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ムトカ建築事務所が完成させた、東京・馬喰町の、スタジオ・ラボラトリー“WOTA office project”のレビュー「リノベーション建築の作法がスケールの壁を越えた時に生まれるもの」
ムトカ建築事務所が完成させた、東京・馬喰町の、スタジオ・ラボラトリー“WOTA office project”のレビュー「リノベーション建築の作法がスケールの壁を越えた時に生まれるもの」1950年頃に銀行として使われていた面影を残すファサード。 photo©architecturephoto
ムトカ建築事務所が完成させた、東京・馬喰町の、スタジオ・ラボラトリー“WOTA office project”のレビュー「リノベーション建築の作法がスケールの壁を越えた時に生まれるもの」1階フロアの様子。中央の階段は既存に手を加えたもの。 photo©architecturephoto
ムトカ建築事務所が完成させた、東京・馬喰町の、スタジオ・ラボラトリー“WOTA office project”のレビュー「リノベーション建築の作法がスケールの壁を越えた時に生まれるもの」2階フロアの様子。上部の銀色の素材は断熱材。外気に面する部分を覆うと共に意匠性も兼ねる。 photo©architecturephoto
ムトカ建築事務所が完成させた、東京・馬喰町の、スタジオ・ラボラトリー“WOTA office project”のレビュー「リノベーション建築の作法がスケールの壁を越えた時に生まれるもの」3階フロアのカフェの様子。 photo©architecturephoto

村山徹+加藤亜矢子 / ムトカ建築事務所が設計した、東京・馬喰町の、スタジオ・ラボラトリー「WOTA office project」をレビューします。本作品は、リノベーション建築の作法がスケールの壁を越えた時に生まれるものを意識させる建築となっています。2010年代のリノベーションが建築作品となった時代を振り返りつつ本建築の意味を考え執筆しました。

以下、実際に訪問したアーキテクチャーフォトによるレビューです

ムトカ建築事務所が設計した、東京・馬喰町のスタジオ・ラボラトリー「WOTA office project」を訪れた。
小規模分散型水循環システムの研究開発・事業展開を行うWOTA株式会社の施設であり、旧銀行であった建物の一棟全てを改修した建築である。改修と書いたが本施設の延床面積は約1600㎡であり、フロアも3つある。つまり、改修として規模がかなり大きいのも特徴のひとつだ。

以下の写真はクリックで拡大します

ムトカ建築事務所が完成させた、東京・馬喰町の、スタジオ・ラボラトリー“WOTA office project”のレビュー「リノベーション建築の作法がスケールの壁を越えた時に生まれるもの」1950年頃に銀行として使われていた面影を残すファサード。 photo©architecturephoto
ムトカ建築事務所が完成させた、東京・馬喰町の、スタジオ・ラボラトリー“WOTA office project”のレビュー「リノベーション建築の作法がスケールの壁を越えた時に生まれるもの」ファサードを見上げる。 photo©architecturephoto
ムトカ建築事務所が完成させた、東京・馬喰町の、スタジオ・ラボラトリー“WOTA office project”のレビュー「リノベーション建築の作法がスケールの壁を越えた時に生まれるもの」エントランスを見る。 photo©architecturephoto

建物外観は、旧銀行の面影の多くを残しているのが印象に残った(開口部の新しいサッシはA工事で設置されたもので、ここはC工事を手掛けたムトカの設計によるものではないとの事だった)。内部に足を踏み入れると、広くガランとした空間であることが分かる。これはもちろん家具類が搬入される前の状態で見学したことによるところもあるのだが、その床面積の広さと天井高の高さによるところも大きいだろう。かなりの気積の空間なのだ。

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私たちは、組織設立以来三十数年にわたり、教育施設や福祉施設を中心に、建築からインテリアまで幅広く設計に取り組んできました。また、工場やキャンパスなどのマスタープランなど広域計画も手がけています(当社のウエブサイトに主要な作品を掲載しています)。
我々が手がけた多くの設計プロジェクトは、権威ある建築賞を多数受賞するなど建築界から高い評価を得ています。また、依頼者にも高い満足をいただき継続的に発注を頂いています。

大野秀敏・江口英樹・山本真也

胡実建築設計事務所による、東京・町田市の住宅「丹沢山を眺める家」。木の塊から作品を作り出す施主への敬意を込め、外装に節材を使い様々なスケールで豊かな素材感を与える、木から削り出したようなヴォリュームの建築
胡実建築設計事務所による、東京・町田市の住宅「丹沢山を眺める家」。木の塊から作品を作り出す施主への敬意を込め、外装に節材を使い様々なスケールで豊かな素材感を与える、木から削り出したようなヴォリュームの建築 photo©田中克昌
胡実建築設計事務所による、東京・町田市の住宅「丹沢山を眺める家」。木の塊から作品を作り出す施主への敬意を込め、外装に節材を使い様々なスケールで豊かな素材感を与える、木から削り出したようなヴォリュームの建築 photo©田中克昌
胡実建築設計事務所による、東京・町田市の住宅「丹沢山を眺める家」。木の塊から作品を作り出す施主への敬意を込め、外装に節材を使い様々なスケールで豊かな素材感を与える、木から削り出したようなヴォリュームの建築 photo©田中克昌

胡実建築設計事務所が設計した、東京・町田市の住宅「丹沢山を眺める家」です。木の塊から作品を作り出す施主への敬意を込め、外装に節材を使い様々なスケールで豊かな素材感を与える、木から削り出したようなヴォリュームの建築となっています。

丹沢連山を望む高台に立地する住宅。

建築家によるテキストより

木工アーティストである施主は、欅などの木の塊から生き生きとしたユーモラスな作品を作り出す。
そんな施主の作品へのリスペクトを込めて、削り出したような木の塊のようなボリュームとした。

建築家によるテキストより

外装材では、節のある木を使用したが、結果的に、外壁のスケールと素材のスケールの中間的なスケールの要素として存在することで、外壁が生き生きとしたものとなり、様々なスケールにおいて豊かな素材感を感じられる住宅となった。

