岸和郎+K.ASSOCIATESのウェブサイトに、奈良の住宅「西ノ京丘陵の家」の写真が12枚掲載されています。
夫婦二人+子供という核家族のための住宅であり、奈良の郊外に建つ。
日常的に使用する自動車や趣味のための二輪車などの台数が多いため、前面道路に面しては駐車用のスペースが間口一杯まで必要になる。そのためファサードはその分だけセットバックし、1階の趣味室が大きく開放している以外は閉じた表情としている。
北西隅に中庭を持つL型平面の1階の東側には主寝室、南側には子供室、和室など、プライベートな色合いの強い空間を配し、北西に配置した中庭にそれぞれの部屋が面する。中庭へと向かう視線が他の部屋からの視線と交わることの無いよう、中庭に向かう開口部はどちらかというと小さく計画し、中庭の独立性を確保するように計画した。
それと対比的に、2階に配置したリビング・ダイニング・スペースは南に寄せて配置し、北側に向けて大きな開口部を設ける。天井高は3.2mを確保し南側壁面上部にはスカイライトを設けることで天井面の高さを強調し、また北側の光の安定した風景を主寝室上部のウッドデッキのテラス越しに見ることで、ほとんど外部空間に暮らすかのようなリビング・ダイニング・スペースを実現した。北側の風景は水平方向に展開し、太陽光は南側のスカイライトから垂直に差し込むことになる。 禅宗の書院では北側に一日中東から西へ移動する太陽の光を常に受ける緑の庭を楽しみ、南庭は石庭などの抽象的な素材による光と影の庭とし、さらにその地面からの太陽光の反射と拡散を暗い屋根裏の空間が受けることで内部の空間に光の陰影が出現するという空間構成であるということ、それを現代の都市住宅で実現したいと考えて試行した建築である。