H&deM(ヘルツォーグ&ド・ムーロン)出身の建築家 石田建太朗へのインタビュー「完全ではないものがもたらす空間のおおらかさ」が、AGCのサイトに掲載されています。
SANAAが2019年に完成させた、フランス・パリの公営集合住宅「マレシャル・フャイヨール通りのアパートメント」です。こちらのサイトではその他の写真と図面が閲覧できます。
撮影したのは東京を拠点とするフランス人写真家・映像作家のビンセント・エシテです。
山田紗子のウェブサイトに、東京の住宅「waseda house」の写真が18枚掲載されています。
夫婦と子供二人のための住宅である。場所は早稲田の賑やかな学生街から少し離れた古くからある住宅地で、ブロック塀や生垣、石積みの塀に挟まれた細い路地や階段が、毛細血管のように張り巡らされている。案内されたのは間口4.1m、奥行き12.5mという所謂鰻の寝床と呼ばれるような敷地で、その奥行きの深さは早稲田の小路がそのまま続いているようで、すでに親密な空間がそこにあるように感じられた。
この家の家事の多くは父親がこなしている。洗濯乾燥機で上がった衣類をそのままハンガーにかけておける広いランドリー空間、コンパクトで無駄のないキッチンと一体のダイニングスペース、家事のしやすい動線等は、そんな父親からの要望だった。そして限られたスペースでも、仕事と育児に疲れた時に引き篭もれる自分だけの場所がほしい、というのが多忙な母親の要望であった。また東西と南は隣地が迫り土地に余裕が無いものの、それでも外を感じられて、ゆったりとした気持ちになれる空間を希望しているということだった。
必要諸室を考えると生活空間は自然と縦の方向へ伸びて行く。どうしても居室に対する階段の占める面積が大きくなってしまうので、いっそのこと家の真ん中に、階段のような、床のような、どちらでもありえるものを作ったらどうだろうかと考えた。頭の中には数年前にブラジルに行った際に訪れた、リナボバルディがリノベーションを行った展示室の階段があった。それは無垢の木材のみで作られた大きな螺旋階段で、1段に人が2、3人腰掛けられるくらいの幅広の段板がゆったりと中央の丸柱を中心に伸び上がり、1階と2階を繋いでいた。部屋の大きさは全く異なるが、床のような階段がそれぞれの生活空間を繋いでゆけば、階段が邪魔者扱いされることもなくなるだろうし、リビングやダイニングといった名前がついている部屋ではない、自由に腰掛けて気ままに過ごせる場所が、家の真ん中に広がっているのはなんだか楽しそうである。
大きな螺旋階段は構造や施工の点から鉄骨造となった。むき出しの鉄の持つ肌触りが、クリーンに仕上げられた居室と対照的に野生的であり、周囲に絡みつきながらぐんぐんと育っている蔦植物のようでもある。またこの階段の空間は、外構のほとんどないこの家の庭でもある。4つの天窓と隣地の通路に開いた大きな開口によって、外部のように明るい空間となった。家族は部屋を行き来するたびにこの庭のような空間を通ることになる。また時には階段がそれぞれの部屋の延長として使われ、椅子になったり机になったりもする。早稲田の路地がそれぞれの家の庭先を繋いでいるように、すべての部屋がいつの間にかこの階段によって繋がってゆくことで、ゆったりとした心地よい家になると良いなと考えている。
メキシコの建築家タチアナ・ビルバオの、ルイジアナ美術館での建築展の会場動画です。会期は2020年4月5日まで。
会場写真も見ることができる展示の公式ページはこちら。
アーキテクチャーフォトで、先週(期間:2020/2/24-3/1)注目を集めたトピックスをまとめてご紹介します。リアルタイムでの一週間の集計は、トップページの「Weekly Top Topics」よりご覧いただけます。
- 玉上貴人が20年以上前の設計事務所勤務時代、先輩から出題されたという立体クイズ
- 妹島和世・乾久美子・藤原徹平らが審査した「横浜国立大学西門等コンセプト・デザインコンペ」の結果と提案書が公開
- 隈研吾のデザイン監修と鹿島建設の設計・施工で進められている、埼玉・所沢市の「角川武蔵野ミュージアム」の外観写真
- 蘆田暢人建築設計事務所による、新潟・南魚沼市の、築約50年の温泉旅館の改修「ryugon」
- 飯田善彦建築工房の設計で完成した、京都市の「龍谷大学深草キャンパス成就館」の見学会が開催
- 蘆田暢人建築設計事務所による、静岡・熱海市の「熱海の塔状住居」
- 長谷川欣則+堀越ふみ江 / ウエノアトリエ UENOAによる、埼玉・東松山市の住宅「QUARTER house」
- 田村直己 / ttt architectsによる、東京・港区の飲食店「赤坂のスナック」
- タトアーキテクツ / 島田陽建築設計事務所が2017年に完成させた、大阪の「高槻の住居」の写真など
- クラーソン・コイヴィスト・ルーネが建築・空間デザイン監修した、東京・日本橋兜町の築97年のビルを改修した、ホテルや店舗などの複合施設「K5」
- 成瀬・猪熊建築設計事務所が会場設計を手掛けた「2019年度グッドデザイン賞受賞展」
- 成瀬・猪熊建築設計事務所の内装設計による、福岡市の宿泊施設「ナインアワーズ中洲川端駅」
- 【ap job更新】 株式会社 須藤剛建築設計事務所が、設計スタッフ(正社員)、プレス・事務スタッフ(時短勤務可)を募集中
- 大阪の「寝屋川市第四中学校区小中一貫校」設計プロポで、梓・隈研吾・オオバ共同企業体が契約事業者に
- A Nomad Sub+ナノメートルアーキテクチャーによる、大阪市の障碍者就労支援施設「PALETTE」
- 慶應SFC時代の佐藤雅彦研究室での、佐藤雅彦とのやり取りを当時の学生が回顧して執筆されている「佐藤先生に教わったこと」
- 隈研吾による、韓国・慶州市の展示ホール「慶州国際博覧会記念館」の写真
- 大江匡さんが亡くなりました
- X+Livingによる、インドの階段井戸を想起させる空間を持つ、中国・重慶市の書店「Chongqing Zhongshuge Bookstore」の写真など
- ネリ&フーによる、中国・北京近くの、既存ビルを改修した文化施設「Junshan Cultural Center」の写真など
- 今年のプリツカー賞受賞者が、米国東部標準時の3月3日10時に発表
- アトリエ・ジャン・ヌーヴェルが2019年に完成させた「カタール国立博物館」
- 【ap job更新】 地域社会と対話するコーヒースタンドの運営や、大学との連携が特徴的な 落合正行の「PEA…/落合建築設計事務所」が、設計スタッフ・アルバイトを募集中
- OMAが2017年に完成させた、カタール・ドーハの「カタール国立図書館」
- 【ap job更新】 山路哲生建築設計事務所が、2020年度の設計スタッフ(経験者・新卒・業務委託・パートタイム)を募集中