建築家によるテキストより
近森穣 / 07BEACHによる、京都市の、呉服店のショールーム兼写真スタジオ「京都の町家リノベーション」。伝統を守り集客にも繋がるという要望に、既存外壁を取り除きガラスの多面体への置き換えにより、町家が魅力的に見えると共に“ユーモアや工夫のある美しさ”が加わることを目指す
近森穣 / 07BEACHによる、京都市の、呉服店のショールーム兼写真スタジオ「京都の町家リノベーション」。伝統を守り集客にも繋がるという要望に、既存外壁を取り除きガラスの多面体への置き換えにより、町家が魅力的に見えると共に“ユーモアや工夫のある美しさ”が加わることを目指す photo©Ruri Photo Studio
近森穣 / 07BEACHによる、京都市の、呉服店のショールーム兼写真スタジオ「京都の町家リノベーション」。伝統を守り集客にも繋がるという要望に、既存外壁を取り除きガラスの多面体への置き換えにより、町家が魅力的に見えると共に“ユーモアや工夫のある美しさ”が加わることを目指すどっしりと重い従来の飛び石の印象とは違い、グラフィカルで軽やかなものになった。 photo©Ruri Photo Studio
近森穣 / 07BEACHによる、京都市の、呉服店のショールーム兼写真スタジオ「京都の町家リノベーション」。伝統を守り集客にも繋がるという要望に、既存外壁を取り除きガラスの多面体への置き換えにより、町家が魅力的に見えると共に“ユーモアや工夫のある美しさ”が加わることを目指す photo©Ruri Photo Studio

近森穣 / 07BEACHが改修を手掛けた、京都市の、呉服店のショールーム兼写真スタジオ「京都の町家リノベーション」です。伝統を守り集客にも繋がるという要望に、既存外壁を取り除きガラスの多面体への置き換えにより、町家が魅力的に見えると共に“ユーモアや工夫のある美しさ”が加わることを目指す。店舗の公式サイトはこちら

京町家を改修し呉服屋のショールーム兼写真スタジオへとリノベーションした。
クライアントからは呉服屋も伝統を守るだけでは難しく集客に繋がるような面白いものにしたいと言う様な話があった。

それに対し既存の外壁を取り除き、内外の境界線を横断する様なガラス曲面の配置を中心に応えようと考えた。古い町家とガラスの曲面、新旧のコントラストが目を引くのは当たり前として、それだけでは無いユーモアや工夫のある美しさを加えていきたいと思いながらデザインをしていった。

建築家によるテキストより

当初あったガラス曲面案は予算的に非現実的な事が分かり、小幅なガラス板を連ねた多面体に変更した。大きなガラスで透明に見せようとするのとは違うガラスの多面体には着物の煌びやかさに繋がるような魅力があり、等間隔で入る垂直線はガラス壁を町家の意匠と繋いでくれる感覚もあり、コストと意匠両面で積極的に多面体案へと変更していった。

建築家によるテキストより

通りに接していた玄関扉を取り払い室内だった部分へアプローチを引き込み半屋外とし来店時の体験に奥行きを持たせた。様々な使い勝手に対応できる様に表通りに直接面する大きな出入口も欲しいと言うことで、多面体をそのままドアにも当てはめ、への字に折れたガラスドアをデザインした。

建築家によるテキストより
GROUP+清原惟+三野新による、神奈川の「海老名のアトリエ付きシェアハウス」。メーカーが建設した集合住宅の改修の依頼に、設計者が実際にそこに住み“生活の痕跡”を見つけ“形”に再構築することで、その新しい関係性により建築が更に変化する発端となることを構想
GROUP+清原惟+三野新による、神奈川の「海老名のアトリエ付きシェアハウス」。メーカーが建設した集合住宅の改修の依頼に、設計者が実際にそこに住み“生活の痕跡”を見つけ“形”に再構築することで、その新しい関係性により建築が更に変化する発端となることを構想 photo©高野ユリカ
GROUP+清原惟+三野新による、神奈川の「海老名のアトリエ付きシェアハウス」。メーカーが建設した集合住宅の改修の依頼に、設計者が実際にそこに住み“生活の痕跡”を見つけ“形”に再構築することで、その新しい関係性により建築が更に変化する発端となることを構想 photo©高野ユリカ
GROUP+清原惟+三野新による、神奈川の「海老名のアトリエ付きシェアハウス」。メーカーが建設した集合住宅の改修の依頼に、設計者が実際にそこに住み“生活の痕跡”を見つけ“形”に再構築することで、その新しい関係性により建築が更に変化する発端となることを構想 photo©高野ユリカ
GROUP+清原惟+三野新による、神奈川の「海老名のアトリエ付きシェアハウス」。メーカーが建設した集合住宅の改修の依頼に、設計者が実際にそこに住み“生活の痕跡”を見つけ“形”に再構築することで、その新しい関係性により建築が更に変化する発端となることを構想 photo©高野ユリカ

GROUP+清原惟+三野新が設計した、神奈川の「海老名のアトリエ付きシェアハウス」です。メーカーが建設した集合住宅の改修の依頼に、設計者が実際にそこに住み“生活の痕跡”を見つけ“形”に再構築することで、その新しい関係性により建築が更に変化する発端となることが構想されました。高野ユリカと三野新がそれぞれ撮影した写真で紹介します。

私たちが改修設計を依頼された住宅は、平成のはじめにハウスメーカーによってつくられた6棟が連なる長屋形式の集合住宅でした。
クライアントからアトリエ付きシェアハウスへのリノベーションの依頼を受け、敷地を訪れたとき、ハウスメーカーについてよく言われている均質な空間の中に、生活の痕跡が残されていることに気が付きました。

