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奥田晃輔+堀井達也+吉田裕樹 / OHArchitectureによる、大阪の「八尾のオフィス」。庭師の施主の為に木造建物を改修。依頼者が作庭した豊かな環境を最大限取り込む空間を目指し、既存出窓を読み替えて外を内に浸食させる“入窓”を考案。周辺の一部となる場を室内に作る
奥田晃輔+堀井達也+吉田裕樹 / OHArchitectureによる、大阪の「八尾のオフィス」。庭師の施主の為に木造建物を改修。依頼者が作庭した豊かな環境を最大限取り込む空間を目指し、既存出窓を読み替えて外を内に浸食させる“入窓”を考案。周辺の一部となる場を室内に作る photo©塩谷淳
奥田晃輔+堀井達也+吉田裕樹 / OHArchitectureによる、大阪の「八尾のオフィス」。庭師の施主の為に木造建物を改修。依頼者が作庭した豊かな環境を最大限取り込む空間を目指し、既存出窓を読み替えて外を内に浸食させる“入窓”を考案。周辺の一部となる場を室内に作る photo©塩谷淳
奥田晃輔+堀井達也+吉田裕樹 / OHArchitectureによる、大阪の「八尾のオフィス」。庭師の施主の為に木造建物を改修。依頼者が作庭した豊かな環境を最大限取り込む空間を目指し、既存出窓を読み替えて外を内に浸食させる“入窓”を考案。周辺の一部となる場を室内に作る photo©塩谷淳
奥田晃輔+堀井達也+吉田裕樹 / OHArchitectureによる、大阪の「八尾のオフィス」。庭師の施主の為に木造建物を改修。依頼者が作庭した豊かな環境を最大限取り込む空間を目指し、既存出窓を読み替えて外を内に浸食させる“入窓”を考案。周辺の一部となる場を室内に作る photo©塩谷淳

奥田晃輔+堀井達也+吉田裕樹 / OHArchitectureが設計した、大阪の「八尾のオフィス」です。
庭師の施主の為に木造建物を改修する計画です。建築家は、依頼者が作庭した豊かな環境を最大限取り込む空間を目指し、既存出窓を読み替えて外を内に浸食させる“入窓”を考案しました。それによって、周辺の一部となる場を室内に作りました。

魅力的な風景がまわりに広がる、木造2階建の事務所リノベーションのプロジェクトです。

既存建物には多くの出窓が設けられていました。
出窓は内部空間を外部空間へと拡張しようとする建築装置と言えます。

建築家によるテキストより

内部からその自然風景に対して少しでも近づくべく、既存建物の開口部が出窓として設計されていることが府に落ちました。一方でこの単純な出窓は、建物外皮の一部としての可能性に留まっており、内部空間に劇的な変化をもたらす装置とはなり得ていないように感じました。開口部の在り方を再考し、魅力的な周辺環境を最大限取り込んだ空間とする事ができれば、この場所にしか実現できない唯一無二の豊かさをもった事務所となりうると考えました。

建築家によるテキストより

そこで内部を外部へと拡張するのではなく、逆に外部が内部へと侵食する様な窓はどうだろうか。
それぞれの窓をよりどころとして周辺環境の一部のように位置づけられた場を室内につくれるのではないかと考えました。それはまさに、外部を最大限内部へと引き込む、出窓ならぬ「入窓」です。

建築家によるテキストより
建築家の吉村靖孝と長谷川豪の対談「穴が開くほど見る―建築写真から読み解く暮らしとその先 第7回」の動画がLIXILのサイトで期間限定で無料配信。其々が選んだ、篠原一男・黒川紀章・藤木忠善の作品写真を題材に、設計者の思考や背景を考察
建築家の吉村靖孝と長谷川豪の対談「穴が開くほど見る―建築写真から読み解く暮らしとその先 第7回」の動画がLIXILのサイトで期間限定で無料配信。其々が選んだ、篠原一男・黒川紀章・藤木忠善の作品写真を題材に、設計者の思考や背景を考察吉村靖孝と長谷川豪 許可を得て掲載

建築家の吉村靖孝と長谷川豪の対談「穴が開くほど見る―建築写真から読み解く暮らしとその先 第7回」の動画がLIXILのウェブサイトで期間限定で無料配信されています。其々が選んだ、篠原一男・黒川紀章・藤木忠善の作品写真を題材に、設計者の思考や背景を考察する内容です。公開期間は、2022年10月31日(水)まで。また、本記事では、テーマとなった写真と語られた内容のキーワードも掲載します。【ap・ad】

LIXILと「新建築住宅特集」は、これまで「穴が開くほど見る──建築写真から読み解く暮らしとその先」と題し、名作住宅の建築写真を隅々まで掘り下げて読み取る企画を展開してきました。(第1回は新建築住宅特集18年2月、第2回は同誌18年3月、第3回は同誌18年8月、第4回は同誌19年2月、第5回は同誌19年8月掲載)。

1枚の写真から時代背景、社会状況、暮らし、建築家の思いなど、読み取る側の想像も交えながら細部まで紐解くことで、時代を超えた大切なものを見つめ直し、未来に向けた建築のあり方を探ります。

今回は、「新建築住宅特集」22年10月号に掲載された、本企画 第7回目の吉村靖孝氏と長谷川豪氏の対談動画を、期間限定で配信いたします。

山本稜 / Spicy Architectsによる、東京・武蔵野市の店舗「LIGHT UP COFFEE 吉祥寺店」。道から少し奥まった区画に計画。飲食に加えて催しも行える空間との要望に、親近感があり多用途に使用可能な家具を考案。外から中にブランド色を繋げるデザインで人々を引込む
山本稜 / Spicy Architectsによる、東京・武蔵野市の店舗「LIGHT UP COFFEE 吉祥寺店」。道から少し奥まった区画に計画。飲食に加えて催しも行える空間との要望に、親近感があり多用途に使用可能な家具を考案。外から中にブランド色を繋げるデザインで人々を引込む photo©楠瀬友将
山本稜 / Spicy Architectsによる、東京・武蔵野市の店舗「LIGHT UP COFFEE 吉祥寺店」。道から少し奥まった区画に計画。飲食に加えて催しも行える空間との要望に、親近感があり多用途に使用可能な家具を考案。外から中にブランド色を繋げるデザインで人々を引込む photo©楠瀬友将
山本稜 / Spicy Architectsによる、東京・武蔵野市の店舗「LIGHT UP COFFEE 吉祥寺店」。道から少し奥まった区画に計画。飲食に加えて催しも行える空間との要望に、親近感があり多用途に使用可能な家具を考案。外から中にブランド色を繋げるデザインで人々を引込む photo©楠瀬友将

