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杉山幸一郎による連載エッセイ “For The Architectural Innocent” 第8回「ブレゲンツ再考 / 光の霧」
杉山幸一郎による連載エッセイ “For The Architectural Innocent” 第8回「ブレゲンツ再考 / 光の霧」

 
※このエッセイは、杉山幸一郎個人の見解を記すもので、ピーター・ズントー事務所のオフィシャルブログという位置づけではありません。

 


 
ブレゲンツ再考 / 光の霧

text:杉山幸一郎

以下の写真はクリックで拡大します

杉山幸一郎による連載エッセイ “For The Architectural Innocent” 第8回「ブレゲンツ再考 / 光の霧」 photo©杉山幸一郎

ブレゲンツ美術館(1997年竣工)に初めて訪れたのは今から10年も前のこと。
実を言えば当時、ガラスに包まれた外観とそのすべすべとした質感を見て、«なんだか古い»という第一印象を持ちました。

乳白ガラスに包まれた建物。展示空間のガラス天井とテカテカしたその支持金具。それらがどういうわけか、少し古めかしく思えたのです。
僕が初めて訪れた2010年頃には、同じように乳白ないし曇りガラスでファサードを形成している建築が多かったから、見慣れすぎていたからゆえの印象だったのかもしれません。

そんなブレゲンツ美術館へは、僕の住んでいるスイスのクール市から電車で1時間半ほど。また、展示内容がいつも興味をそそられることもあって、それから何度も訪れています。

そうやって建築をある程度の時間スパンを通して何度も経験していくと、自身の建築の捉え方にも変化が起きてきます、そして、はじめに抱いていた印象はどんどん書き換えられていく。つまり過去は現在によって常に上書き更新されながら、新たな発見と認識をしていくことになるのです。

 
話は少しそれますが、ズントー事務所に送られてくるポートフォリオでは、よく見かける建築タイプがいくつかあります。

そのタイプの一つが、木造軸組で仮設構築物のようなものを作り、Zinc Mine Museumのように機能の入った空間(box)を挿入しているもの、またはWitch Trial Memorialのように一直線の細長い空間を作り上げたものです。

そして、ブレゲンツ美術館に見られるような乳白(ないし曇り)ガラスのファサードで光を吸収、拡散することで室内に柔らかな光を取り込むことを意図したタイプがあります。

いずれのタイプもシンプルでありながら、設計者の意図が建築の形にダイレクトに現れてくるのでインパクトがあり、構法や機能がユニークでわかりやすく、理解しやすいデザインであると言えます。

ただ、ここで単に、これらの建築タイプをズントー建築のオマージュと言って片付けてはいけません。そもそもこうしたタイプは全く新しく創造されたものではない。少しでも歴史を振り返れば、既に存在していたものだと思うのです。
ズントーが日常的に見つけることのできる形式をごく自然に取り出して、洗練させた状態で実現させた結果、ユニークな建築として多くの人のインスピレーションを喚起している、と言えるのではないでしょうか。

ズントー建築は一見、それぞれの国や文化が持つ建築史の延長線上とは少し離れたところに、孤高の島としてあるようにも思われがちです。
しかしよく考えてみれば、(ヨーロッパ)建築の歴史というやや格式ばったものではなく、身の回りに既に存在していた事柄の上に作り上げられている。
それをズントー自身が意図しているか否かにかかわらず、多くの人に共感される«強さ»になっていると僕は捉えています。

 
今回は、その“わかりやすい”ブレゲンツ美術館の形式を噛み砕いて、僕が今考えるその建築を(設計者であるズントーの意図も含めながら)、いくつかの建築的特徴を拾いながら再考していきたいと思います。

UAoによる、栃木の「那須塩原市図書館 みるる+駅前広場」
UAoによる、栃木の「那須塩原市図書館 みるる+駅前広場」 photo©DAICI ANO
UAoによる、栃木の「那須塩原市図書館 みるる+駅前広場」 photo©DAICI ANO
UAoによる、栃木の「那須塩原市図書館 みるる+駅前広場」 photo©DAICI ANO

UAoが設計した、栃木の「那須塩原市図書館 みるる+駅前広場」です。施設の公式サイトはこちら

那須塩原市の地域アイデンティティでもある「森」に足を踏み入れると、私たちは、季節や天気、動植物たちによる僅かな機微といった刻々の変化を感じ、そのうつろいをマルチモーダルに受け止め、心を動かされている。