建築家によるテキストより

海老名の家プロジェクトでは、まず、設計者も含めた9名がその場所に実際に住むことで、家に残された生活の痕跡を見つけつつ、同時に新たにつくりだしていきました。そして、生活を送る中で海老名の家に積み重なっていった痕跡を、写真や映像を用いて記録していきました。そこに写っているものは、食事の風景であったり、庭の植物であったり、部屋に差し込む光であったり、中には私たち設計者が写り込んでいるものもありました。

建築家によるテキストより

私たちはその記録を元に、生活の痕跡の「形」を再構築し、外壁に各部屋をまたがった曲線の開口、共用棟の吹き抜け、北側の作業場に通ずる扉をつくりました。これらは既存建築の中に、柔らかい光を取り入れたり、座ったり、ものを置いたり、思い思いに使うことのできる余白を生みだすものとして設計しました。
また、「形」に還元できない痕跡を用いて、共用棟へのスロープと、北側の外部アトリエをつくりました。スロープは各住戸の入り口へと曲線を描きながら伸び、外部アトリエは、隣地の森の樹木の位置と呼応し、制作中にふと目をあげると樹木たちが近くいることを意識できるように設計しました。

建築家によるテキストより
森恵吾+ジャン・ジエ / ATELIER MOZHによる、中国・西安市の、ギャラリーと絵画教室「Liu painting studio」。設計検討の中で“森の礼拝堂での体験”を回顧した設計者は、天井に完璧な正円を描くことで、集まる生徒と先生の行為を支える背景としての空間を構想
森恵吾+ジャン・ジエ / ATELIER MOZHによる、中国・西安市の、ギャラリーと絵画教室「Liu painting studio」。設計検討の中で“森の礼拝堂での体験”を回顧した設計者は、天井に完璧な正円を描くことで、集まる生徒と先生の行為を支える背景としての空間を構想 photo©FUSION Photography - Zhu Runzi
森恵吾+ジャン・ジエ / ATELIER MOZHによる、中国・西安市の、ギャラリーと絵画教室「Liu painting studio」。設計検討の中で“森の礼拝堂での体験”を回顧した設計者は、天井に完璧な正円を描くことで、集まる生徒と先生の行為を支える背景としての空間を構想 photo©FUSION Photography - Zhu Runzi
森恵吾+ジャン・ジエ / ATELIER MOZHによる、中国・西安市の、ギャラリーと絵画教室「Liu painting studio」。設計検討の中で“森の礼拝堂での体験”を回顧した設計者は、天井に完璧な正円を描くことで、集まる生徒と先生の行為を支える背景としての空間を構想 photo©FUSION Photography - Zhu Runzi

森恵吾+ジャン・ジエ / ATELIER MOZHが設計した、中国・西安市の、ギャラリーと絵画教室「Liu painting studio」です。設計検討の中で“森の礼拝堂での体験”を回顧した設計者は、天井に完璧な正円を描くことで、集まる生徒と先生の行為を支える背景としての空間を構想しました。

リヨンで絵画を学んだ若いクライアントのための、ギャラリーと絵画教室の計画である。

クライアントは、慣れ親しんだ西洋のアトリエの雰囲気と同時に、たくさんの若いゲストを迎え入れられるフレッシュな雰囲気の場所を望んでいた。

建築家によるテキストより

改築前のこの場所は、平面的な広さの割りに天井が低く、そのせいで柱の無骨さも気になった。ここにクライアントの要求をどう満たすか考える中で、アスプルンドの森の礼拝堂での体験をふと思い出した。低く抑えられた平天井を支える柱の列。その奥には、白くポッカリと円形に穿たれた天井。その下で参列者たちは中心の祭壇を囲う。

建築家によるテキストより

あの場所の雰囲気 – もちろんここは教会でも何でもないのだが – を思い浮かべながら、プランに線を引いてみた。
円周上には生徒が集まり、中心を見つめることができる。中心は描写する対象(オブジェ)かもしれないし、クライアントである先生かもしれない。あるいは逆に、円の中心に立った先生が、周囲の生徒たちの様子を見渡すこともできる。さらに、円弧に沿ってカーテンを巡らせば、内部はテンポラリーなギャラリー空間として使用できる。

建築家によるテキストより
キノシタヒロシ建築設計事務所による、鳥取の「小さな図書館のある家」。蔵書を多く持つ施主からの依頼に、私設図書館として街に開くこともできる住空間を提案、防火建築帯特有のスケール感を生かし“施主の描く新しい共同体の形成の器”となることも意図
キノシタヒロシ建築設計事務所による、鳥取の「小さな図書館のある家」。蔵書を多く持つ施主からの依頼に、私設図書館として街に開くこともできる住空間を提案、防火建築帯特有のスケール感を生かし“施主の描く新しい共同体の形成の器”となることも意図 photo©キノシタヒロシ建築設計事務所
キノシタヒロシ建築設計事務所による、鳥取の「小さな図書館のある家」。蔵書を多く持つ施主からの依頼に、私設図書館として街に開くこともできる住空間を提案、防火建築帯特有のスケール感を生かし“施主の描く新しい共同体の形成の器”となることも意図 photo©キノシタヒロシ建築設計事務所
キノシタヒロシ建築設計事務所による、鳥取の「小さな図書館のある家」。蔵書を多く持つ施主からの依頼に、私設図書館として街に開くこともできる住空間を提案、防火建築帯特有のスケール感を生かし“施主の描く新しい共同体の形成の器”となることも意図 photo©キノシタヒロシ建築設計事務所

キノシタヒロシ建築設計事務所が設計した、鳥取の「小さな図書館のある家」です。蔵書を多く持つ施主からの依頼に、私設図書館として街に開くこともできる住空間を提案、防火建築帯特有のスケール感を生かし“施主の描く新しい共同体の形成の器”となることも意図されました。

たくさんの本をお持ちでその収蔵場所も兼ねた住まいを考えていた施主に、単に書庫としてだけでなく、気が向いたら私設の図書館のようにして街に開くことができる住空間としてはどうかと提案し計画が始まった。