山本稜 / Spicy Architectsが設計した、東京・武蔵野市の店舗「LIGHT UP COFFEE 吉祥寺店」です。
道から少し奥まった区画に計画されました。建築家は、飲食に加えて催しも行える空間との要望に、親近感があり多用途に使用可能な家具を考案しました。また、外から中にブランド色を繋げるデザインで人々を引込む事も意図されました。店舗の公式サイトはこちら

吉祥寺の中道通り商店街に面し、シングルオリジンコーヒーを提供するLIGHT UP COFFEEのリニューアルオープンのための内装を設計した。コーヒーを、お店に来て飲むだけではなく、自宅でも楽しんでもらいたいという思いから、ドリップコーヒーのワークショップ等のイベントも同店で行いたいという要望があった。

建築家によるテキストより

まず考えたのは、使い方に合わせて様々なレイアウトを変えることのできる2種類の家具である。
1つ目のスツールは座面を取り外すことができ、スタッキングが可能でワークショップの際はハイテーブルとしても機能する。2つ目のサイドテーブルは単体のひとり用でも、背面を合わせて複数人での使用もできる。どちらも、ラワン合板でシンプルに組み、小口の面を取ることで触れたくなるような親しみやすさと、隣同士で置いたときの連続感をつくることを意識して設計した。

建築家によるテキストより

また、同店の入口の前には外階段があり、通りから奥まっていることから、店内の様子を伺いにくい。LIGHT UP COFFEEのブランドカラーである青色を店外の外看板、入口のサッシ枠、店内の正面の壁に用いて外から中へ繋げることで、お客さんを引込む関係をつくった。

建築家によるテキストより
渡邉圭+山梨綾菜 / flat class architectsによる、東京・豊島区の「駒込の住宅」。都心の狭小地に計画。賃貸利用の可能性も考えたシンプルな計画の中に“場所の手ざわり”をつくる為、床を“質感のある地面”の様に扱い入口から上階まで繋げる空間を考案。インナーバルコニー等の導入により大らかな生活の場も志向
渡邉圭+山梨綾菜 / flat class architectsによる、東京・豊島区の「駒込の住宅」。都心の狭小地に計画。賃貸利用の可能性も考えたシンプルな計画の中に“場所の手ざわり”をつくる為、床を“質感のある地面”の様に扱い入口から上階まで繋げる空間を考案。インナーバルコニー等の導入により大らかな生活の場も志向 photo©小川重雄
渡邉圭+山梨綾菜 / flat class architectsによる、東京・豊島区の「駒込の住宅」。都心の狭小地に計画。賃貸利用の可能性も考えたシンプルな計画の中に“場所の手ざわり”をつくる為、床を“質感のある地面”の様に扱い入口から上階まで繋げる空間を考案。インナーバルコニー等の導入により大らかな生活の場も志向 photo©小川重雄
渡邉圭+山梨綾菜 / flat class architectsによる、東京・豊島区の「駒込の住宅」。都心の狭小地に計画。賃貸利用の可能性も考えたシンプルな計画の中に“場所の手ざわり”をつくる為、床を“質感のある地面”の様に扱い入口から上階まで繋げる空間を考案。インナーバルコニー等の導入により大らかな生活の場も志向 photo©小川重雄

渡邉圭+山梨綾菜 / flat class architectsが設計した、東京の「駒込の住宅」です。
都心の狭小地に計画されました。建築家は、賃貸利用の可能性も考えたシンプルな計画の中に“場所の手ざわり”をつくる為、床を“質感のある地面”の様に扱い入口から上階まで繋げる空間を考案しました。また、インナーバルコニー等の導入により大らかな生活の場も志向しました。

JR駒込駅からほど近い窪地にひっそりと構えた16坪程の狭小敷地に建つ住宅です。

建築家によるテキストより

賃貸利用の可能性も考慮してフレキシブルなプランをローコストで実現することが求められました。敷地の四周から最低限の引きをとり、3層重ねただけのシンプルな計画ですが、人のよりどころとなる場所の手ざわりを残したいと考えました。

建築家によるテキストより

そこで私たちは、人と建物が接触する床を、質感のある地面のように扱うことを考えました。外から入り込んだ地面がそのまま3階までぬるぬるとつながってゆくシークエンスの中に、書斎・リビング・キッチン・ホール・趣味部屋と生活の場を連ねます。

建築家によるテキストより
フォルム・木村浩一建築研究所による、滋賀・愛壮町の住宅改修「再生する家」。木造和風住宅の改修。間仕切られた部屋を現代の生活に合う空間とする為、採光方法と視覚効果により奥行きを作る設計を志向。袖壁等はシークエンスに寄与する共に構造としても機能
フォルム・木村浩一建築研究所による、滋賀・愛壮町の住宅改修「再生する家」。木造和風住宅の改修。間仕切られた部屋を現代の生活に合う空間とする為、採光方法と視覚効果により奥行きを作る設計を志向。袖壁等はシークエンスに寄与する共に構造としても機能 photo©川村憲太
フォルム・木村浩一建築研究所による、滋賀・愛壮町の住宅改修「再生する家」。木造和風住宅の改修。間仕切られた部屋を現代の生活に合う空間とする為、採光方法と視覚効果により奥行きを作る設計を志向。袖壁等はシークエンスに寄与する共に構造としても機能 photo©川村憲太
フォルム・木村浩一建築研究所による、滋賀・愛壮町の住宅改修「再生する家」。木造和風住宅の改修。間仕切られた部屋を現代の生活に合う空間とする為、採光方法と視覚効果により奥行きを作る設計を志向。袖壁等はシークエンスに寄与する共に構造としても機能 photo©川村憲太

フォルム・木村浩一建築研究所が設計した、滋賀・愛壮町の住宅改修「再生する家」です。
木造和風住宅の改修計画です。建築家は、間仕切られた部屋を現代の生活に合う空間とする為、採光方法と視覚効果により奥行きを作る設計を志向しました。そして、袖壁等はシークエンスに寄与する共に構造としても機能します。

