戦後日本を代表する建築家の一人“丹下健三”による「国立代々木競技場」を主題とした国際シンポジウムが開催されます。
シンポジウムのタイトルは「国立代々木競技場世界遺産登録推進国際シンポジウム」です。主催は、一般社団法人国立代々木競技場世界遺産登録推進協議会。隈研吾らが登壇し“構造・設備・意匠の視点”から本建築を解説します。また、海外からも有識者が参加し“国際的な視点”からも紐解く内容となっています。開催日時は2023年11月19日(日)13:00~17:00(12:30開場)。会場は、東京大学 安田講堂です。参加費無料。こちらから、要事前申込です(定員700名)。【ap・ad】
ダイナミックな外観と壮大な内部空間を有する戦後建築の金字塔、国立屋内総合競技場(現在の国立代々木競技場)は1964年10月開催の第18回オリンピック東京大会水泳・バスケットボール競技会場として渋谷の高台に建設されました。かつてこの場所は陸軍練兵場で、戦後ワシントン・ハイツとして米軍に接収されましたが、オリンピック開催を機に日本側に返還されたことで知られます。
この競技場を設計したのが戦後日本を代表する建築家・丹下健三(1913-2005)です。丹下は広島平和記念公園、香川県庁舎、東京カテドラル聖マリア大聖堂、山梨文化会館、東京都庁舎など、数多くの建築・都市計画を手がけた建築家として知られます。
丹下は国立代々木競技場で吊り屋根構造を大胆に駆使し、大小二つの体育館とそれを結ぶプロムナードを巧みに配置しました。その際に渋谷・原宿間の高低差を活用することで、渋谷と原宿から訪れる一般客を体育館に円滑に導き入れることに成功しています。また、丹下はこの競技場を設計するにあたって構造の坪井善勝、空調衛生設備の井上宇市と協働し、近未来的なデザインを実現しました。一方、第一体育館の重厚で緩やかな吊り屋根は、奈良時代の寺社建築の大伽藍を彷彿させ、日本の伝統建築との連続性を強く感じさせます。
国立代々木競技場は幾度かの耐震改修工事を経て、竣工当時の姿を維持した結果、2021年に国の重要文化財に指定されました。また、2021年に第32回オリンピック・パラリンピック東京大会においてはハンドボール、パラリンピック車いすラグビー、バドミントン競技の会場として活用されたことは記憶に新しいところです。
東京において、国立西洋美術館に次ぐ世界遺産登録を目指し、このたびは海外からの有識者を交えてシンポジウムを開催いたします。
以下に、シンポジウムの詳細を掲載します。