この図書館では、館内に点在する言葉(アフォリズム)や展示物、活動や人々によって起こる多様なうつろいを緩やかな境界に表出させ、その機微の重なりの中をまるで森の中のように自由に歩き回ることで、共感覚を生み出し、新しい気づきや学びにつながることを意図している。

建築家によるテキストより

公共図書館は、単に人が集まるサードプレイスとしての役割を終え、まち全体の発展に寄与することが求められている。この図書館では個々人の気づきや学びが、活力の資源となってまちに還元され、次第にまちに波及し大きな変化を起こし、新たな気づきが持続する。そのような公共図書館を形にした。

建築家によるテキストより
【ap job更新】 創造系不動産が、‟建築と不動産のあいだを追究する”新たなメンバー(建築不動産コンサルタント)を募集中
【ap job更新】 創造系不動産が、‟建築と不動産のあいだを追究する”新たなメンバー(建築不動産コンサルタント)を募集中
【ap job更新】 創造系不動産が、‟建築と不動産のあいだを追究する”新たなメンバー(建築不動産コンサルタント)を募集中代表の高橋著「建築と不動産のあいだ」、「建築と経営のあいだ」。

創造系不動産の、‟建築と不動産のあいだを追究する”新たなメンバー(建築不動産コンサルタント)募集のお知らせです。詳しくは、ジョブボードの当該ページにてご確認ください。アーキテクチャーフォトジョブボードには、その他にも、色々な事務所の求人情報が掲載されています。
新規の求人の投稿はこちらからお気軽にお問い合わせください

■創造系不動産とは・・・
創造系不動産は、2011年に設立され、建築の専門性を持ち合わせたメンバーで構成された新しいタイプの不動産コンサルティング会社です。創業時より建築家やデザイナーとタッグを組み、個人住宅・集合住宅・オフィス・商業施設等の建築不動産コンサルティング及び不動産仲介業務を行っています。創業より10年目になり、メンバーも14名に拡大し、本当に多くの建築家・デザイナーの方とコラボレーションさせて頂いてきました。これからは従来の物件探しや仲介、コンサル業務の専門性をさらに研ぎ澄ましていくと共に、新しい取り組みや事業にも積極的にチャレンジし、さらなる価値を提供できる会社に飛躍していくフェーズになると考えています。

と言うのも、近くようで遠い建築業界と不動産業界を取り巻く環境にはまだまだ解決すべき課題が山積しています。
・住宅供給過多、人口減少による空家、価値観の多様化。
・建築家住宅が持つ中古としての市場での価値、良いバトンパス。
 ※『建築家住宅手帖』という不動産サイトを立ち上げました(2020年9月)
・相互の業界を取り持つ人材の不足。
・建築業界のお金や不動産、ビジネスへの意識。
・不動産業界の当たり前や固定観念、建築業界への理解。
・空家など築古物件に対しての住宅ローン、リノベーション費用の調達。
・外国人留学生や建築事務所所員の方の賃貸探しの困難さ。
etc

不動産の世界に飛び込んで建築業界との懸け橋になり変革を起こしたい方、お金や不動産、ビジネスの知識・スキルを身に着けたい方、自分自身で建築業界に問題意識をお持ちで、なんとかしたいと考えている方、様々なキャリアで建築出身のメンバーと一緒に新しい「あいだ」の開拓に挑戦していく方を募集いたします。
不動産の知識ではなく、建築への情熱があれば大歓迎です!

また昨年、千葉県の外房に位置するいすみ市に、初の支店「創造系いすみ」を設立しました。これから日本の地方経済の現実に正面から向き合い、地方創生の研究と実践を行うための拠点です。そうした地方での研修も行います。

さらに、創造系不動産では、定期的に社外の専門家(社会保険労務士など)からアドバイスを受け、コンプライアンスを遵守した働きやすい社内作りに取り組んでいます。正社員、パートタイムなど、その方に合わせた多様な働き方を実現できる環境です。是非ご応募いただき、お話しをお聞きできればと思います。

■参考書籍・連載
『建築と不動産のあいだ』(学芸出版社)
『建築と経営のあいだ』(学芸出版社)
『建築学科のための不動産学基礎』(学芸出版社)