築50年の木造和風住宅のリノベーションである。

障子や襖などの建具で細かく仕切られた部屋を、現代の生活スタイルに合わせた居住スペースに改修することが求められた。

建築家によるテキストより

そこで、画一的な光を十分に取り込んだ開放的な空間を実現するのではなく、光の取り入れ方や視覚効果によって奥行きや広がりを生み出す空間を目指した。ワンルームのLDKに設けた垂れ壁と袖壁は、スペースを分節し、その先に空間を感じる情感豊かなシークエンスをつくり出す。この壁は、構造壁として機能し、視覚効果を生み出すエレメントでもある。

建築家によるテキストより

ミニマムなインテリアと光と陰に彩られた住まいは、空間に豊かさと深みを与えて、これからもゆっくりと時を刻み続けるだろう。

建築家によるテキストより
村山徹と杉山幸一郎による連載エッセイ ”今、なに考えて建築つくってる?” 第3回「かたちと寸法」
村山徹と杉山幸一郎による連載エッセイ ”今、なに考えて建築つくってる?” 第3回「かたちと寸法」

「今、なに考えて建築つくってる?」は、建築家の村山徹と杉山幸一郎によるリレー形式のエッセイ連載です。彼ら自身が、切実に向き合っている問題や、実践者だからこその気づきや思考を読者の皆さんと共有したいと思い企画されました。この企画のはじまりや趣旨については第0回「イントロダクション」にて紹介しています。今まさに建築人生の真っただ中にいる二人の紡ぐ言葉を通して、改めてこの時代に建築に取り組むという事を再考して頂ければ幸いです。
(アーキテクチャーフォト編集部)


第3回 かたちと寸法

text:村山徹

 
 
第1回目を書いてからもう半年が過ぎてしまいました。その間にヨーロッパでは戦争が始まり、異常な円安、物価上昇と、なんとも先行きが不安になる世の中になっています。ウッドショックが徐々に解消されて来たと思った矢先に、あらゆる建築部材の値上げが重なってよりコストが厳しいタームに突入。特注で建築をつくることが本当に難しく、ほとんど無理ゲーをやらされている感覚です。

これまでの予算では、そもそも“普通”の住宅(変な表現ですが)も建てることが難しい。
前回書いたコスト感覚を大きく修正しなくてはいけない状況になっている上に、まだ現在のコスト感覚に誰もが追いつけていない状況から、いくつかネジを飛ばした建築が生まれそうな、いや、生み出さないといけない時代に突入しそうな気がしてなりません(笑)。


さて、今回は「かたちと寸法」について書いていきます。

「かたち」と言うと、これもまた昨今の日本ではあまり積極的に話をしない傾向にありました。言葉にすると恣意的で独りよがりに感じられ、少し嫌らしく思われるような空気感があったように思います。ですが、最近では『新建築住宅特集』でもかたちの特集が組まれるように、かたちをつくることに積極的な若い世代も出て来ています。

僕は、建築をつくることは、かたちをつくりフィジカルな世界にモノを創出することであると思っています。同時に、それは決して避けることができないことだとも思います。というのも、実務をはじめてから実際に自分が設計した建築がこの世界に表出した時、良くも悪くもその建築が与える影響の大きさにおののいた経験から、建築家の責任の大きさと受け入れられるカタチをつくることの大切さに気付かされたからです。ということで、ここでは我々ムトカの作品を題材に、どうやってそのかたちに行き着いたのか?を話していきたいと思います。

また、これまでの作品でなぜそのかたちなのか?という問いにうまく応えていなかったということもあります。かたちと言っても色々な意味合いがありますので、ここで言うかたちは、恣意的であるかもしれないがある種の独自性を獲得している(と思われる)かたちとします。

さらに、もう一方で考えたいのは、図面に現れる二次元的なかたちについてです。僕自身、建築には、実際の空間(三次元)、図面上の空間(二次元)があると考えています。実際に建った建築を体験できるに越したことはないのですが、ほとんどの建築は実際に体験することは難しい。だからこそ図面上から想像できる建築も大切だと考えていますし、さらには、二次元的なかたちから三次元的なかたちへの一歩通行ではなく、常にお互いを行き来し続け最後までどちらもアップデートし続けた先にあるかたちを追求しているとも言えます。ということで、この2つのかたちについて考えていきたいと思います。


小さい建築と寸法

さて、杉山さんのサステイナブルと正しさ、興味深く拝読しました。特にコンパクトにつくることは僕も常日頃考えていることだったので、まずはここから繋げていこうと思います。ひとえにコンパクトと言ってもスイスでのそれと日本でのそれは違いますね。日本でコンパクト言えば、増沢洵さんの最小限住居などの「小さい」建築が思い浮かびます。「小さい」建築は、エレメントと身体が近接した関係にあり、また一望して全体性が把握できるという特徴があります。そして僕が「小さい」と聞いて思い出すのは、竹原義ニさんの「101番目の家」と青木淳さんの「c」です。

竹原さんの自邸である「101番目の家」は、実際に体験したことのある住宅のなかでも一二を争うほど好きな住宅です。内と外、木とコンクリート、建築家と大工など、建築を取り巻く要素が一対一で存在し、その拮抗した関係性が150m2の空間を満たしています。地上2階、地下1階建てで建築面積も65m2あるので一見すると一般的な住宅の大きさに感じますが、内部と外部がともに75m2、つまり家族が住む内部空間としては75m2しかありません。

以下の写真はクリックで拡大します

村山徹と杉山幸一郎による連載エッセイ ”今、なに考えて建築つくってる?” 第3回「かたちと寸法」竹原義二による「101番目の家」のファサード photo©村山徹
村山徹と杉山幸一郎による連載エッセイ ”今、なに考えて建築つくってる?” 第3回「かたちと寸法」竹原義二による「101番目の家」の各階平面図、断面図 『新建築住宅特集 2002年12月号 』P.130より

トイレも外に野ざらしに便器が置いてあるところもあり、図面上の部屋名「内1〜6、外1〜6」がないとどこが内で外なのかも判別しにくくなっています。家具を置いて空間を仕切るような大きな部屋はなく、すべてが細長く廊下や縁側のような室しかないことも特徴的です。また、天井も低く抑えられ、2階と地下に行く法規上の階段は外階段しかありません。縦動線で内部を通って移動できるのは地下1階と1階をつなぐ幅400mmの梯子のみ。すべてがコンパクトに収められています。

