SHARE 高須学 / Takasu Gaku Design and Associates inc.による、福岡の飲食店「nishinakasu 泥川武士」
高須学 / Takasu Gaku Design and Associates inc.が設計した、福岡の飲食店「nishinakasu 泥川武士」です。店舗の場所はこちら(Google Map)。
素材そのものを活かし、天然の素材のみでゆっくり手間をかけ、丁寧に仕込まれたシェフの料理たちは、その提供の手法も盛り付けも、和食のフルコースを食すように美しく静かに、次々に提供され、まさにこの場所この空間でしか味わえない、他とは比べようのない「シェフ武士・泥川の料理」そのものである。
その料理達に合わせた全体のデザインも、天然の素材と職人の技が最大限に生きた、伊と和の融合を目指した新鮮な素材と手の込んだディテールで構成されている。 エントランスアプローチはイタリアの*spoltedwood「truffle beech」を羽目板風に仕上げ、大きくRを描いた*越前手透和紙の天井に映える間接照明の灯と、客席入り口の躙口と相まり「伊和融合」の雰囲気を醸し出している。
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以下、デザイナーによるテキストです。
福岡市の中心地から車で10分程度、少し離れた中央区平尾にて8年間、予約の取れないイタリアンとして現在も人気のあるメルモーゾダ・ドロカワの2号店である。
今回の「nishinakasu泥川武士」は名前の通り、新たに選んだ土地の名前と本名のみ。
イタリアンという名前はあえて冠していない。 シェフの泥川武士氏の料理は丁寧な下処理と手間をかけ仕込まれた、イタリアンの調理法をベースに和食のエッセンスと地の食材が多く取り入れられた、唯一無二の「ドロカワスタイル」の料理である。
素材そのものを活かし、天然の素材のみでゆっくり手間をかけ、丁寧に仕込まれたシェフの料理たちは、その提供の手法も盛り付けも、和食のフルコースを食すように美しく静かに、次々に提供され、まさにこの場所この空間でしか味わえない、他とは比べようのない「シェフ武士・泥川の料理」そのものである。
その料理達に合わせた全体のデザインも、天然の素材と職人の技が最大限に生きた、伊と和の融合を目指した新鮮な素材と手の込んだディテールで構成されている。 エントランスアプローチはイタリアの*spoltedwood「truffle beech」を羽目板風に仕上げ、大きくRを描いた*越前手透和紙の天井に映える間接照明の灯と、客席入り口の躙口と相まり「伊和融合」の雰囲気を醸し出している。
エントランスの狭い露地から躙口をくぐり抜け広がる客席は、一転してゆったりとしたカウンタ-7席だけの特別な空間である。ベースとなる天板と背面化粧の木材は、エントランスの荒々しい印象のtruffle beechから一転し、主役となる料理を引き立てるため優しく美しい印象のイタリアンウォールナットで構成。ただしその目はあえて揃えず大きくランダムに。一見樹種がかわからないほど複雑に特別に仕上げていただいている。 さらにそのカウンターと一体となったChef’s counter topは、完璧に仕込まれた食材を美しく仕上げるシェフの手元全てがお客様全員から見えるよう客席カウンターのさらに5cm上。一枚板のDEKTON tileの上で、シェフの静かで美しい料理の全てが盛付けまで見える設計となっている。
全体のLighting designは中村達基氏。伊と和の融合というコンセプトをベースに、カウンター上にはどの箇所にフルコース料理の器があっても美しく均等に光が照らすようフラットな光とし、その他アプローチやベース照明は行灯と間接照明により、素材の質感と陰影を最大限に美しく魅せるプランとなっている。
「nishinakasu泥川武士」のGraphic designはニシダトシカズ氏。こちらも料理と空間とコンセプトと同じく、イタリアの伝統書体「Bodoni」と、日本の明朝と楷書を掛け合わせたオリジナル書体との間を刀で切った軌跡のような大胆なスラッシュが洒脱なデザインとなっている。
店内の音楽も、ビルの構造上無窓空間のここだけのために音楽家の寺岡真央女氏に依頼し、風や雨などの自然の音をレコーディングし、ピアノやチェロなどの柔らかな音とミキシングしたdorokawa original musicを作成し、気の利いた隠し味となっている。
*spoltedwood:天然の木材に菌や何かしらの外的要因によって木材の内部組織が変化した木材。特徴として木目の中に自然に黒い文様が入った、人工的ではない美しい文様が現れる。今回大阪の安多化粧合板株式会社さんに依頼し、天然のビーチ材にトリュフの菌が付着したことで自然に黒い文様が現れたビーチ材を使用している。椎茸が作られる工程のようでいて、それが自然が作ってしまった木。まさに今回のイタリアンと和の融合のようで面白い。
*越前手透和紙:今回和紙はシェフの生まれ故郷である福井県越前町の手漉き和紙を使用。1500年の歴史を持つ越前和紙の中でも特に古い歴史を持つ株式会社滝製紙所さんに依頼。雲肌の美しい和紙が間接照明により更に明確に表情が現れ空間を引き立てている。
■建築概要
題名:nishinakasu 泥川武士
所在地:福岡県福岡市中央区西中洲
工事種別:内装のみ 改修
床面積:52.95㎡(うち厨房15.05㎡)
設計:高須学|Takasu Gaku Design and Associates inc.
施工:長崎船舶装備(株)
協力:照明_BRANCH LIGHTING DESIGN|中村達基
協力:Graphic Design_24d|西田俊和
協力:Sound Design / Composer_寺岡真央
協力:厨房_北沢産業(株)
竣工年月:2019年9月
竣工写真:山本育憲|TRANSPARENCY
種別 | 使用箇所 | 商品名(メーカー名) |
---|---|---|
内装・床 | 床1 | 既存土間の上 コンクリートステイン塗布(アシュフォードジャパン) |
内装・床 | 床2 | |
内装・壁 | 壁1 | PB12.5の上 手漉き和紙貼り:越前和紙(滝製紙所) |
内装・壁 | 壁2 | PB12.5の上 天然木突板練付合板貼り:トリュフビーチ(安多化粧合板) |
内装・壁 | 壁3 | PB12.5の上 天然木突板練付合板貼り:イタリアンウォールナット(安多化粧合板) |
内装・天井 | 天井1 | FGボード6mmの上 手漉き和紙貼り:越前和紙(滝製紙所) |
内装・天井 | 天井2 | PB12.5の上 天然木突板練付合板貼り:イタリアンウォールナット(安多化粧合板) |
内装・造作家具 | 造作家具1 | PB12.5の上 天然木突板練付合板貼り:イタリアンウォールナット(安多化粧合板) |
内装・造作家具 | 造作家具2 | PB12.5の上 天然木突板練付合板貼り:イタリアンウォールナット(安多化粧合板) |
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