■創造系不動産で身につくスキル
建築の領域を越え、不動産・ファイナンス・プロジェクトマネジメント・営業戦略・企業経営理論を身につけることができます。
チーム制を導入しており、チームリーダーを経験するチャンスもあり、リアルな経営を知ることができます。
また、Off-JTとして、宅地建物取引士・ファイナンシャルプランナーの資格取得支援、ビジネススクールでの経営研修を実施しており、業務に関する知識を体系的に学ぶことが可能です。

川本達也建築設計事務所による、愛知・一宮市の住宅「今伊勢の家」
川本達也建築設計事務所による、愛知・一宮市の住宅「今伊勢の家」 photo©植村崇史
川本達也建築設計事務所による、愛知・一宮市の住宅「今伊勢の家」 photo©植村崇史
川本達也建築設計事務所による、愛知・一宮市の住宅「今伊勢の家」 photo©植村崇史

川本達也建築設計事務所が設計した、愛知・一宮市の住宅「今伊勢の家」です。

「高い耐震性」と「開放的な空間」の両方を求められた場合、通常、2階の方が1階よりも構造上必要な壁量が少なくなるため2階にLDKをもっていく方が理にかなっている。
ここでは、前面道路が個人の所有物である私道(生活道路)という周辺環境を取り込み、内外がシームレスに連続する空間を計画することで与えられた条件の中で最大限の空間的ボリュームの獲得を目指す。幅8mの「門型フレーム」が並ぶだけの単純明快な構成とすることでバランスの良い耐震性能と大きな開口部を両立させた。

建築家によるテキストより

計画地は古くから繊維工場が多く栄えた工業地域に属し、近年の開発により宅地化され住宅が多く建ち並び、地域産業と住宅が共存して居住環境がつくられている。
敷地の前面道路はその宅地化するにあたってつくられた私道であり、この道に接する数件の家で共有する行き止まりの「生活道路」である。

この辺一帯は主要な道路から枝分かれのように伸びるこの「生活道路」が張り巡らされ、それぞれ固有のコミュニティが形成されていた。この道路ごとに異なる独自の場所性をそのまま住空間に取り込むことで、地域産業の副産物的にできたコミュニティを住宅地としての新たな風土として地域づくりに寄与することができないかと考えた。

建築家によるテキストより
齋藤和哉建築設計事務所による、埼玉・さいたま市の住宅「浦和のハウス」
齋藤和哉建築設計事務所による、埼玉・さいたま市の住宅「浦和のハウス」 photo©西川公朗
齋藤和哉建築設計事務所による、埼玉・さいたま市の住宅「浦和のハウス」 photo©西川公朗
齋藤和哉建築設計事務所による、埼玉・さいたま市の住宅「浦和のハウス」 photo©西川公朗

齋藤和哉建築設計事務所が設計した、埼玉・さいたま市の住宅「浦和のハウス」です。

1本の線で距離感をコントロールできるのが建築である。若い夫婦と3人の子供が生活する上で、周りから覗かれずに自然や家族の気配をどこにいても感じることができる住まいをローコストでつくりたいというのが施主の要望だった。それを実現するために最小限の床と壁で建築的に成立する住空間を模索した。

建築家によるテキストより

敷地を取り巻くさまざまな目線は切りつつも、家族同士の雰囲気を感じながら、周囲の空や緑を光と風とともに室内へ取り込むことができるよう、床と壁の高さを設定すると立体的な一室空間となった。

1階に南から天井の高い通り土間、リビング・ダイニング、階段、水まわりの順で部屋を配置し、それぞれのあいだに高さの違う5枚の構造壁を立てた。加えて東と西に駐車スペースを取ることで4周にバッファ空間がある構成とした。2階に屋根裏のような寝室を設け、吹き抜けで土間とつなげた。1階と2階の途中には視線と光と風が一気に抜けるロフト層がある。

建築家によるテキストより
アーキテクチャーフォトの歴史を年表とテキストにまとめました ザハ・ハディド・アーキテクツがコンペで勝利した、中国・深センの高層タワー「Tower C at Shenzhen Bay Super Headquarters Base」。低層部が公園と一体化し市民にパブリックスペースを提供
ザハ・ハディド・アーキテクツがコンペで勝利した、中国・深センの高層タワー「Tower C at Shenzhen Bay Super Headquarters Base」。低層部が公園と一体化し市民にパブリックスペースを提供 image courtesy of Zaha Hadid Architects
ザハ・ハディド・アーキテクツがコンペで勝利した、中国・深センの高層タワー「Tower C at Shenzhen Bay Super Headquarters Base」。低層部が公園と一体化し市民にパブリックスペースを提供 image courtesy of Zaha Hadid Architects