この住宅を体験すると小さいがゆえに内外、素材、明暗などの関係性が目眩く切り替わり、空間の回遊性も相まったどこまでも続いていく空間体験が、実際の床面積以上の広がりと高揚する感覚を与えてくれます。また、ファサードの低く抑えられた縁甲板型枠の打ち放しコンクリートの基壇部に広葉樹の柱壁が立ち並ぶ構成は、ルイス・カーンのフィッシャー邸のプロポーションがレファレンスされており、強く美しいファサードが街並みに溶け込むように佇んでいます。

MADによる、中国の「衢州スタジアム」。約70万㎡の公園の中心として計画。景観と連続する存在を目指し、多くの部分を埋め込み周囲の公共空間に開かれた建築を考案。機能に加え“人と自然が精神的につながる場”も志向
MADによる、中国の「衢州スタジアム」。約70万㎡の公園の中心として計画。景観と連続する存在を目指し、多くの部分を埋め込み周囲の公共空間に開かれた建築を考案。機能に加え“人と自然が精神的につながる場”も志向 photo by Aogvision ©MAD Architects
MADによる、中国の「衢州スタジアム」。約70万㎡の公園の中心として計画。景観と連続する存在を目指し、多くの部分を埋め込み周囲の公共空間に開かれた建築を考案。機能に加え“人と自然が精神的につながる場”も志向 photo by Aogvision ©MAD Architects
MADによる、中国の「衢州スタジアム」。約70万㎡の公園の中心として計画。景観と連続する存在を目指し、多くの部分を埋め込み周囲の公共空間に開かれた建築を考案。機能に加え“人と自然が精神的につながる場”も志向 photo by CreatAR Images ©MAD Architects
MADによる、中国の「衢州スタジアム」。約70万㎡の公園の中心として計画。景観と連続する存在を目指し、多くの部分を埋め込み周囲の公共空間に開かれた建築を考案。機能に加え“人と自然が精神的につながる場”も志向 photo by CreatAR Images ©MAD Architects

MADによる、中国の「衢州スタジアム」です。
約70万㎡の公園の中心として計画されました。建築家は、景観と連続する存在を目指し、多くの部分を埋め込み周囲の公共空間に開かれた建築を考案しました。また、機能に加え“人と自然が精神的につながる場”も志向されました。

こちらは建築家によるリリーステキストの翻訳

MADアーキテクツ、世界最大のアースシェルター型建築物「衢州運動公園」初のシグニチャー・スタジアムを竣工

マー・ヤソンが率いるMADアーキテクツは、浙江省の衢州スポーツパークと呼ばれる約70万㎡の複合施設の中心である衢州スタジアムを完成させました。衢州は上海の南西400kmに位置する歴史ある都市で、東西を深い森に囲まれ、しなやかな外形は遠景の山の稜線を反映し、SF作家が想像する惑星を思わせる風景が広がっています。

衢州スタジアムは3万人収容の大スタジアムですが、周囲の景観から突出した存在ではなく、景観の連続として見えるように設計されています。世界中の都市部に建設される、一般的な要塞のようなスタジアムとは異なります。MADアーキテクツは、スタジアムの製造に使われる技術の多くを埋め込み、ほぼすべての角度から周囲の公共空間に開かれたスタジアムを建設することを決意しました。

MADアーキテクツは、スタジアムを都心に隣接し、アスレチックやレジャーを楽しめるダイナミックな公園空間としてだけでなく、人と自然が精神的につながる場としても考えています。マー・ヤソンにとって、衢州スタジアムは従来のスポーツ建築とは一線を画すものです。自然の中に溶け込み、誰もが集いスポーツ精神を共有できるランドアートのように構想されています。

このコンセプトのもと、周囲の地形の起伏をそのままに、傾斜のあるファサードにしました。これは、どこからが風景でどこからが建物なのか、来場者が自ら判断することを促します。スタジアムが閉鎖されている間でも、来場者はこの建造物に登り、景観の一部として積極的に扱われるよう促されています。

遠くから見ると、まるで後光が差しているように見えます。衢州スタジアムは、衢州の新しい宝石です。観客は8つのエントランスからキャノピーを通り、スタジアムに向かいます。すべてのエントランスは、波のように頭上に波打つ複雑な二重曲線で構成されています。キャノピーは、最大95mのスパンを持つ9つのドロップポイントのみで支えられており、建物が風景の上に「浮遊」しながら、多くの視点から都市の切り取られたパースペクティブを提供することを可能にしています。

スタジアムを支える60本のコンクリート柱壁は、木目調の打ち放しコンクリート板壁で構成されています。それは素材に質感と温もりを与え、内と外の境界を曖昧にします。キャノピーは、内部が自立した鋼鉄で構成されています。その上に半透明の発光膜材を巻き、ロングスパンのデザインに必要な複雑なジオメトリを包んでいます。

キャノピーは壮大な鉄骨で構成されていますが、スタジアム全体の音響性能を高めるために、下半分に光透過性の合成高分子PTFE膜を巻き、微細な孔を開けているため、軽量に見えるのです。キャノピーの上面は、より強固なPTFE膜で構成され、雨が客席に侵入するのを防いでいます。

この曲線の幾何学模様は、スタジアムの中にも見ることができます。クレーターのような内部には3万人の観客が詰めかけ、その向こうに広がる街や山の風景を楽しむことができます。観座席は、周囲の風景と連動してうねり、頭上の白いキャノピー構造とは対照的に、緑の濃淡でシミュレートされています。

AMOによる、パリとロンドンの店舗「JACQUEMUS SHOP-IN-SHOP」。南仏に起源をもつブランドの為に計画。単一素材での限界を試すアイデアから始め、形の後に素材を決めるのでなく“最初に素材を決めて、それが空間の形を導いていく”プロセスで設計。パリ店では“枕”で覆われた空間を構想
AMOによる、パリとロンドンの店舗「JACQUEMUS SHOP-IN-SHOP」。南仏に起源をもつブランドの為に計画。単一素材での限界を試すアイデアから始め、形の後に素材を決めるのでなく“最初に素材を決めて、それが空間の形を導いていく”プロセスで設計。パリ店では“枕”で覆われた空間を構想パリのギャラリー・ラファイエットでの店舗 photograph by Benoit Florencon, Courtesy of AMO
AMOによる、パリとロンドンの店舗「JACQUEMUS SHOP-IN-SHOP」。南仏に起源をもつブランドの為に計画。単一素材での限界を試すアイデアから始め、形の後に素材を決めるのでなく“最初に素材を決めて、それが空間の形を導いていく”プロセスで設計。パリ店では“枕”で覆われた空間を構想パリのギャラリー・ラファイエットでの店舗 photograph by Benoit Florencon, Courtesy of AMO
AMOによる、パリとロンドンの店舗「JACQUEMUS SHOP-IN-SHOP」。南仏に起源をもつブランドの為に計画。単一素材での限界を試すアイデアから始め、形の後に素材を決めるのでなく“最初に素材を決めて、それが空間の形を導いていく”プロセスで設計。パリ店では“枕”で覆われた空間を構想ロンドンのセルフリッジでの店舗 photograph by Benoit Florencon, Courtesy of AMO
AMOによる、パリとロンドンの店舗「JACQUEMUS SHOP-IN-SHOP」。南仏に起源をもつブランドの為に計画。単一素材での限界を試すアイデアから始め、形の後に素材を決めるのでなく“最初に素材を決めて、それが空間の形を導いていく”プロセスで設計。パリ店では“枕”で覆われた空間を構想ロンドンのセルフリッジでの店舗 photograph by Benoit Florencon, Courtesy of AMO

