
長坂常 / スキーマ建築計画が設計した、神奈川・鎌倉の、築80年以上の日本家屋を改修した事務所兼用住宅「北条SANCI」です。
鎌倉の緑豊かで閑静な住宅街の中にオフィス兼住宅を計画した。
周辺環境もそうだが、敷地内にも豊かな庭があり、緑が覆い囲っている。建物は典型的な日本家屋で、どの部屋も屋外に接しており、襖をはずせば広い間が生まれる作りになっていた。床は地面から60cm上がっていて、主に畳が使われていた。築80年以上になるこの建物に使われている壁や天井の素材は味わいがあり、そのまま放置するか剥がして下地を見せれば、なかなか素敵な表情になることが予測できた。その時、我々は特に床に注目し、それらの在り方を考えることで性格分けをしゾーニングすることを考えた。
本計画は床を操作することで空間を更新させて行ったのだが、その操作によって生まれた多様過ぎる表情を少しコントロールするために、ところどころで無機質なグレイの家具を挿入した。
緩やかに繰り返される有機質と無機質の一定のコントラストが全体の表情をつなぎとめ、空間の多様性さをコントロールした。