八木祐理子+高田一正 / PAN- PROJECTSによる、ローテーブル「mum」。廃棄漁具を再利用して素材から開発。新しい価値の創出を目指し、原材料を“海からの恵み”と再定義して“母なる海”を想起させる“食卓”を制作。リサイクル過程で生まれる不規則な素材感も“海面”に見立て活かす
八木祐理子+高田一正 / PAN- PROJECTSによる、ローテーブル「mum」。廃棄漁具を再利用して素材から開発。新しい価値の創出を目指し、原材料を“海からの恵み”と再定義して“母なる海”を想起させる“食卓”を制作。リサイクル過程で生まれる不規則な素材感も“海面”に見立て活かす旅館に設置される座卓サイズのローテーブルとなっている。 photo©PAN- PROJECTS
八木祐理子+高田一正 / PAN- PROJECTSによる、ローテーブル「mum」。廃棄漁具を再利用して素材から開発。新しい価値の創出を目指し、原材料を“海からの恵み”と再定義して“母なる海”を想起させる“食卓”を制作。リサイクル過程で生まれる不規則な素材感も“海面”に見立て活かす加工を加えた側面。石のような質感となる。廃棄プラスチックの取り除きれない汚れや、不規則な粒の大きさ等に起因する素材の揺らぎが、表面に波模様のように現れる。 photo©PAN- PROJECTS
八木祐理子+高田一正 / PAN- PROJECTSによる、ローテーブル「mum」。廃棄漁具を再利用して素材から開発。新しい価値の創出を目指し、原材料を“海からの恵み”と再定義して“母なる海”を想起させる“食卓”を制作。リサイクル過程で生まれる不規則な素材感も“海面”に見立て活かす最終的に生み出された艶やかな漆黒の天板は、海そのものを表現しているようであり、素材自体のストーリーを伝えている。 photo©PAN- PROJECTS

八木祐理子+高田一正 / PAN- PROJECTSが設計した、ローテーブル「mum(マム)」です。
廃棄漁具を再利用して素材から開発されました。建築家は、新しい価値の創出を目指し、原材料を“海からの恵み”と再定義して“母なる海”を想起させる“食卓”を制作しました。また、リサイクル過程で生まれる不規則な素材感も“海面”に見立て活かす事も意図されました。

「mum」は、サスティナブル・スタートアップ企業であるREMAREの依頼を受け、漁業を行う上で必然的に生まれる大量の樹脂製廃棄漁具の問題に対し、素材開発及び家具の制作を行ったものである。地元漁師のコミュニティと連携し、現在問題化しているネットやブイ等を主に取り扱い、その意味と、そこに新しい価値を見い出すことを目指した。

建築家によるテキストより

計画は先ず、海から収穫される海洋プラスチックや破損した漁具なども、海からの恵みであると再定義し、海洋プラスチックが既に環境の一部となった「現代における新しい自然とは何か」と問いかけることから始まった。海洋プラスチックは一般的に汚染として考えられているが、もう海からこれらを完全に取り除くことは出来ない事が分かっている。ならばこれはもう新しい自然物として受け入れる他無い。ここで大切なのは、この新しい自然とどう私達が関係を結ぶかである。

建築家によるテキストより

こうした考えをベースに、我々は海洋プラスチックをリサイクルする過程において、必然的に生み出される波のような不規則なテクスチャーに着想を得て制作を行った。汚れや、不規則な粒の大きさ等に起因する素材の揺らぎが、制御しきれない要素として素材に現れる。これは自然素材を扱う時の感覚に似ている。木材の木目や石材の模様を人の都合で完全にはコントロール出来ないように、海洋プラスチックが生み出すこの揺らぎは個別の特性で、工場から生成される樹脂製品とは全く異なるものである。

この素材特性そのものを活かし、オーシャンプラスチックを自然界の素材として表現することをテーマとした。木目そのものを自然が生み出した模様として愛でるように、オーシャンプラスチックの揺らぎそのものを素材の個性として、そのままに表現する。最終的に生み出された艶やかな漆黒の天板は、海そのものを表現しているようであり、素材自体のストーリーを伝えている。

