長坂常 / スキーマ建築計画による、東京・千代田区の「リクルート 九段下オフィス」
元大学校舎の4棟を改修し企業の執務空間とする計画、バラバラの状態をまとめる事を目指して機能諸室の配置を考慮し全棟の1階床にレンガを敷き詰め関係性を構築、コロナ過以降の事務所のプロトタイプも志向されました。
コロナ禍を通して、大きく働き方が変わり、その受け皿であったオフィス空間も大きく変わろうとしている。
そんな中、各社指針を決め新たなオフィススタイルを提案するようになっており、リクルートもその一つとしていち早く動き始めた。今回我々は、満員電車に乗って中心に向かうのではなく、混み始める一歩手前、たとえば、三鷹とか溝口、武蔵小杉など郊外と都心の境界にある街を拠点とした「中規模オフィス」を一つの新しい働き方の指針として示し、そのプロトタイプとして九段に新たなオフィスを計画した。
そして、そのうち我々は1~2階の共用部と上階の一部を設計した。
ただ、入ったビルは大きなフロアを集めたいわゆるオフィスビルではなく、小割の古い元大学校舎をリノベーションした。偶然とは思うが、小割りになっているため色々な集合のあり方を作り、実験でき、今後できる中規模オフィスに相応しい集合のあり方をこの施設を通して考えようとした。
まず、既存建物だが、西面、南面、北面にあり、その三つが囲う中庭のようなところに中央棟が建つ。まず、元々4棟に分棟になっている上、それぞれ入り口もことなれば、レベルも違うのでそれぞれ地上に降りてきてもバラバラに外に出てまとまりが得られない会社になることが心配された。
また、中央棟が後から仮設的に建てられたからかエレベーターもなく、風景の抜けもないことから吹き溜まり感の強いところだった。
そこで、まずは中央棟をコンビニや休憩スペースなどいやす場所にし、気持ちとして絶えず中央を向いているように計画した。また、そこでの活動が建物間の間で共鳴し上階まで伝わるように考えた。また、各々バラバラな建物、そしてその入口を繋ぎ止めるとめ、それぞれ共同意識を高めるためにレンガを各棟の1階に敷き詰め、段差も超えて関係性を築こうと考えた。