建築家によるテキストより

入り口にあった6枚のガラス戸はそのまま転用することとし、一階はアーケードから続く土間や客間として、あるいは小さな図書館のような開かれた場所にもなり、円環状に設けられたベンチはその様々な場面で使われる。上階は躯体が持つおおらかさを存分に活かして施主の好みでもあるワンルームとした。設備を最新の高効率機器に取り替えた以外は、建築全体として大きな費用は掛けず最小限の改修に留めた。

建築家によるテキストより

躯体の1階の天井高さはアーケードと同じ3500mm、2階は3400mmと防火建築帯とほぼ同じ規格であり、またそれは一般的なマンションなどの躯体天井高さと比べて遥かに高い。この空間スケールはアーケードと同じく、大火以降から経験されてきたこの街特有のスケールであり、この地域の共同体の活動を支えて来たであろうことは容易に想像できる。施主の描く新しい共同体の形成の器として、これらを評価し積極的に設計に取り込んだ。

建築家によるテキストより
照内創+SO&CO.による、東京・葛飾区の住宅「金町の増築」。既存建物の輪郭を手がかりに外壁等を残しつつ増築、新設部に外的な性質を持たせ“内外の存在と物質としての新旧が混ざり合う建築”を目指し、増築を契機に検査済証も取得
照内創+SO&CO.による、東京・葛飾区の住宅「金町の増築」。既存建物の輪郭を手がかりに外壁等を残しつつ増築、新設部に外的な性質を持たせ“内外の存在と物質としての新旧が混ざり合う建築”を目指し、増築を契機に検査済証も取得 photo©若林勇人
照内創+SO&CO.による、東京・葛飾区の住宅「金町の増築」。既存建物の輪郭を手がかりに外壁等を残しつつ増築、新設部に外的な性質を持たせ“内外の存在と物質としての新旧が混ざり合う建築”を目指し、増築を契機に検査済証も取得 photo©若林勇人
照内創+SO&CO.による、東京・葛飾区の住宅「金町の増築」。既存建物の輪郭を手がかりに外壁等を残しつつ増築、新設部に外的な性質を持たせ“内外の存在と物質としての新旧が混ざり合う建築”を目指し、増築を契機に検査済証も取得 photo©若林勇人

照内創+SO&CO.が設計した、東京・葛飾区の住宅「金町の増築 / Residential extension in Kanamachi」です。既存建物の輪郭を手がかりに外壁等を残しつつ増築、新設部に外的な性質を持たせ“内外の存在と物質としての新旧が混ざり合う建築”を目指し、増築を契機に検査済証も取得しました。

施主は2010年頃に既存建物を購入、木造2階建て延床面積61.27㎡の小さな住宅は、子供の成長とともに家族4人では手狭になっていた。長男の中学校入学にあわせ、長男へ自分の部屋を用意してあげたいというのが、増築を考えるきっかけであったようだ。

既存建物は2000年に発行された建築確認済証は存在したが、完了検査を受けておらず、完了検査済証がない状況であった。申請図からの大きな違いは建物位置が西側ではなく東側に寄って配置されていたこと、それ以外は筋交い位置や柱の位置の違いが複数あった。耐震診断→検査済証のない建築物に係る建築基準法適合状況調査→増築の確認申請を行い、完了検査済証を取得した。

建築家によるテキストより

本物件は都内有数の水元公園近く、駅から少し離れたロードサイドに駐車場が並ぶ低層住宅地にある。

施主は2010年頃に既存建物を購入、木造2階建て延床面積61.27㎡の小さな住宅は、子供の成長とともに家族4人では手狭になっていた。長男の中学校入学にあわせ、長男へ自分の部屋を用意してあげたいというのが、増築を考えるきっかけであったようだ。

建築家によるテキストより

既存建物は施主の代々引き継いだ建物でもなく、施主本人が建てた建物でもない。とはいえ、10年近く住み続けた記憶がある。

竣工してからの20年間存在した建物のアウトラインを一つの手がかりとして、増築することで内部化された旧外壁部やバルコニーの手すり壁、戸袋も必要最低限のみ解体し、それ以外はそのまま残置した。その上部にトップライトを設けることで、今まで屋外であった空間に増築されたことがほのかに感じられる、外のような中、中のような外、内外の存在と物質としての新旧も混ざり合う建築を目指した。

建築家によるテキストより
ヴァージル・アブロー氏が亡くなりました

ヴァージル・アブロー氏が亡くなりました。41歳でした。
建築出身のファンションデザイナーとして知られ、近年にはルイヴィトンメンズのアーティスティック・ディレクターを務めるなど注目を集めていました。またOMAなどとコラボレーションするなど建築界でも注目を集めました。2017年にはハーバード大学GSDでは講演も行っており、スニーカーへのサインを希望する学生が殺到する等も話題となりました(ヴァージル氏はナイキのスニーカーのデザインでも著名でした)。ご冥福をお祈りいたします。


こちらは、ヴァージル・アブロー氏のinstagramの公式アカウントに投稿された内容。


こちらは、2017年にハーバード大学GSDで行われた講演の動画。

最も注目を集めたトピックス [期間:2021/11/22-11/28]
最も注目を集めたトピックス [期間:2021/11/22-11/28]

アーキテクチャーフォトで、先週(期間:2021/11/22-11/28)注目を集めたトピックスをまとめてご紹介します。リアルタイムでの一週間の集計は、トップページの「Weekly Top Topics」よりご覧いただけます。


