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小山光+KEY OPERATIONの設計監修による、横浜市の「桜木町の集合住宅」。高層単身者用分譲として計画、“惰性で採用”される外壁タイル等の集住特有意匠の再定義を目指して独自の仕上げ開発等を実践、量塊ゆえ景観への影響の大きな集住を多義的な視点を意識した上で更新
小山光+KEY OPERATIONの設計監修による、横浜市の「桜木町の集合住宅」。高層単身者用分譲として計画、“惰性で採用”される外壁タイル等の集住特有意匠の再定義を目指して独自の仕上げ開発等を実践、量塊ゆえ景観への影響の大きな集住を多義的な視点を意識した上で更新 photo©矢野紀行写真事務所
小山光+KEY OPERATIONの設計監修による、横浜市の「桜木町の集合住宅」。高層単身者用分譲として計画、“惰性で採用”される外壁タイル等の集住特有意匠の再定義を目指して独自の仕上げ開発等を実践、量塊ゆえ景観への影響の大きな集住を多義的な視点を意識した上で更新 photo©矢野紀行写真事務所
小山光+KEY OPERATIONの設計監修による、横浜市の「桜木町の集合住宅」。高層単身者用分譲として計画、“惰性で採用”される外壁タイル等の集住特有意匠の再定義を目指して独自の仕上げ開発等を実践、量塊ゆえ景観への影響の大きな集住を多義的な視点を意識した上で更新 photo©矢野紀行写真事務所

小山光+KEY OPERATION INC. / ARCHITECTSの設計監修による、神奈川・横浜市の「桜木町の集合住宅(ZOOM横浜桜木町)」です。高層単身者用分譲として計画、“惰性で採用”される外壁タイル等の集住特有意匠の再定義を目指して独自の仕上げ開発等を実践、量塊ゆえ景観への影響の大きな集住を多義的な視点を意識した上での更新が意図されました。

分譲マンションがコモディティ化されて久しい。
標準化されたマンションは充実した設備と安定した品質、そして気の利いた外装イメージと内装スタイリングがあれば成立する商品として日本の都市に次々に建てられている。

京浜急行日ノ出町駅周辺は元々歴史ある商業地だったが、時代の移り変わりで賑わいを失い、近隣の建物も老朽化してきた。そのため横浜市では野毛地区の街づくりとして、平戸桜木道路に面する建物には集合住宅で人口を呼び戻しながら、低層部には商業、サービス施設を入れて、街を活性化させようとしている。そして駅前再開発で2015年に日ノ出サクアスという商業と集合住宅の複合施設が建てられた。駅から徒歩3分の平戸桜木道路に面したこのプロジェクトの敷地にも、以前は低層の商業施設が建っていたが、11階建ての22-30m2程度の単身者用の住戸が109戸ある分譲集合住宅として計画された。

建築家によるテキストより

赤レンガ倉庫などの歴史的建造物が多いためか、横浜のマンションはコンクリート打放しよりもクラシカルな外観が好まれる。そのため事業主からもレンガ風の外観のリクエストがあった。80年代以降、外装に高級感を与えて、商品として売れるマンションを開発するために、外壁をタイル貼りにすることが増えた。タイル仕上げは「ノーメンテナンス」の外壁仕様としてもてはやされているが、タイルそのものは耐久性があるものの、下地モルタル、貼付けモルタルが伸縮を繰り返し、材料間に疲労が蓄積して各材料の境界面で剥離が発生する。2005年に東京都内のオフィスビルの外壁タイルが剥落して通行人が負傷する事故が発生し、国交省が全国調査を行ったところ、10年以上経過した3階建て以上の建物で外壁材の落下の危険性のある建物が全国で900件以上あることを把握した。

この実態が判明して相次ぐ剥落事故が発生してもなお、耐久性、耐水性がある外壁材として多くのマンションで採用され、商品としてのマンションの価値を上げる役割を担っている。このプロジェクトでは、惰性で採用され続けている、バルコニーや外壁タイルといったマンション特有のデザインを再定義して、マンションのための新たな表現を模索した。

建築家によるテキストより

防火帯建築の中で最も注目された弁三ビルには、1~2階の店舗用の窓が入った開口も、3~4階の住宅がある屋外開放廊下がある開口も等価に並べられているため、将来的に住宅部分に事務所が入ったり、店舗が入っても全く違和感がない、多義的な外装を実現している。これは横浜の復興のモデルとなったハンブルグの職住近接の複合建築物のファサードの影響を受けているためである。このプロジェクトでも1Fにはコンビニエンスストアが入り、2Fから上は住宅になるため、例にもれずバルコニーを全面に設置しているが、その上から開口部を均質に並べた外皮で覆うようにして、住宅か別の用途か外からは分からない多義的なファサードとした。

建築家によるテキストより
【ap job更新】 “建築のやわらかさ”をテーマに教育施設等のプロジェクトに注力する「アトリエMEME」が、設計スタッフ(経験者・新卒既卒)を募集中
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“建築のやわらかさ”をテーマに教育施設等のプロジェクトに注力する「アトリエMEME」の、設計スタッフ(経験者・新卒既卒)募集のお知らせです。詳しくは、ジョブボードの当該ページにてご確認ください。アーキテクチャーフォトジョブボードには、その他にも、色々な事務所の求人情報が掲載されています。
新規の求人の投稿はこちらからお気軽にお問い合わせください

【経験者ですぐに働ける方、大歓迎!】

こんにちは。株式会社アトリエMEMEの八木です。

株式会社アトリエMEMEは、建築設計に真剣に取り組む生真面目で、意欲的な設計事務所です。プロジェクトの増加、規模の拡大に伴いこの度設計スタッフを募集します。

↓アトリエMEMEのポートフォリオです。ご一読ください。(ウェブサイト更新作業中のためこちらをご覧ください)
https://drive.google.com/file/d/1LFZ6eW4maEmu7MG4rXPJW_NJdzjrtz8f/view?usp=sharing

アトリエMEMEは、代表の八木が2003年に八木敦之建築設計事務所を設立、2017年に法人化。現在は個人からの依頼だけでなく、学校法人等からの相談も受けるようになりました。決して派手に目立つ存在ではありませんがメディアでも取り上げられる機会が増え、着実に活動領域を広げています。

建築的テーマとして「建築のやわらかさ」掲げています。建築には長い長い歴史があり、それが建築の魅力でもあり同時に重い制約となっています。この時代に生を受け、この時代の建築をつくりたいわけですが、過去の建築がなしえていない質があるとすれば、それはやわらかさなのではないか。やわらかさという質を様々な次元で追い求めることで、現代建築を覆う閉塞感のようなものを打ち破れるのではないかと考えています。

現在、某大学施設の実施設計(事務所/学習スペース/ホール等 延べ面積約5,000㎡)を進めており、また某専門学校の基本計画が春先からスタートする予定です。事務所の体制強化を図る必要があり、設計スタッフを募集することとなりました。
即戦力が欲しいので、基本的には経験者の採用を優先的に考えています。工事監理の経験が豊富な有資格者の方からの応募は特に大歓迎です!

