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妹島和世+西沢立衛 / SANAAによる、TOTOギャラリー・間での建築展「環境と建築」のレポート。進行中のプロジェクト模型中心に構成され、展示物の組み合わせや配置を現場で徹底的に検証調整することで、会場構成による体験自体も建築として捉えられるような展覧会
妹島和世+西沢立衛 / SANAAによる、TOTOギャラリー・間での建築展「環境と建築」のレポート。進行中のプロジェクト模型中心に構成され、展示物の組み合わせや配置を現場で徹底的に検証調整することで、会場構成による体験自体も建築として捉えられるような展覧会ギャラリー1の全景。 photo©architecturephoto
妹島和世+西沢立衛 / SANAAによる、TOTOギャラリー・間での建築展「環境と建築」のレポート。進行中のプロジェクト模型中心に構成され、展示物の組み合わせや配置を現場で徹底的に検証調整することで、会場構成による体験自体も建築として捉えられるような展覧会Puyuan Design and Event Center / Kazuyo Sejima & Associates / 2021年 / 1:75 / 中国の川の中の小さな島全体にガラスの覆いをかける、長さ150mのワンルームのような交流センター。 photo©architecturephoto
妹島和世+西沢立衛 / SANAAによる、TOTOギャラリー・間での建築展「環境と建築」のレポート。進行中のプロジェクト模型中心に構成され、展示物の組み合わせや配置を現場で徹底的に検証調整することで、会場構成による体験自体も建築として捉えられるような展覧会上階のギャラリー2の全景。 photo©architecturephoto

妹島和世+西沢立衛 / SANAAによる、TOTOギャラリー・間での建築展「環境と建築」をレポートします。進行中のプロジェクト模型中心に構成され、展示物の組み合わせや配置を現場で徹底的に検証調整することで、会場構成による体験自体も建築として捉えられるような展覧会になっています。展覧会期は2021年10月22日~2022年3月20日まで(※事前予約制)。展覧会の公式サイトはこちら

こちらはアーキテクチャーフォトによるレポート

SANAAの展覧会がTOTOギャラリー・間で始まる。本来はオリンピックの開催期間に、訪日する外国の方々に日本を代表する建築家の展覧会を見てもらおうと企画されたものであるが、コロナ禍によりそれはかなわず、一年を越える延期の末開催にこぎつけたのが本展である。SANAAとしてのギャラリー間での展覧会は2003年に続き2回目である(妹島単独での展示は1993年に開催されている)。

まず今回の展覧会の特徴のひとつは進行中のプロジェクトの模型を中心に展示されていることだろう。妹島と西沢の解説によれば、実際に事務所で使用されているスタディ模型や、それを展示の為に制作しなおしたもので構成されているのだという。また、西沢はギャラリー間の特徴となっている中庭を挟んで、上下のフロアに展示スペースが分かれていることの難しさにも言及していた。
本展では、下階のギャラリーでは、それぞれの建築がたつ敷地と、その敷地の状況を読み込み設計された建築の関係性を伝える事が意図されたのだという。その為、多くの模型はフロア付近に配置されており、閲覧者は上から眺める形で、模型を観覧することになる。

中庭を挟み、上階のギャラリーに上がると、よりヴォリュームの大きな模型群を目にすることになる。最も大きなスケールは1:1でつくられている「ニューサウスウェールズ州立美術館 シドニーモダンプロジェクト」の模型である、屋根部分と床部分が精密に作られておりガラスの入り方が検討されている。その他にも「新香川県立体育館」に関しては、3つのスケールの模型が展示されており様々な段階で建築が実現されるための検討が行われていることがよく分かる。上下階を何度か行き来していると、建築のおける検討のフェーズを追体験することができる感覚を覚えるし、建築家がアイデアを構想するための抽象的な思考と、実際に建てるための具象的な思考を行き来していることが実感できる展示となっている。

ザハ・ハディド・アーキテクツによる、チェコ・プラハの複合ビル「マサリチカ」。低層部の店舗と高層部のオフィスからなり、プラハ旧市街の都市計画と対話する外観を持ち、地域の交通の利便性を向上させる建築
ザハ・ハディド・アーキテクツによる、チェコ・プラハの複合ビル「マサリチカ」。低層部の店舗と高層部のオフィスからなり、プラハ旧市街の都市計画と対話する外観を持ち、地域の交通の利便性を向上させる建築 image©StudioHorak
ザハ・ハディド・アーキテクツによる、チェコ・プラハの複合ビル「マサリチカ」。低層部の店舗と高層部のオフィスからなり、プラハ旧市街の都市計画と対話する外観を持ち、地域の交通の利便性を向上させる建築 image©StudioHorak
ザハ・ハディド・アーキテクツによる、チェコ・プラハの複合ビル「マサリチカ」。低層部の店舗と高層部のオフィスからなり、プラハ旧市街の都市計画と対話する外観を持ち、地域の交通の利便性を向上させる建築 image©StudioHorak

ザハ・ハディド・アーキテクツの設計で建設が進められている、チェコ・プラハの複合ビル「マサリチカ」。低層部の店舗と高層部のオフィスからなり、プラハ旧市街の都市計画と対話する外観を持ち、地域の交通の利便性を向上させる建築となっています。2023年の竣工を予定。

こちらはリリーステキストの翻訳です

プラハのマサリチカビルの建設は続き、1階と2階の店舗部分の構造が完成しました。高層階では、テラス付きのルーフガーデンを備えた片持ち梁のオフィスの建設が始まっています。2023年のオープンを予定している28,000㎡のマサーチカビルは、東側の部分が7階建てで、西側の端は9階建てになっています。

マサリチカのデザインは、都市の主要な交通拠点の中にある新しい市民スペースへのアクセスを可能にする、敷地内の循環ルートによって定義された、統一された建築的応答です。

