古谷誠章+桔川卓也 / NASCAが設計した、東京・中野区の「実践学園中学・高等学校 共学館」です。街への活動のショーケースとなるべく考えられ、機能的役割も担うスクリーンによって一塊の建築としての佇まいを与えることで、記憶に残る個性的な姿の創出が目指されました。
実践学園は交通至便の都市部に立地する中高一貫の学校であり、12歳から18歳までの多様な教職員・生徒の皆さんが毎日通勤通学している。2011年竣工の自由学習館を設計した縁で、新しく山手通りに面した共学館の設計にも携わることとなった。
建築とは「人と人が出会う場所」をつくることというのが私たちのモットーであり、数多くの個性豊かな方々がここで出会い、共に学ぶことができるよう、この館内にいることが楽しく、どこにいても居心地の良さを感じてもらえるような建築のデザインを心がけた。
自由学習館が公園の緑に面した静謐な学びの空間であるとすれば、共学館は活発で賑やかに過ごすことのできる動きのある空間。表の多くの人々や車の往来に対して、いわば実践学園の活動のショーケースともなるものと考えて、ひとたびこの建築を見たらそれだけで記憶に残るような、個性的な姿を創り出したいと考えた。
建物の表の顔ともいえるアルミ製のルーバー・スクリーンは、様々な機能が積層するこの施設にひとまとまりの建築としての佇まいを与え、また、時に眩しい日射を遮り、交通騒音を緩和し、表を通る人からの視線を和らげる、いわば「格子戸」のような役割を果たしている。このルーバーの菱形は下層階では横長で密度が高く、上層の階へ行くに従って次第に縦長になり、密度がさがり見通しが良くなるよう変化させた。その変化がまた地上に近い階での騒音の減衰に役立ち、上の階での眺望の良さを生み出している。