SHARE 矢橋徹建築設計事務所による、熊本市の住宅「池上の家」
矢橋徹建築設計事務所が設計した、熊本市の住宅「池上の家」です。
万日山への視野角から導いた高窓で風景を取り込み必要十分なプライバシーを確保することを基調とし、所要室を高窓に沿って配置した。
所要室の界壁によって景色が断片化することを避けるため、所要室の界壁を欄間状に抜いたセミオープンな構成とし、視線が抜けることで万日山のなだらかな稜線をリニアにハイライトする空間構成とした。
この空間構成は北側の光を共有することで得られる安定した照度環境や高所換気と一室空間化による安定した空気環境の実現にも寄与している。風景と光を共有する連続高窓と気配や空気が繋がるセミオープンな構成が組み合わさり、外部環境との間に断面的なバッファーとなって絡みついている。外部からは夜間照らされた天井の架構が立面として表れ、外へ生活の息遣いを伝える媒介となって周辺の住宅街の生活風景に参加する二重の効用を備えている。
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以下、建築家によるテキストです。
敷地は駅前開発が進む熊本駅南西に位置し、なだらかな稜線をもつ万日山の山裾にある。
敷地周辺には山裾の等高線に沿った既成住宅地と整理された新興住宅地が併存し、様々なスタイルの住宅が混在する住宅地である。
施主は山や空への眺望と静かな暮らしのために土地を手に入れ、県外に住む両親や友人を招くために必要な3台分の駐車スペースと、老後を見据えた平家建ての住宅を希望していた。あらかじめ前面道路に直行した駐車計画を要望されていたことでL型のフットプリントが自明的条件であった。
万日山への視野角から導いた高窓で風景を取り込み必要十分なプライバシーを確保することを基調とし、所要室を高窓に沿って配置した。
所要室の界壁によって景色が断片化することを避けるため、所要室の界壁を欄間状に抜いたセミオープンな構成とし、視線が抜けることで万日山のなだらかな稜線をリニアにハイライトする空間構成とした。
この空間構成は北側の光を共有することで得られる安定した照度環境や高所換気と一室空間化による安定した空気環境の実現にも寄与している。
風景と光を共有する連続高窓と気配や空気が繋がるセミオープンな構成が組み合わさり、外部環境との間に断面的なバッファーとなって絡みついている。外部からは夜間照らされた天井の架構が立面として表れ、外へ生活の息遣いを伝える媒介となって周辺の住宅街の生活風景に参加する二重の効用を備えている。
子供室の壁の膨らみ、突起した家事スペース、曲壁を持つ書斎コーナー、オフセットした縁側にみられる小さな居場所はおおらかな主空間の空間体験にくびれとして作用し、外形には適度なほつれを生み出している。
一つの場所にいながら複数の場所の存在を知覚する経験は全体への繋がりを感じる意識的な開放感となる。
その経験による開放感は建築内部の自律した経験を超えて、この場所に住まうことの実感につながることを目指した。
■建築概要
池上の家
所在地:熊本県熊本市
主要用途:専用住宅
家族構成:夫婦+子供1人
設計:矢橋徹建築設計事務所 担当/矢橋徹、姫野沙紀
構造:XYZ structure 担当/荒木康祐
施工:株式会社オンサイト 担当/坂本亮介
構造・構法:主体構造・構法 木造在来工法
基礎:ベタ基礎
規模
階数:地上1階
軒高:4,201mm 最高高さ:4,374mm
敷地面積:211.96㎡
建築面積:91.07㎡
延床面積:86.10㎡
1階:86.10㎡
工程
設計期間:2017年8月〜2019年8月
工事期間:2019年10月〜2020年3月
敷地条件
地域地区:市街化区域 第2種中高層
道路幅員:北東4.7m
駐車台数:3台
撮影:yashiro photo office
種別 | 使用箇所 | 商品名(メーカー名) |
---|---|---|
外装・壁 | 外壁 | 金属サイディング:ガルブライトJF SFJ2-219(アイジー工業) |
外装・建具 | 開口部 | |
内装・床 | 内部床(共通) | 無垢フローリング:西南サクラ Aグレード(伊勢通) |
内装・水廻り | 洗面化粧台(洗面脱衣室) | 洗面化粧台:プレーンV PLVS030(SANWACOMPANY) |
内装・照明 | 照明(共通) |
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