歴史的なマサリク駅をチェコ鉄道が再建し、線路の上に部分的に新しい公共公園を作るのに合わせて、マサリチカのデザインは、北のナ・フロレンツィ通りと南のヒベルンスカー大通りの間に新しい歩行者ルートを提供し、さらに下の鉄道プラットフォームへのアクセスを向上させます。

鉄道駅に隣接し、数十年間放置されていた廃墟のような場所で、マサリチカは、ハヴリーチコヴァ大通りの既存の駐車場を、市内の地下鉄網への入り口を含む新しい公共広場に置き換えます。この新しい広場は、郊外や国内の鉄道サービス、そしてプラハのヴァーツラフ・ハヴェル国際空港に計画されている空港鉄道リンクを利用する人々にとって、街への歓迎のゲートウェイとなるでしょう。

「100本の尖塔の街」として知られるプラハ旧市街の都市計画との対話を確立するために、マサリチカのファサードの外部フィンは、ナ・フロレンツィ通りに沿ったプロジェクトの水平な構成は、旧市街の尖塔に面した西端においては垂直の構成へと変化しています。

古森弘一建築設計事務所による、福岡・北九州市の住宅「方眼の間」。構想をもった施主家族と設計者が議論しながら設計する為に、共通ルールとして三尺方眼を天井に可視化し、在来工法の延長に成立させる事で将来的な増改築も考慮
古森弘一建築設計事務所による、福岡・北九州市の住宅「方眼の間」。構想をもった施主家族と設計者が議論しながら設計する為に、共通ルールとして三尺方眼を天井に可視化し、在来工法の延長に成立させる事で将来的な増改築も考慮 photo©大森今日子
古森弘一建築設計事務所による、福岡・北九州市の住宅「方眼の間」。構想をもった施主家族と設計者が議論しながら設計する為に、共通ルールとして三尺方眼を天井に可視化し、在来工法の延長に成立させる事で将来的な増改築も考慮 photo©大森今日子
古森弘一建築設計事務所による、福岡・北九州市の住宅「方眼の間」。構想をもった施主家族と設計者が議論しながら設計する為に、共通ルールとして三尺方眼を天井に可視化し、在来工法の延長に成立させる事で将来的な増改築も考慮 photo©大森今日子

古森弘一建築設計事務所が設計した、福岡・北九州市の住宅「方眼の間」です。構想をもった施主家族と設計者が議論しながら設計する為に、共通ルールとして三尺方眼を天井に可視化し、在来工法の延長に成立させる事で将来的な増改築も考慮されました。

「いくつかの案を考えてみました。」
最初の打ち合わせで建主夫妻から方眼紙に描かれたいくつかの平面図を受け取りこのプロジェクトは始まった。
その平面図を詳しく説明してもらうと家族4人で議論を重ねた楽しそうな痕跡が散見されたため、極力その想いを実現したいと考えた。

建築家によるテキストより

かつて住宅の間取りは建主と大工が三尺のモジュールをルールに作り上げてきたと聞く。しかし、現代の住宅では畳がなくなりその寸法体系がなくなったため、施主と専門家がやりとりしながら設計する共通のルールがなくなった。

建築家によるテキストより

設計の議論を進めやすくするために、三尺の方眼を天井に可視化することを提案した。その方眼上に自由に柱や壁を配置すれば、どんな平面でも可能であることを伝えた。その天井の方眼を構成する格子梁は特殊な技術や金物を用いることなく、在来工法の延長に成立させている。分かりやすい構法を確立することで、将来増改築の際に一般的な大工さんでも改修を可能にしている。

建築家によるテキストより
三桶士文 / mioke designによる、東京・港区の「青山のレンタルオフィス」。既存柱梁の存在感を意匠的要素として捉え、面を揃え家具類を一体化しフレームをつくることで、“一見違和感のある疑似的なスケルトン空間”を生み出す
三桶士文 / mioke designによる、東京・港区の「青山のレンタルオフィス」。既存柱梁の存在感を意匠的要素として捉え、面を揃え家具類を一体化しフレームをつくることで、“一見違和感のある疑似的なスケルトン空間”を生み出す photo©小野寺宗貴写真事務所
三桶士文 / mioke designによる、東京・港区の「青山のレンタルオフィス」。既存柱梁の存在感を意匠的要素として捉え、面を揃え家具類を一体化しフレームをつくることで、“一見違和感のある疑似的なスケルトン空間”を生み出す photo©小野寺宗貴写真事務所
三桶士文 / mioke designによる、東京・港区の「青山のレンタルオフィス」。既存柱梁の存在感を意匠的要素として捉え、面を揃え家具類を一体化しフレームをつくることで、“一見違和感のある疑似的なスケルトン空間”を生み出す photo©小野寺宗貴写真事務所

三桶士文 / mioke designが設計した、東京・港区の「青山のレンタルオフィス」です。既存柱梁の存在感を意匠的要素として捉え、面を揃え家具類を一体化しフレームをつくることで、“一見違和感のある疑似的なスケルトン空間”を生み出しています。

東京都港区に建つビンテージマンションの一室を賃貸オフィスへコンバージョンしたプロジェクト。

建築家によるテキストより

賃貸マンションの用途上、家具は入居者の持込みとなるため、必要最低限の水廻り以外スケルトンの空間が求められた。
空間のスケールに対して、柱・梁の躯体は建物の部屋割のスパンから算出され、必然的に存在感が大きいため、躯体そのものの形状を意匠的な要素としてとらえるように考えた。

