all photos©長谷川健太
山路哲生建築設計事務所が設計した、埼玉県の住宅「三尺格子の家」です。
本計画においては「量産化部材による非量産化住宅」を主題とし、現代の住宅のあり方を工法という観点から再考した。
日本において尺貫法が廃止され、1951年よりメートル法が本格施行されて60年余り。未だに建設業界、特に木造住宅においては尺貫法が根強く用いられている。日本では畳やふすま1枚を基準(3尺×6尺)とした量産部材が企業間を越えたオープンシステムとして流通しており、所謂「在来工法」として全国的にプレファブ化されている。これはつまり、方眼紙に沿って間取り図さえ描けてしまえればどんな素人でも建築家になれる国民的モデュラーコーディネーションを実現しているのである。
この日本人に与えられた当たり前の寸法体系を表現に使うことで、合理性・経済性は元より表情としての意匠的・体感的なモデュール効果を見出せないかと考えた。