新卒あるいはそれに準ずる方で、住宅等の小規模案件だけでなく学校施設などの計画に携わりたい意欲のある方も歓迎いたします。

桐圭佑 / KIRI ARCHITECTSによる、北海道・室蘭市の「福田歯科医院の増築」。設計者が以前手掛けた医院の増築で、患者と従業員の双方が快適な環境を目指し其々の空間を外壁に沿った床で繋いで回遊性を設計、人の循環が光や空気の動きを生み建築に奥行きをもたらす
桐圭佑 / KIRI ARCHITECTSによる、北海道・室蘭市の「福田歯科医院の増築」。設計者が以前手掛けた医院の増築で、患者と従業員の双方が快適な環境を目指し其々の空間を外壁に沿った床で繋いで回遊性を設計、人の循環が光や空気の動きを生み建築に奥行きをもたらす photo©佐々木育弥
桐圭佑 / KIRI ARCHITECTSによる、北海道・室蘭市の「福田歯科医院の増築」。設計者が以前手掛けた医院の増築で、患者と従業員の双方が快適な環境を目指し其々の空間を外壁に沿った床で繋いで回遊性を設計、人の循環が光や空気の動きを生み建築に奥行きをもたらす
桐圭佑 / KIRI ARCHITECTSによる、北海道・室蘭市の「福田歯科医院の増築」。設計者が以前手掛けた医院の増築で、患者と従業員の双方が快適な環境を目指し其々の空間を外壁に沿った床で繋いで回遊性を設計、人の循環が光や空気の動きを生み建築に奥行きをもたらす photo©佐々木育弥
桐圭佑 / KIRI ARCHITECTSによる、北海道・室蘭市の「福田歯科医院の増築」。設計者が以前手掛けた医院の増築で、患者と従業員の双方が快適な環境を目指し其々の空間を外壁に沿った床で繋いで回遊性を設計、人の循環が光や空気の動きを生み建築に奥行きをもたらす photo©佐々木育弥

桐圭佑 / KIRI ARCHITECTSが設計した、北海道・室蘭市の「福田歯科医院の増築」です。設計者が以前手掛けた医院の増築で、患者と従業員の双方が快適な環境を目指し其々の空間を外壁に沿った床で繋いで回遊性を設計、人の循環が光や空気の動きを生み建築に奥行きをもたらします。

6年前に設計した歯科クリニックの増築プロジェクト。

新たに診察台3台とスタッフスペースを増設したいという嬉しい依頼がきた。来院用駐車台数は最大限維持する必要があったため、敷地の奥にコンパクトな形で増築することにした。

建築家によるテキストより

エントランスから入って一番奥に位置することになる増築部分は、そこが終着点となるのではなく、行き止まりがない構成としている。具体的には、スタッフスペースに求められた、大容量の収納/20人が掛けられる会議室/くつろげるスタッフルームの3つの機能を2階に配置し、それらを繋ぐように外壁に沿って回遊できる集成材の床を回した。

建築家によるテキストより

外周をめぐる床は少しずつ高さを変えながら、壁一面の収納棚に沿ったキャットウォークとなったり、会議室ではベンチとなったり、スタッフルームでは小上がりとなったりする。回廊の床は、人や空気や光の流れであると同時に、それぞれの部屋の用途にあった家具にもなっている。

建築家によるテキストより
中西昭太建築事務所による、石川の住宅「金沢の家」。雨が多い北陸で“帰りたくなる家”との要望に、北陸伝統建築を参照しつつ室内から光風音に触れ生活できる建築を目指し設計、図式でなく小さな思考を重ねた形態が季節毎の魅力を生む
中西昭太建築事務所による、石川の住宅「金沢の家」。雨が多い北陸で“帰りたくなる家”との要望に、北陸伝統建築を参照しつつ室内から光風音に触れ生活できる建築を目指し設計、図式でなく小さな思考を重ねた形態が季節毎の魅力を生む photo©新建築社写真部
中西昭太建築事務所による、石川の住宅「金沢の家」。雨が多い北陸で“帰りたくなる家”との要望に、北陸伝統建築を参照しつつ室内から光風音に触れ生活できる建築を目指し設計、図式でなく小さな思考を重ねた形態が季節毎の魅力を生む photo©新建築社写真部
中西昭太建築事務所による、石川の住宅「金沢の家」。雨が多い北陸で“帰りたくなる家”との要望に、北陸伝統建築を参照しつつ室内から光風音に触れ生活できる建築を目指し設計、図式でなく小さな思考を重ねた形態が季節毎の魅力を生む photo©新建築社写真部

中西昭太建築事務所が設計した、石川の住宅「金沢の家」です。雨が多い北陸で“帰りたくなる家”との要望に、北陸伝統建築を参照しつつ室内から光風音に触れ生活できる建築を目指し設計、図式でなく小さな思考を重ねた形態が季節毎の魅力を生みだします。

敷地は北陸地方にある石川県金沢市の住宅地。北陸は日本で最も雨の降る日が多い。

この住宅では、北陸の伝統的建築に見られる自然環境を活かした建築的仕組みや立ち姿を踏襲しつつも、建主の暮らしぶりや諸条件と向き合い、プランや光環境、音環境を丁寧に設計していくことで、室内にいながら光や風、自然環境音に触れて生活できる住宅を目指した。