建築家によるテキストより

柱、梁をモルタルでふかし、面を揃えることで、端正な空間とするとともに、棚やベンチ・カウンターなどを梁と同様のスケールで追加することで、柱・梁と一体化したフレームを作ることで、一見違和感のある疑似的なスケルトン空間を創出することを心掛けた。

建築家によるテキストより
中原崇志が会場構成を手掛けた、長野県立美術館での展覧会「10 Mame Kurogouchi」。ファッションデザイナー黒河内真衣子の単独展で、10のキーワードからブランドの思想に触れることができる、出身地長野の風景をヒントにした空間を構想
中原崇志が会場構成を手掛けた、長野県立美術館での展覧会「10 Mame Kurogouchi」。ファッションデザイナー黒河内真衣子の単独展で、10のキーワードからブランドの思想に触れることができる、出身地長野の風景をヒントにした空間を構想 photo©三嶋一路
中原崇志が会場構成を手掛けた、長野県立美術館での展覧会「10 Mame Kurogouchi」。ファッションデザイナー黒河内真衣子の単独展で、10のキーワードからブランドの思想に触れることができる、出身地長野の風景をヒントにした空間を構想 photo©三嶋一路
中原崇志が会場構成を手掛けた、長野県立美術館での展覧会「10 Mame Kurogouchi」。ファッションデザイナー黒河内真衣子の単独展で、10のキーワードからブランドの思想に触れることができる、出身地長野の風景をヒントにした空間を構想 photo©三嶋一路

中原崇志が会場構成を手掛けた、長野県立美術館での展覧会「10 Mame Kurogouchi」です。ファッションデザイナー黒河内真衣子の単独展で、10のキーワードからブランドの思想に触れることができる、出身地長野の風景をヒントにした空間が構想されました。展覧会の公式サイトはこちら(会期は終了しています)。

長野県立美術館にて、2021年6月から約2ヶ月開催された展覧会の会場構成。
日本を代表するファッションブランドである Mame Kurogouchi (マメ クロゴウチ)の美術館では初となる単独での展覧会。

建築家によるテキストより

これまで発表されたコレクションに共通する10のキーワードが、デザイナー自身のダイアリー、着想源となった品々や写真、テキスト、オリジナルのテキスタイル、コレクションのアーカイブなどを用いて多面的に可視化され、ブランドの思想の根底に触れるかのような空間を作り出しました。

建築家によるテキストより

10のキーワードは、明確にエリアを規定する事なく緩やかな繋がりのある配置とし、透明感あるショーケースに入った衣装やエレメント達が重なりあって、全体としてブランドの持つコンセプトが重層的に見えてくる空間となっています。

建築家によるテキストより
奥田晃輔+堀井達也+吉田裕樹 / OHArchitectureによる、大阪市の商業施設内の「阿倍野のカフェ」。外で飲むコーヒーの美味しさを想起し、外壁仕上を内部のリース内に取り込み外部化することで、開放的な空間となることを意図
奥田晃輔+堀井達也+吉田裕樹 / OHArchitectureによる、大阪市の商業施設内の「阿倍野のカフェ」。外で飲むコーヒーの美味しさを想起し、外壁仕上を内部のリース内に取り込み外部化することで、開放的な空間となることを意図 photo©増田好郎
奥田晃輔+堀井達也+吉田裕樹 / OHArchitectureによる、大阪市の商業施設内の「阿倍野のカフェ」。外で飲むコーヒーの美味しさを想起し、外壁仕上を内部のリース内に取り込み外部化することで、開放的な空間となることを意図 photo©増田好郎
奥田晃輔+堀井達也+吉田裕樹 / OHArchitectureによる、大阪市の商業施設内の「阿倍野のカフェ」。外で飲むコーヒーの美味しさを想起し、外壁仕上を内部のリース内に取り込み外部化することで、開放的な空間となることを意図 photo©増田好郎

奥田晃輔+堀井達也+吉田裕樹 / OHArchitectureが設計した、大阪市の商業施設内の「阿倍野のカフェ」です。外で飲むコーヒーの美味しさを想起し、外壁仕上を内部のリース内に取り込み外部化することで、開放的な空間となることが意図されました。店舗の公式サイトはこちら

外部でコーヒーを飲むとなぜあんなに美味しく感じるのだろうか。

1階の外部に面した区画。建物のレンガの外壁を内部のリースラインまで後退させることで、区画内を外部化された空間に変える。その外壁のようなレンガ壁を抜けると全体が外部のような開放的な空間が広がる。

建築家によるテキストより

ここでは、外部で使用される山石ボックスと蛇籠テーブルを用いることで緩やかに空間を分け、天井にギザギザの型枠用木毛セメント板、床に平板ブロックを敷き詰めることでどこか洞窟のような外感を生み出している。

建築家によるテキストより

また、外壁のようなレンガ壁は厚みを持たせて、その中に個室や諸室・厨房を入れることで、空間にバリエーションをつけ、多様性を付与している。また、共用部側の壁面ラインをリースラインから後退させ、カウンターやベンチを共用部に飛びだしたような意匠にすることで、人々を引き込む構えを作っている。

建築家によるテキストより
OMA / レイニエル・デ・グラーフとビューロ・ハッポルドによる、カタールの、健康地区のマスタープラン「AL DAAYAN」。130万㎡の未開拓地につくられる医療施設で、モジュール化・プレハブ化・自動化の可能性を追求し、新たな病院モデルのプロトタイプを目指す
OMA / レイニエル・デ・グラーフとビューロ・ハッポルドによる、カタールの、健康地区のマスタープラン「AL DAAYAN」。130万㎡の未開拓地につくられる医療施設で、モジュール化・プレハブ化・自動化の可能性を追求し、新たな病院モデルのプロトタイプを目指す image©Tegmark, courtesy OMA
OMA / レイニエル・デ・グラーフとビューロ・ハッポルドによる、カタールの、健康地区のマスタープラン「AL DAAYAN」。130万㎡の未開拓地につくられる医療施設で、モジュール化・プレハブ化・自動化の可能性を追求し、新たな病院モデルのプロトタイプを目指す image©OMA
OMA / レイニエル・デ・グラーフとビューロ・ハッポルドによる、カタールの、健康地区のマスタープラン「AL DAAYAN」。130万㎡の未開拓地につくられる医療施設で、モジュール化・プレハブ化・自動化の可能性を追求し、新たな病院モデルのプロトタイプを目指す image©OMA