  1. ムトカ建築事務所による、神奈川・鎌倉市の、住宅リノベーション「家と庭と代」。再建築不可という条件に、10㎡以下の“代”を増築することで、すべての風景を肯定できる環境に変える / 山本瑠以による論考「代わるための代」
  2. 森下修 / 森下建築総研による、大阪・東大阪市の店舗兼住宅「藤田珈琲 / naked Spiral around Functions」。珈琲焙煎等の生産空間をコアに据え、そこに客席にもなるスロープが螺旋状にまとわりつき上昇する構成により、渦巻き飛翔する“フローの建築”を構想
  3. ムトカ建築事務所による、東京・小平市の、住宅改修「天井の楕円」。リビングに挿入された“スーパー楕円形状の穴の空いた天井”は、既存の開口部の在り方を変えると共に、空間の重心を中央に引き寄せ多様な居場所をつくる / 板坂留五による論考「楕円の家」
  4. 青木淳研究室による展覧会「鳥は泳ぎつづける」のレビュー。展覧会の制作プロセスを見せるという“在り方”から考えられた展示は、訪問者に関係性の視点を意識させると共に、建築の伝え方の未来までも想起させる
  5. SUGAWARADAISUKE建築事務所による、広島・三原市の、飲食店併設の製造販売施設「瀬戸内醸造所」。醸造所のコンセプトを伝える物語と風景を構築するため、35m大屋根等の要素で瀬戸内の様々な情報と環境を取捨選択し、既存風景の見え方を再編集する建築
  6. 西沢大良を迎え、中川エリカと浅子佳英が聞き手を務める対談ウェビナー「コロナ禍以降に再考する、健康な住まい」が開催。コロナ禍以降の建築の向かうべき方向性・西沢建築につながる子供時代の原風景・学生時代から続く西沢建築の本質 等について語られる
  7. 水野憲司 / mizmiz designによる、埼玉・所沢市の「東新井の家」。住民同士の関係や生活文化も色濃く地域に、応接室・縁側・間仕切りで可変できるリビングによって、日常時と来客時の変化に応じ環境が人に合わせてくれる住宅を構想
  8. SUGAWARADAISUKE建築事務所による、広島の店舗「瀬戸内醸造所 竹原直売所」。重要伝統的建造物群保存地区の古民家を改修した、数百年単位の時間軸の重層をもち、地域産煉瓦による螺旋什器が展示台からベンチまで様々な機能を担う建築
  9. 東京藝大青木淳研究室による「テンポラリーなリノベーションとしての展覧会②『鳥は泳ぎつづける』」が開催。常に工事が行われる渋谷のビル1階を会場に、展覧会の行為と時間に注目し問い直すことで、空間を変容させると共に都市空間へもアプローチ
  10. KLCによる、中国・北京の、既存倉庫を改修した飲食店「Echo House」。施主の自然との調和を求めるコンセプトに応え、一筆書き動線を既存部分に絡ませ多様な空間体験で面積を大きく感じさせると共に、“外部と内部の解像度が往復的に何度も更新される構成”をつくる
  11. 川嶋洋平建築設計事務所による、東京の、集合住宅の一住戸の改修「渋谷のリノベーション」。東西に開口を持ち明暗が時間で反転する空間を、強い光沢のある素材群を選定することにより、床天井が光の変化を反映し部屋全体の空気感を変化させる
  12. 中山英之建築設計事務所が手掛けた、東京都渋谷公園通りギャラリーの「『語りの複数性』展 会場構成」をレビュー。既存ビル内を改装したギャラリーに、動線と壁面を緻密に設計することで、自然な流れを持ったひとまとまりの展覧会という感覚と作品に深く対峙できる状況をつくりだす
  13. 【シリーズ・建築思索360°】保坂猛が語る“LOVE² HOUSE”と“建築思索”
  14. MVRDVによる、ドイツ・マンハイムの、高層集合住宅「the ‘O’」。HOMEの4文字の中の“O”の形をした建築で、“O”の中心部にパブリックテラスが設けられ、エリアの“リビングルーム”としての役割も果たす
  15. 石上純也建築設計事務所による、神奈川・厚木市の「神奈川工科大学KAIT広場」
  16. 京智健 / カイトアーキテクツと山口陽登 / YAPによる、愛媛の「伊方町観光交流拠点施設 佐田岬はなはな」。津波対策で護岸がかさ上げされた敷地にて、建物にピロティ・スロープ・ランドスケープを導入し集落と海を接続し直すことで、大自然のスケールと集落のスケールが同居する建築を構想
  17. 原田真宏+原田麻魚 / MOUNT FUJI ARCHITECTS STUDIOによる、東京・池袋の宿泊施設「hotel Siro」
  18. 90年代後半から00代前半に起こった建築とデザインのムーブメントを生み出した『BRUTUS』編集長 西田善太への、浅子佳英によるインタビュー記事「『BRUTUS』と『Casa BRUTUS』が建築にもたらしたもの ──専門誌はどこへ向かう?」
  19. 坂茂の設計で建設が進められている、愛知・名古屋市の、木質免震構造オフィスビル「タマディック名古屋ビル」
  20. y+M design officeによる、兵庫・神戸市の住宅「浮きヤネの家」

MVRDVによる、中国・深センの、既存工場ビルを改修したオフィス「アイデア・ファクトリー」。建物の歴史的痕跡を示すコンクリートフレームの外観を特徴とし、地上階から屋上に繋がる公共階段を設置することで、屋上を活動空間として地域にも開放
MVRDVによる、中国・深センの、既存工場ビルを改修したオフィス「アイデア・ファクトリー」。建物の歴史的痕跡を示すコンクリートフレームの外観を特徴とし、地上階から屋上に繋がる公共階段を設置することで、屋上を活動空間として地域にも開放 photo©Xia Zhi
MVRDVによる、中国・深センの、既存工場ビルを改修したオフィス「アイデア・ファクトリー」。建物の歴史的痕跡を示すコンクリートフレームの外観を特徴とし、地上階から屋上に繋がる公共階段を設置することで、屋上を活動空間として地域にも開放 photo©Xia Zhi
MVRDVによる、中国・深センの、既存工場ビルを改修したオフィス「アイデア・ファクトリー」。建物の歴史的痕跡を示すコンクリートフレームの外観を特徴とし、地上階から屋上に繋がる公共階段を設置することで、屋上を活動空間として地域にも開放 photo©Xia Zhi
MVRDVによる、中国・深センの、既存工場ビルを改修したオフィス「アイデア・ファクトリー」。建物の歴史的痕跡を示すコンクリートフレームの外観を特徴とし、地上階から屋上に繋がる公共階段を設置することで、屋上を活動空間として地域にも開放 photo©Xia Zhi