建築家によるテキストより

計画では、北陸の伝統建築で客人との交流の場ともなるエントランスの土間を屋内庭園として捉え直し、大屋根で太陽光を取り込むことで、悪天候や寒い冬でも屋内で開放的に暮らせるようにした。直射光は、夏は涼しく冬は暖かくなるよう季節ごとに調整されている。また、大屋根裏へ朝の光を大量に取り込むことで、ダイナミックな光景を演出している。

建築家によるテキストより

この建築は、単一のコンセプトや図式とは対極にあり、多くの小さな思考を重ね、人を含めた環境全体の調和を目指して形態が決定されている。

建築家によるテキストより
【ap job更新】 BIMツールを活用し木造住宅の設計や商品開発を行う「MakeHouse株式会社」が、設計意匠スタッフ(経験者)を募集中
【ap job更新】 BIMツールを活用し木造住宅の設計や商品開発を行う「MakeHouse株式会社」が、設計意匠スタッフ(経験者)を募集中
【ap job更新】 BIMツールを活用し木造住宅の設計や商品開発を行う「MakeHouse株式会社」が、設計意匠スタッフ(経験者)を募集中

BIMツールを活用し木造住宅の設計や商品開発を行う「MakeHouse株式会社」の、設計意匠スタッフ(経験者)募集のお知らせです。詳しくは、ジョブボードの当該ページにてご確認ください。アーキテクチャーフォトジョブボードには、その他にも、色々な事務所の求人情報が掲載されています。
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【仕事内容】
主に、個人住宅に関する建築設計の意匠(デザイン)を担当して頂きます。
お客様が希望する家づくりの実現のため、住宅の商品開発から一邸一邸の設計を行う業務です。

構造計算による耐震等級3・HEAT20・G20レベル・長期優良住宅を基準とし、デザイン性・快適性・機能性にこだわっています。

<具体的な業務内容>
木造住宅のプラン考案や実施設計の詳細図など、BIMツールを活用して業務を行います。
また、自社及び企業様向けの木造住宅商品開発も行っており、幅広い設計活動を展開します。

<アピールポイント>
適性を見ながら仕事を振り分けます!
習熟度を見ながら業務の幅を増やし、新たな知識と経験が必要な部分では、さまざまな研修制度を用意しています
BIMに興味がある方や、木造設計のスキルを活かしたい方にとっては最適な環境です!従来的な設計手法を脱却し、設計効率の向上を図ります。

社員は平均30代で若い組織なので、コミュニケーションもフランクで、気を使いすぎず仕事ができます☆

【ap job更新】 実験的なプロジェクトを手掛る「小笠原正豊建築設計事務所」が、建築設計スタッフ(新卒既卒・経験者)を募集中
【ap job更新】 実験的なプロジェクトを手掛る「小笠原正豊建築設計事務所」が、建築設計スタッフ(新卒既卒・経験者)を募集中
【ap job更新】 実験的なプロジェクトを手掛る「小笠原正豊建築設計事務所」が、建築設計スタッフ(新卒既卒・経験者)を募集中

実験的なプロジェクトを手掛る「小笠原正豊建築設計事務所」の、建築設計スタッフ(新卒既卒・経験者)募集のお知らせです。詳しくは、ジョブボードの当該ページにてご確認ください。アーキテクチャーフォトジョブボードには、その他にも、色々な事務所の求人情報が掲載されています。
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ニューヨーク州登録建築家/一級建築士/大学教員である代表を中心に、テクノロジーを利用した実験的なプロジェクトを手掛けている小笠原正豊建築設計事務所が、建築設計スタッフ(正社員)を募集します。

過去プロジェクトはこちら
https://masatoyo.com/projects/

代表の小笠原が米国ハーバード大学デザイン大学院で培った建築設計観と、ニューヨークのI.M.Pei事務所(Pei Cobb Freed and Partners, LLP)で鍛えた、素材を活かした上質なデザインを重視しています。

また、事務所内では「構法・素材・設計手法に関するテーマを設定し、新しい可能性を模索・探求・試行錯誤していく」ことを奨励しています。

小笠原は東京電機大学未来科学部建築学科准教授として「設計」に関する研究や学生への指導を行っています。事務所においても同様に自由な意見交換とともに、スタッフの設計実務における成長を支援しています。

【事務所の特徴】
代表の米国設計事務所での勤務経験や海外設計事務所との協業経験から、長時間労働を良しとする企業風土はありません。ただ、それは一般的にあるような“設計のルーティンワーク化による合理化・省力化を通じて、勤務時間内に業務を終わらせること”を目指しているわけではありません。

当事務所における「構法・素材・設計手法に関する何らかのテーマを設定し、新しい可能性を模索・探求・試行錯誤していく」スタンスとは、単にルーティン化された指示業務をこなすのでなく、非常に創造的な思考を必要としているからです。このような価値観や考え方に共鳴してくださる方のご応募をお待ちしています。

これまでのプロジェクトでは、VRによるインテリア空間の確認や、風解析シミュレーションによる通風の視覚化、3Dスキャンによる施工情報の蓄積、GHによる形体生成を試みてきました。

玉井洋一による連載コラム “建築 みる・よむ・とく” 第5回「“偽”ペット・アーキテクチャー」
玉井洋一による連載コラム “建築 みる・よむ・とく” 第5回「“偽”ペット・アーキテクチャー」

建築家でありアトリエ・ワンのパートナーを務める玉井洋一は、日常の中にひっそりと存在する建築物に注目しSNSに投稿してきた。それは、誰に頼まれたわけでもなく、半ばライフワーク的に続けられてきた。一見すると写真と短い文章が掲載される何気ない投稿であるが、そこには、観察し、解釈し、文章化し他者に伝える、という建築家に求められる技術が凝縮されている。本連載ではそのアーカイブの中から、アーキテクチャーフォトがセレクトした投稿を玉井がリライトしたものを掲載する。何気ない風景から気づきを引き出し意味づける玉井の姿勢は、建築に関わる誰にとっても学びとなるはずだ。
(アーキテクチャーフォト編集部)


“偽”ペット・アーキテクチャー

玉井洋一による連載コラム “建築 みる・よむ・とく” 第5回「“偽”ペット・アーキテクチャー」 photo©玉井洋一
text:玉井洋一

 
 