OMA / レイニエル・デ・グラーフ(Reinier de Graaf)ビューロ・ハッポルド(Buro Happold)が設計している、カタール・ドーハの、健康地区のマスタープラン「AL DAAYAN」。130万㎡の未開拓地につくられる医療施設で、モジュール化・プレハブ化・自動化の可能性を追求し、新たな病院モデルのプロトタイプを目指す建築です。

こちらは、リリーステキストの翻訳です

OMA / レイニエル・デ・グラーフとビューロ・ハッポルドがドーハの健康地区のデザインを発表

ドーハ、2021年10月18日 – OMA / レイニエル・デ・グラーフとビューロ・ハッポルドは、ハマド医療法人(Hamad Medical Corporation (HMC))が発注したドーハのアッ=ザアーイン健康地区(Al Daayan Health District)のデザインを完成させました。130万㎡の未開拓地に位置するこのプロジェクトでは、急速に変化する医療科学に関連して、モジュール化、プレハブ化、自動化の可能性を追求しています。

中心となるのは2階建ての建物で、高等教育病院、女性・子供病院、外来診断センターが一体となっており、合計で1,400床のベッドを収容することができます。1階には臨床施設、2階には病棟が配置され、エレベーターの使用を減らし、イスラム医療建築で長い歴史を持つ癒しの空間である広々とした庭園を患者が楽しめるようになっています。

現場で組み立てられた十字型のユニットは、進行中のプロセスに影響を与えることなく組み替えや拡張が可能で、将来の改築コストを大幅に削減できます。また、3Dプリンターを使用することで、ファサードのデザインに無限のバリエーションを持たせることができ、通常は厳格さを特徴とする建築タイポロジーに装飾性を復活させることができます。ハイテク農場では、食品や医療用植物を供給し、薬の現地生産を行っています。すべての支援施設は、自動化された地下循環システムによって病院に接続されています。また、専用の物流センターや太陽光発電所を設置することで、自律的な機能を実現しています。

低コストで建設でき、グローバルなサプライチェーンへの依存度も低いアッ=ザアーイン健康地区は、欧米で開発された一般的な病院モデルに代わる、世界的に採用可能なプロトタイプとして確立することを目指しています。

村上智也 / BENDSによる、大阪市の美容室「SAMAN」。場所性と施主の人柄を活かすため、内部を構成する素材の繋がりを意識して要素を組み合わせ、そこに木質の立方体を挿入したデザインを考案
村上智也 / BENDSによる、大阪市の美容室「SAMAN」。場所性と施主の人柄を活かすため、内部を構成する素材の繋がりを意識して要素を組み合わせ、そこに木質の立方体を挿入したデザインを考案 photo©adhoc 志摩大輔
村上智也 / BENDSによる、大阪市の美容室「SAMAN」。場所性と施主の人柄を活かすため、内部を構成する素材の繋がりを意識して要素を組み合わせ、そこに木質の立方体を挿入したデザインを考案 photo©adhoc 志摩大輔
村上智也 / BENDSによる、大阪市の美容室「SAMAN」。場所性と施主の人柄を活かすため、内部を構成する素材の繋がりを意識して要素を組み合わせ、そこに木質の立方体を挿入したデザインを考案 photo©adhoc 志摩大輔

村上智也 / BENDSが設計した、大阪市の美容室「SAMAN」です。場所性と施主の人柄を活かすため、内部を構成する素材の繋がりを意識して要素を組み合わせ、そこに木質の立方体を挿入したデザインが考案されました。店舗の公式サイトはこちら

10年来の友人が独立開業を期にオープンするSAMAN。
出店場所探しに半年をかけ、オーナーの目指す今後と開業による期待と不安の今をどちらも受け入れてくれる場所を見つけることができました。

建築家によるテキストより

場所は、区画に連接する道路の先には緑生い茂る公園、2面採光の路面区画。
設計にあたり、場所性とオーナーの人柄を活かす方法論を2人で探り、ローコストの中に直感的なひらめきと経験によるアイデアを詰め込んでいます。

建築家によるテキストより

場所性を活かす1つ目として、内部を構成する素材の繋がりを意識し、コンクリートと白ラワン、特注のプリーツカーテン、楠の木塊を新たな素材として組み込み、既存のフレームと素材に沿う形で新しい要素を最小限で組み合わせています。

2つ目として、外部の公園の緑、自然光を床の写り込みにより内部に取り込み連鎖させ、店内の床の中で溶け込むように計画し、床に映り込む歪んだ景色は実空間にはない奥行きを持ち、視覚的空間の奥行きにつなげたいと考えました。

建築家によるテキストより
【ap job更新】 +ft+/髙濱史子建築設計事務所が、多数のプロジェクト進行のため追加でスタッフ(実務経験者・新卒)を募集中
【ap job更新】 +ft+/髙濱史子建築設計事務所が、多数のプロジェクト進行のため追加でスタッフ(実務経験者・新卒)を募集中
【ap job更新】 +ft+/髙濱史子建築設計事務所が、多数のプロジェクト進行のため追加でスタッフ(実務経験者・新卒)を募集中Nakamata Laboratory Store / photo: Hideaki Hamada