AMO / エレン・ヴァン・ルーン+ジュリオ・マルゲリが設計した、パリとロンドンの店舗「JACQUEMUS SHOP-IN-SHOP」です。
南仏に起源をもつブランドの為に計画されました。建築家は、単一素材での限界を試すアイデアから始め、形の後に素材を決めるのでなく“最初に素材を決めて、それが空間の形を導いていく”プロセスで設計しました。そして、パリ店では“枕”で覆われた空間を構想しています。

こちらは建築家によるテキストの翻訳

ロンドンとパリにあるジャクムスのブティックのデザインは、単一素材での仕事の限界を試すというアイデアから始まりました。ブランドの原点である南フランスからインスピレーションを得て、AMOは、空間の素材感を通してジャクミュの故郷プロヴァンスの空気を取り込むことを目指しました。形を作ってから素材を決めるのではなく、最初に素材を選び、デザインプロセスを通じて空間の形を導いていったのです。

プロヴァンスのテキスタイルを想起させる枕や 南仏の風景を思わせる粘土質の素材テラクルーダなど、ブティックはすべて単一の素材で覆われ、各スペースに連続性を持たせています。パリのギャラリー・ラファイエットの店舗では、壁、ドア、フィッティングルーム、ディスプレイのエレメントに白いクッションを張り、ベッドで過ごす1日の安らぎと快適さを表現しています。枕を積み重ねることで、シーティングエリアとディスプレイ面を兼用し、訪れた人が好きなだけ閲覧し、くつろぐことができるようになっています。ロンドンのセルフリッジの店舗では、床や棚、トーテム、台座、テーブル、椅子などがテラクルーダで作られており、展示品やお客様も一緒になって、プロヴァンスの家庭のインテリアという抽象的なイメージに一捻りを加えています。手作業で加工された素材は、不規則性を保ち、自然さと職人技を感じさせるデザインとなっています。通りから直接見えるように配置された客席は、窓によって丁寧に縁取られ、店は単に買い物をする空間ではなく、通りを行き交う人々に自宅のようなくつろぎを提供します。

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田中亮平 / G ARCHITECTS STUDIOによる、東京・渋谷区の「ヒルサイドテラスのオフィス」。槇文彦の建築内に“GRAPH”の為に計画。オリジナル尊重の設計方針を志向し、窓配置とプロポーションを手掛かりに“家具レイアウト”で空間を構成。施主のグラフィック業と風景の抽象性を考慮して色彩は“白”で統一
田中亮平 / G ARCHITECTS STUDIOによる、東京・渋谷区の「ヒルサイドテラスのオフィス」。槇文彦の建築内に“GRAPH”の為に計画。オリジナル尊重の設計方針を志向し、窓配置とプロポーションを手掛かりに“家具レイアウト”で空間を構成。施主のグラフィック業と風景の抽象性を考慮して色彩は“白”で統一 photo©︎志摩大輔
田中亮平 / G ARCHITECTS STUDIOによる、東京・渋谷区の「ヒルサイドテラスのオフィス」。槇文彦の建築内に“GRAPH”の為に計画。オリジナル尊重の設計方針を志向し、窓配置とプロポーションを手掛かりに“家具レイアウト”で空間を構成。施主のグラフィック業と風景の抽象性を考慮して色彩は“白”で統一 photo©︎志摩大輔
田中亮平 / G ARCHITECTS STUDIOによる、東京・渋谷区の「ヒルサイドテラスのオフィス」。槇文彦の建築内に“GRAPH”の為に計画。オリジナル尊重の設計方針を志向し、窓配置とプロポーションを手掛かりに“家具レイアウト”で空間を構成。施主のグラフィック業と風景の抽象性を考慮して色彩は“白”で統一 photo©︎志摩大輔

田中亮平 / G ARCHITECTS STUDIOが設計した、東京・渋谷区の「ヒルサイドテラスのオフィス」です。
槇文彦の建築内に北川一成率いる“GRAPH”の為に計画されました。建築家は、オリジナル尊重の設計方針を志向し、窓配置とプロポーションを手掛かりに“家具レイアウト”で空間を構成しました。また、施主のグラフィック業と風景の抽象性を考慮して色彩は“白”で統一しています。施主の公式サイトはこちら

デザイナー・アーティストの北川一成氏率いるGRAPHのオフィスの移転計画。
入居先は槇文彦設計の名作ヒルサイドテラス。部屋は地名の由来でもある猿楽神社のある猿楽塚に隣接しており、窓から見える保存樹木の緑が美しい事が印象的だった。

建築家によるテキストより

我々は窓を手掛かりに検討を始めた。隣棟間の程よい距離間を保つ窓の配置とプロポーションが絶妙で、雑誌や書籍などで理解していたつもりだったが、現場に通う度に発見があった。

建築家によるテキストより

設計方針はオリジナルを尊重すること。手数としては家具レイアウトをするだけでデザインし切るとともに、インテリアは「白」で一貫した。施主の本業であるグラフィックの検討するために要素は限りなく省略、そして窓から切り取る風景の抽象性を保つためである。それはかつての校舎と竣工当時の建物を想像しながらの設計だった。