仕事で山形を訪れた時のこと。駅前通りの大きな建物に紛れて、居酒屋の看板を高く掲げた小さな建物があった。

小さな敷地に建つ小さな建物に、大きな看板を取り付けて付加価値を高めるやり方は、地価の高い駅前や繁華街ではよくあることで珍しくはない。

しかしよく観察してみると、小さな建物に見えたヴォリュームは、正面向かって右側にある12階建てのオフィスビルの一部であることがわかった。このヴォリュームは、オフィスビルから発生した「こぶ」のようなもので、小さな建物を装っているが、実はオフィスビルの地下にある居酒屋への入口だった。

なるほど、これは街中にある小さな建物の持つイメージや形式性を逆手にとった、オフィスビルの巧妙な戦略なのではないだろうか。

俗っぽい大きな看板や居酒屋という機能を街中によくある小さな建物に擬態させたヴォリュームに集中させることで、それらをオフィスビルから視覚的に分離することに成功している。看板の方杖がオフィスビルから離れて設置されていることも居酒屋の独立性を高めることに一役買っている。

他方で、俗っぽさを分離することでガラス張りのカーテンウォールを基調とした端正でモダンなオフィスビルのファサードが通りに対して形成される。そして、その構えによって働く場としてのオフィスビルの純粋性や象徴性が保たれる。

求道学舎再生等を手掛け学会賞も受賞する実践者で教育者 田村誠邦と、創造系 高橋寿太郎による「建築サバイバル塾 KSJ」が、無料オンライン説明会を開催。KSJは、設計事務所が“サバイバル力”を身につける為、経営・マーケティング・不動産等のスキルを高める実践的な学びの場
求道学舎再生等を手掛け学会賞も受賞する実践者で教育者 田村誠邦と、創造系 高橋寿太郎による「建築サバイバル塾 KSJ」が、無料オンライン説明会を開催。KSJは、設計事務所が“サバイバル力”を身につける為、経営・マーケティング・不動産等のスキルを高める実践的な学びの場

求道学舎再生や同潤会江戸川アパートメント建替え事業等を手掛け日本建築学会賞も受賞する実践者で教育者の田村誠邦と、創造系不動産の高橋寿太郎による「建築サバイバル塾 KSJ」が、無料オンライン説明会を開催しています。KSJは、設計事務所が“サバイバル力”を身につける為、経営・マーケティング・不動産等のスキルを高め、また志を同じくする仲間を見つけることができる、実践的な学びの場です。オンランセミナー&説明会&個別相談会の参加費は無料です。【ap・ad】

はじめまして。建築サバイバル塾KSJ塾長の田村誠邦です。

私はこれまで30年余りにわたり、延べ15,000人以上のプロの方々に建築・不動産の実務ノウハウを教えてきました。そうした中で、多くの設計事務所が安定的に仕事が取れずに、将来に対して漠然とした不安を抱いていることに気づかされました。設計事務所の経営者や建築士は、建築のデザインや建築技術を磨いて、仕事を受注しようとしています。もちろん、建築のデザインや建築技術を磨くことは、設計事務所として、建築士として当然だし素晴らしいことですが、それだけで仕事が取れて、堅実な経営を行うことは難しいのです。

まして、超高齢社会、人口減少時代を迎え、新築の需要は急激に減少しつつあります。昨年度の新築住宅着工戸数は、昨今の厳しい状況で、81.25万戸にまで落ち込みましたが、野村総研の予測では、20年後の2040年度には、41万戸と昨年度の約半分にまで落ち込むものと予測されています。急激な人口減少がつづく我が国では、新築については、住宅に限らず非住宅についても、同様の傾向をたどるものと考えられます。いま、順調な経営状況にある設計事務所においても、根元的な「サバイバル力」を身につけることが、これからの新築減少時代を生き抜くために不可欠となるのです。

こうした状況の中で、私は創造系不動産の代表である高橋寿太郎さんと共に、新築減少時代を逞しく生き残る「建築サバイバル力」を身につけられるような実践的な学びの場として、「建築サバイバル塾KSJ」を2021年1月に開設いたしました。「お客様から選ばれ、仕事を継続的に創り出し、経営を成功させたい!」「新築減少時代を逞しく、クリエイティブに生き抜きたい!」と思われる方、ぜひ建築サバイバル塾KSJの仲間になりませんか?

田村誠邦

株式会社アークブレイン 代表取締役
2021年3月まで明治大学理工学部 特任教授
一級建築士、不動産鑑定士、博士(工学)
東京大学工学部建築学科卒業。
三井建設株式会社、シグマ開発計画研究所を経て、1997年株式会社アークブレインを設立。

【主な業務実績】
同潤会江戸川アパートメント建替事業(1977年~2005年)
求道学舎再生事業(2004年~2006年)
六本木ヒルズ地権者権利床民事再生スキーム(2000年~2002年)
国際文化会館再生事業(2006年改修工事完成)
2008年日本建築学会賞(業績)
2010年日本建築学会賞(論文)受賞

ネリ&フーによる、中国・深センの「南投市ゲストハウス」。既存建物を改修した宿泊施設で都市の中に古さが残る街の特徴に注目、路地裏や日常を取り込む為に構造体に切込みを入れ垂直な中庭を計画、空間や意味を創造し都市の流動に溶け込ませる
ネリ&フーによる、中国・深センの「南投市ゲストハウス」。既存建物を改修した宿泊施設で都市の中に古さが残る街の特徴に注目、路地裏や日常を取り込む為に構造体に切込みを入れ垂直な中庭を計画、空間や意味を創造し都市の流動に溶け込ませる photo©Chen Hao
ネリ&フーによる、中国・深センの「南投市ゲストハウス」。既存建物を改修した宿泊施設で都市の中に古さが残る街の特徴に注目、路地裏や日常を取り込む為に構造体に切込みを入れ垂直な中庭を計画、空間や意味を創造し都市の流動に溶け込ませる photo©Chen Hao
ネリ&フーによる、中国・深センの「南投市ゲストハウス」。既存建物を改修した宿泊施設で都市の中に古さが残る街の特徴に注目、路地裏や日常を取り込む為に構造体に切込みを入れ垂直な中庭を計画、空間や意味を創造し都市の流動に溶け込ませる photo©Chen Hao
ネリ&フーによる、中国・深センの「南投市ゲストハウス」。既存建物を改修した宿泊施設で都市の中に古さが残る街の特徴に注目、路地裏や日常を取り込む為に構造体に切込みを入れ垂直な中庭を計画、空間や意味を創造し都市の流動に溶け込ませる photo©Chen Hao