+ft+/髙濱史子建築設計事務所の、多数のプロジェクト進行のため追加でスタッフ(実務経験者・新卒)募集のお知らせです。詳しくは、ジョブボードの当該ページにてご確認ください。アーキテクチャーフォトジョブボードには、その他にも、色々な事務所の求人情報が掲載されています。
新規の求人の投稿はこちらからお気軽にお問い合わせください

+ft+/髙濱史子建築設計事務所ではこれまでにない規模と数のプロジェクトが進行中のため、追加でスタッフ(実務経験者、新卒)を募集します。

+ft+は、医療施設、商業施設、オフィス、住宅の新築・リノベーション、会場構成、家具やインスタレーションなど 国内外の様々な用途と規模のプロジェクトに取り組む事務所ですが、現在それに加えて保育施設といった中規模のプロジェクトが動き始めています。 我々が探求しているのは、形態によって生まれる空気感であり、時間であり、ストーリーです。 その場所が我々の提案により纏うことになる新しい空気感に意識的になりたいと考えています。

我々は立場や経験にとらわれず、フラットでオープンな作業環境の中で、チームとして各プロジェクトのポテンシャルを最大限に引き出していく働き方を目指しています。敷地やクライアントと同様に、チーム構成も一期一会と捉え、毎回それぞれのコラボレーションでしか生まれない空間の形態や質に興味があります。

経験者の方にとっても新卒の方にとっても、基本計画から現場監理まで設計の思考を鍛えながら、建築をつくりあげる一連のプロセスを共有するので、やりがいや成長を実感できる環境だと思います。

楽しむ力、コミュニケーションを取る力を持った、 一緒にものづくりをしていくことのできる方の応募をお待ちしております。

小野寺匠吾建築設計事務所による、東京・江東区の、集合住宅の一住戸の改修「Y邸」。玄関とリビングをつなぐ11cm幅の“機能のない隙間”が、景色や気配を伝え、空間の質を大きく変える
小野寺匠吾建築設計事務所による、東京・江東区の、集合住宅の一住戸の改修「Y邸」。玄関とリビングをつなぐ11cm幅の“機能のない隙間”が、景色や気配を伝え、空間の質を大きく変える photo©三嶋一路
小野寺匠吾建築設計事務所による、東京・江東区の、集合住宅の一住戸の改修「Y邸」。玄関とリビングをつなぐ11cm幅の“機能のない隙間”が、景色や気配を伝え、空間の質を大きく変える photo©三嶋一路
小野寺匠吾建築設計事務所による、東京・江東区の、集合住宅の一住戸の改修「Y邸」。玄関とリビングをつなぐ11cm幅の“機能のない隙間”が、景色や気配を伝え、空間の質を大きく変える photo©三嶋一路

小野寺匠吾建築設計事務所が設計した、東京・江東区の、集合住宅の一住戸の改修「Y邸」です。玄関とリビングをつなぐ11cm幅の“機能のない隙間”が、景色や気配を伝え、空間の質を大きく変える役割を担っています。

東京にある築40年のアパートの一戸改修計画である。
一般的な集合住宅に、生活の中に多様なコミュニケーションを生み出す「機能のない隙間」をデザインした。

施主要望は、友人を招いて食事やワインを楽しめるような場所と大きなキッチンが欲しいことなど、ごく一般的なものであった。ただ、今までに見たことのないような改修にして欲しいという大変な事を要求された。

建築家によるテキストより

スタディの段階では模型を使って様々な案を検討した。そしてあるとき、一度くっつけ合わせた居室同士を、試しに11cm離してみた。するとその瞬間、たったの11cmの隙間なのに、空間の質が大きく変わった気がした。

建築家によるテキストより

この隙間には特に機能はない。しかしこの隙間があることで、リビングの向こう側に見える景色が玄関まで届いたり、箱の向こうの人の気配を感じたりすることができる。
機能がない隙間だが、家が全体として一体となり、向かい合った部屋同士が繋がった感覚になったりする。そして各居室と隙間の壁には開口部をあけたことで、明かりが灯ったり、消えたり、家のどこにいても、生活の気配やパートナーの存在を感じることができるようになった。

建築家によるテキストより
最も注目を集めたトピックス [期間:2021/10/11-10/17]
最も注目を集めたトピックス [期間:2021/10/11-10/17]

アーキテクチャーフォトで、先週(期間:2021/10/11-10/17)注目を集めたトピックスをまとめてご紹介します。リアルタイムでの一週間の集計は、トップページの「Weekly Top Topics」よりご覧いただけます。


