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A.C.E. 波多野一級建築士事務所 / 波多野崇による、京都市上京区の築100年以上の町家を改修した住宅「上京の織屋建て長屋」です。
住み継げる町家
■市内に10000軒以上存在する長屋型京町家の耐震補強の考え方
本計画建物は3軒の町家がそれぞれの境界壁を共有している形式であり、構造としては3軒で1棟の建築物である。3軒とも所有者が異なり、3人のうち1人の住人が耐震補強をしたいと考えても、構造体の1/3にしか手を加えることが出来ないのが現実である。
つまり、構造のリフォームを行っても1/3の補強強度しか発揮できずに終わるのである。3世帯の住人が同意の上、同時に構造のリフォームを行えば十分な補強が可能であるが、各世帯の事情を考えると、ほとんど不可能に近い話である。
こういう長屋形式の京町家が京都市内には10000軒以上存在し、その数は京町家全体の約1/4を占める。耐震補強が進まない原因の1つにもなっていると言える。