ザハ・ハディド・アーキテクツがコンペで勝利した、中国・深センの高層タワー「Tower C at Shenzhen Bay Super Headquarters Base」です。低層部が公園と一体化し市民にパブリックスペースを提供する設計が特徴的です。

以下はプロジェクト概要の要約。

ザハ・ハディッド・アーキテクツは「深センベイ・スーパー・ヘッドクォーター・ベースのCタワー(Tower C at Shenzhen Bay Super Headquarters Base)」建設の設計コンペの優勝者として発表されました。

深圳ベイ・スーパー・ヘッドクォーター・ベースは、広東省、香港、マカオのグレーター・ベイエリアにサービスを提供する深センの重要なビジネス・金融センターとなり、毎日30万人の従業員を収容するグローバル・テクノロジー・ハブの中に企業本社のクラスターを統合します。

ザハ・ハディッド・アーキテクツによる「タワーC」は、市内の南北に計画されている緑の軸線と深センの東西の都市回廊が交差する場所に位置し、そこに対応するようにデザインされています。隣接する公園や広場と直接接続し、2つのタワー内で上向きに伸びる広く段々になったランドスケープに変化します。そして、文化やレジャーのアトラクションがタワーをつなぎ、建物の中心部にあるブリッジ部では、市民にパノラマビューを提供します。

ザハ・ハディッド・アーキテクツが開発した3Dモデリングツールにより、C棟のデザインは、建築物の質量、向き、ファサードと床の比率の効率を最適化されています。この建築は、約400mの高さにある2つのタワーからなる多次元の垂直都市で、柱のない自然光のオフィススペース、ショッピング、エンターテイメント、ダイニング設備、ホテル、コンベンションセンター、展示ギャラリーを備えた文化施設を提供します。

ドムス誌の2021年ゲストエディターを務める安藤忠雄による社説が公開。改めて建築における“光”の重要性を語る

イタリアの歴史ある建築雑誌ドムスの2021年ゲストエディターを務める安藤忠雄による社説が公開されています。改めて建築における“光”の重要性を語られています。ドムスは1928年にジオ・ポンティによって創刊された雑誌です。現在は紙媒体とウェブ媒体で更新されています。

最も注目を集めたトピックス [期間:2021/1/4-1/10]
最も注目を集めたトピックス [期間:2021/1/4-1/10]

アーキテクチャーフォトで、先週(期間:2021/1/4-1/10)注目を集めたトピックスをまとめてご紹介します。リアルタイムでの一週間の集計は、トップページの「Weekly Top Topics」よりご覧いただけます。


  1. 石上純也建築設計事務所による、神奈川・厚木市の「神奈川工科大学KAIT広場」
  2. 山田伸彦建築設計事務所の建築設計、スタジオテラのランドスケープデザインによる、東京・町田市の「町田薬師池公園四季彩の杜西圓ウェルカムゲート」
  3. チッパーフィールドが修復を手掛けた、ドイツ・ベルリンの、ミース設計の「新ナショナルギャラリー」
  4. SANAAが設計を手掛けた静岡市の歴史文化施設が着工。画像が2枚公開
  5. ザハ・ハディドが、新国立競技場に関して、日本語で公開した、プレゼンテーションとレポート
  6. 2020年にアーキテクチャーフォトで注目された作品トップ10
  7. “建築と今” / no.0006「長坂常」
  8. 五十嵐理人 / IGArchitectsによる、広島市の店舗「宇品のカフェ」
  9. 佐野文彦 / Fumihiko Sano Studioによる、東京・渋谷区の「ビズリーチ 渋谷新南口オフィス」
  10. KINO architectsによる、東京・文京区の保育園「大空と大地のなーさりぃ 茗荷谷園」
  11. 竹中工務店による、愛媛・松山市の「三浦工業本社ショールーム」
  12. 中村拓志 & NAP建築設計事務所による、西日本の住宅「Half Cave House」
  13. ザハ・ハディド・アーキテクツとリー&オレンジが計画を進める、香港科学技術大学の学生寮「Student Residence Development」。2023年の完成を予定
  14. MADの設計で建設が進められる、中国・嘉興市の駅舎「Jiaxing Train Station」。2021年7月の完成を予定
  15. 佐野文彦 / Fumihiko Sano Studioによる、東京・丸の内の飲食店「すき焼き十二天」
  16. 竹中工務店の設計・施工による、兵庫・神戸市の「竹中工務店深江竹友寮」
  17. ザハ・ハディドが、新国立競技場に関して、日本語での、ビデオプレゼンテーションとレポートの動画。
  18. 長坂常 / スキーマ建築計画による、京都左京区南禅寺草川町の「ブルーボトルコーヒー京都カフェ」
  19. 2020年にアーキテクチャーフォトで注目された記事トップ100
  20. 佐野文彦 / Fumihiko Sano Studioによる、東京・港区の飲食店「日本料理ときわ」