ネリ&フーが設計した、中国・深センの「南投市ゲストハウス」。既存建物を改修した宿泊施設で都市の中に古さが残る街の特徴に注目、路地裏や日常を取り込む為に構造体に切込みを入れ垂直な中庭を計画、空間や意味を創造し都市の流動に溶け込ませる事が意図されました。

こちらは建築家によるテキストの翻訳です

切開 / 南投市ゲストハウス

城中村(cheng-zhong-cun ※都市の中の村)とは、工業化以前の集落の名残が、一見すると現代的な大都市の中に存在している現象のことです。ネリ&フーが11室のゲストハウスを建設した南投市は、そのような城中村の一例です。驚異的な発展を遂げる深センの中心に位置する南投市は、裕福な古都から現在のような過密な都心へと発展してきました。現在、南投市を訪れると、住民、露天商、子供、遊牧民が行き交う路地、広場、行き止まりなどにすぐに入り込むことができます。

このプロジェクトは、南投市の路地裏の活気ある環境からインスピレーションを得て、ありふれたものの中にある文化的遺産について考察することを目的としています。人、物、環境といった日常的なシーンが、デザインの主要な素材となるのです。城中村の生活を祝うために、既存の構造体を切り込み、マスキング戦略で、プライベートなアパートメントブロックの内側に新しい公共空間を作り出しました同時に、発掘調査によって、まるで遺跡のように多くの物質層や建築構造が明らかになり、新たな介入によって、過去と現在の間に思いがけない対話が生まれることになるのです。

南投市ゲストハウスのリサーチとデザインプロセスを通じて、スヴェトラーナ・ボイム(Svetlana Boym)の「反射的ノスタルジア」というトピックに関する著作が、このプロジェクトの背後にある思考を導いてくれました。このプロジェクトは、単に表面的な物質的効果を求めて過去を模倣するのではなく、ある種の過去が現代文化を活性化させる可能性を掘り起こすことを目的としています。都市のレイヤリングと断片の包含という概念を探るため、テクトニック・ランゲージを開発し、主要なファサード要素として軽いスクリーンのような被覆材と、スカイラインを「覆う」ものとして対照的に重く表情豊かなアッサンブラージュの2つの処理を明確にしました。

南投の都市景観は、路地の賑わいと同じように、屋根にも個性があり、ギザギザのスカイラインに沿って仮設の庭や野菜畑が点在しています。この進化し続けるヴィレッジの景観を再構築するために、フラットなフローティングルーフを設置し、眼下のストリートライフと上空の新しいパブリックグラウンドのドラマチックなパノラマを創り出しました。屋上の金属製モノリスは、パブリックスペースやサービス機能を備え、屋根裏のスペースに乏しい居住者が求めるヴァナキュラーな付属物として機能しています。

南投の都市構造の真髄である有機的な循環と関わるために、ゲストハウスのアクセスやパブリックスペースは、敷地内にある複雑な路地のネットワークに織り込まれるように設計されています。ゲストハウスの新しいエントランスは、建物の中心部に直接横道が伸びており、まるで隣人や友人を自分の家に招き入れるかのようです。

【ap job更新】 山路哲生建築設計事務所が、設計スタッフ(経験者・新卒既卒・業務委託・パート)とアルバイトを募集中
【ap job更新】 山路哲生建築設計事務所が、設計スタッフ(経験者・新卒既卒・業務委託・パート)とアルバイトを募集中
【ap job更新】 山路哲生建築設計事務所が、設計スタッフ(経験者・新卒既卒・業務委託・パート)とアルバイトを募集中

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山路哲生建築設計事務所について

隈研吾建築都市設計事務所を経て2015年に設立した山路哲生が主宰する建築設計事務所です。近年開業された渋谷駅スクランブルスクエアや、中国を中心とした海外の大規模な開発に携わってきた一方、住宅やホテルの内装・家具、また小さな屋台の設計など幅広いスケールで設計をしております。徐々に活動規模が広がるこの過渡期に、一緒に計画に参加してくれる仲間を募集しています。

都市部では今注目されるベンチャー企業やディベロッパーとの協業が弊社のひとつの特徴となっています。現在建設中の銀座のオフィスビル(新建築2月号別冊掲載)では解体以前から既存の建物を街に開放するアートイベントを開催し、その一連の活動においてこれからの建築士賞を受賞しています。また、昨年からデザインコードによる新しい設計手法「ASOLIE」を協働開発し、リリースしています。

今まさに大きく変わろうとしている産業構造の中で、建築によって実現されるものも建築が担う枠組みも変わり続けています。建築を軸にまちづくりから家具デザインまでスケールを横断して設計に携わることで業種間における不要な障壁を乗り越え、きめ細やかな社会をつくることを目標としています。達成すべき目的の為に同業、異業種関わらず、様々な業種の方とチームをつくり協働し、既成の設計の枠組みを超えた設計手法を模索しています。

建築士としての経験・技術の習得ができるとともに、幅広い職種の方々と協働することができます。現在代表含めて8名(設計士7名、事務会計1名)の小規模な事務所ですので、実力に応じて早期にプロジェクトリーダーとして担当頂きます。各人の責任も大きいですが与えられる裁量も大きくなります。小規模だからこそ各人の個性を存分に発揮し、その挑戦と成長を共に楽しんでくれる気質・性格の方をお待ちしております。代表の山路は大学講師を兼務しており、人材育成や研究・開発にも力を注いでいます。

またオフィスを数事務所でシェアしているため日常的に10~20名程の設計スタッフが在席しています。普段から他事務所との交流が図れるので、風通しが良く、同年代のスタッフ同士で互いに切磋琢磨できる職場環境にあります。

【ap job更新】 建築設計を通じて持続可能な社会づくりへの貢献を目指す「腰越耕太建築設計事務所」が、設計スタッフ(経験者・新卒既卒)を募集中
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腰越耕太建築設計事務所では、業務拡大に伴い、プロジェクトマネージャーとして業務に携わってくれる方(正社員)、設計スタッフ(正社員)を募集いたします。

