ツバメアーキテクツ+バルーン+パナソニック ホームズが設計した、東京・墨田区の、シェア施設をもつ「押上のビル PLAT295」です。ハウスメーカーの構法を前提に、施主・メーカー・建築家が協働して完成した建築です。施設の公式サイトはこちら。
本プロジェクトは、シェアオフィス・シェアキッチン・賃貸住戸・オーナー住戸が一体となった5階建てのビルである。
既存建築の建て替えが決まった時点で、ハウスメーカーが施工を担当することが決まっていた。下町の結節点となるシェアオフィスやシェアキッチンをつくりたいという施主の要望があり、建築に「ハウス」以外の用途が混ざることになった。ハウスメーカーの構法を使いながらも、職住近接を実現するために施主の翻訳者のような立ち位置としてツバメアーキテクツが伴走することになり、施主・ハウスメーカー・建築家の3者で協働を行いながらプロジェクトが進行した。
ツバメアーキテクツとしてはデザインの「調整役」としてではなく、ハウスメーカーの構法を駆使することによって、汎用性高くかつ場所に寄り添った使い方を可能にする新しいバランスのビルをつくることを目指した。
プロジェクトが開始して以降、幾度となく持っていく提案に、メーカーによる制約が立ち現われ、その特徴を理解することから始まり、無足場工法をはじめとした狭小・角地への敷地対応力などの強みが解明された。そのノウハウを最大限に活かしながら、ルールに則りながらも従来の商品化住宅の枠を越えた新たなプロトタイプとなるような職住一体の建築を実現した。産業的構法の中で、シェアスペースやバルコニーなどの都市に開いた「活動領域」と「住戸領域」を均衡させたことで、コロナのような予期せぬ状況にも柔軟に対応できるようなビルとなった。