MVRDVが設計した、中国・深センの、既存工場ビルを改修したオフィス「アイデア・ファクトリー」です。建物の歴史的痕跡を示すコンクリートフレームの外観を特徴とし、地上階から屋上に繋がる公共階段を設置することで、屋上を活動空間として地域にも開放する建築です。

こちらは建築家によるテキストの翻訳

MVRDVが、深センで使われなくなった工場ビルを、緑のパブリックルーフを持つ「創造的な工場」に変身させる

MVRDVは、深センの都市部の南投にある旧工場ビルを、解体・再構築ではなく、持続的に再利用・改良する施設として「アイデア・ファクトリー」を完成させました。このプロジェクトには、中国万科の都市研究所のオフィスと賃貸オフィスが混在していますが、こうしたプログラムにもかかわらず、その特徴は公共性にあります。6階建てのビルを貫くように階段が設置されており、屋上には生きた竹の「壁」で囲まれた一連の「部屋」があり、さまざまなアメニティやアクティビティが提供されています。

南投は古代から歴史的な街ですが、現在は深センの都市内集落となっており、周囲の超高層ビルに圧倒されています。このアイデア・ファクトリーは、万科社が提案する数多くのリノベーションの中でも最大のプロジェクトです。万科社のリノベーションは、南投の文化的・創造的拠点化を加速させるために、国内外の著名な建築家が設計を担当しています。

解体して建て直すのではなく、使われなくなった工場の建物を持続的にリノベーションすることで、南投の歴史の一部を維持しつつ、新築に比べて二酸化炭素の排出量を抑えた設計になっています。この建物は、元々の構造が強化されているため、床面積を最大化するために上に更にフロアを追加することができました。一方、オリジナルのファサードは取り除かれ、建物の歴史の痕跡を示すためにコンクリートのフレームが露出して保存されています。新しいファサードは構造体の端からセットバックし、建物全体を包み込むようにオープンなロッジアを作っています。これにより回遊性が生まれ、同僚との偶然の出会いによってダイナミックな創造性を発揮することができるようになっています。

1階の小さな広場に面して、木で覆われた突出したチューブ状の構造体が、建物を貫通する公共階段の入り口となっています。階段の内部は鏡で覆われ、鮮やかなネオンサインで飾られており、深センの都市化の初期の頃を思い起こさせるような美しさがあります。4階では、この階段がビルの反対側に突き出ており、周囲の屋根を眺めることができます。そして、折り返して屋上に上がります。

川嶋洋平建築設計事務所による、東京の、集合住宅の一住戸の改修「渋谷のリノベーション」。東西に開口を持ち明暗が時間で反転する空間を、強い光沢のある素材群を選定することにより、床天井が光の変化を反映し部屋全体の空気感を変化させる
川嶋洋平建築設計事務所による、東京の、集合住宅の一住戸の改修「渋谷のリノベーション」。東西に開口を持ち明暗が時間で反転する空間を、強い光沢のある素材群を選定することにより、床天井が光の変化を反映し部屋全体の空気感を変化させる photo©ikunori yamamoto
川嶋洋平建築設計事務所による、東京の、集合住宅の一住戸の改修「渋谷のリノベーション」。東西に開口を持ち明暗が時間で反転する空間を、強い光沢のある素材群を選定することにより、床天井が光の変化を反映し部屋全体の空気感を変化させる photo©ikunori yamamoto
川嶋洋平建築設計事務所による、東京の、集合住宅の一住戸の改修「渋谷のリノベーション」。東西に開口を持ち明暗が時間で反転する空間を、強い光沢のある素材群を選定することにより、床天井が光の変化を反映し部屋全体の空気感を変化させる photo©ikunori yamamoto

川嶋洋平建築設計事務所が設計した、東京の、集合住宅の一住戸の改修「渋谷のリノベーション」です。東西に開口を持ち明暗が時間で反転する空間を、強い光沢のある素材群を選定することにより、床天井が光の変化を反映し部屋全体の空気感を変化させることを意図しました。

東京都の都心部渋谷区の古いマンションのリノベーション案件です。

建築家によるテキストより

敷地の特徴としてはメゾネットタイプの部屋の窓から街路樹が望め、遠くに公園が見えるような比較的視界が開けた部屋です。また住戸の中で東に面した窓と、西に面した窓を持つのも大きな特徴です。両方位に開口を持つため、明るい部屋と暗い部屋が午前中と午後には反転するようなマンションです。

建築家によるテキストより

リノベーション計画ではその明るさと暗さの移り変わりが部屋の全体の空気感に反映されるように計画しました。

床面はグレーの大判タイル、天井面は既存躯体にクリア塗装、どちらも強い光沢が特徴の素材を選定しました。またポイントで黒い透過アクリルを使用しました。それらの素材は明るさや暗さを反射や透過で繊細に反映させます。

建築家によるテキストより
青木淳研究室による展覧会「鳥は泳ぎつづける」のレビュー。展覧会の制作プロセスを見せるという“在り方”から考えられた展示は、訪問者に関係性の視点を意識させると共に、建築の伝え方の未来までも想起させる
青木淳研究室による展覧会「鳥は泳ぎつづける」のレビュー。展覧会の制作プロセスを見せるという“在り方”から考えられた展示は、訪問者に関係性の視点を意識させると共に、建築の伝え方の未来までも想起させる会場を外から見る。ガラス張りで中が良く見える場所である。 photo©architecturephoto
青木淳研究室による展覧会「鳥は泳ぎつづける」のレビュー。展覧会の制作プロセスを見せるという“在り方”から考えられた展示は、訪問者に関係性の視点を意識させると共に、建築の伝え方の未来までも想起させる展示室正面を見る。左側壁は本展の為につくられた。内部で鑑賞している姿を、街ゆく人々に鑑賞されるという構図が面白い。 photo©architecturephoto
青木淳研究室による展覧会「鳥は泳ぎつづける」のレビュー。展覧会の制作プロセスを見せるという“在り方”から考えられた展示は、訪問者に関係性の視点を意識させると共に、建築の伝え方の未来までも想起させる展示の為につくられた壁面裏のスペース。この日は、ドアと脚立が展示されていた。 photo©architecturephoto

