SHARE 前田圭介 / UIDによる、広島・福山市の住宅「しふく」
前田圭介 / UIDが設計した、広島・福山市の住宅(離れ)「しふく」です。
別荘といえば、本宅における日々の生活から距離をとり、自然の中で非日常の特別な時間を過ごす場所という近代からのひとつの形式がある一方、働き方や余暇の楽しみ方などライフスタイルが多様化する現代において、そもそも日常/非日常が切り分けられるものなのだろうか。
わざわざ特別な場所に非日常を求めて行くのではなく、日常の延長に余暇を楽しむ住居を考えてみたい。今回増築した離れに対する母屋は、2007年に私自身が設計を手掛けた4つの茶室を内包する住居「美孔庵」。市街地に位置しながらも、市中山居として世俗から離れた茶の湯空間と日常を併せ持った住宅である。
12年の月日を経て更に建主のライフスタイルを拡張するように、母屋東隣にご主人の趣味としての無線や読書空間、 そしてご夫婦共通の趣味としての音楽や演奏会・映像の鑑賞空間をつくり、愛犬仲間と一緒に楽しめる新たな離れが求められた。
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以下、建築家によるテキストです。
多様化する現代の日常と非日常
別荘といえば、本宅における日々の生活から距離をとり、自然の中で非日常の特別な時間を過ごす場所という近代からのひとつの形式がある一方、働き方や余暇の楽しみ方などライフスタイルが多様化する現代において、そもそも日常/非日常が切り分けられるものなのだろうか。
わざわざ特別な場所に非日常を求めて行くのではなく、日常の延長に余暇を楽しむ住居を考えてみたい。
今回増築した離れに対する母屋は、2007年に私自身が設計を手掛けた4つの茶室を内包する住居「美孔庵」。市街地に位置しながらも、市中山居として世俗から離れた茶の湯空間と日常を併せ持った住宅である。
12年の月日を経て更に建主のライフスタイルを拡張するように、母屋東隣にご主人の趣味としての無線や読書空間、 そしてご夫婦共通の趣味としての音楽や演奏会・映像の鑑賞空間をつくり、愛犬仲間と一緒に楽しめる新たな離れが求められた。
矩形で静謐な茶の湯空間とは対照的に、演奏する音を起点に人の振る舞いを包み込む胎内のような有機的な場所を目指した。
具体的には、母屋2階の主寝室を離れ東側へ移すことで、東西約40mのリニアな日常動線の合間に茶室や今回のホールなどが絡み合う平面とした。
そして、ホール中心に各居室が取り巻く。湾曲する平面・断面を持つ中央ホール形状は飴細工のように西面へ延伸し、曲率の異なる21本の集成材による円弧梁とうねる壁面によって3次曲面空間となり、音響的な効果と広がりをもたせた。また、外部への接続部を最小限とする内向的な空間でありながらも、壁面上部スリットからの屈折させた柔らかい自然光による光の階層とゆるやかに下るスロープのアプローチによって中央ホールはより立体的で深淵な場とした。
色とりどりの音と人を包み込む仕覆として、またひとときの豊かさを協和する至福の器として、日 常/非日常という時間を特別に切り替えることなく住まい手の日々を充足させるこの「しふく」は、現代の仕事と余暇の過ごし方を拡げる住まいとなるだろう。
(前田圭介/UID)
■建築概要
建築名称:しふく
設計監理:前田圭介/UID
英文事務所名:Keisuke Maeda/UID
構造:tmsd萬田隆構造設計事務所
造園:橋本善次郎/LANDSCAPE NIWATAN
施工:武田組
主構造:木造
用途:専用住宅
規模:地上1階
敷地面積:574.03㎡
建築面積:350.33㎡(増築:114.31㎡ 、既存:236.02㎡)
延床面積:315.33㎡(増築:101.12㎡ 、既存:214.21㎡)
種別 | 使用箇所 | 商品名(メーカー名) |
---|---|---|
外装・壁 | 外壁1 | 杉板[本実加工、防腐剤加圧注入材] t=15mm OS |
外装・壁 | 外壁2 | |
外装・壁 | 外壁3 | |
外装・屋根 | 屋根 | ガルバリウム鋼板 t=0.4mm 縦ハゼ葺き |
内装・床 | 床1 | |
内装・床 | 床2 | タイルカーペット貼り:モデルノGX5623(TOLI) |
内装・壁 | 壁1 | |
内装・壁 | 壁2 | クロス貼り(サンゲツ) |
内装・天井 | 天井 | 針葉樹構造用合板 t=12 OS、梁現し OS |
内装・照明 | 照明 | |
外構・床 | 外構床 | ジャミコンクリート洗い出し |
外構・植栽 | 植栽 | ヤマツツジ、ラカンマキ、ソヨゴ、ハクサンボク、モッコク、リキュウバイ、クロモジ、アブラチャン、ヤマアジサイ、ツバキなど |
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