私たちは建築設計を通じて、持続可能な社会づくりに貢献していきたいと考えています。現在進行しているプロジェクトの多くは、軸組工法やCLTパネル工法などの木質構造を採用しています。木を構造材として使用することで炭素を固定化し、環境問題解決の一翼を担ってゆければと考えています。環境にとってプラスになることを意識しながら、日常生活を豊かにするようなデザインを目指しています。

2010年の事務所設立以来、個人住宅を中心に設計を行ってきましたが、2018年のTHE WOODの竣工を契機に、中大規模建物の仕事が増え、現在複数の案件が進行中です。また、CLTパネルを用いた高層建築物や、CLTの別荘等を設計中で、木造の新たな可能性にチャレンジしています。

国内外のコンペにもチャレンジしており、プレゼンテーションが得意な方を歓迎します。また、必須ではありませんが英語が得意な方優遇します。

向上心と誠意をもって建築設計に向き合っていける方、明るくコミュニケーション能力に長けている方、長期的にスタッフとして活躍してくれる方のご応募をお待ちしております。

川西康之 / イチバンセンによる、新潟・上越市の「IM TAXI LOUNGE」。タクシー待合所で観光案内機能も持つ建築で、地場の木材活用を目指して構造・仕上げ・サッシ等の全てに県産材を利用、構造形式の開発による開放的な空間は地域交流の場としても機能
川西康之 / イチバンセンによる、新潟・上越市の「IM TAXI LOUNGE」。タクシー待合所で観光案内機能も持つ建築で、地場の木材活用を目指して構造・仕上げ・サッシ等の全てに県産材を利用、構造形式の開発による開放的な空間は地域交流の場としても機能 photo©Nacasa & Partners Inc.
川西康之 / イチバンセンによる、新潟・上越市の「IM TAXI LOUNGE」。タクシー待合所で観光案内機能も持つ建築で、地場の木材活用を目指して構造・仕上げ・サッシ等の全てに県産材を利用、構造形式の開発による開放的な空間は地域交流の場としても機能 photo©Nacasa & Partners Inc.
川西康之 / イチバンセンによる、新潟・上越市の「IM TAXI LOUNGE」。タクシー待合所で観光案内機能も持つ建築で、地場の木材活用を目指して構造・仕上げ・サッシ等の全てに県産材を利用、構造形式の開発による開放的な空間は地域交流の場としても機能 photo©Nacasa & Partners Inc.

川西康之 / イチバンセンが設計した、新潟・上越市の「IM TAXI LOUNGE」です。タクシー待合所で観光案内機能も持つ建築で、地場の木材活用を目指して構造・仕上げ・サッシ等の全てに県産材を利用、構造形式の開発による開放的な空間は地域交流の場としても機能しています。

北陸新幹線上越妙高駅前に計画された、観光案内の機能を持つタクシー待合所。

建築家によるテキストより

地域における積極的な木材活用を目指し、構造・仕上げ・サッシ・家具・外構の全てに新潟県産材を用いた。また、県産スギ材で三翼型の新たな構造形式を開発することにより、豪雪地帯の積雪荷重に対応しつつ開放的で快適な待合空間を実現させた。

建築家によるテキストより

外壁のコールテン鋼、家具の本革、そして県産木材と、経年変化を楽しめる素材を積極的に採用することで、年数を経るごとにこの建物が地域に馴染んでいくことを目指した。

地域の魅力を伝える木製壁面書棚もあり、お客様を暖かく迎え入れる待合空間は、タクシーを待つだけではなく新たな地域交流の場としても活躍している。

建築家によるテキストより
最も注目を集めたトピックス [期間:2022/2/28-3/6]
最も注目を集めたトピックス [期間:2022/2/28-3/6]

アーキテクチャーフォトで、先週(期間:2022/2/28-3/6)注目を集めたトピックスをまとめてご紹介します。リアルタイムでの一週間の集計は、トップページの「Weekly Top Topics」よりご覧いただけます。