  1. OMA / 重松象平による、福岡の複合オフィスビル「天神ビジネスセンター」が完成。OMAの日本初のオフィスビルで、交差する二つの通りに面する建物ヴォリュームの角をピクセル化して削ることで都市活動の融合を明確にし、入口広場に公共の活動を呼び込む
  2. ザハ・ハディドの、東京・港区のKarimoku Commons Tokyoでの展覧会「ZAHA HADID DESIGN」の会場写真とレポート。ザハのプロダクトの仕事を中心に展示し、この展示の為の木製建築モデルや什器、会場構成もザハ事務所が手掛ける
  3. 【シリーズ・建築思索360°】第1回 ツバメアーキテクツが語る“BONUS TRACK”と“建築思索”
  4. 馬場正尊+加藤優一 / OpenAとOSTRによる、佐賀市の、旧校舎を改修した宿泊等の複合施設「SAGA FURUYU CAMP」。設計と運営をセットにしたプロポで選定され、既存詳細を生かし面影を残しつつ地域産木材の積極的活用により、建物自体でエリア価値も表現する
  5. ザハ・ハディドの展覧会「ZAHA HADID DESIGN 展」が、東京・港区のKarimoku Commons Tokyoで開催。ザハのデザイン作品に注目し過去のアーカイブから紹介すると共に、建築モデルも紹介される
  6. 井上亮+吉村明 / Inoue Yoshimura studioによる、神奈川・川崎市の住宅「屋根裏リビングの住宅」。法規制によって生まれた軒が低い切妻ヴォリュームの内部を、屋根裏部屋のような“裏側にある余剰空間”と見立て、その空間的楽しさをもつ建築をつくる
  7. OHArchitectureとAtelier Satoshi Takijiri Architectsによる、奈良・山辺郡の、古民家を改修した「山添村のホテル」。減築により生まれたセミパブリック空間を開放することで、環境や風土を積極的に取り込み、“何気ない日常を再発見できる宿泊施設”を構想
  8. 水谷元+三宅唯弘+野見山優亮 / 三宅唯弘建築設計事務所+atelierHUGEによる、福岡・能古島の「島の家 001」。福岡の離島を敷地とし、設計者と施主の移住生活の経験を通した、既存集落に相応しい現代の住空間の在り方を模索
  9. 山田伸彦建築設計事務所+牛島隆敬建築設計事務所による、群馬・みどり市の「幼保連携型認定こども園みどりのもり」。既存園舎の関係性を踏襲し、建物を5つの塊に分け開放的な回廊で繋ぐことで内外の親密な関係をつくり、“生き生きとしたこどもの空間”を目指す
  10. 丹下健三の、国立近現代建築資料館で行われている建築展「戦前からオリンピック・万博まで 1938-1970」をフォトレポート。卒業生設計から代々木競技場までの図面と模型等を紹介する展覧会を100枚以上の写真で紹介
  11. BIGの設計で2023年に着工する、ポルトガル・ポルトの、ファッション企業ファーフェッチの新社屋等が入る施設「FARFETCH HQ / FUSE VALLEY」。24の建物によって全体が構成され、敷地の丘の斜面を人工的に拡張したデザインは周辺環境を取り込み、活気に満ちた都市的なアンサンブルを生み出す
  12. MVRDVとグラス・アルキテクトスらによる、ベルリンの「カフェ・カマレオン」。カンペール社運営のホテルの為にデザインされ、ロビー・レストラン・店舗の機能をひとつの空間に統合し、色のグラデーションによって柔軟性と楽しさを両立させる
  13. OMAによる、ドイツ・ベルリンの老舗百貨店の改修「カーデーヴェー・ベルリン」の第一段階。歴史ある建物を4つの象限に分割し“コアヴォイド”を挿入することで、デジタル革命以後の現代に適合した施設に再定義することを意図
  14. ファラが2017年に完成させた、ポルトガル・ポルトの、アート作品の為の仮設のフォリー「folly for an art piece」。多層的なレパートリーを通じて、新古典主義とポストモダンの両方の、神殿、仮設建築、玩具になることを目指す
  15. 石上純也のチームが「徳島文化芸術ホール(仮称)」設計プロポで、優先交渉権者に選定。技術提案書や公開プレゼンテーションの動画も公開
  16. 青柳創+青柳綾夏 / アオヤギデザインによる、東京の、設計者の自邸「善福寺の家」
  17. 中山英之による、ポーラ美術館でのモネの展覧会「モネ-光のなかに 会場構成:中山英之」の写真と、中山によるコンセプト解説。モネの絵画を見るための光の質を現代技術で追求
  18. ヘルツォーグ&ド・ムーロンの設計で完成した、韓国・ソウルの現代アートセンター「ST International HQ and SONGEUN Art Space」の動画
  19. 軽井沢町庁舎改築周辺整備設計プロポで、山下設計・三浦慎JVが最優秀提案者に。二次審査に選定されていた坂茂・隈研吾・藤本壮介第一設計JVらの提案書含め公開
  20. 遠藤秀平・豊田啓介・竹口健太郎・吉田哲・栗村実が審査する「LUMION COMPETITION 2021」が開催。社会人/学生を対象に、コルビュジエ建築の隣接地を敷地にモバイルアーキテクチャーの提案を募集。受賞者には現地視察と賞金が贈られる

【ap job更新】 時間と多様性をテーマに、建築からプロダクトまで一気通貫で実践する「株式会社OSKA&PARTNERS」が、正社員(新卒・中途)、契約社員を募集中
【ap job更新】 時間と多様性をテーマに、建築からプロダクトまで一気通貫で実践する「株式会社OSKA&PARTNERS」が、正社員(新卒・中途)、契約社員を募集中
【ap job更新】 時間と多様性をテーマに、建築からプロダクトまで一気通貫で実践する「株式会社OSKA&PARTNERS」が、正社員(新卒・中途)、契約社員を募集中胎児専門クリニック|写真:長谷川健太

時間と多様性をテーマに、建築からプロダクトまで一気通貫で実践する「株式会社OSKA&PARTNERS」の、正社員(新卒・中途)、契約社員募集のお知らせです。詳しくは、ジョブボードの当該ページにてご確認ください。アーキテクチャーフォトジョブボードには、その他にも、色々な事務所の求人情報が掲載されています。
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私たちは、時間と多様性をテーマにオフィス・住宅・ホテル・飲食店・クリニックなど様々なプロジェクトの設計に取り組んでいます。

最近は、古ビルを1棟改修する案件が増えており、建築の技術的なところから家具や照明器具など細かい部分までデザインすることで建物全体をブランディングし、新しい価値をつくっています。