建築家によるテキストより
川嶋洋平建築設計事務所による、東京・武蔵野市の、テナントビル「O_building」。二面接道の旗竿形状の様な敷地。場の特性に応える在り方を求め、隣地との“隙間”も積極的に検討して公道同士を繋ぐ“小道”を創出。“ハーフミラー”の塀で不利な条件を緩和しながら多様な体験と景色を作る
川嶋洋平建築設計事務所による、東京・武蔵野市の、テナントビル「O_building」。二面接道の旗竿形状の様な敷地。場の特性に応える在り方を求め、隣地との“隙間”も積極的に検討して公道同士を繋ぐ“小道”を創出。“ハーフミラー”の塀で不利な条件を緩和しながら多様な体験と景色を作る photo©TOREAL 藤井浩司
川嶋洋平建築設計事務所による、東京・武蔵野市の、テナントビル「O_building」。二面接道の旗竿形状の様な敷地。場の特性に応える在り方を求め、隣地との“隙間”も積極的に検討して公道同士を繋ぐ“小道”を創出。“ハーフミラー”の塀で不利な条件を緩和しながら多様な体験と景色を作る photo©TOREAL 藤井浩司
川嶋洋平建築設計事務所による、東京・武蔵野市の、テナントビル「O_building」。二面接道の旗竿形状の様な敷地。場の特性に応える在り方を求め、隣地との“隙間”も積極的に検討して公道同士を繋ぐ“小道”を創出。“ハーフミラー”の塀で不利な条件を緩和しながら多様な体験と景色を作る photo©TOREAL 藤井浩司

川嶋洋平建築設計事務所が設計した、東京・武蔵野市の、テナントビル「O_building」です。
二面接道の旗竿形状の様な敷地に計画されました。建築家は、場の特性に応える在り方を求め、隣地との“隙間”も積極的に検討して公道同士を繋ぐ“小道”を創出しました。そして、“ハーフミラー”の塀で不利な条件を緩和しながら多様な体験と景色を作る事も意図されました。

東京都武蔵野市に設計した地上3階建てのテナントビルの計画です。
敷地は南北の2つの道路に接道する旗竿形状のような特徴的な敷地となります。

建築家によるテキストより

本計画では隣接する建物との隙間を積極的に計画することで、2つの道路を繋ぐ動線と隙間のシークエンスを主に検討しています。

建築家によるテキストより

建物の計画としては条例で決められた斜線をかわしながら外部階段を配置し各階にシンプルなテナント区画を積み上げた構成となります。斜線をかわすことによってできた小道は建物の隙間を通り抜けるように2つの道路を繋いでいます。

敷地は商業地域のため隣接する建物も本敷地ギリギリまで立ち並んでいることから隙間の小道は圧迫感があり薄暗くなってしまう時間帯が多いことが懸念されました。そこでハーフミラーの塀を立てる計画としました。
その塀は隙間に差し込む1日の日差しの明暗の移り変わりを細かく拾いながら、こちら側の敷地を映したり、向こう側の隣接する建物の裏側を透過させたり、2つの景色を重ねたりします。

建築家によるテキストより
最も注目を集めたトピックス[期間:2023/3/27-4/2]
最も注目を集めたトピックス[期間:2023/3/27-4/2]

アーキテクチャーフォトで、先週(期間:2023/3/27-4/2)注目を集めたトピックスをまとめてご紹介します。リアルタイムでの一週間の集計は、トップページの「Weekly Top Topics」よりご覧いただけます。