【ap job更新】 手塚貴晴と手塚由比が主宰する「株式会社手塚建築研究所」が、意匠設計スタッフ(新卒既卒・経験者)を募集中
【ap job更新】 手塚貴晴と手塚由比が主宰する「株式会社手塚建築研究所」が、意匠設計スタッフ(新卒既卒・経験者)を募集中
【ap job更新】 手塚貴晴と手塚由比が主宰する「株式会社手塚建築研究所」が、意匠設計スタッフ(新卒既卒・経験者)を募集中

手塚貴晴と手塚由比が主宰する「株式会社手塚建築研究所」の、意匠設計スタッフ(新卒既卒・経験者)募集のお知らせです。詳しくは、ジョブボードの当該ページにてご確認ください。アーキテクチャーフォトジョブボードには、その他にも、色々な事務所の求人情報が掲載されています。
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【スタッフ募集】
 意匠設計スタッフを募集いたします。
 やる気だけは人一倍ある人
 仲良く仕事ができる人
 デザインが好きな人
 英語ができるとなお良い

篠原一男らの建築を被写体とした多木浩二の写真集『建築のことばを探す』の展覧会の会場写真。刊行した飯沼珠実による制作過程でのリサーチ内容を展示
篠原一男らの建築を被写体とした多木浩二の写真集『建築のことばを探す』の展覧会の会場写真。刊行した飯沼珠実による制作過程でのリサーチ内容を展示 photo©飯沼珠実
篠原一男らの建築を被写体とした多木浩二の写真集『建築のことばを探す』の展覧会の会場写真。刊行した飯沼珠実による制作過程でのリサーチ内容を展示 photo©飯沼珠実
篠原一男らの建築を被写体とした多木浩二の写真集『建築のことばを探す』の展覧会の会場写真。刊行した飯沼珠実による制作過程でのリサーチ内容を展示 photo©飯沼珠実

篠原一男・坂本一成・伊東豊雄・白澤宏規の建築を被写体とした多木浩二の写真集『建築のことばを探す 多木浩二の建築写真』の展覧会の会場写真です。今回、書籍を刊行した飯沼珠実による制作過程でのリサーチ内容が展示されます。会場は、東京・文京区のトーキョーアーツアンドスペース本郷。会期は2021年1月13日~2月7日まで(月休)。新型ウイルス感染拡大防止対策の上、開催されるようです。

写真集『建築のことばを探す 多木浩二の建築写真』は、故・多木浩二氏の建築写真に関する研究を纏めた本で、2020年7月14日に第1刷を発行しました。この写真集をめぐるリサーチを発表する場として、展覧会「建築のことばを探す 多木浩二の建築写真」を開催いたします。

わたしが2017年頃に「多木さんの建築写真を一望できる写真集をつくる」という目標をめざしてこの研究をはじめたとき、写真集の完成はゴールだと思っていました。調査期間中には、たくさんの関係者の皆様から貴重な資料や個人的な記憶を預からせていただきました。また出版から半年が経過した今まで、さまざまな対話の機会や予期せぬ出会いに恵まれました。このような経験は、ひとえに多木さんが残した膨大な仕事が、今のわたしたちのなかに生きつづけていることの証であると確信しています。今、写真集『建築のことばを探す 多木浩二の建築写真』を眺めてみると、わたしはなぜだか<はじまり>を感じます。