  1. 岡佑亮 / チドリスタジオによる、石川・金沢市の、自邸兼事務所「北陸住居 No.1」。地域と向き合いバナキュラーと作品の間の在り方を模索、建築に伝統的中庭“セド”を現代化した空間を設け公と私を緩やかに接続、歴史を基とした北陸らしさの実践を通し建築の普遍的可能性も追求
  2. 村山徹と杉山幸一郎による連載エッセイ ”今、なに考えて建築つくってる?” 第1回「コストとレギュレーション」
  3. ピーター・ズントーによる家具コレクション。半世紀に渡り手掛けた建築の為にデザインされた家具を再構成し、椅子やテーブル等7型がラインナップ、日本の家具ブランド“Time & Style”が製品化
  4. 出町慎 / SAJIHAUSと河津恭平による、兵庫・丹波市の「納屋の改修」。歴史ある母屋に隣接する納谷活用の相談から開始、既存の時が停止した様な状態を肯定的に捉えて活かす方法を構想、環境を読み解き冬室と夏室を設け“自分だけの時間”を感じる空間をつくる
  5. 大野友資 / DOMINO ARCHITECTSによる、東京・品川区の、マンションショールーム「PROUD GALLERY GOTANDA」。建設解体等の労力を要する施設の在り方に施主と問題意識を共有し設計、変更の容易さと過程の省エネを意識しカーテンで空間を構築、物件で使用予定の素材等の流用により価値の再発見も意図
  6. 小原賢一+深川礼子 / ofaによる、兵庫・神戸市の「六甲最高峰トイレ」。六甲山の価値向上と整備の為に作られた公共トイレ兼休憩所、ここだけの環境の楽しみを意図しベンチの形状や天高の変化により多様な居場所を設計、折れ繋がる屋根は周囲の山並みとも呼応
  7. 隈研吾建築都市設計事務所による、静岡・小山町の「足柄駅・足柄駅交流センター」の写真
  8. 田中亮平 / G ARCHITECTS STUDIOによる、埼玉の住戸改修「アイランドキッチンの家」。コロナ禍で都心から近郊外にUターンし在宅勤務する施主で、既存の小割平面を繋げた上で用途に合わせ仕上げ等を様々に展開、中央にキッチンを計画し家族の“集まり住まう”を後押し
  9. MVRDVによる、オランダ・ロッテルダムの仮設イベントスペース「The Podium」。建築月間の為に既存ビルの屋上に作られる約600㎡の仮設イベントスペースで、足場構造とリサイクル可能なピンクの床材で構成、都市の屋上活用の有効性を示すことも意図
  10. 子浦中 / シオ建築設計事務所による、茨城・つくば市の、ZOZO社物流拠点の休憩ラウンジ「Cooperate Lounge」。スタッフの個性と多様性への応答を考慮し、空間の目的から連想した意匠を採用する事で特徴の異なる二つのラウンジを設計、コーポレートカラー採用等で連帯感を高める建築の在り方も探求
  11. 森下陽 amp/アンプ建築設計事務所による、静岡・浜松市の「仏壇仏具店 迦葉」。国道沿いの敷地で道からの視認性向上と入りやすさの要望に、駐車場を奥に確保した上で建物間口を最大限広くし道路側に配置して前面を緑化、小屋組表しのおおらかな内部空間で気軽さと安心感を与える
  12. 木下昌大 / KINO architectsによる、福岡の「福岡市平尾霊園合葬式墓所」。死生観等の変化に沿った新たな形態の公共墓地、特定の宗教観を避け故人を偲ぶ場とすべく敷地の山の力を借りる計画を考案、山裾の献花台を取り囲む円弧状壁が追悼の為の非日常をつくる
  13. スイスを拠点とする建築設計事務所 E2Aの展覧会「スイス建築の方法論」が、東京都内の4カ所の会場で分散開催
  14. 中野晋治建築研究室による、福岡・福津市の住宅「川沿いの家」。海に近く川と道に挟まれた敷地に計画、周辺環境を調整できる柔軟な建築を目指し大型開き戸を考案、開閉により視線や通風等を制御でき住み手がその時々に必要な状態をつくる
  15. 烏野良子 / 烏野建築設計室による、岐阜・高山市の「丹生川の古民家」。明治築の民家を改修した住宅と家具工房のショールームで、要望と面積のバランスを考える中で工房制作の建具等を用いて再生する計画を構想、展示物と一体化した建築の在り方を目指す
  16. 長坂常 / スキーマ建築計画による、三重・多気郡の、店舗「尾粂」。地方再生を目的とする施設の中に計画された築地老舗卸の店舗で、“賑わいのデザイン”を意図して近隣の人流を読み配置等を決定、更に建物内の厨房や棚等の配置でもお客の購買行動を促進
  17. 隈研吾建築都市設計事務所による、スイス・ジュネーブの宿舎「Student dormitory Grand Morillon」の写真
  18. 齋藤弦 / Strings Architectureによる、東京・中央区の住戸改修「勝どきのタワーマンション」。都市と住空間が直結する関係性とそこに住む意義を再考し計画、レイヤー構成により活動に応じて都市との距離感を調節できるよう設計、建築形態の特徴である“眺望”を生かすプランニングも意図
  19. 大松俊紀アトリエによる、椅子「After Dark」。菊川工業と作るアルミ製の椅子で、半円座面に浮遊感を与える為に最大限の薄さを目指し4mm厚を実現、特異な形状は不安感と安心感が入り混じった複雑な心境をもたらす
  20. 赤松佳珠子+大村真也 / CAtによる、広島・因島の「土生公民館」。少子高齢化が進む町で旧小学校跡地に公民館を移転する計画、周辺民家に溶け込むよう建物スケールを分節し素材も町並みからサンプリングし設計、ささやかな日常を支える集いの場を目指す

ドルテ・マンドラップに、計画を進めている「EXILMUSEUM」について聞いているインタビュー。ナチス政権の間に逃亡した人々の物語を伝える新しい博物館

ドルテ・マンドラップに、計画を進めている「EXILMUSEUM」について聞いているインタビュー。ナチス政権の間に逃亡した人々の物語を伝える新しい博物館です。2020年8月にコンペでの勝利が伝えられていました。動画の制作はルイジアナ美術館。英語字幕付き。

(翻訳)
「世界でかつてないほど多くの難民が発生している今日、大いに関係のある話です。この博物館が、亡命を余儀なくされることの意味を理解することの重要性に注意を促すことができればと思います」
ベルリンの歴史的な鉄道駅、アンハルター・バーンホフの廃墟のポーチの後ろに設置された新しい亡命博物館の設計という畏怖すべき仕事を引き受けたデンマーク人建築家、ドルテ・マンドラップの紹介です。

「ここは、何かを作るにはとても痛烈な場所です。1933年にベルリンを離れた元ドイツ人亡命者のインタビューを聞くと、皆この場所のことを話しています。彼らは皆、アンハルター・バーンホフで自分の家や愛する人に別れを告げたと語っています」とマンドラップはこの場所について語ります。
この断片は、ヨーロッパの現代史の重要な断片を体現しています。1920年代から30年代にかけてヨーロッパ最大の駅として、ベルリンの賑やかで創造的な首都と、ナチズムの台頭による荒廃を目の当たりにしたのです。

「感傷的になったり、誇張したりすることなく、その歴史に敬意を表したいと思っています。新しい建物とポルティコの間に空間をつくり、駅が取り壊されてからの歴史と時間を表現します」と、マンドラップはこのプロジェクトについて述べています。
新しい亡命博物館は、第二次世界大戦中に追放された人々の物語を伝えると同時に、現在も故郷を追われた何百万人もの人々の運命を明らかにすることを目的としている、とマンドラップは説明します。
「この作品は、世界でかつてないほど多くの難民が発生している現在、非常に重要な意味をもっています。母国語や文化とともに、自分のアイデンティティを失ってしまうのです。すべての特徴があなたを作り、あなたのアイデンティティを構成しているのです。ですから、亡命博物館が、亡命を余儀なくされることの意味を理解することの関連性に注意を喚起することができればと思います」

