平瀬有人+平瀬祐子 / yHa architectsが設計した、福岡の公園施設「天神中央公園 ハレノガーデン」です。Park-PFIでの再整備計画として園内の3棟を設計、既存の重要文化財を引き立てる風景となる事を意図し、地形と建築が連続しヴォリューム感を低減する“地形的建築”で一体感ある風景の創出を目指しました。天神中央公園は県の公園で、施設の公式サイトはこちら。
福岡・天神の東端・西中洲エリアに建つ木造2階建てのフレンチルネサンス様式の洋風建築である旧福岡県公会堂貴賓館(設計:三條栄三郎/1910年)は、1956年以降県教育委員会庁舎として使われていたが、1981年の県庁移転に伴って1984年に国指定重要文化財に指定されている。1989年に旧県庁跡地は天神中央公園となったが、30年近く経過して多くの樹木が生い繁り、北側道路や那珂川対岸から公園内への見通しを遮っている状態であった。
本計画は、福岡県による歴史的景観・水辺景観・公園の緑の景観の再整備に併せ、Park-PFI事業(2017年の都市公園法改正の施行により創設)によって民間事業者が飲食機能を有した便益施設(公園施設/EAST・WEST)2棟を整備運営するとともに、収益の一部を活用して公園利用者のための休養施設(特定公園施設/boat house)整備を行うスキームの国内2事例目である。
北側道路から旧貴賓館を引き立てる風景となるよう、カフェ・レストランの入るEASTは地形が連続しつつボリューム感を低減するような造形とすることで、ランドスケープとの調和を図った。那珂川沿いには水辺を楽しめるデッキテラスを設けるとともに、軒先を一部跳ね上げることでより開放的な眺望を望める空間としている。
軒先を休養施設(水上バス事務所)のboat houseと連続させることで、2つの建築の間に旧貴賓館がフレーミングされるような、対岸から一体感を感じる印象的な風景をつくっている。