作家によるテキストより
【ap job更新】 upsetters architectsが、組織の拡充に向けて新規スタッフを募集
【ap job更新】 upsetters architectsが、組織の拡充に向けて新規スタッフを募集
【ap job更新】 upsetters architectsが、組織の拡充に向けて新規スタッフを募集HIBIYA mon cher ton ton

upsetters architectsの、【募集職種】募集のお知らせです。詳しくは、ジョブボードの当該ページにてご確認ください。アーキテクチャーフォトジョブボードには、その他にも、色々な事務所の求人情報が掲載されています。
新規の求人の投稿はこちらからお気軽にお問い合わせください

upsetters architectsでは、2004年の創立から17年目となる本年、組織の拡充に向けて新規スタッフを募集します。

 
■upsetters architects が考えるデザインとストラテジによるアプローチの可能性

upsetters architectsは、建築、インテリア、プロダクトなど領域を限定しない環境デザインと、行政、企業、ブランドなどを対象としたビジョン追求のためのストラテジデザインを行なっています。私たちは、「どうつくるか」はもちろん、「なぜ、何をつくるのか」にこだわり、デザインの前提を整え効果を最大化する方法として、2011年よりストラテジデザインに取り組んできました。「地域資源を活用した専門ブランドの立ち上げ及び事業戦略」から始まり、近年では「行政における公民連携基本計画の策定」、「企業の事業継承とコーポレートアイデンティティの構築」などにつながっています。

私たちは、そうしたビジョンを持ったプロジェクトの先に良いデザインが生まれ、それらを良い形で継続し発展させていくためにストラテジが重要だと考えています。そして、ビジョンを達成し更新する連鎖によって、社会がより良い方向へ動くと信じています。

 
■upsetters architects 2004-2014,15,16,17(2018年、upsetters inc.)
https://white-blue.jp/collections/white-travel/products/upsetters-architects-2004-2014-15-16-17

立ち上げから13年間の活動をまとめた書籍「upsetters architects 2004-2014,15,16,17」は建築設計にとどまらない、upsetters architects の建築的アプローチによる可能性を感じることができる一冊です。今回の募集期間中、先着5名の方 (upsetters architectsに応募を検討いただいている方に限る) に本書をプレゼントさせて戴きます。ぜひご応募ください。

菊竹清訓の建築展「菊竹清訓 山陰と建築」が、島根県立美術館で開催
菊竹清訓の建築展「菊竹清訓 山陰と建築」が、島根県立美術館で開催

菊竹清訓の建築展「菊竹清訓 山陰と建築」が、島根県立美術館で開催されます。会期は2021年1月22日~3月22日まで。

没後10年に開催される本展では、菊竹清訓による山陰の建築を中心に、図面、スケッチ、模型などにより、菊竹建築の魅力を紹介します。当館で初めて開催する建築家をテーマとした展覧会です。

菊竹清訓(1928-2011)は、《島根県立美術館》(1998)の設計を手がけた戦後の日本を代表する建築家です。自邸《スカイハウス》(1958)、《出雲大社庁の舎》(1963)といった作品や、建築運動「メタボリズム」などによって、国際的にも高い評価を受けています。
島根県では、知事も務めた第23代田部長右衛門との関係から、当館の前身である《島根県立博物館》(1958)をはじめ多くの建築を設計しました。
菊竹清訓の没後10年に開催される本展では、菊竹による山陰地方の建築に加え、代表的な作品や、生涯を通じて取り組んだ未来都市の構想を紹介し、菊竹建築の魅力を紹介します。

リリーステキストより
佐野文彦 / Fumihiko Sano Studioによる、東京・港区の飲食店「日本料理ときわ」
佐野文彦 / Fumihiko Sano Studioによる、東京・港区の飲食店「日本料理ときわ」 photo©志摩大輔
佐野文彦 / Fumihiko Sano Studioによる、東京・港区の飲食店「日本料理ときわ」 photo©志摩大輔
佐野文彦 / Fumihiko Sano Studioによる、東京・港区の飲食店「日本料理ときわ」 photo©志摩大輔

佐野文彦 / Fumihiko Sano Studioが設計した、東京・港区の飲食店「日本料理ときわ」です。店舗の公式サイトはこちら

銀座で約20年、銀座啐啄という日本料理店をやってきた料理人が再度手掛ける新店舗。
普段から茶の湯を嗜む料理人が、数寄屋の設えの店を作りたいというご相談だった。

全体をエントランス、個室、カウンター、テーブルとエリアを分け、茶の湯の真行草のように空間の性質に差を付けたデザインや材料選びを心掛けた。ファサードのドアは樹齢350年を超える霧島杉の一枚板に真鍮の枠を合わせて扉とし、店の顔となる意匠を作った。