ドルテ・マンドラップ(1961年生まれ)は、1991年にデンマークのオーフス建築学校を卒業しました。8年後、コペンハーゲンを拠点にスタジオを設立し、現在もクリエイティブ・ディレクターを務めます。独特のノンコンフォーマリズムを持つヒューマニストとして、ドルテ・マンドラップは、建築の発展に尽力し、公開討論に頻繁に参加していることで知られています。彼女は数多くの賞を受賞しており、最新のものは以下の通りです。2021年RIBA名誉委員会メンバー、2021年ICONIC賞アーキテクト・オブ・ザ・イヤー、スイス・メンドリシオ・アカデミー客員教授、カナダ・AZ賞環境リーダーシップ賞2020、芸術アカデミーによるベルリン芸術賞、権威あるミース・ファン・デル・ローエ賞2019のチェアウーマン。2018年、グリーンランドのイルリサットにある彼女のアイスフィヨルド・センターは、ヴェネチア・ビエンナーレのキュレーションによる国際展の一部となりました。2022年、ドルテはヨーロッパで最も古く重要な文化機関の一つであるベルリンの芸術アカデミーの会員に選出されました。

長坂常 / スキーマ建築計画がHyundaiの為にデザインしたモバイルハウス「旅する住まい」をレポート。自動車の蓄電池から都市生活を持ちだすアイデアを構想、木と布を素材とし出来るだけ軽くつくり、気楽に出かけられる事も意図
長坂常 / スキーマ建築計画がHyundaiの為にデザインしたモバイルハウス「旅する住まい」をレポート。自動車の蓄電池から都市生活を持ちだすアイデアを構想、木と布を素材とし出来るだけ軽くつくり、気楽に出かけられる事も意図IONIQ 5とモバイルハウス「旅する住まい」 photo©architecturephoto
長坂常 / スキーマ建築計画がHyundaiの為にデザインしたモバイルハウス「旅する住まい」をレポート。自動車の蓄電池から都市生活を持ちだすアイデアを構想、木と布を素材とし出来るだけ軽くつくり、気楽に出かけられる事も意図 photo©architecturephoto
長坂常 / スキーマ建築計画がHyundaiの為にデザインしたモバイルハウス「旅する住まい」をレポート。自動車の蓄電池から都市生活を持ちだすアイデアを構想、木と布を素材とし出来るだけ軽くつくり、気楽に出かけられる事も意図 photo©architecturephoto

長坂常 / スキーマ建築計画がHyundaiの為にデザインしたモバイルハウス「旅する住まい」をレポートします。自動車の蓄電池から都市生活を持ちだすアイデアを構想、木と布を素材とし出来るだけ軽くつくり、気楽に出かけられる事も意図されました。東京・原宿のHyundai House Harajukuにて展示されています。長坂の展示の会期は2022年3月8日まで(同企画は別の建築家やデザイナー達により2022年5月28日まで続く)。

こちらは会場レポートです

建築家でスキーマ建築計画を主宰する長坂常と自動車メーカーHyundaiとコラボレーションしたモバイルハウス「旅する住まい」が公開中だ。この展示で、長坂はHyundaiのIONIQ 5で牽引するモバイルハウスをデザインした。

長坂は、Hyundai のバッテリー式電気自動車IONIQ 5の特徴である2日分の蓄電池を保有していることが構想の出発点になっているのだと言う。蓄電池があれば、週末に都市生活をそのまま持ちだす事が出来ると考えこの作品を構想したのだ。

そして、会場でも公開されているインタビューで語られているのだが、このモバイルハウスは、木で骨格をつくりナイロンの布地を張り、そこに薄く樹脂を塗布することで出来ている。より詳しく構法について聞くと、木製の骨格に、ナイロンの布地を水に浸透させて骨組みに張り、乾燥すると布地が縮んでピンと張れる水張りという方法を採用しているとのこと。それによって、たわみないが布の特徴でもある光の透過性、柔らかさ、軽さを実現させたのだそうだ。

長坂は、出かけることの気軽さを実現するために、物理的な“軽さ”にもこだわったのだと説明する。
実際にこのモバイルハウスを目の前にしても、非常に軽い構築物と言った印象を覚える。

筆者が、この会場を訪れて実物を見て気づいたことは、このモバイルハウス「旅する住まい」がキャンプにおけるテントとキャンピングカーの中間に位置するような存在であるということだ。テントは折り畳みが出来てコンパクトに持ち運びが可能であるが、「旅する住まい」のような環境から守られている感覚はないだろう。またキャンピングカーには様々な設備が整っているが、「旅する住まい」のような軽さは持ち合わせていない。

末光弘和+末光陽子 / SUEP.の、TOTO・ギャラリー間での建築展「Harvest in Architecture 自然を受け入れるかたち」
末光弘和+末光陽子 / SUEP.の、TOTO・ギャラリー間での建築展「Harvest in Architecture 自然を受け入れるかたち」淡路島の住宅 兵庫県(2018年) photo©Shinkenchiku-sha

末光弘和+末光陽子 / SUEP.の、TOTO・ギャラリー間での建築展「Harvest in Architecture 自然を受け入れるかたち」が開催されます。建築を地球環境における生命活動を促す媒体として位置づけ、自然環境の働きをシミュレーションして設計の起点とし、建築を媒介した資源の循環システムを構築する活動を行う設計事務所です。

TOTOギャラリー・間では、末光弘和+末光陽子 / SUEP.(スープ)の展覧会「Harvest in Architecture 自然を受け入れるかたち」を開催します。

SUEP.の特徴は、建築を地球環境における生命活動を促す媒体として位置づけようとする思想にあります。

彼らは地勢、水脈、植生、生態系などに着目し、自然環境にある風・熱・水などの働きをシミュレーションして設計の起点とすることで、建築を媒介した資源の循環システムを構築しています。自然に対して建築が寛容なアプローチをすることで、自然の恵みを得るとともに、それが持続できる社会を目指しています。また建物の居住性能を上げるという機能面はもちろん、住まう人、使う人たち、地域の人たちが、その循環の一員として参加する喜びを分かち合えることも大切にしています。

本展のタイトル「Harvest in Architecture」には、私たちが日々地球の恵みを受け取れることへの感謝と、それを継続するために行う努力への決意が込められています。展覧会では、彼らが行ってきたリサーチや検証と、それらがどのようなかたちで建築の循環システムに結実してきたかが明かされます。

彼らの取り組みは、建築が地球とつながり、未来を拓くためのチャレンジの連続といえます。人間が地球の恵みを一方的に搾取するのではなく、自然との共生により豊かな恵みが続いていく、そのために建築家として果たすべき役割は何か。本展覧会を通して、彼らの思考と試行の全貌をご覧いただきます。
(TOTOギャラリー・間)

リリーステキストより

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