実務経験に応じて、設計はもちろんのこと、クライアントとの打ち合わせから現場監理まで担当して頂きます。

当社は建築士事務所がベースとなっておりますが、建築設計、インテリアデザイン、家具のプロダクトデザインまで一気通貫で実践しており、幅広い実務が経験できます。

また、多くのプロジェクトでグラフィックデザイナーやアーティストなど外部パートナーと協働して空間をつくっていますので、様々なプロフェッショナルに触れることで視野の広い建築家/デザイナーとしての成長が期待できると考えています。

この度事業拡大のため設計スタッフを募集いたします。

ヘルツォーグ&ド・ムーロンの設計で完成した、韓国・ソウルの現代アートセンター「ST International HQ and SONGEUN Art Space」の動画

ヘルツォーグ&ド・ムーロンの設計で完成した、韓国・ソウルの現代アートセンター「ST International HQ and SONGEUN Art Space」の動画です。こちらのページに写真が14枚掲載されています。施設の公式サイトはこちら

ファラが2019年に完成させた、ベルギー・ブリュッセルの、フォリー「folly for sun and sound」。個性的な4つのファサードで構成され、塗装を丁寧に施すことで建築要素の読み取りを明確にした、自由な解釈を受け入れる建築
ファラが2019年に完成させた、ベルギー・ブリュッセルの、フォリー「folly for sun and sound」。個性的な4つのファサードで構成され、塗装を丁寧に施すことで建築要素の読み取りを明確にした、自由な解釈を受け入れる建築 photo©fala
ファラが2019年に完成させた、ベルギー・ブリュッセルの、フォリー「folly for sun and sound」。個性的な4つのファサードで構成され、塗装を丁寧に施すことで建築要素の読み取りを明確にした、自由な解釈を受け入れる建築 photo©fala
ファラが2019年に完成させた、ベルギー・ブリュッセルの、フォリー「folly for sun and sound」。個性的な4つのファサードで構成され、塗装を丁寧に施すことで建築要素の読み取りを明確にした、自由な解釈を受け入れる建築 photo©fala

ファラが2019年に完成させた、ベルギー・ブリュッセルの、フォリー「folly for sun and sound」。個性的な4つのファサードで構成され、塗装を丁寧に施すことで建築要素の読み取りを明確にした、自由な解釈を受け入れる建築となっています。このフォリーは、芸術・建築・音楽のイベント「horst arts & music festival」のためにつくられました。

ファラは、フィリップ・マガリャインシュ(filipe magalhães)、アナ・ルイサ・ソアレス(ana luisa soares)、アーメッド・ベルホジャ(ahmed belkhodja)の3人が主宰する建築設計事務所で2013年に設立されました。それぞれ、SANAA、伊東豊雄、アトリエ・ワンという日本の設計事務所に勤務やインターンした経験をもつことも特徴です。またフィリップとアナは、日本滞在中は中銀カプセルタワーに居住していました。

こちらは、建築家によるテキストの翻訳

このストラクチャーは、舞台、部屋、広場のいずれかになるとは限りません。ひと続きの台地と、個性的な4つのファサードで構成されています。全体のヴォリュームは近くの仮設の兵舎を思い起こさせますが、その言語は軍事的なものではありません。

基本的には地元の木材でできており、塗装を丁寧に施すことで、建築要素の読み取りを明確にしています。このプロジェクトの統一性は、誇りを持ってゆるやかに、そして自由に解釈できるものです。緑と白の合板でできたタイルは、外側では羽のように、内側では水平のストライプになっています。金属製の屋根はゲストを迎え入れ、ステージを保護し、2つのディスコボールを支えています。短いファサードの1つは昇る月のように、もう1つは太陽の下に横たわる白い猫を想起させます。

【シリーズ・建築思索360°】第1回 ツバメアーキテクツが語る“BONUS TRACK”と“建築思索”
【シリーズ・建築思索360°】第1回 ツバメアーキテクツが語る“BONUS TRACK”と“建築思索”

「建築思索360°」は「360度カメラ RICOH THETA(リコーシータ)」と建築ウェブメディア「architecturephoto®」のコラボレーションによる特別連載企画です。現代社会のなかで、建築家として様々な試行錯誤を行い印象的な作品をつくる4組の建築家に、その作品と背景にある思索についてインタビューを行い、同時に建築・建設業界で新しいツールとして注目されているRICOH THETAを利用することの可能性についてもお聞きしました。さらに建築作品をRICOH THETA を用いた360度空間のバーチャルツアー「RICOH360 Tours」でもご紹介します。


「BONUS TRACK」は2020年春にオープンした、四つのSOHO棟と中央棟、そしてそれをつなぐ広場によって構成された、商店街のようなエリアです。ツバメアーキテクツは建物の設計だけでなく、設計前後の段階にも関わりました。この作品を中心に、ツバメアーキテクツの特色であるLABとDESIGNの2軸によるプロジェクトの進行方法や、それによって可能となることをお聞きしました。

*このインタビューは感染症予防の対策に配慮しながら実施・収録されました。


設計前のソフトづくりの段階からチームに参加


360度カメラRICOH THETA Z1で撮影・編集した画像データを埋め込み表示した、RICOH360 Toursの「BONUS TRACK」バーチャルツアー。画像内の矢印をタップすることで、空間を移動することができます。

——このプロジェクトに関わる背景から教えていただければと思います。

山道:「BONUS TRACK」は2004年に着工した小田急小田原線の連続立体交差事業と複々線化事業によって生じた、線路跡地の再開発プロジェクトの一つにあたります。

小田急電鉄では東北沢と世田谷代田駅間の全長約1.7㎞の空き地を「下北線路街」としていくつかの街区に分けて活用する計画を進めていました。

ここには現在、温泉旅館や保育施設、ユニークなコンセプトの教育施設など様々なコンテンツが入っているのですが、2018年の頭頃、「下北線路街」全体のマスタープランを担っているUDSと、この「BONUS TRACK」がある敷地について、枠組みづくりから行いました。

