all photos©市川靖史
UME architects / 梅原悟が設計した、京都の住宅「北白川の角家」です。
敷地は近くに白川疎水が流れる京都・北白川、東に大文字、南に吉田山、前面道路を挟んだ北側には大学植物園の自然豊かなオープンスペースが見渡せる。また隣が児童公園のため、実質的に街区の角地である。
そういった敷地に建つ建築の在り方として、まず景観における重要な要素である屋根に着目し、設計を行った。周辺は閑静でありながら道も狭く込み入った新旧の小住宅が建ち並び、その屋根群や外観もバラバラである。そこで建物ではなく、敷地に対して適切な屋根を、プログラムとは切り離してスタディした。その結果、対角線に稜線をもつシンプルな勾配屋根を選択することにした。これは、京都市の景観条例(屋根の種類)において前例がなかったことから優良デザイン会議にて審議され、話し合い、承認を得ることができた。(このような手続きはオランダでは一般的であったため、設計意図を理解してもらうに十分な準備と説明ができたためであろう。) 形骸化しつつある京都市の景観条例に対し、住宅という規模であっても本質的に景観を検討するという具体的回答例を提示することができた。