建築家によるテキストより
トラフ建築設計事務所による、大阪市の「Aesop 阪急うめだ本店」。スキンケアブランドの為に百貨店内に計画。電車やコンコースの意匠を参照して、公式色の“阪急マルーン”を採用した什器やアーチ天井とリンクする商品棚を考案。人の心象風景にも働きかけ求心力のある空間を作る
トラフ建築設計事務所による、大阪市の「Aesop 阪急うめだ本店」。スキンケアブランドの為に百貨店内に計画。電車やコンコースの意匠を参照して、公式色の“阪急マルーン”を採用した什器やアーチ天井とリンクする商品棚を考案。人の心象風景にも働きかけ求心力のある空間を作る photo courtesy of Aesop
トラフ建築設計事務所による、大阪市の「Aesop 阪急うめだ本店」。スキンケアブランドの為に百貨店内に計画。電車やコンコースの意匠を参照して、公式色の“阪急マルーン”を採用した什器やアーチ天井とリンクする商品棚を考案。人の心象風景にも働きかけ求心力のある空間を作る photo courtesy of Aesop
トラフ建築設計事務所による、大阪市の「Aesop 阪急うめだ本店」。スキンケアブランドの為に百貨店内に計画。電車やコンコースの意匠を参照して、公式色の“阪急マルーン”を採用した什器やアーチ天井とリンクする商品棚を考案。人の心象風景にも働きかけ求心力のある空間を作る photo courtesy of Aesop

トラフ建築設計事務所による、大阪市の店舗「Aesop 阪急うめだ本店」です。
スキンケアブランドの為に百貨店内に計画されました。建築家は、電車やコンコースの意匠を参照して、公式色の“阪急マルーン”を採用した什器やアーチ天井とリンクする商品棚を考案しました。そして、人の心象風景にも働きかけ求心力のある空間を作る事が意図されました。店舗の場所はこちら(Google Map)

オーストラリアのスキンケアブランド イソップの、阪急うめだ本店の内装計画。同フロアの既存店舗が、より大きな区画へとリロケーションした。

建築家によるテキストより

阪急電車の車体デザインに見られる、2色の切り替えからインスピレーションを受け、什器や壁面には公式カラーである「阪急マルーン」、商品棚には車体の屋根部に採用されるアイボリーを用いた。駅のコンコースを思わせる中央シンクとポスカウンターは、緩やかにカーブし客の動線を奥へ引き込む。

建築家によるテキストより

商品棚の曲線の断面形状は、旧阪急うめだ駅のコンコースにあったアーチ天井の意匠ともリンクしており、柔らかく光を反射する商品の背景となる。また、耐久性が求められるシンク、ポスカウンターの天板はステンレスバイブレーション仕上げとした。シンク天板から立ち上がる照明の光が優しく手元を照らし出す。

建築家によるテキストより
【ap job更新】 住宅やインスタレーションまでを手掛け、新たな価値の創造を目指す「安藤祐介建築空間研究所」が、業務拡大により設計スタッフ(経験者・既卒・2023年新卒)を募集中
【ap job更新】 住宅やインスタレーションまでを手掛け、新たな価値の創造を目指す「安藤祐介建築空間研究所」が、業務拡大により設計スタッフ(経験者・既卒・2023年新卒)を募集中
【ap job更新】 住宅やインスタレーションまでを手掛け、新たな価値の創造を目指す「安藤祐介建築空間研究所」が、業務拡大により設計スタッフ(経験者・既卒・2023年新卒)を募集中TOTO London Concept Storeにて2018年に展示を行ったキネティックアートインスタレーション

住宅やインスタレーションまでを手掛け、新たな価値の創造を目指す「安藤祐介建築空間研究所」の、業務拡大により設計スタッフ(経験者・既卒・2023年新卒)募集のお知らせです。詳しくは、ジョブボードの当該ページにてご確認ください。アーキテクチャーフォトジョブボードには、その他にも、色々な事務所の求人情報が掲載されています。
新規の求人の投稿はこちらからお気軽にお問い合わせください

安藤祐介建築空間研究所は、住宅や店舗の新築・中古民家のリノベーション・アートインスタレーションの企画から設営まで、従来の建築に新たな価値の付加を目指した取り組みを続けています。

代表を務める安藤祐介は、安藤忠雄建築研究所での実務経験を経て独立、2017年に東京にて設計事務所を立ち上げました。
2020年からは京都芸術大学の芸術学部情報デザイン学科で非常勤講師を兼務し、デジタルデザインの教育にも携わっています。

また2021年から愛媛県に拠点を置く西安建設株式会社の代表取締役も兼任しており、設計・施工・管理業務を一貫して行う体制の構築が進んでいます。

今回、業務増大に伴い、設計スタッフを募集いたします。スタッフには、企画・立案から参加し、設計から現場監理まで一貫してプロジェクトを担当して頂きたいと考えています。

私たちと共に、前向きに新しい視座で挑戦を続けてもらえる方のご応募をお待ちしております。

妹島和世が、NHKのテレビ番組で行った特別講義の完全版がオンラインで無料公開。金沢21世紀美術館で収録され、建築の様子も紹介
妹島和世が、NHKのテレビ番組で行った特別講義の完全版がオンラインで無料公開。金沢21世紀美術館で収録され、建築の様子も紹介建築家の妹島和世。 photo©architecturephoto

妹島和世が、NHKのテレビ番組で行った特別講義の完全版がオンラインで無料公開されています。金沢21世紀美術館で収録され、建築の様子も紹介されています。公開期間は不明です。

「NHKアカデミア」第6回は建築家・妹島和世さん。建築と環境との調和において新しい風を吹かせ続ける建築家・妹島和世さん。まちや地域との調和をいかに実現しているのか、自身が手掛けた「金沢21世紀美術館」を会場に、建築の過去・未来についてたっぷりと語ります。

二俣公一 / ケース・リアルによる、福岡のテナントビル「ステージ1警固」。商業エリアのコンパクトな敷地に計画。魅力的な借主の誘致を目指し、自由な室内レイアウトを可能とする“通常とは逆転させた”階段の配置を考案。面積優先でなく外観の印象を重視することでも価値を生み出す
二俣公一 / ケース・リアルによる、福岡のテナントビル「ステージ1警固」。商業エリアのコンパクトな敷地に計画。魅力的な借主の誘致を目指し、自由な室内レイアウトを可能とする“通常とは逆転させた”階段の配置を考案。面積優先でなく外観の印象を重視することでも価値を生み出す photo©水崎浩志
二俣公一 / ケース・リアルによる、福岡のテナントビル「ステージ1警固」。商業エリアのコンパクトな敷地に計画。魅力的な借主の誘致を目指し、自由な室内レイアウトを可能とする“通常とは逆転させた”階段の配置を考案。面積優先でなく外観の印象を重視することでも価値を生み出す photo©水崎浩志
二俣公一 / ケース・リアルによる、福岡のテナントビル「ステージ1警固」。商業エリアのコンパクトな敷地に計画。魅力的な借主の誘致を目指し、自由な室内レイアウトを可能とする“通常とは逆転させた”階段の配置を考案。面積優先でなく外観の印象を重視することでも価値を生み出す photo©水崎浩志