東京藝術大学青木淳研究室による展覧会「鳥は泳ぎつづける」をレビューします。展覧会の制作プロセスを見せるという“在り方”から考えられた展示は、訪問者に関係性の視点を意識させると共に、建築の伝え方の未来までも想起させる内容となっています。入場可能期間は2021年11月29日まで(12月2日までは外部から見ることが可能)。展覧会の詳細はこちらのページにて紹介されています。

※2021年11月26日夜の会場写真を末尾に追加しました

こちらは、実際に会場を訪問したアーキテクチャーフォトによるレビュー

東京藝術大学青木淳研究室による展覧会「鳥は泳ぎ続ける」が渋谷区桜丘町で始まった。
会場となっている桜丘ビル1Fは、渋谷の再開発が進む一角にあり、ここに歩いてくるまでにも工事中の景色が自然と目に入ってくる場所だ。歩道橋を渡ってスペースの前にたどり着くとこのビル自体も改修の最中にあることが分かる。そのような場所で行われているのが本展である。

まず、説明しなければいけないのは、この展覧会がただ一回訪れて展示されているものをみて、分かった気分になるというような質の展覧会ではない、ということだ。

簡潔に説明してみたい。本展は、展覧会というものの前提に立ち返り、その在り方や意味のレベルから再考して企画が進められている。具体的には、会期や公開時間をいくつかのフェーズに分割し、展覧会自体の制作プロセス自体を作品として展示するという仕組みが設計されている。そして、このプロセスを作品として展示するにあたり仮想の展覧会が設定されたという。つまり仮想の展覧会のための会場をつくる、というプロセスを展示するという複雑な枠組みをもった展示なのである(詳細はこちらのページにある出展者による解説を読んでいただきたい)。

また、筆者は会場が公開された初日(2021/11/20)の午前に訪問してこのレビューを書いているのだが、このような質の展覧会であるために、この紹介がこの展覧会の全貌を捉えられていないことはあらかじめ了承いただきたい。

KLCによる、中国・北京の、既存倉庫を改修した飲食店「Echo House」。施主の自然との調和を求めるコンセプトに応え、一筆書き動線を既存部分に絡ませ多様な空間体験で面積を大きく感じさせると共に、“外部と内部の解像度が往復的に何度も更新される構成”をつくる
KLCによる、中国・北京の、既存倉庫を改修した飲食店「Echo House」。施主の自然との調和を求めるコンセプトに応え、一筆書き動線を既存部分に絡ませ多様な空間体験で面積を大きく感じさせると共に、“外部と内部の解像度が往復的に何度も更新される構成”をつくる photo©Yuming Song (Beijing Ruijing Photography)
KLCによる、中国・北京の、既存倉庫を改修した飲食店「Echo House」。施主の自然との調和を求めるコンセプトに応え、一筆書き動線を既存部分に絡ませ多様な空間体験で面積を大きく感じさせると共に、“外部と内部の解像度が往復的に何度も更新される構成”をつくる photo©Yuming Song (Beijing Ruijing Photography)
KLCによる、中国・北京の、既存倉庫を改修した飲食店「Echo House」。施主の自然との調和を求めるコンセプトに応え、一筆書き動線を既存部分に絡ませ多様な空間体験で面積を大きく感じさせると共に、“外部と内部の解像度が往復的に何度も更新される構成”をつくる photo©Yuming Song (Beijing Ruijing Photography)

KLCが設計した、中国・北京の、既存倉庫を改修した飲食店「Echo House」です。施主の自然との調和を求めるコンセプトに応え、一筆書き動線を既存部分に絡ませ多様な空間体験で面積を大きく感じさせると共に、“外部と内部の解像度が往復的に何度も更新される構成”をつくりだすことを意図しました。

中国北京市郊外、60年代北京の紡績時代を支えたレンガ造倉庫を改修したVegan飲食店。

施主は自然との調和を求めるコンセプトで活動しており、設計においても積極的に外在要素を意識することを求めた。我々は「並存(Coexist)」という概念の下、8つの具体的な設計ルールを設け、施主の要望を受け止めることにした。それらのルールは全て両様的な意味を孕む設えとし、立ち現れる空間や物の細部に僅かな違和感を付与させ、概念的な歪みや不旋律が生み出す冗長的空間体験を模索した。

建築家によるテキストより

用途の配置を考える上で、外部との関係において最適箇所を導いた。
集客効果も期待されたラボや販売スペースは、路面と内部からも視認性がよい1階北側。陽当りや土壌管理を重要視する温室は1階南側の陽当りが良い場所。ギャラリーは作品を外部からも臨めるように路面に向けると共にガラス張り。一方で作品保全に配慮して直射日光の当たらない2階北面とした。またプライベートな集いであるワークショップスペースは人目に付きにくい2階南西に配置とした。

建築家によるテキストより

用途の配置が決まるとそれらが一体的な繋がりを持つよう一筆書きの動線を貫入させて既存レンガ倉庫に絡ませた。商業施設では一般的に動線は最短距離でコンパクトに納めることで商業床面積を最大限に確保するが、この建物では出来るだけ動線距離は引き伸ばし、多様な用途間を回遊させ、小規模な店舗面積を多様な空間体験で最大限に大きく感じさせる提案をした。

