高さに揃えることよって、来場者が自然に模型の持つ縮小された世界に引き込まれるような展示にしたいと考えた。
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以下、建築家によるテキストです。
「新しい建築の楽しさ」2015 の会場構成について
毎年東京・京橋のAGCスタジオで行われている建築模型の展覧会「新しい建築の楽しさ」の会場構成である。この展覧会は2期に分かれ、1期に6組の建築事務所の作品を展示するもので、それぞれ全く異なる背景、コンセプト、スケールを持つ6つの建築模型が並ぶ。来場者は新しい模型が目に入るとその都度その模型の世界に自らの縮尺を合わせなくてはいけない。そこで今回は展示台の高さを1300mmと通常よりも思い切って高く設定し、それぞれの模型のアイレベルの高さを来場者の目線の高さに揃えることよって、来場者が自然に模型の持つ縮小された世界に引き込まれるような展示にしたいと考えた。
また展示台には配管用の真鍮製パイプ(φ6)とコネクターを用い、どのような模型でも対応できるようにシンプルかつフレキシブルなフレームを組み立てた。コネクターの締め付け時に、真鍮の柔らかさによって独特のひねりや歪みが生まれ、ゆらゆらと立ち上がる展示台は植物的な様相を持った。1つ1つの展示台は独立しすぎず一体となって展示品を支える環境的な存在となるように、フレームの大きさと位置の関係、横材の位置などを調整した。黄金色の展示台は遠くから見ると周囲の景色を写しこみながらきらきらと輝き不思議な存在感を放ちながらも、中に入ると、人の肌や衣服の色に溶け込み、存在感が弱まり透明度が高まるものとなることを期待した。
また今回はAGC旭硝子が試験販売中のGlascene®(映像投影が可能な透明ガラススクリーン)を使用し、展示台のフレームの中に映像を浮かばせた。真鍮のパイプが縦横に走り折り重なる風景の中に、ふっと現れては消えるような、従来の平面展示にはない奥行き感のある写真や映像の展示を目指した。
■建築概要
展覧会名:「新しい建築の楽しさ2015」展
開催期間:2015.11.04 – 2016.2.27
施主:AGC 旭硝子
主催:「新しい建築の楽しさ2015」展委員会(代表AGC studio)
企画:中﨑隆司(建築ジャーナリスト/ 生活環境プロデューサー)
会場構成:山田紗子建築設計事務所
施工:Tank
会場面積:45㎡
展示台:真鍮什器 21台
Glascene®:3枚