二俣公一 / ケース・リアルが基本設計・デザイン監修した、福岡のテナントビル「ステージ1警固」です。実施設計は九州建設が担当しています。
商業エリアのコンパクトな敷地に計画されました。建築家は、魅力的な借主の誘致を目指し、自由な室内レイアウトを可能とする“通常とは逆転させた”階段の配置を考案しました。また、面積優先でなく外観の印象を重視することでも価値を生み出す事も意図されました。

福岡の中心部に建つテナントビルの新築計画。
計画地周辺は飲食店や雑貨店、駐車場などが混在する商業エリアで、その一角にある約24坪というコンパクトな場所に、どのような建物が相応しいかを考えることになった。

建築家によるテキストより

施主からの希望は、魅力あるテナントがこの場所にアクセスしてくれること。協議を重ね、やみくもに高層の建物を立てるのではなく、良質な低層の建物とすることでこれを実現することになった。さらに、外観としての印象を整えることはもちろん、入居するテナントが魅力的なプランを構成しやすい空間が準備されていることが、建物の質や訴求力を高める上で重要だと考えた。

建築家によるテキストより

その上でまず課題となったのが、階段の掛け方である。通常、今回のような低層のテナントビルでは、上層階へのアクセスを考慮して前面道路から近い位置で登り始めるように階段を掛けることが多い。しかしその場合、ファサードに占める階段の印象が強くなり、さらには2階の出入口が必然的に前面道路と反対側に位置することになる。

そのため実際の室内レイアウトを想定した際、環境の良い前面道路側に厨房などのバックヤード機能をレイアウトせざるを得ないことが予測された。そこで私たちは、今回敢えて通常とは逆転させた階段の掛け方を選択。こうすることで、2階においては建物背面側にバック機能をレイアウトしやすくなり、加えて背面側の床をダウンスラブとすることで、外部設備スペースから効率良い配管計画が出来ることも想定した。

建築家によるテキストより
岡田一樹+岡田絢子 / R.E.A.D. & Architectsによる、東京の住戸改修「都心のミニマルハウス」。都心の南面のみに窓のある空間を改修。必要諸室と自然光の確保を目指し、将来の使い方を考慮した上で親と子の寝室をまとめて格子から採光する方法を考案。多機能な壁面収納により“ミニマルな暮らし”の要望にも応える
岡田一樹+岡田絢子 / R.E.A.D. & Architectsによる、東京の住戸改修「都心のミニマルハウス」。都心の南面のみに窓のある空間を改修。必要諸室と自然光の確保を目指し、将来の使い方を考慮した上で親と子の寝室をまとめて格子から採光する方法を考案。多機能な壁面収納により“ミニマルな暮らし”の要望にも応える photo©Nao Takahashi
岡田一樹+岡田絢子 / R.E.A.D. & Architectsによる、東京の住戸改修「都心のミニマルハウス」。都心の南面のみに窓のある空間を改修。必要諸室と自然光の確保を目指し、将来の使い方を考慮した上で親と子の寝室をまとめて格子から採光する方法を考案。多機能な壁面収納により“ミニマルな暮らし”の要望にも応える photo©Nao Takahashi
岡田一樹+岡田絢子 / R.E.A.D. & Architectsによる、東京の住戸改修「都心のミニマルハウス」。都心の南面のみに窓のある空間を改修。必要諸室と自然光の確保を目指し、将来の使い方を考慮した上で親と子の寝室をまとめて格子から採光する方法を考案。多機能な壁面収納により“ミニマルな暮らし”の要望にも応える photo©Nao Takahashi

岡田一樹+岡田絢子 / R.E.A.D. & Architectsが設計した、東京の住戸改修「都心のミニマルハウス」です。
都心の南面のみに窓のある空間を改修しました。建築家は、必要諸室と自然光の確保を目指し、将来の使い方を考慮した上で親と子の寝室をまとめて格子から採光する方法を考案しました。そして、多機能な壁面収納により“ミニマルな暮らし”の要望にも応える事も意図されました。

都心に立つ大型マンションの1室のリノベーションプロジェクトである。

対象住戸は、都心で多く見られる南向きのうなぎの寝床型で、南東に面してのみ窓がある住戸だった。広くはない住戸に、ご夫妻とお子さん1人の3人家族が暮らす空間を設計する上で、LDKと主寝室・子供部屋をどう確保し、寝室にどう自然光を取り込むか。設計のテーマは、都心部マンションにおける普遍的なものであるように思えた。

建築家によるテキストより

LDKを環境の良い南東窓側にゆったりと確保して壁で仕切ると、寝室に自然光が入らなくなる。また、主寝室・子供部屋の両方を確保すると、73㎡の床面積では2つの寝室もLDKも狭くなってしまうし、お子さんが小さいうちは子供部屋はいらない。
そこで、寝室とLDKとの仕切りを格子と可動間仕切りとして寝室に自然光を導くこととし、さらに、将来可動間仕切収納で子供部屋と分けることを前提として寝室を広く1室とすることで、平面上の窮屈さはなくなり、うなぎの寝床型の住戸の中でも広々と明るいプランニングとなった。

建築家によるテキストより

インテリアは、スーツケースやロードバイク、キッチン家電、PC作業を行うデスクや電子ピアノも収納内に隠し、ミニマルに暮らしたいという要望を具現化し、大きなパントリー・クロークと、全面に多機能な壁面収納を配置した。白い壁面の収納扉を開けると様々な生活機能が収納されていて、収納扉を閉めるとすべて白い壁面となり室内がすっきりとし、来客にも対応できる。

建築家によるテキストより
最も注目を集めたトピックス[期間:2022/9/26-10/2]
最も注目を集めたトピックス[期間:2022/9/26-10/2]

アーキテクチャーフォトで、先週(期間:2022/9/26-10/2)注目を集めたトピックスをまとめてご紹介します。リアルタイムでの一週間の集計は、トップページの「Weekly Top Topics」よりご覧いただけます。


