スキーマ建築計画の長坂常が、尾道の築110年の古民家を買い取り“アーティスト・イン・レジデンス”として再生させるプロジェクトを始動。修繕方法のオープン化を行い、風景の保存も目指し、クラファンを実施中 photo courtesy of スキーマ建築計画
スキーマ建築計画 の長坂常が、広島・尾道市の築110年の古民家を買い取り“アーティスト・イン・レジデンス”として再生させるプロジェクトを始動させています。本プロジェクトでは、車の入る事ができない尾道での古い家屋の修繕方法のオープン化を行うことで、風景の保存も目指しています。また、それに伴いクラウドファウンディングも実施されています。
こちらは長坂からのメッセージ。
大切な風景を「残す」仕組みをつくりたい
―築110年の建物を活用し、課題解決の仕組みづくりへ
建築家、スキーマ建築計画代表として東京で活動する私、長坂常は、旅先の広島県尾道市の山手地域で、築110年以上の今は誰も住んでいない建物に一目惚れし、縁あって前オーナーから譲り受けることになりました。
そこにしばらく滞在し、この地域に魅了されると同時に、他の地方都市と同様、高齢化に伴う人口減少の問題、さらに、車が入ることのできない斜面地のため、古くなった建物の改修が容易ではないなど、この地域が抱える様々な課題を実感した私は、よそ者ではありますが、「建物だけではなく、心から大切にしたいと感じたこの美しい尾道の風景を、このままでは残していくことができない」という危機感から、今回のプロジェクトを立ち上げました。
まずは、この歴史ある建物を次の時代に残していけるように、修繕工事を実施します。尚、この工事の詳細をオープン化することで、尾道や近しい条件の他の地域で、同じような境遇で困っている人たちのガイドの一つになればと考えています。
さらに完成後の建物は「LLOVE HOUSE」と名付け、世界中から訪れるクリエーターに中長期的に滞在してもらえる、アーティスト・イン・レジデンスとして活用していく予定です。そこで新しい文化交流のあり方を提案しながら、クリエーターと地域の人々が相互に影響を与え合うことで、山手での暮らしを豊かにするきっかけをつくっていきたいと計画しています。
今回、「一人が多くの資金を投じたから、残すことができた」というあり方ではなく、この取り組みに賛同くださる方々に参加してもらい、「この場所を一緒につくっていく一員」として、まずは建物を残すこと、その先の新しい文化交流、それを通じたコミュニティづくり…できるだけ多くの皆さまと私たちの経験を共有する方法を模索していきたいと考え、今回クラウドファンディングに挑戦することにいたしました。
大切な風景を残したいという一建築家の思いとこれからの取り組みに賛同いただける方からのあたたかいご支援をお待ちしております。
以下に、長坂が修繕を手掛けている建物の写真を掲載します。