【シリーズ・建築思索360°】第1回 ツバメアーキテクツが語る“BONUS TRACK”と“建築思索”ツバメアーキテクツ の山道拓人。 photo©大原宗

千葉:下北沢は区画整理が進まなかったが故に、細い路地が入り組みそこに小さな個人店が連なることによって特徴的なまち並みが形成されてきました。そうした環境が、演劇や音楽、古着といった、独特なカルチャーを根付かせ、多くの人に愛されるまちになっています。

しかし、人気が上がり開発の手が入ることによって家賃が高騰し、チェーン店が増え、こうした個性が失われつつあります。小田急電鉄は開発を進める一方で、こうした状況に危機感を感じており、まちを一変してしまう開発ではなく既存のまちを維持するための支援型の開発をコンセプトとしていました。

この場所はそうした背景から既存の商店街の風景を引き継ぎ、若者がチャレンジできるような環境をつくりたいというところからスタートしました。僕たちはこうした思いを実現するために、具体的に見えるかたちにすることを求められていました。

【シリーズ・建築思索360°】第1回 ツバメアーキテクツが語る“BONUS TRACK”と“建築思索”ツバメアーキテクツ の千葉元生。 photo©大原宗

家賃と区画割りの複雑なパズルを解いていく

——ツバメアーキテクツ は、設計前後の段階に関わるLABと主に設計に携わるDESIGNの2部門をもっています。LAB業務としてまず業務を開始したということですよね。具体的にどのような作業からスタートしたのでしょうか。

西川:「BONUS TRACK」の敷地は当初駐車場となる予定だったそうですが、担当者の異動などによって一気に用途が転換したと聞いています。どんなものがあるとこの地域全体にとって良いのかということを軸に、ソフトの検討が始まった段階で我々もチームに加わらせていただいたという感じです。

若者が住みながら商いできる商店街というイメージに対して、打ち合わせを重ねていくうちにそのための裏付け、つまり若者が借りられる程度の賃料の設定や用途地域でそれが可能かという検討を行っていきました。

【シリーズ・建築思索360°】第1回 ツバメアーキテクツが語る“BONUS TRACK”と“建築思索”ツバメアーキテクツ の西川日満里。 photo©大原宗

山道:まず関係者とともに、1区画15万円であれば若い人たちもチャレンジできる賃料だと目安をつけていきました。するとこの長屋を3分割すると、それぞれが1階が5坪、2階も5坪という基本形で15万円とすると採算が取れる。

規模的にも、ちょっとした雑貨屋さん程度のサイズ感のある店舗と、若者が一人で暮らせるぐらいの住居がセットでつくれるぐらいでちょうどいいとなって、この設定でいくことになりました。

またそれには、この用途地域で、そもそもそれが可能かという検討も必要でした。地面をデザインするように複雑なパズルを解いていくようなものでした。

OHArchitectureとAtelier Satoshi Takijiri Architectsによる、奈良・山辺郡の、古民家を改修した「山添村のホテル」。減築により生まれたセミパブリック空間を開放することで、環境や風土を積極的に取り込み、“何気ない日常を再発見できる宿泊施設”を構想
OHArchitectureとAtelier Satoshi Takijiri Architectsによる、奈良・山辺郡の、古民家を改修した「山添村のホテル」。減築により生まれたセミパブリック空間を開放することで、環境や風土を積極的に取り込み、“何気ない日常を再発見できる宿泊施設”を構想 photo©塩谷淳
OHArchitectureとAtelier Satoshi Takijiri Architectsによる、奈良・山辺郡の、古民家を改修した「山添村のホテル」。減築により生まれたセミパブリック空間を開放することで、環境や風土を積極的に取り込み、“何気ない日常を再発見できる宿泊施設”を構想 photo©塩谷淳
OHArchitectureとAtelier Satoshi Takijiri Architectsによる、奈良・山辺郡の、古民家を改修した「山添村のホテル」。減築により生まれたセミパブリック空間を開放することで、環境や風土を積極的に取り込み、“何気ない日常を再発見できる宿泊施設”を構想 photo©塩谷淳

奥田晃輔+堀井達也+吉田裕樹 / OHArchitecture瀧尻賢 / Atelier Satoshi Takijiri Architectsが設計した、奈良・山辺郡の、古民家を改修した「山添村のホテル」です。
減築により生まれたセミパブリック空間を開放することで、環境や風土を積極的に取り込み、“何気ない日常を再発見できる宿泊施設”が構想されました。施設の公式ページはこちら

奈良県奥大和地方の山添村。
周囲には店舗や観光地、ましてやコンビニなど何もない。
あるのは自然だけのこの地に山添村のホテルは計画されました。

クライアントは奈良の寿司メーカーで、山添村の地で古民家を購入し、新たな宿泊事業の展開を模索していました。

建築家によるテキストより

山添村には何もなくて不自由ですが、なんでもあります。
少しあるけば食べ物を作る畑があり、ちょっと足を延ばせば焼き物を作る工房もありますし、豊かな風景は目前に広がっています。それらは一つ一つ私たちで訪ねなければなりません。とても不自由です。その不自由さが、自分たちが気づけない日常にあらためて向き合わせてくれます。私たちが計画したホテルはそんな何気ない日常を再発見できるホテルです。

建築家によるテキストより

山添村のホテルは母屋(受付ロビー)+宿泊棟という構成になっています。
通常ホテルという建物はプライベート性を求めて閉鎖的に作られがちですが、ここではあえて、ホテルの一部を開放することで外部(山添村の自然環境や風土)を積極的に取り込むことを考えました。
それぞれの建物は減築され、外のような室内でセミパブリックな空間をつくっています。

建築家によるテキストより

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