  1. 藤本壮介による、東京・渋谷区の「西参道公衆トイレ」。都心部の幹線道路沿いの敷地。公衆トイレを“都市の泉”と捉えて“新しい公共空間”を目指し、中央が凹んだ“うつわ”の様な“手洗い場”を持つ建築を考案。“小さなコミュニティ”が生まれる契機を作る事も意図
  2. 伊庭野大輔と藤井亮介による、東京・渋谷区の「ディアゴナルの住宅」。住宅密集地に計画。空間の“繋がり”と風景との“結合“を求め、全体をスキップフロアで連続させた上で床・壁・家具の操作で周囲との多様な関係性を構築。各要素を外部の形態と近似させて建築の“都市化”も意図
  3. 藤田雄介+伊藤茉莉子 / Camp Designによる、東京・北区の「野縁の家」。建て込んだ場の再建築不可の木造住宅の改修。採光確保を設計の主題として、天窓等からの光を拡散する“半透明ポリカの光天井”を考案。内部建具の見付も“極限まで”細くして光で満たされる空間を作る
  4. 菊嶋かおり+永澤一輝 / knofによる、東京・江東区の住戸改修「Y / wardrobe」。大量の衣服を持つ施主の為に計画。大きな“クローゼット”の要望に、床面積の約半分を“ワードローブ”として生活の中心に据える設計を志向。保管だけでなく“選ぶ・片づける・共に過ごす”楽しみを生み出す
  5. 藤原・室 建築設計事務所による、大阪・吹田市の「南千里の家」。住宅街の段差のある敷地。場の特性を生かした空間を目指し、レベル差のある床と3つの庭で“目線を変化”させ“多様な広がり”を生む建築を考案。施主の職業を尊重して内外装に“和の仕上げ素材”を用いる
  6. 山縣武史建築設計による、東京・杉並区の、賃貸集合住宅「高井戸のタウンハウス」の内覧会が開催。子供も遊ばせられる“中庭中心”の配置計画で、“空気循環の仕掛け”等の“快適な暮らしを支える工夫”を実施。建築関係者に加えて“賃貸住宅の建設を検討されている方”の参加も歓迎
  7. 曽我部・吉岡研究室とマチデザインと長谷川明事務所による、愛媛の「来島海峡サービスエリア仮設店舗」と「大三島みんなのワイナリー醸造所」。“仮説店舗”を使用後に“醸造所”に再活用。店は、低コストと再活用を前提に、地域の“タバコ乾燥小屋”を想起させる建築を考案。醸造所は、既存部材に新部材を加えて要求機能に応える
  8. OSTR / 太田翔+武井良祐による、移動型サウナ「サバス」。路線バスの車両をサウナに改修。転用だから生み出せる“体験”を目指し、既存の座席配置等の活用に加えて“バスの廃材”を再利用して空間を構築。風景に馴染む“バスでありサウナであり建築”も志向
  9. KASAと湯浅良介による建築展「In Between Two Houses」の会場写真。石上純也事務所と内藤廣事務所で其々に経験を積んだ二組の建築家の展覧会。“対話”をテーマとして各自が構想した“家”に関する作品を公開。畝森泰行と金野千恵の事務所でもある東京台東区の“BASE”を会場に開催
  10. 桐山啓一 / Airhouseによる、愛知・名古屋市の「八事の家」。自然に囲まれた急傾斜の敷地。平地の無い状況での合理性も意図し、4本の鉄骨柱で支えるRC床の上に“木造の家”が載る構成を考案。木々と床の高さの関係を検討して“森に浮遊する”様な住環境を作る
  11. 香取慎吾と小嶋伸也・小嶋綾香 (kooo architects)のコラボレーションによるインスタレーション「庵柔 An ju」
  12. 坂本拓也 / ATELIER WRITEによる、東京・港区の「OVERCOAT TOKYO」。衣料品ブランドの直営店併設のスタジオ。技術に定評がある同社の“素の現場”に価値を見出し、“直接作り手から話を聞いて服を買う”空間を志向。“商業的な顔”の作り込みではなく“即興的”な設計も意図
  13. 清水義文 / SOU建築設計室による、東京・西東京市の、医療複合施設「LIFE MEDICAL CARE いずみ」。未病維持から看取りまでを担う地域拠点となる施設。様々な用途が“適度な距離感”で共存する場を求め、“町並み”を想起させる“小屋の集合体”の様な建築を考案。特徴的な外観は周辺の住宅街との親和性も意図
  14. ファラによる、ポルトガルの集合住宅「houses of cards」。5つの住戸を持つ建築。“遊び心”のある“帯状”の要素で全体を包んで、住戸群をひとつに見せかけ“集団と私的の緊張関係にあるオブジェ”を志向。内部では道と庭を繋ぐ横断的な構成の中に擬似的な中心を作る
  15. UID前田圭介・原浩二・山澤達義が審査した、中国電力主催の建築アワード「エネルギア住宅作品コンテスト」の入賞作品を公開。第26回目の開催となり、新築住宅・リフォーム住宅・学生の3部門で応募を募り、“計12作品”が選出
  16. へザウィック・スタジオの、森美術館での展覧会「共感する建築」。世界中でプロジェクトを手掛けるファームの日本初の展示。主要プロジェクト“28作”を模型や素材サンプル等で紹介。会場構成は同スタジオが日本の“暖簾”等に着想を得て考案
  17. 元木大輔 / DDAAによる、大阪市の店舗「sukima Osaka」。既存木造建物を活用した服飾ブランドの店。商品デザインの特徴である“リミックス的手法”の延長上の空間を求め、既存に手を加えず“レイヤーを足す”設計を志向。改装ではなく“加装”と捉えて用いる素材等も探求
  18. 関口貴人と新明工産による、埼玉・飯能市の、新築平屋の美容院「Hair room TOARU」の内覧会が“3/26”に開催。平田晃久事務所出身の建築家による独立最初の作品。カットスペースを構成する鏡を“3m”を超えるサイズにまで拡大して空間を構成。目の前に座る自分だけでなく緑や街をも映し出す
  19. MVRDVによる、オランダの店舗「NIO・ハウス・ロッテルダム」。電気自動車の企業の為に計画。施主の思想と地域の特徴の融合を求め、共通点の“柔軟性”を基にして上下動するテーブルや外に拡張可能なカフェ等を考案。様々な歓迎の用途を盛り込んで街の活気への貢献も意図
  20. 二俣公一 / ケース・リアルによる、中国・四川省の「イッセイ ミヤケ 成都SKP」。商業施設内の“四角い”区画に計画。ブランドの“世界観”の可視化を目指し、円形の“ガラスウォール”と“ハンガーラック”で中心性のある空間を考案。製品を“空間の主体”として扱うと共に機能性も叶える

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