建築家によるテキストより
SUGAWARADAISUKE建築事務所による、広島の店舗「瀬戸内醸造所 竹原直売所」。重要伝統的建造物群保存地区の古民家を改修した、数百年単位の時間軸の重層をもち、地域産煉瓦による螺旋什器が展示台からベンチまで様々な機能を担う建築
SUGAWARADAISUKE建築事務所による、広島の店舗「瀬戸内醸造所 竹原直売所」。重要伝統的建造物群保存地区の古民家を改修した、数百年単位の時間軸の重層をもち、地域産煉瓦による螺旋什器が展示台からベンチまで様々な機能を担う建築 photo©楠瀬友将+阿野太一
SUGAWARADAISUKE建築事務所による、広島の店舗「瀬戸内醸造所 竹原直売所」。重要伝統的建造物群保存地区の古民家を改修した、数百年単位の時間軸の重層をもち、地域産煉瓦による螺旋什器が展示台からベンチまで様々な機能を担う建築 photo©楠瀬友将+阿野太一
SUGAWARADAISUKE建築事務所による、広島の店舗「瀬戸内醸造所 竹原直売所」。重要伝統的建造物群保存地区の古民家を改修した、数百年単位の時間軸の重層をもち、地域産煉瓦による螺旋什器が展示台からベンチまで様々な機能を担う建築 photo©楠瀬友将+阿野太一

SUGAWARADAISUKE建築事務所が設計した、広島・竹原市の店舗「瀬戸内醸造所 竹原直売所」です。重要伝統的建造物群保存地区の古民家を改修した、数百年単位の時間軸の重層をもち、地域産煉瓦による螺旋什器が展示台からベンチまで様々な機能を担う建築となっています。クリエイティブディレクションとコンセプトデザインもSUGAWARADAISUKE建築事務所が手掛けています。店舗の公式サイトはこちら

本計画は、竹原市の重要伝統的建造物群保存地区に位置する、地元住民と旅人の交流機能を兼ねた瀬戸内醸造所の販売拠点。
この地域の歴史性によって、新しい交流や活動を支える商店空間の在り方を目指した。

建築家によるテキストより

先ず、100年単位で改修されている既存古民家の部材のひとつひとつを取捨選択し、木軸の補強、土壁の追加、解体などを行い、数百年単位の時間軸が重層する空間をつくった。

建築家によるテキストより

さらに、どっしりとした木軸グリッドの街並みと、古民家内部に対比させるように、竹原特産のレンガ螺旋状に配置した。螺旋什器は変化する形態に沿って、展示台や受付カウンター、デスクやベンチなど様々な機能を持ち、木造グリッドとの配置関係で、様々な奥行きや連続性を生みだしている。

建築家によるテキストより
森下修 / 森下建築総研による、大阪・東大阪市の店舗兼住宅「藤田珈琲 / naked Spiral around Functions」。珈琲焙煎等の生産空間をコアに据え、そこに客席にもなるスロープが螺旋状にまとわりつき上昇する構成により、渦巻き飛翔する“フローの建築”を構想
森下修 / 森下建築総研による、大阪・東大阪市の店舗兼住宅「藤田珈琲 / naked Spiral around Functions」。珈琲焙煎等の生産空間をコアに据え、そこに客席にもなるスロープが螺旋状にまとわりつき上昇する構成により、渦巻き飛翔する“フローの建築”を構想 photo©Katsu Tanaka
森下修 / 森下建築総研による、大阪・東大阪市の店舗兼住宅「藤田珈琲 / naked Spiral around Functions」。珈琲焙煎等の生産空間をコアに据え、そこに客席にもなるスロープが螺旋状にまとわりつき上昇する構成により、渦巻き飛翔する“フローの建築”を構想 photo©Tomoki Hahakura
森下修 / 森下建築総研による、大阪・東大阪市の店舗兼住宅「藤田珈琲 / naked Spiral around Functions」。珈琲焙煎等の生産空間をコアに据え、そこに客席にもなるスロープが螺旋状にまとわりつき上昇する構成により、渦巻き飛翔する“フローの建築”を構想 photo©Tomoki Hahakura
森下修 / 森下建築総研による、大阪・東大阪市の店舗兼住宅「藤田珈琲 / naked Spiral around Functions」。珈琲焙煎等の生産空間をコアに据え、そこに客席にもなるスロープが螺旋状にまとわりつき上昇する構成により、渦巻き飛翔する“フローの建築”を構想 photo©Katsu Tanaka

森下修 / 森下建築総研が設計した、大阪・東大阪市の店舗兼住宅「藤田珈琲 / naked Spiral around Functions」です。珈琲焙煎等の生産空間をコアに据え、そこに客席にもなるスロープが螺旋状にまとわりつき上昇する構成により、渦巻き飛翔する“フローの建築”が構想されました。店舗の公式サイトはこちら

人を曳きつけ螺旋上に巻き込み昇華する、そんな建築を目指した。

下町の構造が集積する東大阪市内、かつては貨物線であった高架線路の際に位置する。

建築家によるテキストより

人の営み行為、生活が混沌と交わるそんな艶めかしい街中に珈琲焙煎機を中心とし、その周辺を人のフローが巻き上がるプランを創り上げた。建物中心の四角いコアにはパン焼き工房やカフェのカウンターも鎮座し生産の場となる。それを求めにやってくる顧客や従業員、あるいは引き寄せられた周辺に住まい働く人々がコアにまとわりつき上昇する。建物は透明化され渦巻くスロープや生産のコアが視覚化し、機能や人々のフローが周辺に意味を発する。一度この渦巻きを見たものを建物内に誘引する。

建築家によるテキストより

当初から、創業者はここに住まうことを前提に、新規事業となるカフェと高級食パンの工房を設置することを条件としていた。自らが住まう場所ではあるが「インスタ映えする」すなわち人々が思い描いた心象風景のような人の行為からなる渦が上昇し、ある姿が呈される場を求めていた。事象は人のフローが定着されたような偶発のイベントであり、物を作る上での作意としては直方体のキューブを設定し、そこに人のフローが巻きつくさまを定着させる。それだけである。形を創るのではなく、そこに現れるでき事を意識した。

建築家によるテキストより

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