建築家によるテキストより

個室は間接照明を廻した網代天井に金泥の地模様と若松を捺した襖、赤松の床柱に栂檜の地板のを合わせた床を据え、欅の無垢一枚板のテーブルを設えている。カウンター席は幅650mmの無垢吉野檜を使い角の立った清潔なディテールを作り、付け台を廻した。調理台や背面の什器も吉野檜。天井は吉野杉、葉重竿縁天井。テーブル席は北山小丸太と女竹にへぎ板の欠き込み天井、ニッチの椿丸太でアクセントをつけ、吉野檜のテーブルを合わせている。

建築家によるテキストより
MADの設計で建設が進められる、中国・嘉興市の駅舎「Jiaxing Train Station」。2021年7月の完成を予定
MADの設計で建設が進められる、中国・嘉興市の駅舎「Jiaxing Train Station」。2021年7月の完成を予定 image courtesy of MAD
MADの設計で建設が進められる、中国・嘉興市の駅舎「Jiaxing Train Station」。2021年7月の完成を予定 image courtesy of MAD
MADの設計で建設が進められる、中国・嘉興市の駅舎「Jiaxing Train Station」。2021年7月の完成を予定 image courtesy of MAD

MADの設計で建設が進められる、中国・嘉興市の駅舎「Jiaxing Train Station」です。2021年7月に完成する予定とのこと。

以下はプロジェクト概要の要約です。

MADアーキテクツは、中国・嘉興市の「森の中の駅」のデザインを発表しました。2019年末に着工しており、2021年7月1日までに完成する予定です。

この駅は、上海、杭州、蘇州に近い中国南東部の都市、嘉興の中心部に位置しています。いくつかの主要産業の重要な都市である嘉興は、「絹の故郷」「よく肥えた土地」と呼ばれています。1921年に中国共産党の第1回党大会が嘉興で開催され、党の創立につながりました。

プロジェクトの概要は35.4ヘクタールのエリアをカバーし、嘉興駅、北と南の広場、隣接する人民公園の改修を含みます。改修前の既存の駅のキャパシティーは上限に達していました。そして、周辺の交通システムの乱れやインフラの不備により、駅周辺は衰退の一途をたどっていました。

嘉興の歴史的・文化的文脈からインスピレーションを得た、MADの提案では、歴史的な駅舎を1:1で再構築し、地下に新しい駅舎を作ります。新駅は明るく、効率的で、人間のスケールに合わせて設計されており、自然光が溢れ、フレンドリーで快適な環境を作り出しています。主要な交通・商業機能は地下に配置され、1階の空間を自然に返すことができます。嘉興市民と旅行者の共有空間であるこの緑の新都心は「森の中の駅」へと変貌を遂げます。

「中国の鉄道駅は、その大きさを競い合っている。壮大な宮殿のように都市の中で高く立っているそれらは、大きな幹線道路、堂々とした高架橋、およびしばしば空の広場に囲まれている。このような壮大なモニュメント建築を追求する方法ではなく、都市の駅は、快適なスケールにより、交通機能と都市機能を効率的かつ人道的に融合させ独自の美しい環境を創造することは可能なのだろうか。駅は単なる旅行者の立ち寄り場所ではなく、人々が楽しめる都市の公共空間となることは可能なのだろうか。」(マ・ヤンソン)

【ap job更新】 株式会社 設計組織アモルフが、設計スタッフを募集中
【ap job更新】 株式会社 設計組織アモルフが、設計スタッフを募集中
【ap job更新】 株式会社 設計組織アモルフが、設計スタッフを募集中

株式会社 設計組織アモルフの、設計スタッフ募集のお知らせです。詳しくは、ジョブボードの当該ページにてご確認ください。アーキテクチャーフォトジョブボードには、その他にも、色々な事務所の求人情報が掲載されています。
新規の求人の投稿はこちらからお気軽にお問い合わせください

建築が好きで、意欲に溢れ、元気な設計スタッフを募集します。
1つのプロジェクトをじっくりと企画、設計から監理まで一貫して担当してもらいます。

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