  1. 遠藤克彦建築研究所による、大阪市の「大阪中之島美術館」。エリアの“結節点”と言える敷地に計画。人の流れ・公共的利用・浸水リスクを考慮し、周辺と連続し都市に開かれた“地形”の上に明快な幾何学の“建築”が浮かぶ構成を考案。内部の“立体的なパッサージュ”は新しい都市体験を提供
  2. 片田友樹 / micelleによる、群馬の住宅「ARI」。住居と農地が混在する敷地に計画。施工業に携わる施主の技術に注目し、住み手と環境をシンプルに規定する“原初的”な建築を志向。感覚に従って環境を変えられる“可変性”も建具等で導入
  3. 妹島和世による特別講義が、テレビ番組「NHKアカデミア」にて放送。予告動画も公開
  4. 稲垣淳哉+佐野哲史+永井拓生+堀英祐 / Eurekaによる、福井・吉田郡の住宅「Silver water cabin」。過去に豪雪等を経験した地域に計画。災害への“レジリエンス”を主題として、地面と距離をとる高基礎の建築と雪を切り離し地域の植生も考慮した外構を考案。内外で色彩を連続させ繋がりと生活の彩りも作る
  5. 後藤周平建築設計事務所による、静岡・浜松市の美容院「onde」。地域性が残る住宅街に計画。“美容院にみえない”空間という要望に、周囲を様々に反射する“鏡らしくない”鏡を考案して屋号とも呼応する揺らぎのある空間を構築。未来を想像し再移転の可能性を考慮した設計も志向
  6. 渕上達矢 / zeal architectsによる、熊本・玉名市の住宅「天水の家」。海と山を望む段々畑に計画。景観を“取込む”のでなく“寄り添う”在り方を目指して、眺望とプライバシーの考慮と共に周辺地形を参照した大小の量塊を組合せる構成を考案。県産材を用い徐々に溶け込む経年変化も意図
  7. 403architecture [dajiba]による、静岡・袋井市の「静岡理工科大学学生ホール」。ホールの改修と外部の東屋の新築。薄暗く閉塞感のある既存に対し、照明や給電等の機能を持つ24本の“柱”を林立させ問題解決し活動を促進する空間を構築。東屋では内部の視線も考慮し、周囲を映しこむ黒天井の円形屋根を考案
  8. 石上純也建築設計事務所による、山口の「House & Restaurant」。旧知の友人の為の住宅兼店舗。“時間と共にその重みを増していく”空間の要望に、地面に穴を掘りコンクリートを流して土の中の躯体を掘り起こしガラスを嵌める建築を考案。不確定要素を許容し使い方の発見更新を繰り返して作る
  9. 平岡翔太による、大阪・堺市の住宅「H邸」。南北で接道する敷地に計画。プライバシーを確保しつつ街と人の関りを生む建築を目指し、居室の配置と断面構成で公と私の距離感を調整。部屋として閉じない共用部は一体感と共に多様な居場所を提供
  10. 稲垣淳哉+佐野哲史+永井拓生+堀英祐 / Eurekaによる、神奈川・横浜市の住宅「あざみ野の土」。ひな壇造成地の土の研究者の実家を建替。無機質なRC擁壁の再編から取り組み、残土を切っ掛けに建材としての土の可能性に着目して床や壁の材料を開発。土素材を介して住居の自然への“土着”を試みる
  11. 田邉雄之建築設計事務所による、神奈川・鎌倉市の店舗「御成カプセル」。観光地の約6畳のカプセルトイの店。道からの視認性向上と内部に広がりを与える為に、両端壁面を鏡貼りとして大きさの異なる“円窓”で遠近感を強調する空間を考案。桧格子や銀箔紙等を用い地域との調和も意図
  12. DAYと岸本姫野建築設計事務所による、京都市の「嵐山の宿」。元保養所を改修した設計者の一部が運営も手掛ける施設。地域を活性化する場を目指して、宿泊客以外にも開かれた飲食店等の用途も計画。既存の痕跡を“発掘”する様に読み解いて空間に“新しい表層”を与える設計を行う
  13. ODS / 鬼木孝一郎による、東京・台東区の「CRAFSTO」。工房も兼ねた革製品を扱う店。環境に配慮するブランド思想の表現を目指して、破棄予定の革端材を再利用した左官仕上げを開発して空間に使用。様々な箇所に“ヴィーガンレザー”を用い世界観を伝える体感も提供
  14. MVRDVによる、アメリカ・ニューヨークの「Radio Hotel and Tower」。不足するホテル等の機能を提供する施設。環境との調和とエリア象徴の両立を求め、周辺建物と呼応するサイズのブロックを積み重ねて地域店舗の色彩を参照した建築を考案。各所に外部空間を持つ“垂直の村”を作る
  15. 菅原大輔 / SUGAWARADAISUKE建築事務所の什器設計による、千葉の「ファームステーションジム」。コロナ禍に計画された開放的な運動施設。“自分のまちがジムになる”様な地域の健康拠点を目指し、大屋根の下に木製什器を配置した“公園のような”空間を考案。地域コミュニティに寄与し経済と景観を守る役割も志向
  16. 隈研吾が校長を務める「高知県立林業大学校」が、木造建築について学ぶ“参加費無料”のオンライン講座を開催。日本初の高層純木造耐火建築物について、設計と施工の両観点から解説
  17. MVRDVによる、ドイツ・ベルリンの「アトリエ・ガーデンズ」。映画スタジオの段階的な再開発。文化財等に指定される建物等を活用して、エコロジーで持続可能な施設とする設計を志向。最初に改修した建築ではカーテンを用いてフレキシブルな空間を構築
  18. MoMAに収蔵された事が話題となっている携帯電話の「絵文字」のデザインを手掛けたのは、建築家の青木淳だった
  19. 白井晟一が1959年に完成させた世田谷の住宅「アトリエNo.7(旧増田夫妻のアトリエ)」をレポート。白井の孫で建築家の白井原太の修復・改修によって、原形を保ったまま現代の居住性も獲得した建築は、新しい住まい手を待つ
  20. 岡田一樹+岡田絢子 / R.E.A.D. & Architectsによる、東京の住戸改修「簾戸の家」。強い日差しが入る南東向き住戸での計画。日射の緩和とモダンな和の意匠という要望に、“簾戸”を現代化した建具を考案して陽光を遮る性能を持つ特殊素材で制作。大幅な間取り変更でなく光と素材の選択で空間をつくる

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