ファラが設計した、ポルトガル・ポルトの、6住戸の集合住宅「six houses and a garden」です。部屋を構成する床・壁・天井等の素材感と開口部等の幾何学の組み合わせによって慣習に捉われないリビングルームを実現しています。
ファラは、フィリップ・マガリャインシュ(filipe magalhães)、アナ・ルイサ・ソアレス(ana luisa soares)、アーメッド・ベルホジャ(ahmed belkhodja)の3人が主宰する建築設計事務所で2013年に設立されました。それぞれ、SANAA、伊東豊雄、アトリエ・ワンという日本の設計事務所に勤務やインターンした経験をもつことも特徴です。またフィリップとアナは、日本滞在中は中銀カプセルタワーに居住していました。
こちらは、建築家によるテキストの翻訳
同じような外観を持つ2つの建物、1つはとても長く、もう1つはとても短い。同じものが4つ、例外的なものが2つの計6つの家が、1つの共通の庭を囲んで、街区の中に隠れています。細分化された現実を結びつける一つの建築。
それぞれの内部空間の構成は、直交線、対角線、曲線を組み合わせています。部屋のわずかに歪んだ外周がフレームを構成しています。
主要な空間は、副次的なプログラムを構成する相対する面々を引き算することで生まれます。細い金属製のポールは垂直方向の緊張感をもたらし、丸い開口部は不均等なプログラムをつなぎます。非常に小さなボリュームの中で、この両義的な幾何学の組み合わせは、非常に慣習に捉われないリビングルームを実現しています。
洗練されていないインテリアの素材感は、その複雑さに従ったものです。壁は単なる白、水平のスラブは無愛想なコンクリート、床は磨かれた青い大理石、傾いた天井はピンクに塗られています。木製のドア、誇張されたハンドル、そしてピンクの大理石の気配が、この表面のゲームに添えられています。
外側では、どこからどこまでが個々の家なのかわからないように連続して柱廊を形成し、共有の庭園を囲んでいます。ファサードは、細い金属製の柱、ストライプの入った青いドア、黒い箱状の天窓など、いくつかのリズミカルな列が重なっています。屋根は2層構造になっていて、金属板の下にピンク色の波状の平面を貼り付け、表面の薄さを強調しています。周りには、最も正直で美しい都市のシナリオがあり、このような建築的な試みのための理想的な背景となっています。